山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2018年・第196通常国会

森友文書改ざん問題を質問

要約
  • 山添拓議員は、学校法人「森友学園」に売却された国有地には「瑕疵(かし)」がなかったにもかかわらず、森友側の要求に応じてごみ(地下埋設物)の撤去費用を不当に値引いたのではないかと追及。
  • 財務省の古谷雅彦審議官は、土地の地下埋設物が「瑕疵」に当たるか法的な検討もせずに、値引きをしていたことを認めました。

 

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。

森友学園問題について伺います。

財務省による改ざん前の文書には、五か所にわたって安倍昭恵氏が出てまいります。議員等の来訪状況を記した中で、二〇一四年四月の講演と視察、そして、それを受けて同年四月二十八日に籠池氏の発言を紹介する形で登場し、また、二〇一五年一月八日、産経新聞のネット記事を紹介する形でも出てきます。

大臣に伺うんですが、国交省はこの森友学園の件に安倍昭恵氏が関わっていることをいつお知りになったんでしょうか。

○国務大臣(石井啓一君) 委員がおっしゃる国交省というのは、大阪航空局という意味でよろしいでしょうか。──はい。

じゃ、それで、その前提でお答えをさせていただきます。

当時の大阪航空局職員に確認をしたところ、現時点では、総理夫人が森友学園の名誉校長であったことはもう当然、これはもう報道もされておりますし、国会でも取り上げられておりますので承知をしているけれども、いつから承知をしていたかについてまでははっきり記憶にないということでありました。

また、詳細は記憶をしていないけれども、平成二十八年三月頃の森友学園との打合せの中で、総理夫人に関する発言を籠池氏がしていた記憶はあるということでありました。ただ、打合せ中の籠池氏の総理夫人に関する発言について特段の対応は不要と考え、大阪局内でも上司に報告することはしていないということでございました。

○山添拓君 今おっしゃったのは、三月十六日の音声データの中でのことです。ですから、森友側が新たなごみが出てきたと言ってきて、そしてその後、航空局がごみの見積りをするまでの間には、少なくともこれ昭恵氏が関わっているということも御存じだったわけです。

三月二十二日の当委員会で、私は、大阪航空局が行ったごみの処分量の算出について、会計検査院が四つの試算を行っており、この中には航空局の算出の三分の一の量にごみがなると、こういう試算もあったことを指摘をいたしました。

航空局においても、当時検証可能なあらゆる事実を基にこういう推計を行うことは可能でありましたし、また、それ自体は否定できないことだろうと思います、会計検査院も当時可能だったデータに基づいて試算をしておりますから。しかし、あえて八億二千万円の値引きにつながる、地下三・八メートルとか、あるいは九・九メートルまでごみがあるという、根拠の乏しい、大ざっぱでというよりも過大な推計を採用したわけです。

これなぜかといえば、結局、瑕疵担保責任免除特約付きの契約の実効性を担保するためだ、損害賠償のリスクに備えるためだと、こういう説明をされています。

航空局長は、前回、私の質問に対して、これは最近の裁判例で示された考え方によるものだと答弁をされました。具体的にはどの裁判例ですか。

○政府参考人(蝦名邦晴君) お答え申し上げます。

御指摘の三月二十二日の参議院国土交通委員会において最近の裁判例とお答え申しましたのは、特定の裁判例を想定したものではなく、多数の土地の瑕疵に関する裁判例の傾向を念頭に答弁をさせていただいております。

その上で、具体的な裁判例として一例を申し上げますと、平成十七年四月二十二日の札幌地方裁判所の判決や、平成十五年八月十日の静岡地方裁判所富士地方支部の判決などがございます。

○山添拓君 富士支部の裁判例というのは、これは契約書に瑕疵担保責任免除条項がありませんでして、確約書という別の書類のなお書きに書かれていた文言をもって免除されるよということを売主、これは道路公団ですが、こう主張したのが問題になりまして、結果的に特約が認められなかったという事例です。

札幌の方は、これは契約書には免除条項はあったんですが、瑕疵、同じく地中の埋設物ですが、これがあるから代金を減額するというような、そういう具体的な話合いがなかったじゃないか、そういうことを理由にして結局免責をされなかったと、そういう事例であります。

ですから、今御紹介いただいた裁判例が言っているのは、特約の実効性を担保するには契約書に明記をすること、また特約を入れるだけのそれにふさわしい理由について説明せよと、こういうことを言っているだけでして、地下埋設物の量を過大に、あるいは大ざっぱに見積もっておかなければ免責されないんだよと、こういうことを言っているわけじゃないんですね。

