2026年・第221特別国会
- 2026年7月22日
- 憲法審査会
改憲準備演出 極めて不当 国民投票法改定案/反対討論
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
高市総理は、二月の総選挙で憲法改正をやらせてほしいと一度だけ訴え、選挙が終わると、時は来た、決断のための議論をなどと改憲論議をあおっています。しかし、憲法は国民のものであり、憲法によって拘束される側である権力者がほしいままにするものではありません。
朝日新聞と東京大学の調査では、最も優先的に取り組んでほしい政治課題十二項目のうち、憲法、つまり改憲を選択した有権者は僅か一%。日経新聞とテレビ東京の調査では、首相に優先的に処理してほしい政策課題を複数回答で尋ねたところ、憲法改正は一一%、八つの選択肢のうち最下位でした。
これは、今日、筆頭発議者の新藤発議者に伺いますが、こうした調査の結果が出るのはなぜだとお思いでしょうか。
○衆議院議員(新藤義孝君) この国民の意識調査については様々な設問の仕方があると思います。ちょっと私、今質問の趣旨がよく分からなかったんですけれども、一体、それは聞き方によって様々な答えが出るのは当然ですし、それから、憲法改正に関する国民の意識がどうなっているかはまさに様々なこの意識調査の結果から推し測られるのではないかなと、このように思います。
○山添拓君 恐らく、衆議院の憲法審査会でも我が党の畑野君枝議員などから何度か紹介をさせていただいています。例えば、朝日新聞と東京大学の調査では、最も優先的に取り組んでほしい政治課題十二項目、改憲を選択した有権者一%なんですね。つまり、これは、国民は改憲を急ぐよう求めていないと、そういう結果にほかならないんじゃありませんか。いかがです。
○衆議院議員(新藤義孝君) そのときに国民の皆様がどのような政策を求めているか、まずは物価高対策ですとか、それから国民安心、安全に関わること、そして防災や教育、様々なものがあります。ですから、まず御自身で、今何の政策が必要かという問いに対しての答えが、生活に密着しているものについてどんなものが必要かと、こういう答えで様々なことが出てくるのは分かります。
一方で、私たちが憲法改正をやらなければいけないのは、日本の国の形を整えることです。そして、これは、今まさに国が少子高齢化、人口減少の中で大きく転換しなきゃならないときに、基礎である憲法を整えることによって、その国民の様々な政策課題に更に強力に対応できる、また、この国にとってふさわしい未来の形を示すことができるのではないか、そういう観点からの憲法改正でございます。
そして、委員がおっしゃっているのとは違う調査でいえば、憲法改正必要か否かということであれば、これはもう七割を超える皆さんが憲法改正は必要だよね、しっかり議論すべきだというのは別の調査では、とても大きな数字が出ていることも申し添えたいと思います。
○山添拓君 生活に密着した改憲論議ではないということはお認めになったかと思います。
また、憲法改正一般をめぐって賛成か反対かという世論調査は、私は大して意味があるものではないんじゃないかと。つまり、憲法改正の個々の問題についてではなく、憲法改正そのものと。だって、民法改正賛成か反対か、刑法改正賛成か反対か、そんな世論調査は見たことがありません。憲法改正に是か非かというだけの世論調査を出されるのは余りふさわしくないように思います。
先ほど原田委員から質疑がありましたが、前回の国民投票法改正が行われた二一年からは五年が経過しています。ところが、この法案は、前回の附則四条で定めた検討条項のうち、前半の立会人選任などのみを内容とし、二項に定める有料広告の規制、国民投票運動の資金規制、インターネットの適正な利用確保などには手を加えていません。なぜそうなったのでしょうか。
○衆議院議員(鬼木誠君) 御指摘の国民投票の公平公正を確保するための事項につきましても、衆議院憲法審査会では、今国会も国民投票法をテーマに集中的な討議を行い、議論を重ねてまいりました。自由な国民投票運動の保障と公正中立な国民投票、この両者のバランスをどのように取るのかということについて各党各会派が真摯な議論を重ねてきたところでございます。
今後も、これまでの議論の蓄積を踏まえるとともに、選挙運動における議論の動向も参考にしながら、引き続き憲法審査会において速やかに検討を進めてまいりたいと思います。その結果に基づいて必要と判断された法制上の措置その他の措置が講ぜられることになると承知しております。
○山添拓君 つまり、議論半ばで提出された法案だということかと思います。
検討が必要とされてきた事項はこれだけではありません。二〇〇七年の国民投票法制定時には参議院で十八項目の、一四年改定時にはやはり参議院で二十項目の附帯決議が付され、CM規制や公務員の国民投票運動の在り方、最低投票率の規定などについて検討や措置が必要とされました。二一年法改正の審議では、投票環境の整備など外形的な事項とCM規制など投票の質に関わる問題は別の問題だという整理がされ、環境整備は公選法に合わせてアップデートする、そういう説明がありました。そのため、ひとまず本法案は公選法並びの改正のみにとどめるということかと思います。
これ、発議者に伺いますが、そうしますと、本法案の下でも投票の質は依然として保障できない、こういう御認識でしょうか。
