山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2018年・第196通常国会

都市再生特措法改正案について質問

要約
  • 都市再生特措法改正案について住民参加の観点で問題点を指摘。都市のスポンジ化や遊休空間の活用によるまちづくりを進める施策と提案されていますが、使い方次第では新たな開発手法を提供するものだと批判しました。住民参加、住民合意に基づくまちづくりのための法規制を求めました。

 

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。

森友問題について伺います。

四月十二日の朝日新聞で、二〇一六年当時、近畿財務局が大阪航空局にごみの積算量を増やすよう依頼したと取引の関係者が説明している、当事者が説明していると報じられました。

当初、航空局はごみ撤去費用の見積りを五億から六億と見積もっていたが、財務局からもう少し何とかならないかと言われて八億二千万円にしたという報道もあります。

大臣は調査を指示したとおっしゃいましたが、どこまで進んでおりますか、誰に対して調査をしていますか。

○国務大臣(石井啓一君) 今委員が御指摘をされました報道の内容については承知をしておりませんので、報道されている内容について私から事務方に対し調査を行うよう指示をいたしまして、現在調査を進めている状況でございます。

○山添拓君 誰に対して調査していますか。

○政府参考人(蝦名邦晴君) 見積作業に関わっておりました大阪航空局の職員に対して調査を行っているということでございます。

○山添拓君 職員四名を中心にということだと思いますが、一年以上にわたる説明が根本から揺らぐ問題であります。調査は進捗に応じて、その都度国会にも報告していただかなければならない、このことを申し上げておきたいと思います。

建物の権利を持つ藤原工業の社長が十三日、NHKの取材に対して、これまでのところ国からの協力要請はないことを明らかにしました。必要であれば再調査に全面的に協力させていただきます、いつでもおっしゃっていただけましたらというスタンスだと述べています。

政府はこれまで、再調査はできない、業者に留置権があるからだと言ってきました。協力要請すらしてこなかったんですか。事実であれば、直ちに要請していただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(石井啓一君) 本件土地につきましては、現に校舎が存置されている状況であり、建物と土地の工事代金が未払であることから、工事事業者が建物については所有権を、土地については留置権を主張をし本件土地を占有しているほか、現在、森友学園の管財人との間で土地や存置されている建物の取扱いを含め様々な交渉を行っているところであり、管財人及び工事事業者に対し本件土地の更地の返還を求めているという状況にございますので、御指摘のような要請をする状況ではなかったと承知をしております。

一方、工事事業者が、国の要請があればごみの再調査に協力すると述べているとの報道は承知しておりますので、大阪航空局が行った見積りの大部分を占める校舎部分の調査は困難であり、この調査により見積り全体が適正だったかどうかを結論付けられるわけではないと考えてはおりますけれども、いずれにいたしましても、更地返還を求めている国と、本件土地について留置権を主張して占有し、土地、建物の同時売却を要請されている相手方との間で交渉しているところでございますので、まずは報道の事実関係も含めて本件土地を今後どのようにしていくかについて、管財人や工事事業者とよく相談してまいりたいと考えております。

○山添拓君 いや、これひどい話だと思うんですね。ずっとごみの話があって、ごみ、ちゃんと調査してくれと。本当に、国交省が言うように、航空局が言うように、一万九千五百トンものごみがあったのかどうか調査してくれということを言われてきた、再調査はできないと言ってきた。しかし、再調査するつもりすらなくて、協力要請すらしてこなかったということでありました。

校舎の部分は確かに建物は建っていますから今直ちに掘り返すことはできませんが、あの値引きの根拠になったのは校舎部分だけじゃありませんので、グラウンドの部分もあるわけです。こういうところなら、今、業者と調整を行って調査することできますので、やっぱりこれは直ちにやっていただきたい。

管財人との交渉がとおっしゃいますけど、それはこれまで余り言っていなかったことなんです。新たな口実どんどん持ち出して、やらないやらないとおっしゃるのはやめていただきたいと思いますし、大臣の責任でごみの存否についても、また見積りの適正さについても改めて調査すべきだということを指摘しておきたいと思います。

続いて、法案について伺います。

都市計画法上の住民参加は、どの段階でどのように保障されておりますか。

○政府参考人(栗田卓也君) 都市計画法におきまして、都市計画決定権者は、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるというようにされております。また、都市計画決定権者は、都市計画を決定しようとするときはあらかじめその旨を公告し、当該都市計画の案を当該公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならないとされております。その公告があったときは、関係市町村の住民等は、縦覧期間の満了の日までに都市計画決定権者に意見書を提出することができるというようにされております。

