山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2020年・第201通常国会

本会議で20年度予算案への反対討論に立ちました。

要約
  • 本会議で20年度予算案への反対討論に立ちました。 新型コロナの感染拡大が深刻化する中、国民の命と健康を守る政治の責任が問われています。自粛要請で苦境に陥る人達への抜本的な直接支援を。5.3兆円の大軍拡、大企業優遇をやめ、暮らし第一の予算への転換を訴えました。

○山添拓君 日本共産党を代表し、二〇二〇年度一般会計予算外二案に反対の討論を行います。
 新型コロナウイルスの感染が深刻、重大化しています。
 政府が新型インフル特措法に基づく対策本部を設置しました。感染状況を正確に把握し、専門家会議の見解を踏まえ、適切な情報提供に努めるよう求めます。
 感染拡大を可能な限り抑え込み、命と健康を守ることに最大の力を注ぎつつ、経済危機からいかに国民生活を守るのか、政治の責任が厳しく問われています。
 日本共産党は、倒産とリストラ、失業の連鎖を引き起こさない、外需頼みではなく内需、とりわけ家計、中小企業支援に力を集中するよう緊急に提言しています。
 政府は、全国一律休校要請、イベント自粛要請、さらには密閉、密集、密接、三条件回避の要請など、自粛や要請という言葉で国民に自主的な判断を求めながら、直接の支援を行おうとしません。その姿勢が多くの国民に不安を広げ、感染拡大防止を実効あるものとする上でも大きな問題となっています。
 雇用調整助成金の補助率を十分の十に引き上げ、飲食、宿泊、運輸など実態に即した要件、手続にする、フリーランスや雇用保険に入っていない非正規労働者、学業とバイトを両立してきた学生にも、暮らせる水準の所得補償を行うべきです。
 中小事業者への無利子、無担保融資五千億円は、諸外国の例、リーマン・ショックなどでの我が国の実例と比べても余りにも乏しい。対象を広げ、融資枠を二十兆円規模に拡大するよう求めます。税や社会保険料の減免、家賃、地代、水光熱費、リース代など、事業を継続するための固定経費を直接助成することが必要ではないでしょうか。
 文化、芸術、スポーツ団体など、このままでは潰れてしまうと悲鳴が上がっています。イベント自粛の要請に協力を求める以上、会場のキャンセル料や出演者への支払など、中止に伴う必要経費を補填する支援を直ちに具体化するべきです。
 いつまで続くか分からないという多くの国民の不安に寄り添い、抜本的な直接支援を強く求めるものです。
 もとより、現下の経済危機は、新型コロナの影響のみによるものではありません。
 昨年十月から十二月のGDPは年率マイナス七・一%、一月の景気動向指数は六か月連続で悪化です。消費増税の影響は明らかです。総理は、一月にかけて消費税率引上げの影響は薄らいできていたなどと述べましたが、その一月の家計消費が落ち込んだままという事実を受け止めるべきです。
 本予算案の前提となる昨年七月から九月の実質GDPは、遡及改定で年率一・八%から〇・一%へ下方修正されています。増税不況を無視した楽観的な予算案では、そもそも暮らしと経済を支えることはできません。
 昨日発表された三月の月例経済報告は、厳しい状況としています。新型コロナの影響は長期化が懸念されます。政府が頼みの綱とする東京オリンピックも延期が決まりました。全ての人が、とりわけ所得の低い人も直ちに実感できる経済対策が必要です。今こそ消費税を五%に減税する、その政治的判断を下すべきではありませんか。
 本予算案は、現在我が国の社会と経済が求める政治の役割を期待し得ないものとなっています。しかもその内容は、社会保障の切下げ、大企業優遇と大軍拡という重大な問題を抱えています。
 社会保障費の自然増分を一千二百億円もカットし、年金は実質削減が続いています。さらに、この先、新型コロナ対策で大きな役割を発揮している公的・公立病院の再編統合を進め、七十五歳以上の医療費二割負担の導入、介護利用料の負担増、保育所予算の削減など、全世代にわたる社会保障切捨てを狙っています。
