山添 拓 参議院議員/弁護士 東京選挙区候補 日本共産党

国会報告

2018年・第196通常国会

消費者契約法一部改正法案 本会議で質問

要約
  • 消費者契約法改正案が25日、参院審議入りし、山添議員が本会議で質問。山添議員は、民法改定案にある成年年齢引き下げで未成年者であることを理由に契約の取り消しができる「未成年者取消権」がなくなれば、18、19歳の消費者被害が拡大するのは明らかだと指摘し、悪質な勧誘や不当な契約から消費者を守る包括的な取消権を設定する必要があると主張した。

 

○山添拓君 日本共産党を代表して、消費者契約法の一部を改正する法律案について質問します。

法案に先立ち、日を追うごとに明らかになる安倍政権のうそとごまかしの数々について、改めて指摘しなければなりません。

財務省は、おととい、森友学園との九百五十ページに上る交渉記録を公表しました。佐川前理財局長が国会で廃棄済みと答弁したのに合わせて、決裁文書の改ざんと並行して廃棄を進めたといいます。悪質極まりない隠蔽です。

麻生財務大臣、まず、国民と国会に対し謝罪すべきではありませんか。

交渉記録には、安倍昭恵氏付きの職員だった谷査恵子氏が財務省理財局に問い合わせた状況として、国有地の賃料減額で優遇を受けられないかと総理夫人に照会があり、当方からお問い合わせさせていただいたと記されています。昭恵氏の指示による問合せであることは疑いようがありません。これでも昭恵氏は関与していないと強弁するおつもりですか。

公文書改ざん、組織的隠蔽、虚偽答弁、事務次官のセクハラ、民主政治の根幹を揺るがし、個人の尊厳を否定する事態が次々明らかになっています。いずれも麻生大臣の下での疑惑と不祥事です。大臣は、それでも辞任する必要はないと開き直るつもりですか。

安倍政権で続発する重大疑惑の徹底究明こそ、国会に求められる最優先の課題です。働かせ方大改悪の一括法や、TPP、カジノ実施法など、悪法の強行に暴走するなど言語道断であることを指摘し、以下、法案について質問します。

悪質な勧誘や不当な契約から消費者を守るための包括的なルールとして制定されたのが、消費者契約法です。今度の法改正は、二〇一六年の改正で積み残しとなった検討課題について、必要な措置を講ずるとした衆参の附帯決議に基づくものであり、消費者団体や日弁連などが粘り強く求めてきました。

一方、安倍総理は今国会の施政方針演説において、成人年齢を十八歳に引き下げる中で、消費者契約法を改正し、若者などを狙った悪質商法の被害を防ぎますと述べました。民法改正で成人年齢が引き下げられれば、十八歳、十九歳の若者が親の同意なしに高額の買物や借金やクレジットカードの利用ができるようになる一方、未成年者であるというだけで取消しができる未成年者取消し権がなくなります。

ところが、本法案による新たな契約取消し権は、不当な勧誘行為による契約などに限られ、若年層の保護として全く不十分です。上川法務大臣は、本法案が、十八歳、十九歳から未成年者取消し権を奪う代償措置となるとでもお考えなのですか。

例えば、国民生活センターによれば、マルチ商法の相談件数は、二十歳から二十二歳が十八歳、十九歳の一二・三倍、フリーローン、サラ金の相談件数は一一・三倍とされ、二十歳を境に明らかに増加しています。未成年者取消し権が、消費者被害から未成年者を保護する最大の防波堤となってきたことをどう認識していますか。法務大臣、お答えください。

十八歳、十九歳の未成年者取消し権が奪われれば、この世代の消費者被害が拡大することは目に見えており、防止のための施策が必要です。悪徳業者による悪質な勧誘や不当な契約は、手を替え品を替え行われます。被害が増加した一部の類型をその都度加えるのではなく、幅広い受皿となる取消し権が必要です。事業者が消費者の判断力、知識、経験等の不足に付け込んで締結させた契約について、包括的な取消し権を設定する消費者契約法の改正が必要ではありませんか。

