山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2021年・第204通常国会

資源エネルギー調査会で、温室効果ガス削減目標について質問しました。

要約
  • 資源エネ調査会で、政府が「野心的な目標」といった、2030年度の温室効果ガス削減目標を2013年度比で46%とする目標について質問。世界的なリーダーシップをとる目標とはいえず、また野心的な対策こそ必要、と。 目標達成との関係では2030年までの石炭火力全廃は不可欠で、計画の策定を急ぐべきと追及。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
政府は、二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標を二〇一三年度比四六%削減とすると表明しました。従来の二六%減の目標からは上積みですが、気候危機打開に求められる水準からは大きく立ち遅れています。
この目標は、IPCC、国連気候変動に関する政府間パネルの一・五度目標との関係では科学的に説明できるのかどうか、環境省に伺います。
○政府参考人(小野洋君) お答えいたします。
IPCCの一・五度特別報告書におきましては、地球温暖化を一・五度に抑える排出経路といたしまして、二〇五〇年前後に世界全体のCO2排出量は正味ゼロ近辺であるということが示されておりまして、我が国が昨年十月、総理が表明されました二〇五〇年カーボンニュートラルもこれを踏まえたものであるということでございます。さらに、今回総理が表明された新たな二〇三〇年目標につきましても、我が国の二〇五〇年カーボンニュートラル目標と整合的なものとして、次なる成長戦略にふさわしい野心的な目標であるというふうに考えてございます。
目標達成は決して容易なものではございませんけれども、今後、施策を具体化し、着実に実行していくことが重要であると考えております。
環境省といたしましても、経済産業省を始め関係省庁としっかり連携いたしまして、今後十年間の間に、地に足の付いた取組がどれだけ進められるかということについて、再生可能エネルギーの最大限の導入や地域の脱炭素化など、施策の具体化を加速してまいりたいと考えております。
○山添拓君 今答弁されなかったんですが、IPCCは、二〇三〇年目標としては二〇一〇年比で四五%削減です。日本の四六%削減というのは、二〇一〇年比にしますと四二%ですので若干足りないわけですね。一・五度目標と必ずしも整合しているわけではないと思います。しかも、この数字は積み上げたものではないとされていますので、今お話もありましたが、実効性が問われるのはそのとおりだと思います。
次は経産省に伺います。
グテレス事務総長は、日本など、豊かな国が三〇年までに石炭火力を段階的に廃止することが必要だと述べています。
NPO法人気候ネットワークは、三〇年までの石炭火力フェーズアウト計画を発表し、効率の低い技術から順に廃止する、建設中も含めて百七十九基全てをフェーズアウトすべきだとしています。
ところが、政府は、非効率な石炭火力については休廃止を進めるものの、新規の建設は続けて温存しようとしています。三〇年四六%減、その目標との関係で、二〇三〇年時点では何基を止めて、設備容量では何割程度減ることになると考えていますか。
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
今御指摘いただきました石炭火力を含みます火力発電というものについて申し上げますと、現状では、今、電力の安定供給の中核をなしているのがこの火力発電になってございます。他方で、石炭を中心に炭素排出という面ではなかなか難しい面がありますし、カーボンニュートラルを目指す上では、これは安定供給を大前提にということになるわけでございますけれども、その発電比率をできるだけ引き下げていくということが基本になると私ども認識してございます。
こうした状況の下で、我が国の状況を踏まえるならば、まずは非効率石炭火力についてこれをフェードアウトしていくという方針で考えているところでございまして、省エネ法の規制強化により原則非効率石炭について休廃止を求めていくということにする一方で、安定供給と両立させるという意味では、設備は維持しながら稼働率を下げていくという措置、さらには、柔軟な措置といたしまして、非効率石炭火力にアンモニア混焼等を導入して発電効率自体を最新鋭のUSCの水準にしていく取組を認めるといったことで、非効率発電所のフェードアウトと効率的なものへの転換というものを着実に進めていくという方向で進めたいと考えております。
現時点、二〇三〇年での基数及び割合については、まだ算定しているものではございません。
○山添拓君 非効率は減らしていくと、高効率は有効活用ということなんですけれども、それは三〇年二六%減の目標の下での政策ですから、今度野心的な目標を掲げたということですので、目標だけ野心的では意味がないので、やはり野心的な対策を練っていかなければならないと思いますし、そのためには、二〇三〇年全廃と、これが目標達成との関係で不可欠だと思います。国が方針を示して事業者との計画を急ぐべきだと指摘したいと思います。
同時に、このカーボンニュートラルは原発ゼロで実現すべきであります。これは十分可能な目標です。明日香壽川参考人は、IEA、国際エネルギー機関の資料を示して、各エネルギーの温室効果ガス排出削減コストや雇用創出数を説明されました。原子力を新設した場合、コストは高く雇用も生まないと、メガソーラーは雇用を生みコストも小さいと、少なくとも原発は温暖化対策としてはお勧めでないということが数字に基づいて説明されているとお話しでした。
経産省に伺いますが、新設の場合は、原子力は太陽光や洋上風力に比べてコスト面で劣ると、このことは政府としても認識されていますか。
