山添 拓 参議院議員/弁護士 東京選挙区候補 日本共産党

国会報告

2018年・第196通常国会

首都圏空港機能強化について質問

要約
  • 国際観光振興法改定案審議で、山添議員は、観光を「成長戦略」の柱に位置付けた安倍政権のもとで、「国際競争力の強化」を盛り込むなど、経済成長に偏ったものだと指摘。住民生活をかえりみず大規模開発を加速・推進するゆがんだ政策は、観光立国推進基本法の基本姿勢に反すると強調しました。  山添氏は、安倍晋三首相が昨年の施政方針演説で、2020年までに羽田、成田両空港で8万回の発着枠を拡大し、訪日外国人4000万人の目標を実現すると述べたことにふれ、「目標ありきの空港の機能強化だ」と批判。
  • 羽田空港の発着枠拡大にともなう都心上空への飛行ルートの変更はさまざまな手法で見直し可能であり、住民に迷惑をかけない施策に改めるべきと求めました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。

日本政府観光局の調査によれば、日本を訪れる外国人が訪日前に期待することの上位は、日本食を食べることであり、自然、景勝地の観光、ショッピングと続いています。

我が党は、日本の文化や歴史、自然に魅力を感じる外国人が増えることは歓迎でありますし、また、その中でリピーターが増えるよう、更に魅力を広げて伝える努力も必要だと考えます。

では、そもそも観光とは何なのかと、どうあるべきなのかと、これが大事だと思います。観光立国推進基本法の前文冒頭では、観光の意義についてどのように規定していますか。

○政府参考人(田村明比古君) お答え申し上げます。

観光立国推進基本法の前文におきましては、同法を制定する趣旨について規定されているところでございます。このうち冒頭では観光の意義について規定されておりまして、具体的に、ちょっと読みますけれども、「観光は、国際平和と国民生活の安定を象徴するものであって、その持続的な発展は、恒久の平和と国際社会の相互理解の増進を念願し、健康で文化的な生活を享受しようとする我らの理想とするところである。また、観光は、地域経済の活性化、雇用の機会の増大等国民経済のあらゆる領域にわたりその発展に寄与するとともに、健康の増進、潤いのある豊かな生活環境の創造等を通じて国民生活の安定向上に貢献するものであることに加え、国際相互理解を増進するものである。」というふうに規定されているところでございます。

○山添拓君 憲法に則した、極めて多面的な価値、意義を記していると言えます。この条文、規定ぶりは、前身であります一九六三年の観光基本法の前文をほぼ踏襲しておりまして、半世紀以上にわたって観光政策の根幹に据えられているものです。

一方、安倍政権は、観光を成長戦略の柱に位置付け、大臣も本法案の趣旨説明において、観光は、我が国の成長戦略と地方創生の大きな柱と述べました。訪日客を更に増加をさせて、その環境整備のための投資も促進し、そして経済成長に結び付けようという考えだと思われます。しかし、訪日客を増やす目的が主として経済成長というのでは、観光立国推進基本法に定める観光の意義からしても余りにもお粗末ではないかと。

大臣に伺います。現在の法律の第一条が、外国人観光旅客の来訪を促進することで国際相互理解の増進に寄与することを目的とするとしているのを、今回の改正案では、国際競争力の強化と地域経済の活性化に寄与することを目的とするように変更したのはなぜなんでしょうか。訪日客を増やす目的を専ら経済的利益のためにのみ置くものなのか、国際相互理解、これは二の次ということなんでしょうか。

○国務大臣(石井啓一君) 改正前の国際観光振興法は、今から二十年前、インバウンドが現在ほど盛んでなく、旅行費用の低廉化等が課題となっていたことを背景に制定されたものであります。

現在では、国際観光をめぐる状況は大きく変化し、本格的な少子高齢化、人口減少を迎える中で、外国人観光旅客の来訪の促進は、我が国に対する理解の増進はもとより、我が国の成長戦略と地方創生の大きな柱となってきております。

このため、平成二十八年三月に策定をいたしました観光ビジョンにおいては、二〇二〇年訪日外国人旅行者数四千万人、二〇三〇年六千万人等の大きな目標を掲げ、観光先進国の実現に向けた観光基盤の拡充強化を図るため、政府一丸となって取り組むこととされております。

これらを踏まえまして、本法案におきましては、外国人観光旅客の来訪を促進するための措置及び国際観光施策の財源に関する措置を講ずることにより、もって我が国の観光関連産業の国際競争力の強化及び地域経済の活性化等の向上を目的とし、それらを第一条において明記することとしたものであります。