また、特定商取引法、割賦販売法、貸金業法を改正し、若年者を対象とする勧誘や資力要件とその確認方法の厳格化、キャッシングにおける総量規制などを設けるべきと考えます。

以上、消費者保護の観点から福井大臣の見解を求めます。

未成年者取消し権に代わる施策とは言い難い本法案には、更に重大な懸念があります。本法案には、新たに契約取消しができる場合として、過大な不安をあおった契約や恋愛感情等人間関係を濫用した契約を追加しました。その要件に社会生活上の経験が乏しいという文言を追加したことが、国会内外で厳しく批判されています。

福井大臣に伺います。

この要件は、主体を若年層に限定する趣旨ですか。こうした類型の被害は専ら若年層だけで問題になるとお考えですか。

社会生活上の経験が乏しいという文言では、通常は若年者しか含まれません。一方で、高齢者や中高年の勤労者で社会生活上の経験がある者でも、精神的こんぱいやうつ病などのために判断力を失い、いかがわしい精神セミナーや再就職セミナーに勧誘されるケースは十分にあり得ます。しかし、大臣が幾ら中高年も含まれると言い、解説や事例集で対応しようとしても、法律に社会生活上の経験が乏しいと書き込めば、裁判などの実務において消費者が保護される保障はありません。だからこそ、この文言自体の削除が求められ、また次善策として衆議院で修正提案がなされたのではありませんか。

衆議院における修正は、新たに加齢や心身の故障による判断力の低下を利用して不安をあおった契約や、いわゆる霊感商法について追加して定めました。この下でも、社会生活上の経験が乏しいという文言は若年層に限られないという衆議院での答弁に変わりはありませんか。お答えください。

そもそも、政府が社会生活上の経験が乏しいとの要件を追加したのは、いつ、誰の判断によるものですか。本年一月二十二日、安倍首相が施政方針演説で、成人年齢の引下げと消費者契約法改正とをリンクさせて述べたのを受け、首相発言に合わせるために追加したのではありませんか。

この点に関わる衆議院の審議で、大臣が自らの答弁の修正と撤回を繰り返すという混乱が生じました。社会生活上の経験が乏しいという要件にあくまで固執するために、この文言に高齢者も含まれるとしたり、含まれないとしたり、本会議答弁を委員会で修正しようとしたりするなど、まさに迷走です。余りにも場当たり的ではありませんか。消費者委員会での議論もなくこの文言を追加したことこそが大きな混乱を招いているという認識をお持ちですか。

以上、福井大臣の答弁を求めます。

内閣府の二〇一三年の調査によれば、十八歳、十九歳の若者が、親の同意なく一人で高額な商品を購入するなどの契約をできるようにすることについて、反対、どちらかといえば反対の合計は七九・四%に上ります。

成人年齢の引下げを議論した二〇〇九年法制審議会の最終報告では、法整備に関して、若者の自立を促すような施策、消費者被害の拡大のおそれを解決する施策が実現されること、これらの施策の効果が十分に発揮されること、施策の効果が国民の意識として現れることという三つのハードルをクリアするよう求めています。上川大臣は、これらのハードルが既にクリアされたと認識しているのですか。

若者の自己決定権を尊重することは当然です。しかし、必要な保護まで奪うべきではありません。高校を卒業し、進学や就職によって初めて社会へと歩みを進める十八歳、十九歳の消費者被害を防止する、包括的で実効性のある施策が求められることを改めて指摘をして、質問を終わります。

ありがとうございました。(拍手)

〔国務大臣福井照君登壇、拍手〕

○国務大臣(福井照君) 山添議員にお答えをいたします。

いわゆる付け込み型勧誘に対する取消し権の設定等の法整備の必要性についてお尋ねがございました。

消費者契約法については、付け込み型勧誘による被害の救済を広く図ることは重要な課題であり、被害事例や裁判例の分析等を進め、引き続き検討してまいりたいと考えております。

