山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2017年・第195特別国会

新国立競技場過労自殺問題、建設労働者の働き方改革について質問

要約
  • 7日の参院国土交通委員会で、新国立競技場建設の現場監督だった男性が過労自殺した問題を取り上げ、建設業の長時間労働是正へ実効性ある対策を求めた。

 

  - 略 - 

○山添拓君 さて、今日は、それとは別のテーマで、建設業界の働き方に関わって質問をさせていただきます。

 資料をお配りしております。一枚目、今年の三月、新国立競技場建設工事の現場監督だった二十三歳の男性が失踪し、四月に遺体で発見された問題で、十月六日に新宿労基署が労災認定をいたしました。労基署の調査で確認されただけでも、失踪前一か月の時間外労働約百九十時間。過労死ラインを大幅に超える残業の末に精神疾患を発症し、入社して一年もたたずに命を落としました。

 政府は、工事の発注者として、この事態どう考えていますか。

○大臣政務官(新妻秀規君) 山添委員に御答弁いたします。

 新国立競技場の整備事業におきまして、本年三月、下請事業者の従業員が過労により自殺するという事案がありました。亡くなられた方に対して心より哀悼の意を表するとともに、御遺族に謹んでお悔やみを申し上げます。

 発注者である日本スポーツ振興センターでは、元請事業者である大成JVに対し、かねてより適切な労務管理を要請してまいりました。また、本年九月までに労働基準監督署から元請及び下請の一部事業者に対し、時間外労働が一か月八十時間を超えたケースがあること、そして労働時間の把握が不十分であることなどが指導されました。これらを踏まえ、大成JVにおきまして、全従業者の健康管理に係る取組として、一つ、現場内に健康相談室を設置し医師や看護師を配置すること、二つ、原則二十時閉所を徹底するなど時間外労働を短縮化することなどに取り組むとしております。

 あわせて、先日開催されました新国立競技場の関係閣僚会議におきまして、日本スポーツ振興センターからこれら大成JVの取組について説明するとともに、このようなことが二度と起こらないよう大成JVに法令遵守の徹底を求めていく旨の発言があったところです。

 文部科学省といたしましても、今回の健康管理に係る取組が着実に実施されるよう、厚労省、国交省など関係省庁と連携しつつ、しっかりと指導してまいります。

○山添拓君 工事計画の白紙撤回で、一年余り遅れて着工をしています。工期が圧迫されているというのが共通認識だという現場監督の声もございます。ずさんな工事費の膨張と計画変更が大本にある。オリンピックを理由に労働者が犠牲になることはあってはならないということを強調したいと思います。

 厚労省は、この件を受けて、新国立競技場建設現場に対する監督指導を行っています。資料の二ページに、監督指導がされた百二十八事業場のうち三十七で違法な時間外労働があった、このうち一か月八十時間を超える違法残業が指摘されたのは十八事業場とあります。一方、過重労働による健康障害防止のためとして、一か月八十時間を超える時間外労働を理由に指導したのは三十七事業場となっています。

 三十七のうち十八は違法だと、残りの十九事業場は八十時間を超える時間外労働でも違法ではないということなんでしょうか、指導はどういう趣旨のものか、お願いします。

○政府参考人(田中誠二君) 今回の新国立競技場建設現場に対する監督指導において、御指摘の十九事業場につきましては時間外労働がいわゆる三六協定の範囲内でございまして、違法な時間外労働とは認められなかったものでございます。

 なお、違法な時間外労働が認められたか否かにかかわらず、一か月八十時間を超える時間外・休日労働が行われていることを認めた場合には、過重労働による健康障害を防止するという観点から、労働基準局長通達に基づきまして、これを一か月八十時間以内に削減するように指導をさせていただいているところでございます。

○山添拓君 亡くなった男性が勤務しておりました大成建設の一次下請の三信建設ですが、ここも月八十時間まで残業を認める三六協定が締結をされていました。しかも、会社は当初、残業時間は労使協定の範囲内だと、こう主張し、過労死ラインをはるかに超える残業をしながら過少申告をさせて、実態を隠していました。