なお、目的規定では、外国人観光旅客の来訪を促進することが我が国に対する理解の増進に資するものであること並びに国際観光旅客の往来を促進することが国際交流の拡大に資するものであることという点を明記をしておりまして、国際相互理解の増進という点につきましては、改正後の法の趣旨にも含まれているものと考えております。

○山添拓君 目的の規定からわざわざ相互理解の増進に寄与することというのを削ることはないと思うんですけどね。

訪日客を経済成長とのみ結び付ける最たるものがカジノだと言えます。大臣は、衆議院で我が党の宮本岳志議員の質問に対して、IRはまだ世の中に存在していない、法案も提出していない、それにこの新たな新税による財源を充てることは当然あり得ないと、こういうふうに答弁をしております。

しかし、安倍首相は施政方針演説で、IR推進法に基づき、日本型の複合観光施設を整備するための実施法案を提出すると述べましたし、昨日は与党で、カジノは最大三か所、また七年後見直しなどの内容で合意をし、政府は四月中の法案提出を目指すとも報じられております。

新たに設置する国際観光旅客税をIR推進法で言うカジノを含むIRの整備に使うことは否定されていないんですね。

○国務大臣(石井啓一君) IRにつきましては、現在、内閣官房において具体的な制度設計に関する検討を行っている段階であり、IR整備法案もまだ提出していない状況でございます。現に、IRは存在をしておりませんし、IRを造るための制度もできていないという状況であります。

現時点ではIRに観光財源を充てることはできないと考えております。

○山添拓君 いや、法案ができたって別にIRはこの世に存在しないんですけれども。

IR実施法ができてもカジノ、IRに使わないんですか。それならそう明言していただきたいんですが。

○国務大臣(石井啓一君) 今お答えしたところですが、IR整備法案については内閣官房において具体的な制度の設計に関する検討を行っている段階であります。最終的に制度が固まったわけではございません。

現時点で確定的にお答えをするのは困難と考えております。

○山添拓君 確定的に答えられないということで、否定をされないわけです。訪日外国人から出国時に税金という形でお金を取って、それをカジノ整備に充てて、またカジノでお金を落としてもらって、そして経済成長、やっぱりこれがおもてなしと言えるのかと私は思います。

安倍首相は施政方針演説で、羽田、成田の容量を世界最高水準の百万回にまで拡大すると述べました。二〇二〇年までに二つの空港で八万回の発着枠拡大を実現すると述べ、同じく二〇二〇年に訪日外国人四千万人の目標実現を目指すとしました。

伺いますが、八万回発着枠を増やせば四千万人を受入れ可能になるということなんでしょうか。

○政府参考人(蝦名邦晴君) お答え申し上げます。

訪日外国人旅行者数につきましては、二〇一七年におきまして約二千八百万人超ということになっておりまして、二〇二〇年四千万人という目標達成に向けて更に千二百万人近い増加が必要ということでございます。

このうち首都圏の空港は、四割を超える訪日外国人が利用する拠点空港でございまして、目標達成のためには更なる国際旅客需要増加への対応が必要となってまいります。もちろん首都圏だけで全ての需要を賄うということではございませんで、全国にございます様々な空港で需要を受けていくということと両立をしながら、この目標達成に向けて受入れをしていくということだと思います。

○山添拓君 はっきりおっしゃらないんですけど、これリンクしないんですよね。八万回という目標達成を目指したときには、当時の訪日外国人客の目標は二千万人でしたので、これリンクするはずがないわけです。四千万人という目標ありきでいきますと、どんどん発着回数を拡大する方向にしか進みません。国際便を増やす方法は、では発着回数拡大するしかないのかということを議論したいと思います。

国交省は、羽田空港の第四滑走路供用開始前の二〇〇五年四月に、JALから二十二便、ANAから十八便の発着枠を回収しまして、当時新規参入したスカイマークやエア・ドゥなどに再配分する、こういう対応を行いました。当時なぜこういう対応を行ったんでしょうか。

○政府参考人(蝦名邦晴君) 今お尋ねの発着枠の配分というのは、国内線の関係についてでございます。

国内航空につきまして、平成十二年に、競争促進による利用者利便の向上を目的といたしまして需給調整規制を廃止する抜本的な規制緩和が導入されまして、あわせて、羽田空港等の混雑空港につきましては、既得権益化を防止するために、また、競争促進及び国際、国内航空ネットワークを維持、拡充するという観点から、その利用を五年ごとに見直す許可制度というのが導入をされました。その後、平成十七年にこの許可期間が到来するに当たりまして、新規航空会社の更なる参入拡大や大手航空会社との十分な競争を確保すべく、発着枠を回収して新規航空会社に再配分を行うといったことを行ったということでございます。

