山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2017年・第193通常国会

資源エネルギーの安定確保について 参考人質疑

要約
  • テーマは「資源エネルギーの安定確保」。原子力への依存といった現在の電源構成の見直しや、省エネ対策・再生可能エネルギーの可能性について参考人にお聞きしました。

参考人
一般財団法人日本エネルギー経済研究所理事長 豊田正和君
株式会社住環境計画研究所代表取締役社長   中上英俊君
東京大学大学院光学系研究科エネルギー・資源フロンティアセンター教授 加藤泰浩君
国立研究開発法人産業技術総合研究所安全科学研究部門エネルギーシステム戦略グループ主任研究員 歌川学君

(山添議員の質問)
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
今日は、四人の参考人の皆さん、大変ありがとうございます。勉強させていただきました。
初めに、豊田参考人、また中上参考人に伺いたいと思います。
今も少し話題になりましたが、電源構成、エネルギーミックスを今後どのように見ていくのかということで、温暖化対策やあるいはエネルギー安全保障という観点で化石燃料への依存度を下げていくべきなんだと。これは恐らく今日おいでの参考人の皆さんそれぞれ共通しているところでもあろうかと思いますが、その際に、どういう安全性やあるいはコスト、考慮要素の上に判断するかということになると。
その際に、先ほど石橋委員からもありましたが、原子力のコストという点では、一般的に原子力のコストどうかということだけではなく、福島第一原発の事故があったこの日本でどうするのかということを念頭に置かざるを得ないと。それから、廃棄物の問題ももちろんあります。他方で、再生可能エネルギーについては、前回この調査会の場でも、太陽光のコストが五年で半分になったというような報告も伺いました。世界的な発展産業だということを考えれば、今後もそのコスト低下があり得るんだろうと思います。それから、先ほど中上参考人の御意見の中では、省エネが加速度的に進んでいるというようなお話も伺いました。
そうしたことを考えると、現在の電源別コストなどを前提にしたエネルギーミックス、こういうものも、二〇三〇年度の電源構成、これも不断に見直しをしていくべきなんじゃないかと。そうすればその際に、様々にこれからコストがかさむことも予想される原子力に依存する、そういうやり方についても見直す余地があるんではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

○参考人(豊田正和君) 御質問ありがとうございます。
まず、原子力について、事故を起こした国として、あるいは事故を起こした福島も見ながら考えないといけないのではないかというのはおっしゃるとおりだと思います。その反省に基づいて一番大きく変わったのが規制機関の在り方でございまして、今まで推進官庁の中にあった規制機関が独立したものになって、総理ですら影響力を振るうことはできない状況になっております。そして、世界トップクラスの厳しい基準もできているわけでございます。そういう意味で、安全性の確保について、再稼働遅いと先ほど私は申し上げましたけれども、遅いのもある程度やむを得ないということだと思います。
一方、先生おっしゃったのは、それに加えてコストですよね、コストについても同じように事故を踏まえて考えなきゃいけないんじゃないかということだと思うんです。そのとおりなんですが、ただ、事故を起こした原子炉とそうでない原子炉との廃炉のコストがやはり違いますし、そういう意味で、このワーキンググループでは正常な原子炉の廃炉のコストを計算しております。それは、私としては合理的な考え方だというふうに思っております。
ただ、そうは言ったって、じゃ、事故は絶対に起きないのかというと、それはもうリスクはゼロではないので、それに備えて、事故が起きたとしても大きな問題にならないような手当てを一方でしっかりしていくということが重要で、それに対しては、この規制機関の厳しい規制の下で実現されてきているんだと私は思っております。
それから、もう一つの、再生可能エネルギーについても一言申し上げさせていただきます。
再生可能エネルギーについて、私もびっくりしたんですが、この間、ドバイですか、一月に入札されたときに、日本円で言っても三、四円ぐらい、パー・キロワット・アワーでいいんじゃないかと。このワーキンググループですと、二〇三〇年度でも十五円していますから、これでも下がってはいますけれども、高いじゃないかということなんですが。
それで、私どもも調べてみたんですが、まず稼働率ですけど、日本の場合にはせいぜい高くて一五%の稼働率、夜は絶対発電しませんので。それに対して、ドバイの場合は四〇%ぐらいで考えているんですね。そうすると、稼働率が二倍、三倍違うとコストが二分の一、三分の一になりますということが一つ。それから、土地代ですね。基本的に砂漠ですので、国がリースするみたいな形でほとんど土地代も掛かっていないようです。そういう意味で、私はもっともっと日本のコストも下げるべきだというふうに思いますけれども、例えばドバイのように、それこそ五倍以上下がっているかもしれませんが、それと同じようになるというのはちょっと無理があるかなと。でも、更に下げる努力はすべきだというのはもう先生おっしゃるとおりだと思います。
ありがとうございます。