大体、大阪航空局は、当時、これらの裁判例を前提にごみの見積りをしていたんですか。

○政府参考人(蝦名邦晴君) お答え申し上げます。

先ほど申し上げました裁判例は、見積りを行った際に大阪航空局職員が確認をしたというものではございませんで、大阪航空局の見積りについて国会等で御質問をいただいた際に、大阪航空局の見積りの考え方が最近の裁判例に照らした考え方にも沿ったものである旨を御説明をしたものでございます。

なお、大阪航空局が見積りを行うに当たりましては、近畿財務局から本件土地に関する一切の国の責任を免除するとの特約条項を付すことを念頭に置くように伝えられておりまして、その特約の内容について把握しながら見積りを行ったということでございます。

○山添拓君 財務省に伺いますけど、財務省は当時こうした裁判例、前提にされていたんでしょうか。もし今確認できれば。

○政府参考人(古谷雅彦君) ちょっと突然の御質問ですので、確認をさせていただきたいと思います。

○山添拓君 少なくとも航空局は、これは裁判例があるからこういう対応をしたんだよというのは、国会で質問されたから、後からそう評価したというだけの話なんですよ。

航空局長、前回の私の質問に対しては、実際の見積りは具体的な前提や状況を踏まえて行う必要がございます、そして大阪航空局の見積りについては云々かんぬんと述べる中で、最近の裁判例を踏まえても、こういう見積りを行う考え方が示されている、そういう状況を前提として、会計検査院とは異なり、今回のような結果になったんだと、こういう答弁をされているんですけれども、当時、裁判例があるからこういう方法をやったわけではありませんね。じゃ、そこをイエスかノーかで答えてください。

○政府参考人(蝦名邦晴君) 先ほども申しましたように、大阪航空局は、見積りを行うに当たりまして、近畿財務局からそうした一切の国の責任の免除をする特約条項を付すことを念頭に置くように伝えられており、その特約の内容について把握をしながら見積りを行ったということでございます。

○山添拓君 それだけなんですよ。別に法的に認められるからこうしたんだ、裁判例上こういう例があるからそうしたということではないわけです。

札幌地裁の判決には、瑕疵とは何か、このことについて次のような指摘がされています。この事件は宅地の売買でした。地中に土以外の異物が存在する場合一般が直ちに土地の瑕疵を構成するものではない。しかし、その土地上に建物を建築するに当たり、支障となる質、量の異物が地中に存するために、その土地の外見から通常予測され得る地盤の整備、改良の程度を超える特別の異物除去工事等を必要とする場合には、宅地として通常有すべき性状を備えないものとして土地の瑕疵になる、こういうことを述べております。

どういう意味かといいますと、売買契約において瑕疵と言えるかどうかというのは、契約の目的によって変わるということです。宅地なら宅地にふさわしい土地かどうかと。ですから、多少の埋設物があっても、宅地として使えるなら瑕疵とは言わないわけです。

森友学園への土地の売買は、学校用地を目的とするものです。財務省、そのことはどこに記されておりますか。

○政府参考人(古谷雅彦君) 今の御質問にお答えいたします。

御質問の件でございますけれども、用途指定の特約は売買契約書第二十一条から第二十五条に規定をされております。具体的には、森友学園は本件土地について、売払申請書に添付した事業計画及び利用計画に定めるとおりの用途、小学校敷地でございますけれども、に自ら供さなければならない、それから、指定の期日までに必要な工事を完了し、指定用途に供さなければならない、指定の期日の翌日から平成三十八年六月十九日までの指定の用途に供さなければならないなど、規定されております。

○山添拓君 学校として建設し運営するための土地として売買をされているわけです。

今回明らかにされました改ざん前の決裁文書には、森友側の弁護士から、本地は小学校を運営するという目的を達成できない土地であるとして、小学校建設の工期が遅延しないよう国による即座のごみ撤去が要請された、しかし、航空局がこれに対して予算がないと言って断りますと、現実的な問題解決策として、早期の土地買受けによる処理案が提案されたと記されております。ですから、撤去費用を値引きすれば損害賠償請求を行わない、こういう提案が森友側からされたわけです。

しかし、この時点で既に校舎の建設に必要な柱状改良工事は完了しておりましたし、さらに、九メートルまでの掘削を行う予定はありませんでした。その後、森友学園は校舎の建設工事を終えたわけですが、結果としてどれだけのごみを撤去したんですか。

○政府参考人(蝦名邦晴君) 施工業者が豊中市に提出をいたしました産業廃棄物の管理票、いわゆるマニフェストによりますと、平成二十八年度に本件土地から排出された廃棄物の量は約百九十四トンと承知しておりますが、これは、本件土地の地表には依然として廃材等のごみが含まれる土砂が残されていること、本件土地の地中にも依然として廃材等のごみが残されている可能性が高いことを鑑みますと、本件土地の地下埋設物のごく一部にすぎないというふうに考えております。

