山添 拓 参議院議員/弁護士 東京選挙区候補 日本共産党

国会報告

2017年・第193通常国会

司法修習生への給付金制度 さらなる充実を

要約
  • 司法修習生への給付金を支給する裁判所法改正案の可決について、これまでの「給費制」復活を求める運動の成果であると評価するとともに、内容のさらなる充実を求めた。
  • 参考人の野口景子弁護士は、修習生時に多額の借金を背負った当事者の深刻な実態を陳述。2011年に給費制が廃止・貸与制が導入された当時の世代の救済を訴えた。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  法務委員会では初めて質問をさせていただきます。よろしくお願いします。  二〇一一年に司法修習生に対する給費制が廃止され貸与制に移行してから六年がたちまして、経済的支援が必要であるということが実態として浮き彫りになる、この下で、この度、修習給付金の制度を創設することになりました。当事者の団体や、あるいは市民団体の連絡会、日弁連など、粘り強い運動があって、そしてここまで様々な議論の末にようやくこぎ着けたということだと思います。皆さんの御努力に本当に心から敬意を表したいと思いますし、また私も、法曹の一人として大きな一歩だと感じています。  この立法の目的について、法曹志望者の減少を受けて、法曹人材確保の充実強化の推進のために必要だと、こうされています。  大臣は、法曹志望者が減少する中で、新たな時代に対応した質の高い法曹を多数輩出していくために法曹志望者の確保が必要だ、こう答弁をされています。質の高い法曹を多数輩出する、これ、何のためにこれが大事だということか、特に法曹の公共的な役割についてどのようにお考えか、御見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(金田勝年君) 山添委員の御質問にお答えをいたします。  国民が安心して暮らしていくためには、社会の様々な場面で幅広い法的なサービスを提供することができる法曹の協力や支援を得ることが必要であろうと、このように考えているわけであります。そのような観点から、法曹は国民の社会生活上極めて重要な役割を果たしているものと認識をいたしております。  したがいまして、そのような社会的な要請に応えるためには、法曹は、高度の専門的な法的知識を有することはもちろんでありますが、幅広い教養と豊かな人間性を基礎に十分な職業倫理というものを身に付けて、社会の様々な分野において厚い層を成して活躍をされることが期待されるのではないかと、このように考えておる次第であります。そのような観点から見て、今後とも質の高い法曹を輩出していく必要があるんだと、このように考えておる次第であります。

○山添拓君 今、社会で重要な役割を発揮する、果たすことが期待される、そのためには厚い層を成すことが必要だ、こういう御答弁がありました。  裁判官や検察官の方はもちろんですが、弁護士も公共的な役割を担う存在だと考えます。弁護士法一条には、基本的人権の擁護と社会正義の実現、こういう弁護士の使命が記されておりますが、刑事弁護やあるいは被災地の支援、ほとんど手弁当の仕事を行う弁護士もおります。いや、本来どんな事件でも、対価を得て行う事件であっても、どんな依頼者との関係でも、私は、憲法で保障された権利や利益を正しく実現させる、それが弁護士の仕事でもあると思っています。法曹三者というのは、その意味で、立場は違っても市民の権利と自由を守っていく、そのために仕事をする存在です。  市民のために働く法律家を育てることが民主主義社会の不可欠な要素である、こういう観点が司法修習制度の根幹にもあると考えますけれども、大臣、この点は同様にお考えでしょうか。

○国務大臣(金田勝年君) 委員御指摘のとおりだと考えております。

○山添拓君 法曹三者が期待される公共的な役割に照らせば、法曹養成は国の責任で行うことが求められます。給費制を廃止して、自己責任で修習をしてください、お金がなければ借金をしてください、法曹資格で利益を得るのはあなたなのだから、自らの負担で修習するのは当然だと、こういう受益者負担の考えを司法修習に持ち込んだと。これ、持ち込んではならないというのが我が党一貫して訴えてきたことでもあります。  そこで、今度の法改正について改めて伺います。  給費制を廃止したことも一つの要因となって法曹資格を得ることの魅力が低下することになったと、そして、法曹志望者の減少に拍車を掛けて、結果として対策を要する事態となった、こういう反省の上に今度の法改正を行うのだと、大臣はこの認識に立っておられるでしょうか。