○政府参考人(小野洋太君) お答え申し上げます。
電源別の発電コストにつきましては、今現在、専門家におけるワーキンググループにおきまして議論を進めている状況でございます。特に、原発の発電コストについても御指摘ございましたけれども、二〇一五年のコスト検証の際に専門家より整理された考え方を踏襲して今検討しておりまして、新規制基準への対応を踏まえた追加的安全対策費の増額、それから福島原発事故への対応費用の増額等につきまして、直近の状況を適切に反映できるよう、今検討を進めているところでございます。
○山添拓君 いや、せっかくこの調査会で意見も伺いましたので、その下で原子力は太陽光や洋上風力に比べてコスト面で劣るということが国際的にも指摘されていると、それ自体は経産省としても把握されていると思うんですけど、いかがですか。
○会長(宮沢洋一君) 小野調整官、少しマイクを下げるか口を近づけて発言してください。
○政府参考人(小野洋太君) はい、失礼いたしました。
御指摘の原子力のコストについても含めまして、エネルギー政策に関しまして様々な分析や御意見があることは承知しているところでございます。
○山添拓君 様々な分析がありますので、既に、早く進めていただきたいと思うんですけれども。日本で原発を稼働する場合は再稼働になります。旧型のものを、既設原発を運転する、その場合のコスト試算もしていただきたいと思います。より高くなると思います。
石炭火力を止め、原発ゼロを実現した場合にも、エネルギーの安定供給は可能です。
明日香参考人は、過去三年間の各電力管区のデータを使って、需要が高く、再エネの発電も少なかった日を選んで、石炭火力ゼロ、原発ゼロとした場合のシミュレーションを説明されました。この場合に困るのは北陸電力と四国電力の管区で、特に夏の夜でしたが、逆に言えば、そこさえ対応できれば困らないと、こういう御意見でした。ほかの管区から融通したり、需要側で調整をしたり、あるいは蓄電池を使うなり、様々対策も考え得るのではないかと、そういう意見でした。
そこで、経産省に伺いますが、政府としても、石炭火力ゼロ、原発ゼロを前提とした場合に電力不足が生じ得るのか、それはいつどこで生じ得るのか、具体的な検討を行ったことはありますか。
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
明日香参考人の提出されましたシミュレーションについては大変興味深く私も拝見させていただきました。原子力、石炭、石油火力というのがないという中で、再エネが非常に伸びてきたときにどういう形で安定供給を実現するかというのは非常に大きな課題だと思います。
太陽光が出ない夏の需要に対してどう対応するか、また、昼であっても太陽光、風力が出ないときにいかにバックアップするかという調整力の問題、さらには地域の中における偏在に対してどう対応するか、こういったものを、現行においていえば火力という形で供給量を持っているわけですけれども、若しくは調整力として持っているわけですけれども、これを蓄電池若しくは連系線の大強化ということで対応していくということも一つのアプローチかとは思います。ただ、実際これを安定供給ということを考えていく中では非常に悩ましい面もたくさんあるように考えてございます。
この提出された試算見ますと、最終エネルギー消費が大体三割ぐらい減っているわけでございますけれども、それがすなわち電力消費も三割減るという試算を置いて、非常に小さな電力消費だという前提で計算していくとこういう試算になるというところが本当にうまくいくかどうかという問題、さらには、LNG火力一〇〇%フル稼働ということで考えていらっしゃるわけですけれども、先ほども申し上げた、夜のときの需要に対する対応としての蓄電池、若しくは、非常に広いエリア相互における融通のときの連系線容量がどれぐらい必要になってくるかという、こういった問題も考えなければならないことだと思います。
また、私ども、今年の冬の需給逼迫もございましたし、胆振東部若しくは台風十五号というような災害リスクに対する対応ということを、通常、電力安定供給を考えるときには必ず考えて、念頭に置いた上での予備力ということを持つわけでございます。こういったリスク対応というものをこれはどう考えていけばいいものなのかと、こういったことも念頭に置きながらシミュレーションする必要があるかと思っております。
例年、春と秋と、夏、冬に向けた需給逼迫に対する対応ということで需給検証を行っているわけでございますが、本日広域機関で承認されました報告書によりますと、今年の夏、恐らく三・七から三・八%と、予備率、安定供給ぎりぎりのラインでございます。さらに、今年の冬は初めて〇・二%から〇・三%安定供給ラインを割り込む形の試算が出てございます。
現状におきましてなかなか厳しい供給力の状況にある中で、カーボンニュートラルは実現していかなきゃならない。ですので、この先ほど申し上げました様々な課題に対する対応を根本的なところも含めて計算していかなきゃいけない、考えていかなきゃいけない。シミュレートという意味では、私ども需給検証の中でしっかりとやっていきたいと考えておりますし、現実的な形での対応策というのを考えていきたいと考えております。
○山添拓君 時間ですので終わりますけれども、いろいろ考えなくちゃいけないことがあるというのは確かです。その際、原発ゼロを前提とするシミュレーションも是非行っていただきたい。
原発がなければ全国で電気が足りなくなるなどということはありません。検討もせずに原発なしには不可能だと、こういうふうにするのではなく、省エネを進めて電力需要そのものを減らし、デマンドレスポンスなど需要をシフトする、何より再エネの導入促進でカーボンニュートラルを原発ゼロで実現することを求めて、質問を終わります。