○山添拓君 当時は発着枠を増やすことができませんでしたので、その場合には既存の枠を回収して新規参入に割り当てるという方法を取った、そういう先例だということです。

資料をお配りしておりますが、交通政策審議会の二〇一三年の需要予測では、国内線は、今後、実質GDPの成長率が年平均二%でも微増程度の予測であり、成長率が低ければマイナスになるという予測になっています。国内線ですから、鉄道やバスも含めてシェアの変動を促すことも可能です。国際線どうしても増やすというのであれば、国内線の発着枠を回収して国際線に振り分けることでも対応できるだろうと考えます。私は、やっぱり、機能強化ありきで、とにかく発着回数を増やさなければならないという議論の進め方自体が議論すべきところだと思っています。

国交省に伺いますが、成田空港、中部空港、関西空港の処理能力と二〇一六年度の利用実績はどのようになっていますか。

○政府参考人(蝦名邦晴君) 二〇一六年度時点におきまして、成田国際空港につきましては、地元と合意している発着枠は三十万回でございますけれども、発着回数実績は二十四・六万回となっております。

関西国際空港につきましては、環境影響評価の前提となります年間発着回数は約二十三万回、年間発着回数の実績は十七・八万回となっております。

また、中部国際空港につきましては、環境影響評価の前提となっております年間発着回数は約十三万回、発着回数実績は十・一万回となっております。

○山添拓君 今お聞きいただきましたように、それぞれ満杯というわけではもちろんありませんし、これから発着回数を増やすということは可能なんですね。

例えば、今、大きな議論になっております羽田空港の飛行経路の見直し、都心上空の飛行ルートによって増やそうという発着回数は、これは最大でも年間二・六万回です。今挙げていただいた三つの国際空港の利用実績から見ても、この分は十分に吸収ができるわけです。訪日客に、東京、京都、大阪、いわゆるゴールデンルート以外にも訪れてもらうというのであれば、地方空港も含めて様々な空港を使う、首都圏空港だけにこだわらないということが必要ではないかと思います。

今、訪日客の八五%がアジアからです。小型機であれば地方空港でも着陸ができますし、リピーターを期待するということであれば、なおさら地方への直行便での需要があるわけです。全国に九十八の空港がありますけれども、国管理の二十七空港でいえば、黒字になっているのは羽田、新千歳、広島、松山の四空港のみです。ですから、赤字経営の改善にもつながり得ると考えます。

もちろん、どの空港でも、騒音問題など周辺住民の生活環境を維持するということが前提でありまして、合意の上で進めるべきですけれども、地方空港でこうした海外からの需要を吸収していく、そのための工夫というものをもっと考えるべきなんではないでしょうか。

○政府参考人(蝦名邦晴君) お答え申し上げます。

首都圏空港の状況について少し申し上げますけれども、先ほど、四千万人の目標達成に向けて、その約四割を訪日する外国人が首都圏空港を使っているという状況でございますが、今の現在の状況を申し上げますと、羽田空港については、既に深夜、早朝の時間帯を除きまして発着枠は限界まで使っている状況でございますし、成田空港につきましても、国際線の需要が集中する時間において発着枠が不足し、航空会社の乗り入れ要望にお応えすることができないという状況でございます。

さらに、首都圏に乗り入れたいという海外からの御要望は非常に多いというのが現在の状況でございまして、目標達成に向けては、この首都圏に向けての旺盛な需要に対してしっかり応えていくための状況が、今の羽田空港、成田空港の状況では対応が困難だという状況になっておりまして、もちろん、地方空港への分散ということも必要ではありますけれども、引き続き首都圏に対する旺盛な航空需要ということについても十分対応していく必要がある、それによって四千万人の目標を達成していくということが、現在の八万回への増加へのための取組ということになっているということでございます。

○山添拓君 ですから、やっぱり四千万という目標をはめることによって、逆に無理を強いるような形になるわけです。

成田空港では……(発言する者あり)ちょっとお静かになさってください。

○委員長(野田国義君) お静かにお願いします。

○山添拓君 発着回数にまだ余裕がある中で更なる上積みが計画をされまして、羽田空港で計画される都心上空ルートの運用は、当面十五時から十九時の四時間としています。その理由は何なのか。

