2026年・第221特別国会
- 2026年6月9日
- 外交防衛委員会
予備自衛官特例法案 許可不要とする立法事実なし/対イラン武力行使 トランプ大統領、ネタニヤフ首相に直接停止もとめよ/予備自衛官特例法案反対討論
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
現行法では、公務員が予備自衛官となるには、予備自衛官への任用時及び招集に応じる際のそれぞれに所属長、任命権者の許可を得ることとされます。国家公務員法や地方公務員法は公務員の職務専念義務を定めており、許可なく報酬を得て兼業することは許されないからです。
法案は、予備自衛官等について、任用時や応招時の許可を不要とし、任用時にまとめて承認を受けることで後の許可を省略できることとしています。
防衛省に伺います。現行法で求められている許可と法案に言う承認とは、法的にはどのような違いがあるのでしょうか。
○防衛省 人事教育局長(廣瀬律子君) お答えいたします。
国家公務員法第百四条及び地方公務員法第三十八条の規定に基づき、国家公務員等が予備自衛官等の職務に従事する場合には、所轄庁の長、任命権者の許可を要することとされております。この許可については、職務専念義務や公務の公正性、信用の確保の観点から、法令により一般的に禁止されている兼業を例外的に解除する行為として位置付けられているところです。
これに対し、本法律案における承認は、国家公務員法第百四条等の特例を設けるものであり、予備自衛官等の職務が高い公益性を有しており、直ちに公務の公正な執行や信用を害するものではないこと、また予備自衛官等の円滑な職務の遂行を図るといった政策目的によるものであることを踏まえて、所轄庁の長等の承認としたものでございます。
○山添拓君 特例という言葉がありました。特別扱いをする、要するに一回の承認手続で済ませて、所属長、任命権者の、本来であれば招集命令の都度、許可するかどうか判断する機会を省略しようというものです。政府は、本法案を予備自衛官等が招集に応じるための環境を整備するためだと説明しています。
そこで伺いますが、これまで公務員である予備自衛官が招集命令に応じるに当たって上司の許可を得られなかったケースは何件あるのでしょうか。国家公務員、地方公務員のそれぞれについて御説明ください。
○政府参考人(廣瀬律子君) お答えいたします。
公務員を含む予備自衛官等が招集に応じることができない理由としては様々な事情があるものと認識をしております。他方で、それが上司の許可が得られなかったことによるものか否かといった点については、防衛省として把握しておりません。
いずれにせよ、予備自衛官等の招集に当たっては、事前に出頭の可否に関する調整を行った上で命令を発するなどの運用上の措置を講じているところであり、引き続き予備自衛官等が招集に応じやすい環境の整備に努めてまいります。
○山添拓君 防衛省として要するに把握していない、許可を得られなかった実際の件数は分からないということですね。(発言する者あり)
○委員長(里見隆治君) 指名します。
○政府参考人(廣瀬律子君) お答えいたします。
防衛省として、許可を、上司の許可が得られなかったことによるものか否かといった点については、防衛省として把握をしておりません。
○山添拓君 その許可を不要にしようという法案なのですが、許可を得られなかった実際の例は分からないと。これ、私は立法事実のない法案だと思いますよ。
予備自衛官が定数を満たさない状況が続いています。今日もお話があったとおりです。予備自衛官等の退職理由になりわいと訓練の両立が困難といったことを挙げる方が一定数おられますが、それは公務員である予備自衛官が招集命令に応じるに当たってその都度許可が必要だという現行制度に原因があるわけではないということです。
今、防衛省からの答弁にも調整という言葉が出てきました。
資料をお配りしておりますが、予備自衛官制度についての資料を見ますと、招集命令を受けた予備自衛官本人が訓練に出頭するに当たって、雇用企業、雇用先と調整する、あるいは自衛隊地方協力本部、自衛隊と調整する、こう書かれております。あくまで本人と雇用先や自衛隊との関係です。
一方、大臣は衆議院で、自衛隊が、本人ではなく雇用先、公務員で言う任命権者と調整する、こう答弁されております。これはどういうことでしょうか。
○防衛大臣(小泉進次郎君) 私が五月の十五日、これが衆議院の安全保障委員会で田村委員とのやり取りをさせていただいたときのことを山添委員は言っているんだと思います。私から、最終的には任命権者と調整をさせていただくと申し上げたのは、防衛省が予備自衛官等と事前に調整を行うことを通じ、予備自衛官等が本来の勤務先との間で調整を行っていただくことが可能になるという趣旨で申し上げました。御理解いただければと思います。
○山添拓君 要するに、任命権者と防衛省とが、自治体なり、つまり所属長、国家公務員の場合の所轄庁ですね、防衛省とそうした任命権者、所属長とが直接調整するということではないということですね。
○国務大臣(小泉進次郎君) 我々自衛隊と防衛省とまさに本人ということが調整であって、山添先生が言うとおりだと思います。
○山添拓君 ですから、衆議院の答弁はちょっと正確性を欠くものだと思いますが、今大臣が言われた本人との調整ということなんですが、それは法案のどこに書いてありますか。
