- 2026年・第222臨時国会
- 2026年11月4日
- 憲法審査会
“憲法を生かす政治に” 憲法審で意見表明
○山添拓君 日本共産党を代表し、憲法に対する考え方について意見を述べます。
日本国憲法は、昨日十一月三日、公布から八十年を迎えました。国会前で行われた集会には一万四千人が駆け付け、憲法を守れ、戦争反対の声が広がりました。憲法の平和と民主主義の原則は、国民の支持と共感の下、決して色あせることなく日本の進路を示し続けています。
衆議院憲法審査会で、先日、ヨーロッパ調査団の報告が行われました。憲法改正を繰り返しているハンガリーでは、訪問先の要人から、一様に、八十年にわたって改正することなく現在に至る日本国憲法の安定性に対して羨望のまなざしが示されたといいます。一度も変えたことがないから変えよという議論に道理はありません。憲法審査会は、改憲原案を審査し、改憲を発議するための機関です。改憲が狙いである以上、ここでの議論は勢い、改憲項目とその内容のすり合わせに向かいます。
高市総理は所信表明演説で、活発な議論が行われることを強く期待するなどと相変わらず議論をあおりましたが、改憲は一貫して国民にとって政治の優先課題ではありません。国民が求めてもいない中、総理の号令に呼応するように議論を急ぐなど、もってのほかです。憲法審査会を動かす理由などないことを重ねて指摘します。
先週、自民、維新、国民民主の三党が衆議院議員の比例定数三十一削減に合意し、今国会で法案の成立を目指すといいます。議員定数や選挙の在り方は民主主義の土台であり、多くの野党の反対意見を一顧だにせず、国民的な議論もなく、一部の政党の談合によって数の力で押し切ることは許されません。今般の比例定数削減案は、比例代表を縮小、後退させ、小選挙区制中心を強め、自民・維新与党の議席占有を高め、少数政党を排除しようとするものです。多様な民意の政治への反映を一層困難にし、行政監視という国会の最も大事な機能を弱めることになります。三党はこの間、緊急時を口実にした衆院議員の任期延長や緊急政令を含む緊急事態条項を創設する改憲が必要と主張してきた会派でもあります。
緊急事態条項も議員定数削減も議会制民主主義をないがしろにする策動であり、断じて容認できません。改革のセンターピンと称して定数削減を強行した先にもくろまれているのは、医療費削減など暮らしの負担増に加えて、大軍拡と改憲です。高市政権は安保三文書の改定を前倒しで行い、アメリカの要求に従って軍事費をGDP比三・五%、年間二十四兆円規模にまで引き上げようとしています。
敵基地攻撃能力、長射程ミサイルの配備と日米の指揮統制の一体化、南西諸島の軍事要塞化を一層進め、新しい戦い方と言い、攻撃用無人機やドローンの大量導入を図り、継戦能力と言い、長期に及ぶ戦争まで想定しようとしています。軍需産業を支援し、武器輸出の解禁で販路を提供し、軍需工場の新設や国営化を進め、公共インフラの軍事利用を拡大し、軍民共用、デュアルユースと称して大学研究の軍事動員を強め、軍拡増税や軍事国債の発行もいとわない。経済、社会、学術、税財政、あらゆる分野を軍事に従属させようとしています。さらには、国是である非核三原則の見直しや原子力潜水艦の保有までタブーなく議論すると言います。文字どおり、たがが外れた暴走であり、もはや憲法九条と両立し得ない限界に達しています。だからこそ、九条を主たるターゲットに改憲を急ごうとしています。
しかし、外交不在の下で進める空前の大軍拡は、軍事対軍事の悪循環、安全保障のジレンマを引き起こし、決して日本とアジアの平和と安定に結び付いていません。戦争の心配のない地域をつくるためには、法の支配の貫徹と対話の外交こそ必要です。
ところが、高市政権は、ICC、国際刑事裁判所に対する米国トランプ政権の制裁を直接批判しようとせず、国連憲章と国際法違反が明らかなイラン攻撃を事実上支持し、在日米軍基地から中東地域への出撃さえ黙認し、法の支配をないがしろにしています。無法なトランプ政権にこびを売り続ける従属外交はやめるべきです。
総理の、高市発言によって、日本政府は中国とまともに対話さえできない状況に陥り、早くも一年がたちます。にもかかわらず、高市政権は、発言の撤回を拒み、事態を打開しようともせず、逆に中国の脅威をあおり、大軍拡の理由としています。言語道断です。二〇〇八年の日中共同声明、互いに脅威とならないとの合意を尊重し、言うべきことを言いつつ関係改善の努力を図る、道理ある外交こそ必要です。
高市政権で何より深刻なのは、過去の侵略戦争と植民地支配への反省がないことです。
総理は、八月十五日、今も侵略戦争を美化する靖国神社を遥拝し、戦没者追悼式では戦争の惨禍を二度と繰り返させないと述べました。予算委員会で、繰り返させないとは誰に対してかと問うと、誰をもってしても二度と繰り返させないなどと開き直り、日本による侵略戦争と植民地支配という歴史認識はついに示そうとしませんでした。
憲法前文は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意したとしています。憲法が掲げる不戦の誓いを明言することのできない総理に日本の今と未来を委ねることはできません。ましてや改憲を語る資格などありません。
主権者は私たち、憲法を勝手に変えるな、国会前でも全国でも、ひたむきな声が広がっています。暮らし、平和、人権、憲法を羅針盤に、憲法を生かす政治に転換するため、全力を尽くす決意を述べ、意見表明とします。
