山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2018年・第197臨時国会

ユニバーサル社会実現推進法案について質問

要約
  • 国交委員会でユニバーサル社会推進法案について質問。一人ひとりの特徴や状況に応じて生じる障害、困難さ=社会的障壁の除去には、個別の調整や変更すなわち「合理的配慮」という視点が重要であること、また外国人が構成員として尊重される社会へ実効性をもった法案となることを期待すると述べました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 障害者や高齢者などが、社会の対等な構成員として、一人一人が個人として尊重される共生社会を築くために、諸施策の総合的で一体的な推進が図られることは重要だと考えます。ただし、その法制化としてはいささか遅過ぎるのではないかという感じも一方であります。
 二〇〇四年の六月、私もこれ調べてみましたが、参議院の本会議でユニバーサル社会の形成促進に関する決議が全会一致で上げられ、既にその中でユニバーサル社会の形成を目指す必要性が強調され、「このような社会の形成を目指し、そのための総合的な社会環境の整備を進めることは、国会及び政府の重大な責務である。」、こう述べておりました。その後も、厚労委員会や国交委員会で障害者施策の充実やバリアフリー化の促進を求める議論の中で、ユニバーサル社会についての発言も繰り返されております。
 そこで、発議者に端的に伺いたいのですが、今この法案を作ることの意義はどこにあるのか。ユニバーサル社会の概念を初めて国会が国会として意思表示をしてから十数年がたつわけですが、その実現に向けた諸施策の一体的な、あるいは総合的な推進が図られてこなかったのだとすれば、その要因は何だとお考えかを伺いたいと思います。
○衆議院議員(盛山正仁君) 今、山添委員が御指摘されたとおり、ユニバーサル社会の実現に向けた施策というものは、障害者基本法に基づく障害者基本計画、高齢社会対策基本法に基づきます高齢社会対策大綱など、法律ごとに施策の展開がなされております。これらの施策は、例えば、高齢者・障害者雇用については厚生労働省が、交通バリアフリーについては国土交通省が、特別支援教育については文部科学省といったように、関連法令のその法律の目的に沿って省庁単位あるいは事業単位で実施されてきた部分が多いのではないかと認識しております。
 しかしながら、先ほど来委員が御指摘されたとおり、障害者や高齢者の方々から、各施策がばらばらに実施されている、これらを連携して実施してくれないかという声が上がっているところでございます。そこで、関連する諸施策について、ユニバーサル社会の実現という観点から、今回、横串を刺すことによって一層充実したものとなるようにするため、この法案を提出したところでございます。
 これまで、国連の障害者権利条約でユニバーサルデザインという概念が示され、国会の場でもそういう認識が示されたにもかかわらず、なかなかそれぞれの法律の連携が図ってこられなかった、それを今回のこの法律で一歩でも二歩でも解消したいというのが我々の提案の理由でございます。
○山添拓君 是非そのように進むことを望みたいと思いますし、今御指摘もあったように、やはり障害者、高齢者など対策に求められるのは、既にある個別の法律に基づく施策を充実させるということであろうと思います。
 しかし、例えばバリアフリー法改正法の審議の中では、障害者団体などから強い希望のあります移動の権利の明記について、政府は、国民的なコンセンサスが得られていない、時期尚早だ、こういうことを繰り返して、消極的な態度に終始していたように思います。
 本法案は、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の推進を新たな国民的なコンセンサスとするものだと思います。第六条では、そのために必要な法制上あるいは財政上の措置等を国にも命じているところです。この法案を契機として各分野の法制度が着実に前進するように、政府にも求めておきたいと思っております。
 次に、本法案の二条三号は、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の定義として、ユニバーサル社会の実現に関する国際的動向を踏まえ、同条各号に定める事項を達成することを目指して行われる諸施策をいうんだと、こう書いております。
 二〇〇六年に採択された障害者権利条約は、その二条で合理的配慮を掲げております。これは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいうとされています。この合理的配慮の概念は、障害者基本法や障害者差別解消法にも位置付けられておりますし、真に社会的障壁を除去するためには不当な差別的取扱いを禁止するだけでは足りずに合理的配慮も求められるんだ、こういう考えに基づくものだろうと思います。