なお、土地の地権者等は、提案する都市計画の対象となる土地の区域内の土地所有者等の三分の二以上の同意の取得などの要件を満たす場合には、都市計画決定権者に対し、都市計画の決定等の提案を行うことが法律上認められております。

○山添拓君 ですから、住民参加というのは都市計画決定の前後を通じて各段階で保障されておりまして、単に市町村が決めたものを押し通すというものではないということであります。

本法案は、都市計画法に市町村長が指定をする都市計画協力団体制度を創設するとしております。資料の一ページに条文を御用意しておきました。

住民団体や商店街組合などが都市計画の提案もできるとされております。提案を受けた市町村は遅滞なく採否を判断しなければなりません。こうして住民の意思を計画に反映させ得るように見えます。ただし、七十五条の九という条文案では、七十五条の六各号に定める業務の実施を通じて得られた知見に基づき提案すると、こういう条文案になっております。

協力団体の業務というのは、市町村が行う都市計画の決定又は変更について、住民の意向を把握したり、あるいは市町村の案を周知したりをする協力業務なわけです。しかし、協力団体が市町村の都市計画を住民に知らせていく中で、住民から懸念や反対の声が寄せられることもあるだろうと思います。その声を受けて、協力団体として市町村の計画に反対をし、計画の変更を提案するように、そういう決断をした場合に、これもう協力的ではないと、協力団体とは言えないということで市町村長からこの指定を取り消される、こういう事態になりかねないような気がいたしますが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(石井啓一君) 地域の課題に関心を有し、まちづくりに積極的に取り組む団体等が増えてきておりまして、市町村と住民団体や商店街組合等との協働を強化するため、今般、これらの団体を公的に位置付ける制度といたしまして都市計画協力団体制度を創設することとしております。

都市計画協力団体は、提案する都市計画の対象となる土地の区域内の土地所有者等の三分の二以上の同意の取得等の要件を満たす場合には、市町村に対し都市計画の決定等の提案をすることができることとしております。一方、市町村は、都市計画協力団体が住民の土地利用に関する意向その他の事情の把握に当たり、業務を適正かつ確実に実施していないと認めるときなどには必要な命令をし、指定を取り消すことができることとしております。

したがいまして、仮に都市計画協力団体が行う提案が土地所有者等の三分の二以上の同意の取得等の要件を満たす場合には、その提案が市町村の定める都市計画の内容に反するものであっても、その事実のみをもって都市計画協力団体の指定の取消し事由に該当するものではございません。

○山添拓君 これは大事な答弁だと思います。法律上は取り消され得るわけですね、協力業務を適正かつ確実に実施していなければ必要な措置を講ずるよう命じると言っていますから。市町村は自らに都合の悪い団体を協力的でないということで排除しかねないわけですが、それはないのだという答弁でありました。

私、むしろこれ住民団体よりも事業者がこの協力団体に名のりを上げるんではないかと懸念いたします。自ら企画提案する事業を市町村と一体になって進めるために情報収集ですとか住民への説得を可能にし、事業者の描く都市計画を加速化あるいは容易化していくものになる、そういう懸念がございます。

今お話もありました提案制度、これは実際に機能し得るのか、例を挙げて伺います。

二〇一一年の四月から、東京杉並区善福寺地区のさくら町会が外環ノ2という都市計画道路の廃止提案を行いました。元々、高架式で計画をされておりました外環道の側道として一九六六年に都市計画決定されたものです。五十年近くたって事業が再浮上した際に当時の石原都知事は、地上には道路はもう造らないと、こう言って外環道を地下方式に変更いたしました。ところが、東京都は、側道にすぎない外環ノ2、こちらは都市計画に残っているから地上案のままだ、こう残しまして、しかし説明会など行われませんでしたので、多くの住民は外環ノ2も地下になったものだと思っておりました。

地権者の八割以上、百二十一名の同意を得て、外環ノ2を一部廃止する都市計画提案が提出されましたが、東京都は初めこれを預かりおくだけだといって受理も拒否しました。その後次々に補正やデータ収集の指示を出しまして、提案者は冬の寒い中、何時間も外で交通量調査を行ったこともあったといいます。最初の提出から三年半後の二〇一四年十二月に至ってようやく正式受理となりましたが、二か月もしないうちに不採用の通知がなされました。