○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御指摘に対しましては、給費制から貸与制への移行が法曹志望者の減少に、拍車が掛かるというか、そういうふうな御指摘だとすれば、それは拍車を掛けるという言葉のその意義の取り方にもよろうというふうに思いますし、その観点からのお答えを申し上げることは難しいかなと、こういうふうに思います。  でも、法曹志望者数の減少については、一昨年の法曹養成制度改革推進会議決定では、法科大学院全体としての司法試験合格率あるいは弁護士を含む法曹有資格者の活動の場の広がりといったものが制度創設当初に期待されていた状況と異なるものとなっているという指摘がされているところであります。  昨年、また法務省が文部科学省と共同で実施した法学部の学生に対する法曹志望に関するアンケートというのがございます。それにおいては、法曹志望に当たっての不安として、法科大学院や司法修習における経済的な負担等が挙げられているところでもあるわけであります。 したがって、法務省としては、法曹志望者の減少ということについては、これら複数の原因、こういったような例を含む複数の要因が影響しているのではないかなというふうに考えているわけであります。そういう中で、昨年六月には、骨太の方針で言及されておりますが、法曹志望者が大幅に減少している中で、司法修習生に対する経済的な支援を含む法曹人材確保の充実強化といった推進、その課題の推進は喫緊の課題なんだというふうな指摘がございます。  そういう観点から、そのために今般、修習給付金を支給する制度を創設する本改正法案を提出することにしたということで私は理解をしているところであります。
○山添拓君 複数の要因の一つではあるという前提で今度の法改正される、これは間違いないと思います。法務省として、政府としての反省が迫られた結果だということを認識すべきです。そして、自己責任、受益者負担に委ねてはならない分野で国の責任を後退させたその結果が現状を招いている、こういうことへの真摯な検討が求められています。  法務省に伺いますが、かつての給費制の下では給費額月額大体二十万から二十一万円の間、こうやって地域手当や寒冷地手当があり、通勤手当もありました。貸与制の下では基本額が二十三万円、住居加算や扶養加算を必要とする場合には更に二万五千円ずつ上乗せをすると、こうして申請するものとなっていました。こうした額は修習専念義務が課された下で修習生が生活していくために必要な額である、この前提で定められた金額だと理解してよいでしょうか。端的にお答えください。

○政府参考人(小山太士君) お答えいたします。  御指摘のありました給費制下では、国から司法修習生に対し、給与、これは新六十四期では月額二十万四千二百円のほか、国家公務員に準じて諸手当が支給されていたところでございますが、これは、議員御指摘ございました、修習専念義務を負う司法修習生が修習期間中の生活の基盤を確保して修習に専念できるようにし、修習の実効性を確保するための方策の一つとして採用されていたものでございます。  そして、現行貸与制下における国から司法修習生に対する貸与額は、その申請により、今御指摘のございました基本額、月額二十三万円とされているところでございますが、この金額は給費制下の支給水準との連続性も考慮いたしまして、司法修習生が修習期間中の生活の基盤を確保して修習に専念するために必要な内容として定められたものとして理解しております。  以上でございます。

○山添拓君 資料の一枚目に配付しておりますが、現に新六十五期から七十期までの修習生では、最も少ない年でも七割近くが貸与金を申請しまして、申請者の九割以上が二十三万円若しくはそれ以上の貸与額を申請しています。必要な額だけにこういう手当てがされてきたと。  では、今度の修習給付金ですが、これ、基本給付金が十三万五千円、住居給付金が三万五千円となっています。この根拠については午前中の質疑の中でも出てまいりましたので、生活資金やあるいは学資金、こうしたものを総合考慮した結果だということでありました。  これ、伺いたいんですが、その総合考慮した際の考慮要素の一つには、二〇一五年に日弁連が六十八期の修習生を対象に行ったアンケートもあったと承知しています。そこでの結果も考慮要素の一つとしては考慮されたんだ、こういうことでよろしいでしょうか。

○政府参考人(小山太士君) お答えをいたします。  今御指摘がありましたのは、委員が今日資料として御用意いただいているものだと思います。日本弁護士連合会が司法修習生に対して行ったアンケートの結果、こういうものも参考の資料としては検討の段階で資料としております。  以上でございます。