○山添拓君 いいんですよ、それで。航空局が見積もった一万九千五百トンの一%ですよ。ですから、仮に新たなごみがあったとしても、開校時期ありきの森友としてはごみを撤去しなくてよいと判断しています。つまり、ごみを撤去しなくても学校用地の売買という今回の契約の目的は達成できたわけです。

近畿財務局は、新たなごみがあっても、契約の目的、学校用地としての売買、これは達成できるかどうかという観点で検討したことがありましたか。

○政府参考人(古谷雅彦君) 当時、土地の貸主であります国は、民法上、使用収益に適した用地を提供する義務を負っておりました。その結果、地下埋設物に対応しなければいけない立場でございました。

翌年四月に開校が予定され、校舎の建設工事が進む中、新たな地下埋設物が発見され、相手方から損害賠償の請求のおそれがあったことから、その対応につきまして、部内の法律相談も行い、検討しておりました。

貸付契約につきまして申しますと、本件土地は小学校用地として貸し付けることとされておりまして、地下埋設物が存在する場合には土地の使用に支障が生じるほか、存置した埋設物が建設後の建物に影響を与えるリスクや心理的嫌悪感などの市場性の減退にもつながるおそれもあり、さらに、教育上適切な生活環境が確保されていないとして著しい風評被害を生じるおそれも否定できないといった検討をしておりました。

○山添拓君 答えていないですよ。

売買契約を締結するに当たって、ごみがあっても契約の目的達成できるかどうか、この観点で検討されたんですかと。昨日ちゃんと通告しましたから、答えてください。

○政府参考人(古谷雅彦君) 法律相談と先ほど申し上げましたけれども、その法律相談、廃棄物混在土壌についてのフローチャートにも示されておりますように、廃棄物混合土壌が森友学園との貸付合意書第五条に記載の地下埋設物と同一視される場合とそうでない場合に分けて損害賠償請求の可能性などについて検討を行うなど、近畿財務局内の法曹資格を有する者も交えて法律的な検討を行っておりました。当時は……

○山添拓君 それは賃貸借についてを前提とする法律相談なんですよ。売買を前提として照会されたのかということです。

○政府参考人(古谷雅彦君) 先ほどの続きを答弁させていただきますが、そういった法律検討を行っていた上で、当時、平成二十八年三月十一日の連絡の後に、近畿財務局、大阪航空局で現地確認や打合せを重ねておりまして、貸付合意書第五条に記載の地下埋設物と同一視できないものと認められるのではないかといった状況にありますし、フローチャートの左にありますように、国も何らかの対応をしなければならないが、早期の予算措置も含め、現実的な対応が固まっていたわけではないと指摘もございました。そうした中に、三月二十四日に相手方から土地を買い取りたいとの提案がございまして、瑕疵担保免除特約も付した上で売却することとしたところでございます。

○委員長(野田国義君) 質問にちゃんと答えてください。

○政府参考人(古谷雅彦君) まさに売却を前提に、今、検討したということを申し上げているつもりでございます。(発言する者あり)

○山添拓君 もう一度伺いますけれども、売買契約を結ぶに当たって、新たなごみがあっても契約の目的達成できるかどうか、この観点で検討を行ったことあるんですか、その観点からの法律相談を部内で行ったことあるんですか、これだけ聞いているんですよ。何で答えない。

○委員長(野田国義君) ちゃんと質問に的確に答えてください。

○政府参考人(古谷雅彦君) その中で法律相談を具体的にしたかということであれば、部内ではしておりません。

○山添拓君 それだけ答えていただければいいんですけど。

当時、そういう可能だった検討はしていないんですよ。果たしてこのままで売買契約の達成という、今行わなければならないことを達成できるかどうか検討していないんですよ、必要な検討を。

時間のない中でぎりぎりの対応だということをおっしゃるんですが、それはおかしいです。国有財産の売却ですから、少しでも高く売るということを考えるべきなんです。もちろん、損害賠償を受けないということも大事ですけれども、損害賠償を受けず、かつ少しでも高く売るということを本来考えるべきじゃありませんか。

結局、初めから、損害賠償請求される、値引きが必要だという前提で、売買の話になってから近畿財務局が二度行った法律相談も、いずれも値引きありきなんですよ。森友側の不当な要求に応じなければならないという態度で臨んで、撤去費用を値引くことを前提としています。だから音声データにあるようなごみの捏造につながりました。加えて、遅くとも当時、航空局もこの件に安倍昭恵氏が関わっていることも御存じでした。その中で出された八億二千万円の値引きです。

これを判断した方がいます。前回も委員長に申し上げましたが、現場でいえば大阪航空局長の永尾氏、また近畿財務局の当時の池田国有財産統括官です。その証人喚問、この場でも必要だと思いますので、お取り計らいいただきたいと思います。

そのことを申し上げて、私の質問を終わります。

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