その他の法令につきましても、現行の制度における対応を着実に実施するとともに、必要に応じて更なる対応を検討してまいります。

社会生活上の経験が乏しいという要件の主体についてお尋ねがございました。

消費者が若年者でない場合であっても、社会生活上の経験の積み重ねにおいて、これと同視するべき者は年齢にかかわらず本要件に該当し得るものであり、取消し権を行使する主体を若者に限定する趣旨ではありません。

また、こうした類型の被害は、専ら若年層だけで問題になると考えているものでもありません。

社会生活上の経験が乏しいという文言についてお尋ねがございました。

この要件は、年齢によって定まるものではなく、社会生活上の経験の積み重ねが契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていないような消費者であれば、若年者であっても中高年者であっても救済され得るものでございます。

したがって、御指摘のような点は当たらないと考えてございます。

社会生活上の経験が乏しいという文言が若年者に限られないのかという点についてお尋ねがございました。

社会生活上の経験が乏しいことという要件は、年齢によって定まるものではありません。この説明は、衆議院での説明から変わるものではございません。

社会生活上の経験が乏しいを追加した経緯についてお尋ねがございました。

消費者契約法専門調査会では、知識、経験の不足など、合理的な判断をすることができないような事情に付け込む被害事例について検討が行われ、その上で、できる限り客観的な要件をもって明確に定める必要があるものとして、昨年八月に報告書が取りまとめられた次第でございます。

本要件は、この報告書が政府内における法制的な見地から更なる検討を行うものとされていたこと等を踏まえ、政府部内における原案作成過程で加えられたものでございます。

いずれにせよ、本要件は、総理の施政方針演説を受け追加したものではございません。

社会生活上の経験が乏しいことからとの要件と衆議院での答弁に関するお尋ねがございました。

社会生活上の経験が乏しいという要件は、当該消費者における社会生活上の経験の積み重ねが、一般に、消費者契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていないことを意味するものでございます。

したがって、本要件は、年齢を要件とするものではなく、総じて社会生活上の経験の積み重ねが少ない若年者への適用には支障はなく、また、消費者が若年者でない場合であっても、社会生活上の経験の積み重ねにおいてこれと同視すべき者は、本要件に該当し得るものでございます。

衆議院における答弁は、いずれもこのような趣旨で述べたものであり、矛盾するものではないと考えております。

社会生活上の経験が乏しいことからの文言を追加したことが混乱を招いているという認識を持っているかというお尋ねがございました。

社会生活上の経験が乏しいことからとの要件は、取消し権の適用される範囲について、既に規定されている不退去、監禁と同様に、消費者に類型的に困惑をもたらす不当性の高い事業者の行為を特定し、明確化するものでございます。

なお、衆議院での審議におきまして、私の誤った答弁及び消費者庁の不適切な対応によりまして審議の混乱をもたらせてしまったことにつきましては、真摯におわびを申し上げたいと存じております。

以上でございます。(拍手)

〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

○国務大臣(麻生太郎君) 山添議員から、森友学園への国有地貸付け、売却等について計三問お尋ねがあっております。

まず、森友学園との交渉記録の廃棄についてのお尋ねがありました。

職員の手控えなどとして残されておりました交渉記録につきましては、国会答弁との関係で、昨年二月以降、廃棄が進められていたという報告を受けております。

このような状況は適切なものではありません。私といたしましても、深くおわびを申し上げます。

次に、森友学園への国有地の貸付け、売却への総理夫人の関与についてのお尋ねがありました。

今般、国会に提出した交渉記録の中には、夫人付きが財務省職員への問い合わせた内容に関する記録や、森友学園側が夫人の名前を出していたことが記述されている記録がありますが、交渉記録全体を見れば、総理夫人との関係で不当に森友学園に譲歩した事実は見受けられないと考えております。