○山添拓君 資料の二ページ目を御覧いただければと思います。  弁護士会が行ったこのアンケートでは、住居費の支出のない人で十三万四千円と、支出ありの方では二十万七千円と。住居費の平均は五万七千円ですが、これに加えて水道光熱費や食費、これも自宅外の修習生の方が支出は当然ですが多くなるわけです。  ところが、今度の修習給付金では最大でも月十七万円となっています。新たな給付金は、現実に修習生が支出しているとされる額を賄えないものになっていると。なぜ十三万五千円で三万五千円なのかと。これ足りないんじゃないかということを率直に伺いたいんですが、いかがでしょう。

○政府参考人(小山太士君) お答えを申し上げます。  給付金額につきましては、これまでお答えしておりますけれども、最終的には最高裁判所の規則で定められますが、今御指摘のとおり、基本給付金が十三万五千円、住居給付金が三万五千円等としているわけでございます。  この給付金額についていろいろな御意見はあろうかと思います。ただ、法曹人材確保の充実強化の推進等を図るという制度の導入理由、それから、委員も御指摘ございました修習中に要する生活費や学資金等、こういうアンケートなんかも見まして、そういう生活実態その他を総合考慮するなどして決定したものでございます。  また、そもそもこの給付金額につきましては、この前提となります新六十五期からの貸与制への移行についての前提条件というのがございまして、これは司法制度全体に関して合理的な財政負担を図る必要がある、それから公務に従事しない者に給与を支給することは異例であること、こういう前提条件をも考慮しております。こういうものも、こういう前提条件は現在も失われていないという立場に立ちまして今回の給付金額を決定している、そういうことでございます。  以上でございます。

○山添拓君 総合考慮だということなんですが、例えば一番修習生の多いのは東京ですが、これ三万五千円で家賃を払うというのは、これは無理なことです。総合考慮の結果がこれだということなら、考慮が足りないと言わざるを得ないと考えます。  貸与制が併存されるわけです。ここで、貸与額は幾らとすることを想定しているでしょうか。

○政府参考人(小山太士君) 貸与金額につきましては最高裁判所規則によって定めることとしておりまして、現在、最高裁判所当局によって検討中でございます。  現状は二十三万円でございますけれども、これではちょっと多過ぎますので十万円前後、今最高裁当局いらっしゃいませんが十万円前後の額で考えておられるというふうに承知しているところでございます。  以上でございます。

 ○山添拓君 これは、修習給付金だけでは足りなくなる修習生がいるという前提で、更に十万円程度の貸与制度を残すということです。  これまでは、いろんな事情があっても、かつての給費制の下では一律の支給額で足りたわけです。ところが、給付金の上に更に個別の事情に応じて、まあ例えば恐らく家族がいるとか様々な事情が考えられますが、配慮が必要だということで新たに貸与制を金額を変えて残すと。これは給付金の額が修習生活を送る上で十分でないということを前提としたものだと言わざるを得ません。  大臣に伺いますが、給付金額だけでは生活できない修習生が生じることについてどのような認識でしょうか。以前の給費制に戻したり、あるいはそれに近い水準の給付金とすることの必要性をどのようにお考えでしょうか。

○国務大臣(金田勝年君) この度の改正法案におきましては、法曹人材確保の充実強化の推進を図るために修習給付金を創設するとともに、貸与制については貸与額を見直した上で併存させることにいたしております。  司法修習生の生活実態も様々であります。一概に申し述べることはできませんが、制度設計といたしましては、司法修習生が修得に専念することを確保しなければならない、そのために今般新たに設けることとした修習給付金の支給を受けてもなお資金が必要な場合には、引き続き貸与を受けることができる仕組みとなっているものと理解をしているところであります。

○山添拓君 法曹志望者の減少を食い止めるために経済的支援が必要だということでスタートしているんですが、しかし、修習生活をこれだけでは送れない者が生じるんだと。この問題を認識されるのであれば、より充実した制度とするように今後も検討を続けるべきだと考えます。  今日は、参考人として新六十五期で修習をされた野口景子弁護士においでいただきました。ありがとうございます。私は新六十四期でして、野口さんとは一期しか違わないんですが、給費制が廃止された下で修習生活を送り、弁護士として仕事をされています。今度の法改正が実現したとしても、野口さんを含む新六十五期から七十期までの皆さん、救済を受けられないことになっています。ですので、その世代の実情を是非今日は伺いたいと思っています。  御自身が給費制廃止の下で修習された経験、また、そこで感じられた思いはどのようなものであったでしょうか。