 今ありましたとおり、八十時間を超える三六協定も結ばれている。かつ、建設業では、現在の月四十五時間、年間三百六十時間という三六協定の限度基準、厚労大臣告示は適用除外とされてきました。この結果、資料の三枚目ですが、新国立競技場の建設を受注した大成建設は月百五十時間、年間千二百時間もの三六協定を結んでいます。厚労省の調査でも、今ありましたとおり、新国立の現場で八十時間を超える残業を認める事業場が多数存在していたと。その中でこの過労自死事件が起きています。

 大臣、建設業を所管する大臣として、今回の事態どう認識されているか、お願いします。

○国務大臣(石井啓一君) 新国立競技場の建設現場におきまして、入社一年目の男性が、長時間労働による過酷な状況の中、自ら命を絶つという痛ましい事案が発生したことは大変に遺憾であります。改めて御冥福をお祈りするとともに、遺族の方々に対し心よりお悔やみを申し上げます。

 建設業におきましては、週休二日の確保が十分でないなど、就業者の長時間労働が生じておりまして、その是正に向けた働き方改革の必要性を改めて痛感しているところでございます。

○山添拓君 政府の働き方改革実行計画、ここでは、時間外労働の罰則付き上限規制を建設業については改正法施行の五年後まで適用除外としています。もっとも、政府案は、これ繁忙期であれば一か月最長百時間、あるいは二か月から六か月の平均で八十時間の時間外・休日労働を可能とする、これは過労死ラインの合法化にほかなりません。繁忙期だからといって過労死するほど働かせてよいことにはなりません。

 安倍首相は少子高齢化は国難だとおっしゃっていますけれども、若者が仕事を理由に命を絶つ、過労死や過労自殺なくすということは最優先であるにもかかわらず、不十分どころか抜け穴だらけの計画だと言わなければなりません。

 資料の四ページを御覧ください。精神障害で労災認定された件数に占める自殺の割合は、建設業が全産業の中で最も高いんですね。にもかかわらず、資料の三枚目にございますが、大成だけでなく、大林組月百五十時間、清水建設百時間、積水ハウス八十時間、鹿島建設三か月三百二十時間、大和ハウス八十時間。大臣、こういう実態を放置するおつもりなんでしょうか。

○国務大臣(石井啓一君) 本年三月の働き方改革実行計画では、建設業につきまして、改正労働基準法の施行から五年後に時間外労働の上限規制が適用されることというようになってございます。建設業におきましては、就業者の長時間労働が生じている実態がございますことから、この猶予期間中におきましても、五年を待たず、その是正に向けた取組を強力に推進していく必要があります。

 このため、政府におきましては、本年八月に、発注者、受注者の双方が守るべきルールといたしまして適正な工期設定等のためのガイドラインを策定したところであります。このガイドラインが公共工事のみならず民間工事にも浸透するよう、これまで、鉄道、住宅・不動産、電力など業態別の連絡会議を順次開催するなど取組を進めているところであります。

 また、日本建設業連合会が時間外労働の適正化に向け自主規制の試行を始めとする働き方改革四点セットを策定するなど、建設業界を挙げた取組も進みつつあります。

 引き続き、この五年の猶予期間中においても、建設業における長時間労働の是正に向けましてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

○山添拓君 先ほど申しましたとおり、五年後に過労死ラインの合法化では大問題だと思います。原則はあくまで一日八時間、一週四十時間であり、例外は大臣告示にある月四十五時間、年三百六十時間のみとすべきだ、これは健康障害の防止のためだということを強調しておきたいと思います。

 今大臣がおっしゃったガイドラインですが、ここでは、上限規制の導入に向けて、週休二日の確保のために適正な工期の設定を進めるとしています。資料の五ページにございます。

 ところで、建設業では日給月給、日給月払が当たり前で、一日仕事に出て初めて賃金が出る。週休二日は賃金に直接影響することになります。

 先日、私は都内で、大工七年目の二十代後半の男性からお話を聞きました。戸建て住宅を扱う工務店に勤務されていて、日曜以外は休みはない、毎日七時半、八時から夕方六時頃まで、月二十六日働いて給与二十七万円、そこから社会保険、年金、道具代、ガソリン代、これ出していきますので、手元に残るのは六、七万円だ、昼食代引きますと自由に使えるお金は三、四万円だ、こうすると、独り暮らしの余裕は全くなく、実家から通うしかないというお話でした。これが週休二日になって、その分働けない、給料入らないとなりますと月四万とか五万減ると。もう暮らしていけないという状況になってしまいます。