○参考人(中上英俊君) 今の意見に少し私の知見を申し上げますと、太陽電池で太陽光の日射の条件ですけれども、アメリカの一番悪い地域と日本の一番いいところが同じぐらいなんですね。だから、やっぱり国によって随分日射条件が違うということですね。
省エネの話でありますけれども、これまでの需要の見通しというのは、大体高めに見積もって、それをできるだけカバーするために供給をいかに追い付けていくかというのが見通しの基本にあったわけですが、京都議定書以降はそうではなくて、全部下がる見通しになってきまして、全く百八十度見通しの意味が違ってきたわけですね。
そういう意味では、低め低めに見積もっておりますから、省エネはこれからますます非常に重要な役割を負うわけでありますけれども、先ほど申し上げました今のペースで行くかというと、大体いいところからやっていきますから、だんだん残りは難しいところが残ってくるわけでありまして、そこをいかに拾い上げるかとなると、一〇%、二〇%の省エネの玉を探すということはかなり難しくなっていきます。もちろん、部分的にはございますけど。トータルでいくと、ですから、むしろ、もうちょっと小さなものをいかに拾い集めるか。一%のものを十個集めれば一〇%になるわけですからそういう努力をすべきなんですが、ついつい政策課題としても、政策を実行する方としても見栄えのいいものを取りたがるものですから、一%をやるより一〇%をというふうになってしまうので、今回の五千万キロリッターの積み上げについても、かなりそういう多めのものを見積もってありますので低めのものがかなり抜け落ちている。これは別に政策側が怠慢だからではなくて、データが、細かいものをやろうとするともっと細かいデータが必要になる、そのデータがないわけです。今やっとそういうのに対して前向きな政策が取られておりますので、今後は両面から省エネが加速できると思います。
ですから、今の省エネ見通しが非常に甘いとおっしゃる方もいらっしゃるし、難しいとおっしゃる方がいらっしゃいます。それはそういう意味があって、大きいものをやろうとすると難しいけれども、小さいのを取ればもっと取れるというふうなことだと思います。ただ、それを数値化するにはもう少しまた努力が必要だということだと思います。

○山添拓君 ありがとうございます。
そういう意味では、電力需要そのものについても絶えず見直しも可能だし、していくべきことだということだと思います。
次に、歌川参考人に伺いたいと思いますが、省エネ対策で、これを先ほどおっしゃった中でいえば、雇用創出につなげていったり、あるいは中小企業、地域の産業につなげていったりというお話がありました。事前に読ませていただいた著書の中では、省エネ対策というのはもうかる対策なんだというようなことも書かれておりまして、一定の期間で元が取れればコストは回収できるし、利益を上げるのと同じ効果を導くものなんだと、こういうことをおっしゃっていて、その意味では経済成長の伸び代でもあるということだろうかと思います。
こういう経済成長をさせていく省エネ対策を進めることによって省エネ産業としての新たな需要を生み出していく、その上で、先ほど情報の共有が鍵だというお話もありましたけれども、政治の側では、その政策的な面、あるいは政治のそのものの姿勢としてどういう変化が求められているとお考えでしょうか。