○参考人(野口景子君) 弁護士の野口と申します。本日はこのような場にお招きいただきましてありがとうございます。また、何より、この改正裁判所法、新しい給付制度ができるということで、本当に皆様には感謝申し上げます。私の直接の知り合いではないんですけれども、ロースクール生や学生、今法曹を目指している若者たちが本当に今回の新制度について、まだ法案成立していないんですけれども、それでも本当に喜んでいるというふうに聞いております。  それで、御質問の点についてお答えをさせていただきたいと思います。  まず確認をしたいのが、給費制を廃止された後の修習も大変充実したものでありましたし、意義深いものであったと、このことは間違いがないというふうに考えております。しかし、何分、何もお金の給付がない中での修習ですので、借金をするかあるいは少ない貯蓄を取り崩しての生活というふうにならざるを得ません。  借金をしている人、これはもちろん貸与金借りている人もいるんですが、親族から借りている人もいるわけです。こういう人たちは将来の返済を考えてできるだけ支出を少なくしますし、また、貯蓄を切り詰めたり、あるいは親からの仕送りで生活をしている人については余りぜいたくは言えませんので、例えば、ひどい人になると、アパートの家賃を含めて月額十二、三万円で生活をするということになります。こうなると、当然なんですが、家賃含めてですので、医療費、食費はろくに払えないばかりか、修習に必要な書籍も十分に買えないという人は決して珍しくありませんでした。  こうした中で私自身も修習をしておりましたので、せっかく修習をさせてもらっている、それだけでも税金が掛かっているのに、本当にこれで充実した修習ができているんだろうかと、何だかもったいないんじゃないかという、そういった問題意識がありました。  ところが、他方、横を見てみるとということなんですが、私たち新六十五期のほんの数日前まで修習を受けていた、山添議員もそうですけれども六十四期の方、それから、私ども新六十五期と同時期に修習を受けていた現行六十五期と呼ばれる人たちがいます。この方々はロースクールに進学をせずに受験をすることができる司法試験に合格された方々ですが、この方々と全く同じ建物で修習を受けているんですが、向こうは毎月二十万ぐらいもらっていて私たち何ももらっていない。金額がちょっと違いますとかそういうことではなくて、一〇〇かゼロかという世界を見せ付けられていて、何とも言えない、ちょっと大げさかもしれませんが、虚無感のようなものは今でもよく覚えています。

○山添拓君 ありがとうございます。  そうして給費制が廃止された下で、いろいろやりくりをしながら修習をされた新六十五期から七十期、いわゆる谷間世代ということで今日も議論になっておりますが、その最初の世代が新六十五期です。修習を終えて今は法曹資格を得た同期の皆さんの中で、どういう現状があるでしょうか。若手弁護士が弁護士会の活動やあるいはいろんな集団訴訟だとか様々な講演活動、無報酬あるいは低い報酬での活動に参加するのが難しいといったような話を聞くこともありますが、何か御見解があるでしょうか。