○衆議院議員(新藤義孝君) まず、投票環境の向上、外形的な事項については公選法並びで投票環境の整備をしようと、これもう四年前に決まっているんですよね。しかも、法律も出しながら、なかなか審議ができない。ですから、今回、衆議院で法律を審議して、参議院で御審議いただくことは本当に有り難いことだというふうに思っておりますが、この投票環境の、まず外形的な事項を整えること、併せて投票の質を向上を図ることは常にやっていく、それは私たちも議論をしております。
ただ、その議論の中身が詰まったところからやっていくという意味において、今回はまずはこの外形的事項の改正をお願いしたいと、こういうことでございます。
○山添拓君 先週、当審査会では、与党の自民、維新を始め、改憲に積極的な会派からも、広報協議会の運営、有料広告の在り方、インターネットの利用を含めた議論が必要と、そういう意見表明がありました。こうした積み残しの課題は結果を左右し得る重大な論点だと、こういう認識は発議者もお持ちでしょうか。
○衆議院議員(新藤義孝君) ちょっと趣旨がよく分からなくて恐縮なんですが、まず広報協議会、これはまず規程を定めなきゃならない。これも何年も前から私たちやっていて、これはもう早速作業に掛かりたいと思います。
そして、これらのことは、必要なことを常にやっていかなきゃならないし、しかも、この検討は社会の状況に合わせて常に行っていかなければいけないということで、我々衆議院の憲法審としても精力的な議論をさせていただいております。参議院においてもそういったことがなされるんではないかなと、このように思います。
○山添拓君 趣旨が不明瞭であったということですので、積み残しの課題は投票結果を左右し得る重要な課題だという認識をお持ちかということを伺っています。
もう一度いかがでしょう。
○衆議院議員(新藤義孝君) 積み残しの課題ではなくて、検討して、検討できたところから整備していくものであります。ですから、それは積み残しではなくて、常に、議題は、課題は常にあるわけですから、そのときの最善、最適な状況で投票を準備する、これは当然のことではないかと思います。
○山添拓君 結局、こうした投票の質をめぐる課題だと整理されてきた問題が、結果を左右し得る重大な問題かという認識も示されておりません。なお、その下で、この国会でどうしてもこの法案を通す必要は私はどこにもないと思います。
結局、憲法審査会を動かし、法改正を行えば、あたかも改憲論議が進捗しているかのように半ば演出できる、そういう効果を狙ったものにほかならないと思います。その証拠に、今日は日頃改憲を積極的に、強く主張されている会派が誰一人質問なさっていません。
○会長(長浜博行君) 山添君、時間が来ております。
○山添拓君 重要な法案だから急いで通そうというように質問もされないと。それは改憲手続そのものを軽視しているのではと、そういう疑いを禁じ得ません。
改憲も改憲手続法の改定も必要ないと、このことを重ねて述べて、質問とします。
○山添拓君 日本共産党を代表し、国民投票法、すなわち改憲手続法改定案に反対の討論を行います。
第一に、公選法並びの改正という本法案の趣旨自体に問題があります。
本法案は、投票環境の整備については、公選法並びにとの考えの下に、二〇一九年及び二二年の公選法改正でとられた措置を国民投票法にも反映させるものと説明されます。しかし、議員や首長を選ぶ公選法上の選挙と改憲の賛否を問う国民投票では、その主体も内容も全く異なります。改憲国民投票は一度行えば二度と行えなくなるかもしれないものであり、投票環境の整備の在り方はおのずから異なるものと言うべきです。直近の公選法改正をその都度国民投票法に取り込み、公選法並びでさえあればよしとするかのような改定自体が問題です。
第二に、現行法が抱える根本的な欠陥を置き去りにしていることです。
最低投票率の定めがないこと、公務員や教員の国民投票運動を不当に制限していること、資金力の多寡によって広告料が左右されることなど、二〇〇七年及び一四年の附帯決議で検討を求めた事項は脇に置かれたままです。改憲派が多数を占めることが前提となる広報協議会が改憲についての広報を行うこととなるのも改憲をしやすくするための仕組みです。また、二一年改定法の附則四条二項で当時投票の質に関わるとされたインターネットの利用をめぐる課題などについてのまともな検討もありません。現行法の根本的な欠陥を発議者自身も自覚しながら放置し、再び公選法並びの法改正を重ねようとしています。
先週の当審査会では、与党議員を含む改憲に積極的な会派からも、広報協議会の運営や有料広告、インターネット上の情報発信など、投票結果を左右する重大な課題について議論が必要との意見が述べられました。にもかかわらず、今国会で本法案をどうしても通さなければならない理由について説明はありません。それは、国民投票法の改正により、改憲手続の整備を装い、あたかも改憲の準備が着々と進んでいるかのように演出するためであることを露呈しています。極めて不当です。それとも、発議者は、あわよくばこの法案の下で改憲発議を行い、国民投票の公正や投票の質を担保できないままに改憲が実現できればよいとでも考えているのでしょうか。それは余りにも有権者を愚弄した姿勢と言わなければなりません。もとより、今多くの国民は改憲を政治の優先課題として求めていません。
暮らしと平和をめぐる深刻な政治の行き詰まりをよそに改憲を急ぐなど、政治の役割を何重にも履き違えています。改憲も改憲手続法の整備も必要ないことを重ねて強調し、討論とします。