○参考人(歌川学君) 御質問ありがとうございます。
情報でいえば、その情報を公的なところできちんと収集をして広く伝えていくということは非常に大事だと思います。これまでは、そうした個別のデータはいっぱい実はあるんだと思いますけれども、それをまとめて提供するようなところがなかなかできてこなかったんだと思います。それをもっともっと広く伝えられればいいと思いますし、また、そのデータが出てきたときにそれを、じゃ、それぞれの企業で生かすときに具体的にどうしていったらいいのかの専門家活用がなかなかこれまでもできなかったので、その専門家情報も提供をして、また地域ですと、自治体にそうした専門家がなかなか今は配置ができない状況にあると思います。
ヨーロッパと比べるのは状況が違うのでよくないのかもしれないですけれども、ヨーロッパの自治体には、人事異動なしにエネルギーの分野で学問を積んできた方が、州や県の研究所のサポートなどを得ながら、更に専門性を蓄積しながら地域の企業ですとか住民の政策指導に当たっているようなことがあります。そうした専門家をうまく活用して国や自治体の職員も専門性を更に高めて更にサポートを高めていく、そうした体制ができると相乗効果で非常にうまくいくのではないかと思います。
あと、受注側、地域の産業の側でも、一体、省エネ工事、地域で何かあるらしいけれども、どうやっていいか分からないというようなところで、行政も一緒に、工務店ならこういう断熱工事がこれから広まるので研修を一緒にやりましょうですとか、機械メーカー、地域の設備業者や中小事業者がちゃんと受注ができるように情報交換しながらパワーアップしていくようなところでも専門性を高めるような工夫が国や自治体がかんだ形でできるのではないかと考えています。

○山添拓君 ありがとうございます。
そういう点は、恐らく再生可能エネルギーに関わっても、地域に固有のエネルギー源を使って行っていくという意味で活用策が地域の中小企業の仕事や雇用に結び付くと地域経済に取り込むことで地域の新たな収入が生まれるという意味で非常に重要な指摘なのではないかと思いました。ありがとうございます。
最後に、もう一問行けそうですので伺いたいと思います。
レアアースに関わって伺いたいと思っているんですけれども、加藤参考人に伺いますが、今、南鳥島近郊で、日本もやっているけれども中国もまた参加をしてきているというお話がありまして、資料の中では十五ページになるんでしょうか、南鳥島の周囲のEEZの外の場所で日本の獲得鉱区があり、また中国の獲得鉱区もあるということで御紹介もいただいていました。
これは、何か調べますと、国際海底機構との契約によって中国や日本が領海以外の公海上の海底資源の探査なども行っているということなんですが、とりわけ公海上での、こうした海底での鉱物の探査や試掘なども含めてなんでしょうか、国際的な規制というのはどのようになっているのか、また、今後そうしたものについてどのようにあるべきだとお考えでしょうか。

○参考人(加藤泰浩君) どうもありがとうございます。手短に答えたいと思います。
まず、南鳥島の南側千キロに中国が、これは元々、レアアース泥ではなくて、コバルトリッチクラストという別のタイプの資源の鉱区を申請をして獲得したものです。日本の獲得鉱区、これもコバルトリッチクラストの鉱区を獲得しています。南鳥島の東側にあるところは、そういうコバルトリッチクラストの鉱区、これは元々、韓国も含めて三か国が国際海底機構に申請を出していました。そのうち、基本的には、韓国は海底資源開発の実力としてはいま一つだというふうに判断されて、中国と日本だけが認められる形になったということです。
つまり、それは、まずどういうやり方でやるか、あるいはそれが本当にできるのかということを踏まえて、国際的な枠組みの中で公海上の資源については審査をして、それに通ればできるということですね。
それで、一点だけ。
中国は、コバルトリッチクラストというのはそのオレンジ色のところに本来存在しているんですが、日本が取っているところはオレンジ色の海山がいっぱいあるんですが、中国のところはあえてぽつぽつと散点的にしかないと、大きいんですが。それは多分、彼らの狙いはコバルトリッチクラストではなくて、私は、泥にあるんだと、泥の調査にあるというふうに懸念しております。
済みません、ちょっと長めになりました。

○山添拓君 レアアースについては、申請をして認められるというような、そういう仕組みはないわけですね。

○参考人(加藤泰浩君) 今のところは、国際海底機構にレアアース泥についての枠組みというのはないんですよ、まだ、それは見付かったばかりなので。
ただ、これからできる、もちろんそれはできることに多分なると思いますので、特に中国は、そうなった瞬間に南鳥島の南側の公海上でレアアース泥の鉱区を獲得するように多分申請をするんじゃないかと思っています。今の時点ではそういう申請する制度はありません、レアアース泥に関しては。

○山添拓君 ありがとうございました。
終わります。

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