○防衛省 大臣官房長(小野功雄君) 今の点については特に法案の中に規定というのはございませんけど、我々、運用上そういう対応をしているということでございますし、あと、先ほど山添先生御指摘の点の許可云々というところにつきましては、これあくまでも、承認、個別でこれまで承認していたところについてあらかじめ一括して承認ができるようにするということであって、特に何か今までの権限を制約するとか、そういったものではないということを御理解いただければと思います。
○山添拓君 いや、その今まではその都度その都度許可をしていたものをあらかじめ一括で承認をするという仕組みに変えるわけですから、これまでなら可能だった許可をするかどうかの判断、その機会を所属長や任命権者から奪うことになるのは否定できないと思います。
そして、そうして、公務の現場に、本来なら公務員が、地方公務員であれ国家公務員であれ、その現場で担うべき公務の執行に影響が及ぶかもしれないということについて、調整を行うので大丈夫だというのがこれまでの大臣を始めとした答弁なんですが、その調整は条文にあるわけではないと、運用によるものだというのが今日の答弁でした。
いや、法文上どこにもないんですね。現行法の許可は、国公法や地公法に明文の規定があります。公務労働者は住民の命と安全、暮らしを守ることを本務とする存在であり、兼業する場合には、本務に支障のないよう、所轄庁、任命権者がその都度判断し許可することとしているのは当然のことです。その権限を事実上奪って、あらかじめ包括的に承認させ、法文のどこにもない調整を行うのだと繰り返し説明されています。実際には、自衛隊の都合を通常の公務に優先させることになるだろうと言わざるを得ません。しかも、そのような権限を剥奪してまで許可を省略しなければならない立法事実はないと、これは賛成できません。
イラン戦争について伺います。
米国連邦議会下院は三日、アメリカのイラン攻撃をめぐり、議会の承認を得なければ軍事行動を停止するようトランプ大統領に求める戦争権限決議案を賛成多数で可決しました。同様の決議は野党民主党の主導でこれまで三回提案され、僅差で否決されていましたが、今度、共和党議員四人が賛成して可決に至りました。
外務大臣、決議の内容とその受け止めについて御答弁ください。
○外務大臣(茂木敏充君) 先週六月の三日になりますが、米国連邦議会の下院におきまして、議会が承認するまでイランとの敵対行為の停止を求める一九七三年の戦争権限法に基づく決議案が可決されたことは承知をいたしておりますが、他国の議会等の動きの逐一にコメントをすることは差し控えたいと思います。
○山添拓君 逐一と言うにはかなり重大な決議だと思いますが。米国議会からも戦争を終わらせるべきだというメッセージにほかなりません。
ところが、実際には戦争が続いています。イスラエル軍は八日、イラン西部、中部の軍事目標と南西部にある石油化学施設を空爆したと発表しました。その前日にはイラン側がイスラエル北部の空軍基地をミサイル攻撃し、イラン側はその理由を、イスラエルが停戦に反してレバノンへの攻撃を続けていること、アメリカがホルムズ海峡でイランの船を攻撃しているためとしています。今朝にかけての報道では、双方が攻撃の一時停止を宣言したとされますが、両国間の攻撃の応酬は、四月八日の停戦合意後初めてのことです。
これも外務大臣の認識を伺います。
○国務大臣(茂木敏充君) 現地時間の六月の七日になりますが、イラン政府は、レバノンとイランに対するイスラエルによります攻撃等を受けて同国への攻撃を行ったと発表し、その後、これに対し、イスラエル国防軍はイランを空爆した旨発表しております。
米国とイランの間で暫定合意の覚書の署名に向けてやり取り、これが続いている中で、今申し上げたような軍事行動の応酬が続いていることを深刻に懸念をしておりまして、全ての関係者に対して停戦の維持及び最大限の自制を強く呼びかけます。
日本としても、国際社会と緊密に連携をしながら、米・イラン間の早期合意に向けてできる限りの外交努力、粘り強く行っていきたいと考えております。
○山添拓君 そのできる限りの外交努力ですが、政府として、トランプ大統領やネタニヤフ首相に対して直接戦争を止めるよう求めていますか。
○国務大臣(茂木敏充君) 日本として、まず、関係国であります米国、イスラエル、さらにはイランに対して、早期の事態の鎮静化、そして合意の達成、こういったことはしっかりと求めております。
○山添拓君 直接求めるべきだと指摘しておきたいと思います。
先週木曜日の衆院予算委員会で総理は、三月の日米首脳会談で、確かに自衛隊派遣の話はありましたと述べました。これまでできることとできないことがあるとぼかして明言してこなかったことです。しかも、三月中旬、攻撃開始から間もない時点でのことです。
防衛大臣に伺いますが、総理の訪米前、防衛大臣も総理とこの点について協議をされていたのでしょうか。
○国務大臣(小泉進次郎君) いや、その総理の発言について、現時点で自衛隊の派遣が何ら決まっていることはありませんし、ホルムズ海峡においては、茂木外務大臣が再三国会で答弁されているように、まずは外交局面で事態の鎮静化について努力をして、私としてもオンライン会合でも申し上げたとおり、この環境が整うということが大事で、日本として大事なことは、まず停戦があること、そしてイラン側ともしっかりコミュニケーションを取ること、脅威レベルが下がること、こういったことについて重要だというふうに申し上げているとおりですので、現時点において状況はそれは変わっていないということだと思っています。
