山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会報告

2018年・第196通常国会

インフラ輸出促進法案について質問

要約
  • 「インフラ輸出」促進法案が共産党を除く賛成多数で可決。同法は独立行政法人等が日本企業のインフラ輸出を一層支援できるようにするもの。山添議員は、国内のインフラ整備を担う独法に特定企業の支援を行わせることは本来の目的に反すると指摘し、安倍首相肝入りで進める米国へのリニア輸出を事例に、その問題点を質しました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。

昨日、財務省は、森友学園への国有地売却に関する決裁文書の改ざん前原本三千ページ、また、佐川前理財局長が廃棄済みとしていた学園側との交渉記録九百五十ページを公表しました。佐川氏の虚偽答弁はいよいよ明らかであります。麻生財務大臣の責任が問われる重大な事態と言わなければなりません。法案審議に先立って、開示されました交渉記録について若干質問をいたします。

財務省に伺います。

交渉記録の八百六十一ページ。二〇一六年四月五日の応接記録で、財務局職員が、本地の売払い価格の算出に当たっては、廃棄物埋設や軟弱地盤等の要素を踏まえるなど土地の現状を適切に反映した評価を行いたいと考えており、そのための資料を提供いただきたいと述べています。要するに、この時点ではごみの撤去費用を算出するための根拠は手元になかった、こういうことですね。

○政府参考人(富山一成君) お答えをいたします。

本件の土地につきましては、地下埋設物が二十八年三月十一日に発見された後、森友学園側から本件土地を購入したいとの要望が三月二十四日にあり、三月三十日に大阪航空局に見積りを依頼し、四月十四日に大阪航空局から近畿財務局に地下埋設物の撤去処分費用の見積りが提出され、それを受けて不動産鑑定評価を依頼したものでございます。

御指摘の二十八年四月五日につきましては、三月三十日に大阪航空局に見積りを依頼した後、応接の記録にもございますように、地下埋設物や軟弱地盤等の状況を踏まえ、撤去費用を適切に見積もる必要があるため、森友学園側に必要となる各種資料の提供を依頼し、その内容について打合せを行ったものでございまして、この時点においては地下埋設物の撤去費用の見積額は決定していないものと承知をしております。

○山添拓君 その根拠もまだなかったということです。

そこで、八百六十二ページ。グラウンド部分について、森友側の弁護士が、西側の一か所しか掘削していないと述べたのに対して、これに対して、他の箇所も確認したい、埋設廃棄物を推定できるボーリングデータなどあればいただきたいということを、航空局がこれは述べております。さらに、恐らく設計業者のキアラの発言で、グラウンド側においても深度三メートル程度からごみ等が含まれている層は確認されている、ただその層がどこまでかは確認できていないし、写真、資料など残していない、改めて掘削するしかないが、掘削しても廃棄物層の範囲、深さの推定は困難なもの、国が求めている廃棄物の推定埋設量の算定は難しいので、国で判断していただけないか、掘削自体は行って、国に確認いただける状況は用意する、こう続きます。この時点で三メートルより深いところのごみは確認できていない、写真や資料もない、新たに掘削するしかないと言っています。

ところが、昨年四月六日の当委員会で、佐藤航空局長は、私の質問に対し、三・八メートルまでごみがあった証拠とする写真、委員の皆さんにも何度か配付をした写真です、これは三月二十五日又は三十日に撮影したものだと答弁されていました。今年三月二十二日の当委員会では、蝦名局長も、私の質問に対し、四月五日に現地に確認に行った際に写真の提示を受けながら現場を確認したと答弁されていました。

おかしいじゃありませんか。四月五日の時点で、これから掘削するしかないと言って、写真や資料はないと言っている、矛盾しているんじゃありませんか。

○政府参考人(蝦名邦晴君) お答え申し上げます。

平成二十八年四月五日の現地確認に関する御指摘の発言につきまして、国土交通省として、どういう内容であるか、どういうことかということについての詳細は今承知しておりませんけれども、深度三・八メートルの試掘の写真につきましては、四月五日の現地確認が行われた後に、工事写真や試掘の位置図や説明が記載された報告書の形のものを入手したということで御説明をしてきたところでございます。