 本法案では、二条三号イで社会的障壁の除去を掲げておりますが、合理的配慮という文言そのものはないかと思います。
 そこで伺いますが、本法案は、一人一人の特徴や状況に応じて生じる障害、困難さ、すなわち社会的障壁、これを取り除くための個別の調整や変更、すなわち合理的配慮をユニバーサル社会の実現に向けた諸施策において求めるものだと考えてよいものでしょうか、御答弁をお願いします。
○衆議院議員(小宮山泰子君) ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の一つとして、本法案では社会的障壁の除去を目指して行われる施策が位置付けられております。委員指摘の合理的配慮という言葉ではございませんけれども、このことを踏まえた上で、ユニバーサル社会の実現に向けた具体的な施策において必要に応じて社会的障壁の除去を目指して配慮を行う措置が講じられることとなるのではないかと考えておりますので、ほかの条約など様々なところと連動して、しっかりとその理念というものは取り込まれております。
○山添拓君 是非そのように推進されることを求めたいと思いますし、やっぱり一人一人の人格と個性を相互に尊重する社会、共生社会のためには合理的配慮というのが不可欠な視点であることも強調したいと思います。
 ユニバーサルというのは、普遍的なとか誰もがというように訳される言葉かと思います。障害者や高齢者が社会の構成員として尊重されるべきことはもちろんですが、女性やLGBT、子育て世代なども含まれるべきだろうと思います。衆議院では、我が党の宮本岳志議員の質疑的発言に対して小宮山泰子議員が、LGBTの方々もユニバーサル社会の構成員だと明言をしていただいております。
 ユニバーサル社会の推進については、地方自治体で条例制定なども進んでおりまして、例えば兵庫県のユニバーサル社会づくりの推進に関する条例は、我が国とは異なった言語及び文化を守りながら生活する外国人県民並びに観光その他の目的で来訪する外国人が増加する中、異文化との共生又は交流も円滑に図っていく必要がある、このように規定して、言語や文化の違いを問わず、全ての人が包摂され自信と尊厳を持って暮らすことのできるユニバーサル社会こそが豊かな社会である、こう定義をしております。
 そこで伺いますが、本法案二条二号で、日常生活や社会生活上配慮を要する者の中には外国人は明記をされておりませんけれども、ユニバーサル社会の構成員には日本に住むあるいは日本を訪れる外国人も含まれるんではないかと考えますが、これはいかがでしょうか。
○衆議院議員(盛山正仁君) 今委員が御指摘されましたところでございますけれども、本法案では、第一に、既存の諸施策の総合的かつ一体的な推進を図るという観点から、その横串を刺すのに適当な施策を対象としております。第二に、本法案の目的に沿った形で施策の対象を明確にすることで施策の効果的な推進を図る必要があること。これらを踏まえて、国籍という属性に着目して施策の対象を限定するようなことはしておりません。
 また、一般的に、ユニバーサル社会というのは、障害の有無、年齢、性別、国籍、文化などの多様な違いにかかわらず、一人一人が社会の対等な構成員として尊重され、共生する社会を意味するとされております。
 本法案が最終的に目指すのも、誰にとっても区別のない、差別のない、そのような社会の実現であると我々は考えているところであります。
○山添拓君 ありがとうございます。
 国交省はインバウンド対応として外国人向けの施策もたくさん行っておりますし、この間、災害時の外国人への情報提供の在り方なども課題であることが明らかになりました。まして、既に百二十八万人に上る外国人労働者が日本社会の構成員として存在をしております。
 ところが、例えば法務省の二〇一六年度外国人住民調査報告書によれば、過去五年間に日本で住む家を探した経験のある方のうち、外国人であることを理由に入居を拒まれた、断られた、この方は三九・三%、あるいは、過去五年間に日本で仕事を探したり働いたりしたことがある人のうち、同じ仕事をしているのに賃金が日本人より低かった、これが一九・六%などとされております。
 外国人の技能実習生が恋愛禁止だとか、妊娠すれば中絶や帰国を迫られる、あるいは最近報道されましたシャープの亀山工場での二千九百人の外国人労働者の雇い止め、あるいはヘイトスピーチなど、外国人に対する差別と偏見が根底にあると思います。
 外国人も構成員として、人として尊重する社会のためにも、本法案が実効性を持って機能することを期待しまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。