○山添拓君 現時点のことは分かりました。
三月の総理の訪米前に、総理との間で自衛隊派遣についての協議はあったんでしょうか。
○国務大臣(小泉進次郎君) まず、そもそも停戦が実現していない中で、自衛隊の派遣云々ということではなく、平素から、防衛省としての取組、そして日米の会談に臨む上で必要な総理に対する情報ですとか、こういったことについてのやり取りは平素から行っていることであります。
○山添拓君 直接のお答えはありませんでしたが、先ほども話題になった共同通信の七日の報道ですが、具体的な活動、遺棄機雷の除去や民間船舶の護衛が選択肢に上がるとありました。
大臣、伺いたいんですけど、機雷の除去、これは本来、戦争当事国の責任ではないですか。
○国務大臣(小泉進次郎君) まず、おとといの六月七日付けの共同の報道を御覧になっていると思いますけど、これ先ほども申し上げたとおり、五月十三日に行われた英仏主催のオンライン会合で私が申し上げたことを、あたかも一か月たって新たなニュースかのように報じていること自体、私は全く理解ができませんので、そこはまず御理解をいただきたいと思います。これは是非報道機関に尋ねていただきたいというふうに思いますね。
その上で、遺棄機雷というのが、当事国が本来やるべきじゃないかということについては、まさにどこからが遺棄機雷になるのか、その状況が整うには正式な停戦がなければ遺棄機雷というふうに扱う判断をする、こういった環境にはなりませんので、我々としてずっと申し上げているところは、この正式な停戦が必要だ、重要である、こういったことであります。
○山添拓君 ちょっとよく分かりませんけれども、民間船舶の護衛も具体的活動の選択肢とされています。しかし、停戦が前提なら誰から護衛するということになるんでしょうか。
○国務大臣(小泉進次郎君) これ、お尋ねの先は、イギリスとフランス主催のオンライン会合で議論されていることをこの共同通信は紹介しているんだと思います。
ただ、いずれにしても、この一か月前のことをあたかも新しい要件や条件が付いたかのように報道されていることについて私は何ら理解ができませんので、よくそこは御理解をいただいた上でお尋ねいただければと思います。
○山添拓君 時間ですので終わりますけれども、私は、一か月前であろうが現時点であろうが、聞かれたことには答えていただきたいと思うんですけどね。
アメリカとイスラエルの攻撃について、詳細な情報がないから法的評価できないと政府はしてきました。それだけ情報に疎くて情報収集の努力すらされていない政府が、アメリカの顔色をうかがって危険な任務に自衛隊を送るということは、これは到底許されないと重ねて指摘しておきたいと思います。
質問を終わります。
―――
○山添拓君 日本共産党を代表し、予備自衛官等兼業特例法案に反対の討論を行います。
本法案は、国家公務員や地方公務員が予備自衛官等を兼業する場合に、職務専念義務を免除し、許可なく招集命令に応じることを可能にするなどの特例を設け、予備自衛官等の任用を拡大しようというものです。
国家公務員法や地方公務員法は、平和憲法の下で、全ての職員が全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、職務の遂行に全力を挙げ、専念すべき旨を定めています。公務労働者は、住民の命と安全、暮らしを守ることを本務とする存在であり、兼業に際しては、本務に支障のないよう例外的に許可されるにすぎません。
予備自衛官等に限って特例を定め、予備自衛官等になる時点で将来にわたって招集に応じることを含め一括して承認することとし、所轄庁の長や任命権者による都度の許可を不要とするのは、憲法が規定する公務の上に予備自衛官等としての任務を置き、軍事的要請を含む自衛隊の都合にあらゆる公務を従わせるものと言わなければなりません。
公務の現場では、行政需要を無視した定員削減が進み、人員不足が常態化しています。災害対応では、復旧復興の遅れをもたらす要因ともなっています。所轄庁の長や任命権者による許可の検討と判断の機会を奪い、公務員が招集命令に応じることとなれば、現場に混乱をもたらし、残された職員の業務量を更に増加させ、住民に必要な公務・公共サービスの低下を招きかねません。
大臣は、本人を通じた調整を行うと言いますが、法文上根拠がなく、自衛隊の都合が優先することが容易に予測されます。防衛省は、現行制度の下で、公務員である予備自衛官等が招集命令に応じるに当たって許可を得られなかった件数を把握していないと述べました。そもそも、立法事実を欠くと言うほかありません。
また、本法案は、予備自衛官等の職務の重要性に対する広報活動などにより、国の安全保障政策に協力するのは当然であるかのような意識を醸成し、個々の職員に予備自衛官等への応募を促す組織的な圧力が掛かることも危惧されます。公務員の思想、信条の自由や職業選択の自由を脅かすことは許されません。
本法案は、軍事優先の論理を公務の現場に公然と持ち込むものであり、許されないことを重ねて指摘し、反対討論とします。