今の御指摘の点につきまして、そうしたお説の記録も公表されたことを受けまして、現在事実関係の確認を行っているところでございます。

○山添拓君 つまり、以前の答弁は間違いだった可能性があるということですか。

○政府参考人(蝦名邦晴君) 事実関係の確認をした上で回答させていただきたいというふうに思います。

○山添拓君 確認が必要な事態になっているんですよ。八億二千万円の値引きの根拠という出発点の問題が改めて問われています。その見積りが適切だと一貫して述べてこられた石井大臣の責任も当然問われます。引き続き徹底究明が必要であることを指摘し、今日は法案について質問をいたします。

今度の法案は、国交省所管の九つの独立行政法人等に海外インフラ事業への日本の事業者が円滑に参入するようにするための調査などを行わせようという法案です。かつてODAは途上国支援の位置付けでしたが、今や日本企業の利益のために用いられています。JBIC、国際協力銀行も、当初は途上国向けだったものが先進国向けに拡大をされました。今度の法案は、途上国支援などの大義名分や理念もなく、成長戦略としてインフラ輸出を狙う企業の受注機会を拡大させる、こういう露骨な性格を持ったものです。案件の形成から運営、維持管理まで官民一体で進めて、独法が結果として特定の企業の海外展開をするのを支援する。

しかし、これは国内なら考えられないことじゃないでしょうか。ある事業について、政府所管の独法が特定の企業に受注をさせ利益を得させるようにサポートするというのは、公務の中立性やあるいは全体の奉仕者としての公務員という憲法の要請にも反するものです。なぜ海外インフラ輸出であれば許されるんでしょうか、大臣、御答弁ください。通告していますから、大臣、御答弁ください。

○国務大臣(石井啓一君) 本法案では、独立行政法人等が有する公共性の高い法人としての信用力、中立性や交渉力に加えまして、国内業務を通じて蓄積をしました、民間企業にはない技術、ノウハウを活用して海外業務を行うことで、民間企業のみでは参入が困難である案件において海外市場への参入を促進するものであります。これは、特定の企業を対象とするものではありませんで、中小企業なども含めた海外展開を図る日本企業全体が参入しやすくするような環境づくりを海外において行おうとするものであります。

これによりまして、我が国企業の海外市場への参入機会が拡大をいたしまして、日本経済の成長に寄与することが期待をされることから、インフラシステムの海外展開に独立行政法人を活用する意義は十分にあるものと考えてあります。

○山添拓君 余りお答えになっていないんですけど、要するに企業の利益を拡大させる、受注させて拡大させることがもう正面から目標にされているわけですね。

本来、独立行政法人というのは、日本の国内で仕事をする場合には、例えば国内の公共事業ですと、一応は国民の公共の利益のために仕事をするわけです。しかし、海外インフラというのは海外の人が使うものですから、国民は利益を享受いたしません。本法案の目的は企業が受注できるようにすることであって、受注した事業そのものによって国民生活が向上するというものではありません。ですから、独法にやらせる必要性も許容性も問題となると私は考えます。

特定の企業の利益のためにインフラ輸出を推進する最たるものがリニアです。安倍首相は、アメリカへのリニアの売り込みに異常なほど執着をしています。ワシントン―ニューヨーク―ボストン間七百三十キロを結ぶ構想です。

二〇一三年の二月、安倍首相が初めての日米首脳会談でリニアに言及をしました。二〇一四年四月には、ケネディ駐日大使を実験線の試乗に招き、JR東海の葛西名誉会長、安倍首相とじっこんですが、この方も同席をし、オバマ大統領の来日時には、超電導リニア技術を無償提供すると、その考えを示しました。これは言うまでもなく、JR東海のリニア技術です、ほかにはありませんので。

第一段階として、ワシントンとメリーランド州のボルティモア間、約六十キロを十五分で結ぶ計画があります。建設費一兆円とされています。安倍首相はこのうち五千億円をJBICを通じて日本が融資すると提案したと報じられております。事実ですか。

○国務大臣(石井啓一君) 米国のワシントン―ボルティモア間の超電導リニア技術の導入につきましては、日米首脳会談の機会を捉えて安倍総理から日米協力の象徴として数次にわたり御提案いただいているものと承知をしております。

今御質問がありましたJBICの融資の件につきましてですが、これ国土交通省の所掌ではございませんので、お答えは差し控えさせていただきます。

○山添拓君 答えられないというんですよ、安倍内閣の一員である石井大臣が。これ事実であれば、日本政府の対外融資で最大規模とされています。こんな重大な融資提案について密室で進めることは許されません。