本件土地の処分につきましては、これまでも国会で説明をさせていただいておりますとおり、校舎の建設工事が進む中、新たな地下埋設物が発見されております。相手側から損害賠償請求のおそれがあるなど切迫した状況の中で行われたものであり、ぎりぎりの対応であったと考えております。

最後に、森友問題やセクハラ問題に関する私の責任についてのお尋ねがありました。

文書の書換えなどの一連の問題行為は、これは極めてゆゆしきことなんであって、誠に遺憾であります。調査を尽くしました上で、関係者の処分を含め必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

また、前事務次官のセクハラ問題についても、これは甚だ遺憾であり、今後、セクハラ、パワハラを許さない組織文化を徹底してまいりたいと考えております。

その上で、再発防止、信頼回復に向けて全力で取り組むことにより、大臣としての職責を果たしていきたいと考えております。(拍手)

〔国務大臣上川陽子君登壇、拍手〕

○国務大臣(上川陽子君) 山添拓議員にお答え申し上げます。

まず、本法律案が十八歳、十九歳の未成年者取消し権を奪う代償措置となるのかについてお尋ねがありました。

成年年齢を引き下げた場合には、十八歳、十九歳の者は未成年者取消し権による保護を受けることができなくなります。そのため、若年者の消費者被害への対策が必要となりますが、他方で、これらの者に対して一律に未成年者と同等の保護を与えた場合には、若年者の社会参加を促し、その自立を促すという成年年齢の引下げの意義を大きく減殺するものと考えられます。

そこで、若年者の消費者被害への対策としては、消費者教育により自立した判断力を育てることが重要であり、その上で、消費者に自己責任を求めることが適切でない悪質な勧誘行為が行われた場合等を対象として取消し権等の制度的な保護を与えることが適切であると考えております。

今般の消費者契約法の改正によって追加される不安をあおる告知や人間関係の濫用によって締結された消費者契約に関する取消し権は、若年者を中心に発生している消費者被害事例を念頭に置いたものであり、消費者教育の充実等の他の施策と相まって、十分な消費者被害への対策となるものと考えております。

次に、未成年者取消し権が果たしてきた未成年者を保護する役割への認識についてお尋ねがありました。

未成年者取消し権は、未成年者の保護を図るためのものであり、御指摘のとおり、未成年者の消費者被害を防ぐ役割を果たしてきたものと考えております。

成年年齢を引き下げた場合には、十八歳、十九歳の者は、未成年であることを理由として契約を取り消すことができなくなります。このため、先ほど申し上げましたとおり、若年者の消費者被害への対策が必要となりますが、今般の消費者契約法の改正は、消費者教育等の他の施策と相まって、十分な消費者被害への対策となるものと考えております。

最後に、法制審議会の最終報告書での指摘がクリアされたと認識しているかとのお尋ねがありました。

これまで政府としては、消費者被害の拡大を防止するために各種の施策に取り組んできました。

例えば、教育の面からは、平成二十年及び二十一年の学習指導要領の改訂により、消費者教育、法教育、金融経済教育等の充実が図られ、現在の高校生は既に改訂後の学習指導要領に基づく教育を受けています。ただいま議題となっている消費者契約法の一部を改正する法律案も、消費者被害の拡大の防止に資するものです。

また、若年者の自立を促すような施策については、例えばキャリア教育などのキャリア形成に対する支援や、教育現場へのスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の推進、相談窓口の充実といった施策に取り組んできました。

法務省としては、これらの施策が相応の効果を上げ、国民にも浸透していると考えており、法制審議会の最終報告書で掲げられた三つの条件をクリアしているものと考え、今般、国会の判断を仰ぐために民法の一部を改正する法律案を提出したものです。

環境整備のための施策については、今後も省庁横断的に更に充実強化を図る必要があると考えています。政府としては、成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議を開催し、平成三十四年四月一日の施行日に向けて工程表を作成した上で全体的な進捗管理を行っていくこととしており、施行日までにこれらの施策が十分な効果を発揮し、国民の理解が得られるよう、引き続き努力してまいりたいと考えております。(拍手)

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