二〇一四年七月の技術小委員会中間取りまとめの五ページでどのように記しているか、御紹介ください。

○政府参考人(蝦名邦晴君) 平成二十六年七月に取りまとめられた首都圏空港機能強化の技術検討小委員会の中間取りまとめにおきましては、また、現時点においても既に、羽田空港における昼間時間帯や成田空港における国際線の出発、到着が集中する夕方の時間帯においては、それぞれ処理能力の限度までダイヤが設定されており、航空会社が希望する時間帯に就航することができないという事態が発生していると記載されております。

○山添拓君 要するに、航空会社の希望なんですけれども、この航空会社の希望というのは何なのかといいますと、これ国際線の乗り継ぎ旅客を取り込むということなんですね。十五時台から十八時台にかけては、北米便ですとかアジア便の発着が重なります。ですから、アジア各地、中国なども含めて、そこから東京で乗り継いで北米に向かう、あるいはその逆の経由客を取り込むことができれば、座席の利用率が上がり航空会社の収益性が高くなるというわけです。

従来、国際線は、国家間の航空協定で航空会社や発着空港、便数や運賃などが決められておりましたが、九〇年代から広がったオープンスカイ協定という世界的な規制緩和によって航空会社の競争が激化をしまして、これに空港が巻き込まれるという事態になっています。羽田や成田は、夕方の時間帯の発着枠が頭打ちになりますと、韓国ですとか中国あるいは香港などアジアのほかの空港に取られてしまうと。だから、航空会社の利益のために空港間で競争する、そういう構図の中で発着枠の拡大が狙われております。

しかし、乗り継ぎ客のためでしたら、これインバウンドでも何でもないんですね。国際線同士の乗り継ぎ客でしたら出国税の課税対象にもなりません。ですから、やっぱりそもそも誰のための機能強化なのかということが改めて問われてくると私は思います。観光客だけが狙いでは全然ないわけです。

日本再興戦略では、成長著しいアジア等の成長力を取り込むといい、企業が活動しやすい国のために国際競争力を高める必要があるとしています。国際金融都市としての東京のステータスを高めるために、企業立地を促進し外国企業のアジア拠点を五百社以上誘致をする、国際戦略総合特区を活用して外資の投資環境を整えることが計画をされました。そのためのインフラ整備として交通政策が位置付けられ、国際戦略港湾や首都圏三環状道路、リニア新幹線など都市機能の強化を図るとしています。

首都圏空港の機能強化も同じ発想によるものです。大企業や投資家をこうしてもうけさせて、都心上空ルートですとか、あるいは夜間の飛行制限の緩和によって騒音や落下物の危険が増える周辺住民にとっては不安や迷惑をもたらすばかりです。

大臣に伺いますけれども、こういう利潤第一の生んだゆがんだ政策を進めようとしているものだ、こういう認識を大臣、お持ちでしょうか。

○国務大臣(石井啓一君) 首都圏空港につきましては、羽田空港の飛行経路の見直しや成田空港の高速離脱誘導路の整備等によりまして、二〇二〇年までに発着容量を年八万回増加をさせると。二〇二〇年以降には成田空港の第三滑走路の増設、夜間飛行制限の緩和などにより発着容量を更に十六万回増加させまして、発着容量を約百万回とする機能強化を実現したいと考えております。

これが実現いたしますと、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの円滑な開催に資するほか、観光ビジョンの目標である訪日外国人旅行者数、二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人の達成、首都圏の国際競争力の強化、成田、羽田の日本最大の国内、国際ネットワークを活用した全国各地と海外との人、物の交流促進による地域活性化、就航都市の増加による旅客利便性の向上など、幅広い効果が見込まれるところであります。こうした効果は、首都圏のみならず、全国各地の住民の方々に幅広く届くものであり、航空会社や特定の大企業などの特定の者だけが享受するものではございません。

一方で、両空港の機能強化に当たっては、落下物や航空機騒音に対する懸念の声などが寄せられております。このため、落下物防止対策基準の策定、義務化などによる未然防止策の徹底、補償等の充実などによる事案発生時の対応強化の両面からの総合的な落下物対策や、防音工事の充実強化や低騒音機の導入促進等の騒音対策に取り組むこととしております。

こうした取組につきまして着実に実施をするとともに、引き続き、住民や関係自治体の方々に丁寧な情報提供を行い、首都圏空港の機能強化について御理解をいただけるよう努めてまいりたいと考えております。

○委員長(野田国義君) 時間が来ております。

○山添拓君 はい。

観光政策の基本理念というのは、住んでよし、訪れてよしの観光まちづくりです。住民生活の犠牲の上に増便、拡張ありきの機能強化は見直すべきだということを改めて主張、強調いたしまして、質問といたします。ありがとうございました。

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