二〇一五年の六月、メリーランド州知事が実験線に試乗しまして、安倍首相も同行しました。十一月にはアメリカ運輸省の長官も試乗しています。州の主導で計画立案や設計分析、環境評価など事前調査を行うことになり、約四十二億円の費用のうち三十四億円についてはアメリカ連邦鉄道局の補助金が認められました。残りの八億円が過大になりまして、州知事がJR東海の柘植社長と会った際、四分の一は日本政府にも負担をお願いしたいと述べたと言われます。

安倍政権は二〇一六年度以降、一般会計予算から毎年約二億円、一九年度まで合計八億円の支出を予定しています。州知事の要望したとおりに事が運んでおります。八億円もの調査費の支出は異例なんですが、その法的根拠は何ですか。

○政府参考人(藤井直樹君) お答えを申し上げます。

米国、ワシントン―ボルティモア間の超電導リニア構想につきましては、平成二十八年度から平成三十年度まで、国土交通省予算に調査費を毎年度二億円計上し、具体の計画策定に向けた調査を行っているところでございます。

なお、この本調査費は経済協力委託調査費の一部として国土交通省予算に計上され、予算執行の手続にのっとり執行されているところでございます。

○山添拓君 ですから、特に法律に基づいて執行しているというよりも、単に予算措置をして行っているものなんですね。

国交省所管の委託調査費に関する契約状況を見ますと、相手方が外国企業であったのはこの一件のみでした。ノースイースト・マグレブ社といいます。JR東海の支援を受けて、アメリカ東海岸でリニア計画を進めるプロモーション会社です。一億円を超える契約額になっているのもこの会社のみです。異例の好待遇です。

日本で建設中のリニア中央新幹線は、南アルプストンネルや大深度地下など難工事があり、地下水や崩落など自然環境への影響、残土の搬出やトラックの騒音など生活環境への影響、地震や事故対策、電力消費量や電磁波の影響など、問題が山積し、実用化そのものに批判が強いものです。未完成の技術でもあります。その上、リニア単体では採算が取れないとJR東海の社長が公言をし、事業の大きさゆえにスーパーゼネコンによる談合の温床にもなってまいりました。

アメリカのリニア構想は総工費十兆円を超えます。現地の市民から否定的な意見も既に出されています。政府は、八億円を投じた委託調査について、米国側に提案する技術的事項をまとめることで、今後の米国側における技術検討を促進すべく調査を実施すると、こう言っています。

仮にリニアが採用されなければ、この八億円はどうなるんですか。

○国務大臣(石井啓一君) 米国、ワシントン―ボルティモア間の超電導リニア構想につきましては、平成二十八年度より三十年度まで国土交通予算に調査費を毎年度二億円計上してきているところであります。

国土交通省といたしましては、米国において超電導リニア技術が着実に採用されるよう、この調査の結果を十分に活用しつつ、引き続き米国への働きかけを行ってまいりたいと考えております。

なお、超電導リニア技術が採用されなかった場合という仮定の御質問に対しましては、お答えは差し控えさせていただきます。

○山添拓君 いや、採用されないことだって十分あり得るじゃないですか。採用されたらこうだという話はされるのに、採用されなかったらどうだという話はできないとおっしゃるんですか。それはおかしいと思いますね。

採用できなければ……(発言する者あり)

○委員長(長浜博行君) 御静粛に。

○山添拓君 されなければ、これはもう掛け捨てなんですよね。受注できればJR東海の利益ですよ。採用されなければ国民の税金、国民の負担ということになります。企業の利益のためにリスクと負担を国民に押し付けるものです。大体、先進国であるアメリカの公共事業のために日本の税金を投入する必要などありません。こんな計画は中止するべきだということを私申し上げておきたいと思います。

本来、独立行政法人というのは、多国籍企業を支援するために設立されたのではありません。国内のインフラ整備を担ってきた、国民の財産というべきものです。国内のインフラ施設が今一斉に更新時期を迎えて、対策のために膨大な時間や費用が必要と指摘をされています。例えば、全国で八割以上が赤字経営の水道事業、今後十年以内に四十年の耐用年数を超える水道管が四割とされますが、その更新は一年に総延長の一%しか進んでいないと言われます。更新のために、上下水道を合わせれば、二〇二五年までに百二十兆円も必要だともされています。

今、例えば世界の水ビジネスの市場にうつつを抜かすのではなくて、国内で求められるインフラ整備にこそ責任を果たさせるべきだ、このことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。

ありがとうございました。

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