 ガイドラインの十ページには、建設業における週休二日の確保等に当たっては、日給制の技能労働者の処遇水準の確保に十分留意するとあります。週休一日が週休二日になっても現在の月当たりの収入、これ確保するという意味でしょうか。大臣、御答弁お願いします。

○国務大臣(石井啓一君) 一般論といたしまして、日給月給制の場合、週休二日の導入により労働者の勤労日数が減少し、収入が減る可能性があることを懸念する声があることは承知をしてございます。

 このため、ガイドラインにおきましては、そのような懸念に応えるため、週休二日の確保等に当たっては、日給制の技能労働者等の処遇水準の確保に十分留意すると記載をいたしまして、受注者、発注者に対してそれぞれ取組を促すこととしたものであります。

○山添拓君 これ、はっきりさせるべきだと思うんですね。

 公共でも民間でも、週休二日を推奨するにもかかわらず賃金が大きく下がるということでは実効性期待できないと思います。

 日建連からも、日給月給の技能者の総収入を減らさないということが方針として示されているところです。

 今、国交省が公共工事の設計労務単価を算出する際には、標本となっている工事、実際の公共工事の現場の実態、これは四週五休だと、おおむね週休一日の状況だと伺います。ですから、公共事業で今後週休二日を確保した上で日給制の技能労働者の処遇水準を確保するということは、これ設計労務単価上げるしかない。上げるということか、大臣、お答えいただけますか。

○政府参考人(田村計君) お答えいたします。

 公共工事の設計労務単価についての御質問でございますけれども、公共工事の設計労務単価は、国等が発注する公共工事の予定価格における労務費の積算に用いることを目的とするものでございます。このため、全国における国交省、農林水産省等の公共工事から一定の基準で選びまして、建設労働者等の賃金支払実態について調べまして、その実勢を反映した水準となるように改定をしております。

 本年度の労務費調査につきましては、週休二日の導入等の休日拡大に伴う賃金支払の実態について、適切に公共工事設計労務単価に反映できるようにするため、休日拡大に伴う手当の支払状況等の調査項目の追加を行っております。

 今後、この調査結果を踏まえまして必要に応じて検討いたしまして、年度末に向けて取りまとめ、設計労務単価の改定を行ってまいりたいと考えております。

○山添拓君 重層下請構造の下で、この問題、更に深刻だと思います。

 資料の六ページにございますが、全建総連東京都連の賃金実態調査です。設計労務単価と常用雇用の金額の差、大工でいえば、二〇一六年六千九百二十八円が、二〇一七年の速報値では七千二百三十六円と、設計労務単価は上がっても、現場には十分に行き渡らず、むしろあるべき金額との差が広がっていると……

○委員長(野田国義君) 時間が来ましたので、まとめてください。

○山添拓君 はい。

 最後に、大臣にお願いしたいんですが、昨年十二月六日、当委員会で私は、下請各層の賃金実態調査すべきだと、こうお願いをしまして、先ほどもありましたとおり、今、賃金の実態を調査しながら適切に対応していくと、こういうお話になっていると伺っています。

 大臣に最後にお願いしたいのですが、調査結果を踏まえて、下請や再下請で働く技能労働者一人一人にまで賃金や単価、きちんと行き渡るよう指導していくということをお約束いただきたいと思います。

○委員長(野田国義君) 答弁は簡素にお願いいたします。

○国務大臣(石井啓一君) 国土交通省といたしましても、設計労務単価の上昇が現場の技能者の賃金水準の上昇という好循環につながるよう、建設業団体に対し繰り返し適切な賃金水準の確保を要請してきたところでございます。

 引き続き、適切な賃金水準を確保し、現場の技能者の処遇改善につながるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

○山添拓君 終わります。

 

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