これ、側道だけ地上に残すというこの内容自体も不合理なんですが、手続上も提案制度を軽視しているものだと思います。これでは住民参加とは言い難いと思います。

大臣に伺いますが、都市計画の廃止を含むような提案であっても自治体は真摯に検討するべきではありませんか。

○国務大臣(石井啓一君) 都市計画の提案があった場合におきまして、当該提案を踏まえた都市計画の決定等を行わない場合には、都市計画決定権者はあらかじめ当該提案を都市計画審議会に提出をし、その意見を聴かなければならないこととされております。都市計画決定権者の判断に当たり、第三者機関である都市計画審議会の意見を聴くことにより、その適正性が確保されるものと考えております。その際、必要に応じまして、提案者が都市計画審議会において意見を述べる機会を設けることが望ましいと考えておりまして、その旨、都市計画運用指針において示しているところでございます。

なお、今委員、東京都の事例を御紹介いただきましたが、都市計画提案制度の運用につきましては都市計画決定権者の判断に委ねられておりまして、東京都における取扱いにつきましては承知をしていないところでございます。

○山添拓君 本来、提案者の意見ぐらいは聞くべきなんですけれども、今大臣おっしゃったように、提案を採用しない場合にはあらかじめ都市計画審議会の意見を聴くことになっているわけですが、東京都ではこの提案者の意見聞くようになっておりません。ですから、自治体は採用しないと決めれば圧倒的に有利に物事を運んでいけるわけです。

別の角度から伺います。

今度の法案は、都市のスポンジ化対策をうたい、一定の人口密度を維持するとしています。ところが、都心部では一定水準の維持どころか、超過密化が進んで様々な問題を引き起こしています。その象徴がタワーマンションであります。

資料の二ページ目にも新聞記事紹介しておきましたが、市街地の再開発で、超高層住宅、タワーマンションを備える割合が、九〇年代前半には一五%程度だったのが、この間は五割近くに増えているといいます。一棟当たり八百戸とか一千戸のタワマンが次々と建てられております。

人口急増による矛盾も生じています。私は港区で話を聞いてきました。白金や芝浦、相次いで建設が進みまして、この十四、五年で十五万人を切っていた人口が二十五万人に達して、九年後には三十万人と予測をされているそうです。待機児童は一千人を超えて、小学校も足りない、駅も大混雑、周辺住民にとってはビル風やあるいは日陰、日影の影響も出ると。ところが、これらの再開発を都市計画で進める際に、最も影響を受ける住民の声を行政が全然聞こうとしないと。

都市計画法の十六条一項は、自治体が都市計画案を作成しようとする場合、公聴会の開催など、住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとしています。国交省の都市計画運用指針では、その趣旨をどのように述べていますか。また、どのような運用を求めておりますか。

○政府参考人(栗田卓也君) 都市計画法第十六条に規定する公聴会の開催につきまして、都市計画運用指針では、「公聴会は、都道府県又は市町村が作成した都市計画の原案について住民が公開の下で意見陳述を行う場」であり、「法第十六条第一項において公聴会の開催を例示しているのは、住民の意見を反映させるための措置として、住民の公開の場での意見陳述の機会を確保するべきという趣旨であることに留意する必要がある。」としております。

また、都市計画への住民参加の要請がますます強まる中で、都市計画決定手続における住民参加の機会を更に拡大していく観点から、今後は、都市計画の名称の変更その他特に必要がないと認められる場合を除き、公聴会を開催すべきであるとしているところでございます。

○山添拓君 時間ですから終わりにしますけれども、例えば品川区では大崎駅西口の再開発で公聴会を開かない、地区計画案で地権者に対して事業者による説明会を行っているから構わないのだとしております。しかし、十六条一項というのは、大本の都市計画案を作る際に自治体が地権者だけでなく住民に意見を求める場を定めておりますので、正しい運用に改めるよう周知徹底していただきたいと思います。

こうした住民の声を反映させることなく進めてきた再開発によって潤っておりますのは、大企業なんですね。この間、民間都市再生事業の認定されてきたのは五十件、五年間でございますが、事業費は四兆一千三百六十七億円、延べ事業者数九十一社、そして税制優遇の総額は二百二億に上っております。その中の半分以上が東京関係でありまして、ほとんどが大企業です。

○委員長(野田国義君) 時間が来ております。

○山添拓君 都市再生といって大都市で進められている実態はばらまき、優遇だと。そうではなく、住民参加のための、あるいは住民本位の都市再生に努めるべきであることを指摘して、私の質問を終わります。

ありがとうございました。

関連記事

ページ
トップ