 一方で、四百五十六兆円に上る内部留保を抱える大企業には、5G、オープンイノベーションなど更なる優遇策を設けるといいます。大企業優遇税制を改め、富裕層の累進課税強化へいいかげんに踏み出すべきです。
 軍事費は過去最大、五兆三千億円に上ります。後年度負担は五兆四千億円にも達し、相変わらず米国製兵器の爆買いに突き進んでいます。安倍政権は、この上、トランプ大統領が求める思いやり予算の増額にまで応じるつもりですか。思いやるべき相手は、米軍ではなく国民です。
 辺野古新基地予定地に広がる軟弱地盤が、政府が国会に提出した資料で改めて浮き彫りになりました。技術的にも財政的にも破綻した新基地建設は断念するべきです。
 関西電力の第三者委員会報告書は、元助役の金品提供の目的が関電からの工事発注約束などの見返りにあったと認定し、原発マネーの還流がいよいよ明らかになりました。その構造的問題を改めることなく再稼働ありきは許されません。
 中小企業対策費は過去最低、文教予算も更に削減し、乏しい農業予算では自由化による深刻な打撃や自給率の低下を食い止めることができません。気候変動への消極的な姿勢が国際的に厳しく批判される中、石炭火力発電の国内での新設と海外への輸出まで継続しています。
 格差を正し、暮らし、家計応援第一の政治へ根本的に転換するべきです。
 森友学園問題で、亡くなった近畿財務局職員の赤木俊夫さんの手記やメモの内容が明らかになりました。それ自体が新たな事実です。
 ところが、安倍総理も麻生大臣も再調査をかたくなに拒み、真相解明に背を向けています。内閣が吹っ飛ぶようなことを命じられた、僕は検察に狙われている。真面目な一人の官僚を自ら命を絶つまで追い込んだ責任を僅かばかりも感じないというのですか。
 籠池夫妻と昭恵氏の写真が示されて以降、財務局が学園との交渉を一気に前に進めたことは、改ざん前の文書から明白です。総理は、それでも総理も国会議員も辞めるという自らの言葉に従わないのですか。
 赤木氏は、改ざんの経緯を記したファイルを作成し、大阪地検に提出したといいます。その存在が指摘された以上、調査の再開は必然です。それすら拒否するのは、疑惑隠しであり、亡くなった赤木氏の遺志を冒涜するものではありませんか。
 桜を見る会について、直近の世論調査で総理が説明責任を果たしていると答えたのは僅か七%にすぎません。税金を使った公的行事の私物化、招待者名簿の廃棄問題にとどまらず、総理の言い分がことごとく崩れている前夜祭、ジャパンライフや48ホールディングスなど悪質マルチ企業で被害を拡大させた事実など、疑惑は底なしです。
 森友、加計、桜を見る会、総理自身が刑事告発までされています。ところが、総理は、最低限の説明責任を果たすどころか、自らを捜査し、起訴するかもしれない検察の人事にまで介入しています。
 総理に近いとされる黒川弘務東京高検検事長の定年延長は、かつてどの政権も行ったことのない違法人事です。これを正当化しようとする余り、無理筋の解釈変更や口頭決裁など、もはや説明不能に陥っています。さらに、政府は、既に作成していた検察庁法改定案を修正し、内閣の判断で検事総長や検事長の職を左右できる仕組みまで導入しようとしています。検察人事への露骨な介入を可能にするものにほかなりません。
 法の支配と三権分立を脅かす動きを断じて許すわけにはいきません。
 政治の姿勢が根本的に問われる安倍政権に、日本と世界の重大局面におけるかじ取りを委ねることはできません。職場でのヒールやパンプスの強制に反対する運動「#KuToo」は、政治も大企業も動かしました。声を上げれば社会は変わります。市民と野党の共闘で、希望ある政治の実現に全力を尽くす決意を申し上げ、反対討論といたします。(拍手)

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