○参考人(野口景子君) 前提としてなんですが、どれだけ経済的状況が厳しい中でも、今御指摘のありました無報酬あるいは非常に収入の少ない事件、活動を頑張っている若手弁護士がいる、そういったことは強調したいと思います。  しかし、やはり全体的に見ると、本人の意欲、やる気にかかわらず、そうした無報酬、低収入の事件活動に参加できる人が減っている、実際減ってしまっているということは間違いがないというふうに思っています。  例えば、弁護士会の委員会活動、これは例えば、女性、子供、障害者など、そういった方々の人権擁護ですとか被災地支援など様々な分野に及びますが、そうした活動、基本的には収入に直結しません。無報酬です。こうした活動に参加したい、そうした活動をすることで法律家のサポートが必要とされている分野に法律的なサポートをやっていきたいというふうに若手が思っていても、経済的な事情からそれがどうしてもできないんだという人は私の知り合いだけでも本当に何人もいます。  また、これはある地方の県の弁護士会に所属している同期から聞いたことですが、実際にその県の弁護士会では、若手弁護士、特に新六十五期、つまり給費制が廃止された後の若手に関して委員会への参加率が低いと、そういう指摘がされているというふうにも聞いております。  また、この弁護士会活動というのは、我々の無報酬、低収入の活動のごく一部にすぎません。  実際には、これも知り合いの若手弁護士の話なんですが、例えばですが社会福祉士の資格も弁護士資格と併せて持っている、そういった資格を生かして、子供だとか障害者、虐待されている人たちのサポートをしたい、そう考えている。でも、実際には、そうした分野って今なかなかお金にならないんです。新しい分野を初めてやるときって、やっぱりどうしてもお金にならなくて、収入になるようになるにはかなりの時間と金銭的な投資が必要なんですね。でも、今の自分には、借金が八百万ある自分にはその元手がないと。そんなことをしている暇があったら借金を返すために今稼がなきゃいけないんじゃないか、そんなふうな葛藤を抱えながら、でも、それでも頑張っているということなんです。そういった若手、決してこの分野に限らず大勢います。 そして、強調させていただいたとおり、そうした中でも頑張っている若手いるんです。じゃ、そういう人たち、どういう生活しているか。  これも私が親しくさせていただいている同期の話ですが、夫婦で弁護士をやっています。奨学金と貸与金合わせて借金一千三百万円です。その中ででも委員会活動は当たり前のように、被災地の支援、それから各種の集団訴訟、これもほとんど無報酬で頑張っている。頑張っている代わりに、じゃ、どうするか。ほとんど、平日はもちろん土日も含めて、朝九時、十時から夜九時、十時まで一日ほとんど休みなく十二時間以上働き続けている、夫婦でそんな生活をしていると言っていました。本当に仲よくさせてもらっていますけど、いつ過労死するんだろうと、そんなことをつい考えざるを得ません。やれない人もやっている人も今こういう状況に置かれているということは、是非認識をしていただければと思います。

○山添拓君 そうした様々な活動への参加が言わば制約されるということ以外でも、六十五期の皆さんの中で業務や生活に関わって給費制の廃止の影響が見られると感じられること、ほかにはどうでしょうか。

○参考人(野口景子君) もちろん、通常業務や生活にも大きな影響が出ております。  特に、私含む新六十五期というのは、今弁護士になってちょうど五年目に入ったところです。五年目に入るとどういうことになるかというと、結構、いわゆるこれまで所属していた法律事務所を飛び出して独立するなんて人増えるんですね。独立するに当たって融資を受けようというふうに考えるというのは決して珍しいことじゃありません。  これは実際にあった例ですけれども、大体奨学金と貸与金合わせて借金の額が八百万円。金融機関に融資を申し込んだところ、あなたは借金が多過ぎるので、これでは希望の融資額は通りませんと言われたと。でも、独立はしなきゃいけない。仕方ないから、融資の希望額を下げて、それでようやく審査が通りましたと、そういう同期がいます。  彼、今どうしているかというと、今の悩み聞いてみました。結局、最初の開業資金が足りなかったから弁護士として本来必要な基本的な書籍を事務所にそろえていることができないと、それによって業務に支障が生じている、依頼者に迷惑を掛けているんじゃないか、そんな悩みがあると言っていました。  また、これは又聞きの話になって恐縮なんですけれども、やはり同じく若手弁護士、借金の金額は七百万から八百万円。仕事で必要なので携帯電話二台目を契約しようとしたそうです。ところが、真面目に、携帯電話の会社の窓口に行って、借金が合計七、八百万ありますと言ったら携帯電話の二台目の契約断られたそうです。仕事に必要なものです。  でも、先ほど、午前中にたしか元榮議員の方がお話ししてくださったと思うんですけれども、今の若手、私たち新六十五期の感覚からいうと、貸与金もありますので、借金が六百万ってする方が当たり前。七百万、八百万よくいます。一千万超えている人、ああ、まあ、いますねという、そんな感覚なんです。  別に彼らが特別なわけではないんです。でも、そんな特別ではない彼ら、普通に法曹を目指して、普通に頑張って、普通に仕事をしようとしている人が通常業務においてでさえ支障が出ているというのが今の現状です。  そして、業務のほかにもプライベートな生活についても言及をさせていただきたいと思います。  貸与金の金額というのは先ほど答弁にもございました、おおよそですけれども、平均して年間三十万円を十年間で払っていく。しかも、法曹になった後、五年後からの返済だから、まあ大丈夫だろうと、そんな議論もあります。  でも、それって本当にそうなのかというのは今働いていてすごく感じることです。どういうことか。例えば、自営業者としてやっている弁護士が三十万円を返済する、つまり手元に三十万円残すためにはどれだけの売上げが必要かということです。これ、私計算しましたけれども、どんなに少なくても倍、六十万、でも、多くの人は経費や税金などを考えると約三倍、八十万から九十万ぐらい年間、より多くの売上げを上げなければなりません。これ、私自身の日頃の売上げなんかも考えてみると、それを一年間で何とか賄えと言われるとちょっとぞっとする思いがします。こんな状況です。  そして、何より五年目、法曹になって五年目ってどういう時期か。結婚、妊娠、出産そして乳幼児の育児という時期と本当によく重なってしまうという人が多いんですね。私の同期で弁護士になって数年たって、幸い、非常に喜ばしいことですけれども、おなかに赤ちゃんができた。でも、お医者さんも周りの事務所の先輩も止めているにもかかわらず、妊娠初期から出産の数日前までずっと働いていたっていいます。何でか。借金の返済が怖いからです。弁護士としていわゆる出産時、育児期、仕事の量が減る、その後いつ収入が回復されるか分からないという中で、そういうむちゃをする人がいます。でも、その気持ち、私たちに必要な売上げの金額、今のこの業界の状況を考えると決して過剰な反応だとは思いません。  そして、自分自身の借金の金額が多いからという理由で結婚するのをためらったりだとか、第二子、第三子の出産を諦める、あるいは子供の教育費にお金を掛けるか、それとも先ほど申し上げたような無報酬、低収入の仕事の方に重きを置くか。そういうてんびんに掛けられて、毎日のように悩んでいる、そういう人たちが数多くいるということになります。