 

 

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
調査テーマである「資源の安定供給等」に関して意見を述べます。
気候変動対策は、地球上における人類の生存が懸かった問題であり、資源エネルギー政策を検討する前提というべきです。地球の平均気温が産業革命前と比べて一・二度上昇し、集中豪雨や熱波、森林火災など、世界各地で既に目に見える深刻な事態が生じています。
IPCC、国連気候変動に関する政府間パネルが二〇一八年に発表した特別報告書は、産業革命前に比べ二度上昇した場合、洪水や永久凍土の融解などのリスクが一・五度上昇の場合よりもはるかに高まると指摘し、早ければ二〇三〇年にも一・五度以上の上昇となることを警告しました。一・五度上昇は地球にとって臨界点であり、それを超えると温暖化を加速させる現象が連鎖し、暴走を始める可能性も指摘されています。二〇三〇年がその先の未来への分岐点と言っても過言ではありません。
特別報告書は、一・五度上昇を抑制するには、二〇三〇年までに世界全体で温室効果ガスの排出量を二〇一〇年比で四五%削減し、五〇年までに実質ゼロにする必要があるとしています。今般、菅政権が掲げた二〇一三年度比四六%減は、一〇年比換算では四二%減であり、整合しません。EUや米国を始め、先進国で五〇%以上の削減が当たり前のときに、世界第五位の排出国が四六%減では、世界の脱炭素のリーダーシップを取っていくとは言えません。
日本の温室効果ガス排出量の四割を電力部門が占めており、排出量が最も多い石炭火力の全廃が緊急の課題です。ところが、政府は、国内外で石炭火力を温存し推進する政策を改めようとせず、新規の建設まで進めています。CO2を出さないゼロエミッション火力をうたいますが、実現の保証はありません。二〇三〇年は目前です。石炭火力に固執するのはやめ、フェーズアウト計画を直ちに策定し、海外の石炭火力発電への支援を停止すべきです。
同時に、脱炭素電源として原発への依存を強めようとする動きも看過できません。東京電力の柏崎刈羽原発で、IDの不正利用に続き、テロ対策設備の機能喪失が発覚し、運転禁止命令が出されるに至りました。原発再稼働を進める他の電力会社においても、運転差止めや設置許可取消しを命ずる司法判断が相次いでおり、原発依存は前提を欠きます。福島原発事故から十年、安全神話の下で過酷事故を引き起こし、想定外と責任を否定してきた政治の下、新増設やリプレースはもちろん、老朽原発を延命してまで再稼働を強行することは断じて許されません。脱炭素は原発ゼロで十分に実現できます。再生可能エネルギーの抜本的な導入拡大が必要です。
本調査会では、カーボンニュートラルは進むべき方向ではあるが、コストを意識することが必要だという意見も述べられました。しかし、明日香壽川参考人が指摘したように、世界の現状として原子力や石炭は圧倒的に高く、太陽光や風力はその半分ないし三分の一の値段になっており、しかも低コスト化が加速する局面です。松下和夫参考人は、地域の資源、人材、技術を生かすことが重要だと指摘しました。石炭火力や原発といった大規模集中型の電源と比べて、太陽光や風力など小規模分散型の電源は雇用をつくる力も強く、地域循環共生圏につながります。コロナ危機を経たグリーンリカバリーは、地域分散と地産地消のエネルギー開発で進めるべきです。
カーボンニュートラルは原発ゼロと省エネ推進、再エネの飛躍的普及で実現すべきであり、それが政治の役割です。野党は既に、原発ゼロ基本法案とその実施法である再エネ推進法案を国会に提出しています。委員の皆さんの賛同を求めます。
最後に、国連の持続可能な開発目標、SDGsは、地球の限界を超えないということと同時に、貧困や格差の解消を柱としています。気候変動対策や鉱物資源開発と貧困や格差の是正をセットで進める。そのためには、社会の利益より企業のもうけ、利潤追求を優先する新自由主義的な在り方を変え、企業には社会的責任を果たさせることが不可欠であることを強調して、意見とします。