○山添拓君 大変多岐にわたって、また豊富な内容でお話しくださって、ありがとうございます。  もう少しお話を伺いたいと思っていますが、ちょっと時間もありませんので、今の話が谷間世代の置かれた実情だということを是非大臣にも御認識いただきたいと思います。  法曹人材確保の充実強化のために今度の法改正をするんだと、こういうことなんですが、そうであれば、給費制が廃止された下で苦しみながら修習に励んでそして法曹となった谷間世代の皆さんにも、今後もその法曹資格を生かして社会で役割を発揮していただく。とりわけ弁護士が基本的人権の擁護と社会正義の実現という使命に応えて存分に仕事ができる条件を整えることが、これは必要ではないでしょうか。その数は現在四万数千人の法曹のうちの一万人にも上るわけです。これからの世代で法曹志望者の減少を食い止める、これはもちろん大事なことだと思います。しかし、同様に、谷間世代の皆さんが法曹であり続けることを支援することも必要なんではないでしょうか。大臣、どのような御認識でしょう。

 ○国務大臣(金田勝年君) ただいま野口弁護士さんのお話を伺いました。非常に貴重なお話だったと思います。谷間世代の置かれた事情、六十四期と六十五期がどう違うかということに始まって様々な御指摘がございました。拝聴させていただきました。  ところで、修習給付金制度の創設に伴いまして、現行の貸与制下の司法修習生に対して何らかの救済措置を講ずべきだという御意見は、これまでも御指摘はいただいておりますことを承知をいたしております。  そういう中で、修習給付金制度の趣旨というのは、法曹志望者が大幅に減少している中で、昨年六月の骨太の方針で言及されました法曹人材確保の充実強化の推進等を図る点にあることも申し上げざるを得ません。この趣旨からすれば、修習給付金について、今後新たに司法修習生として採用される者を対象とすれば足りるものと考えるわけでありますが、現行貸与制下の司法修習生をも対象とする必要性については、この対象として考える対象からは、その必要性の観点からは欠けるのかなという感じをいたしております。  加えて、先ほども申し上げたんですが、仮に何らかの措置を実施する場合に、現行貸与制下において貸与を受けていない方たちとの取扱いをどうするかといった制度設計上の困難な問題があるという側面もございます。また、そもそも既に修習を終えている方に対して事後的な救済措置を実施することについて、国民的な理解が得られるかどうかといった問題も考えられるわけであります。  そういう中で、修習給付金制度の導入に伴いまして現行貸与制下の司法修習生に対します救済措置を設けることは予定はしておらないのであります。ということであります。

○山添拓君 一言だけ。  谷間世代の問題、今日、各党の議員の皆さんから配慮が必要だという話がありました。今日の事態をもたらした政治の責任として是非解決に向かって進むべきだということを強調して、終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。

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