山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会報告

2022年・第208通常国会

資源エネ調査会で参考人質疑。カーボンバジェットやCOP26の1.5℃目標に対する政府の姿勢について質問しました。

要約
  • 資源エネ調査会でカーボンバジェットやCOP26の1.5℃目標に対する政府の姿勢について質問。気候ネットワークの浅岡参考人は、パリ目標の達成にむけた国際的対策の分担という理解が足りない。Race To Zeroという国際競争力の基本をふまえず国の経済対策をたてることはできないはず

○参考人(吉野彰君) 吉野でございます。本日はよろしくお願いいたします。(資料映写)
本日は、イノベーションによるカーボンニュートラルの実現と、こういう表題でお話をさせていただきたいと思っております。
今日お話しいたします内容でございます。
まず最初に、カーボンニュートラルに向けた世界の動向と日本の状況と、これは簡単に御紹介させていただきたいと思います。
今日、カーボンニュートラルに向けてということで、具体的なテーマは三つに絞ってございます。一つは、二ポツにございます、カーボンニュートラルに向けた再エネ電力と、これを最大限に導入するにはどうすればいいかというお話でございます。
それから、三ポツ、カーボンニュートラルに向けた再エネキャリアと。再エネキャリアという言葉、簡単に説明いたしますと、再エネ電力で生み出した電力を使って、それをほかの化学物質に変換して、それをエネルギー源として使うという、そういう意味合いでございます。具体的には、水素ですとか、あるいはアンモニアですとかEフューエルと、こういったものがその候補として議論されております。
そういうことで、この再エネキャリアの現状と考え方、その辺のお話をさせていただきたいと思います。
それからその次に、四ポツといたしまして、カーボンニュートラルに向けたネガティブエミッション技術というお話をさせていただきたいと思います。
これ後ほど説明いたしますけれども、ネガティブエミッションというのは排出したCO2を逆にマイナスにしてくれるような技術です。これも今後非常に重要な技術になってまいりますので、じゃ、具体的にどんな考え方があるのか、現状どうなのか、その辺のお話をさせていただいて、最後にまとめとして、現状認識と提言と、こういう順番でお話をさせていただきたいと思っております。
まず最初に、これはもう簡単に、世界の動向と日本の研究開発ということで、これは簡単にさらっと流させていただきます。
今御覧いただいておりますのは、カーボンニュートラルに向けた世界の動きということでございます。これは既に皆さん御存じかと思います。各国ともこのカーボンニュートラルに向けて一斉に動き出しておりますよという資料でございます。
当然、その中で日本のカーボンニュートラルに向けた動きということで、これも皆さん御存じのスライドかと思います。日本の政府として世界に対してこういうような宣言をいたしましたよということで、具体的には二〇三〇年には四六%削減いたしますと、それから二〇五〇年には実質ゼロと。実質ゼロというのは、先ほど申しましたゼロエミッションの技術も含めてのお話でございます。
これが一つの、二〇三〇年という一つのマイルストーンがあって、二〇五〇年というゴールに向けて動いていきますよと、これが日本が世界に対して投げかけた宣言でございます。
その後の具体的な動きといたしまして、これも皆さん御存じかと思います、グリーンイノベーション基金という事業が現在進行中でございます。現在十八のテーマがプログラミングされて、それを各プログラム実行の段階に移っておりますよという表でございます。個々のテーマはちょっと説明省略させていただきますが、網掛けのグリーンの部分とイエロー、黄色の部分をちょっと見ていただきたいかと思います。
五つのステップで検討を進めて、この第五段階を終了しますと具体的に動き出していきますよというプログラミングでございまして、緑の網掛けが既に八テーマ、これはもう既に動き出しております。それから、この黄色のマーカーの入っている五段階、これはもう近々プログラムがスタートしていくと。そういったことで、具体的な動きがもう既に出てきております。かなり非常に積極的なプログラミングが進行しているように私は思っております。
こういったカーボンニュートラルに向けて、当然開発部隊が必要でございます。私の所属しておりますゼロエミッション国際共同研究センター、これは通称GZRと称しております。これの開発経緯をそこに示してございます。
簡単に申しますと、二〇一九年の十月、当時のG20で当時の安倍総理がこういうゼロエミッション国際共同研究拠点設立を表明されて、それを受けて設立されております。具体的な開発部隊は茨城県のつくばにございます。
そういうことで、次の本論の方に入ってまいりたいと思います。
まず、カーボンニュートラルに向けた再エネ電力、要するに太陽光発電ですとか風力発電、そういった再エネ電力、これを普及させていくにはどうしたらいいかというお話でございます。
これも、これはエネ庁の資料になってございます。日本の電源構成と再エネ主力化に向けた動きということでございまして、左の方のグラフをちょっと見ていただきますと、これは現状でございます。二〇一九年での電源構成でございます。ほぼ七割方が化石燃料に依存しておりますねというのがお分かりいただけるかと思います。
これを、先ほど申しました一つのマイルストーンであります二〇三〇年に向けて、一つは、再エネ電力を普及させていけません、普及させていこうというのが一つの動きになっているかと思います。その辺の、二〇三〇年時点でそれが何%まで行っているかというのは、いろいろ議論はありますが、一応、三五%から四〇%近くは再エネ電力で賄うという方向性が示されております。そういうことで、では、こういった再エネ電力を普及させていくにはどうしたらいいかというのが当然問題になってまいります。
この右のグラフを見ていただきたいと思います。これは、一つのモデルとして、一日の電力の需要と供給とのバランスということでございまして、これは既に現在そうなっていますし、これから更に太陽光発電とか風力発電が増えてまいりますと、昼間の電力が余ってまいります。これは、そのグラフ、右のグラフはそれを示してございます。当然、そこで需要と供給のバランスが当然ずれてまいります。当然、供給過剰、発電し過ぎと、それをいかにして平準化していくというのが、一つこの再エネ電力の主力化に向けた大きな課題となっております。
そういうことで、一つは、こういう再エネ電力を賄うキーデバイス、また太陽電池、それから風力発電、その他いろいろございますが、その中で、産総研、GZRとしては今こういうアプローチをしていますよというのを御紹介していきたいと思います。
新しい次世代型の太陽電池の研究開発を進めております。ペロブスカイト型の太陽電池という。このペロブスカイトというのは結晶型の名称でございますので、こういう、俗にこれをペロブスカイト型の太陽電池と称しております。
ポイントだけ御説明いたしますと、一つは、このペロブスカイト型の太陽電池というのは真空技術で作るものではございません。磁気テープとあるいは粘着テープのような、ああいう塗工法で連続して太陽電池を作っていくという新しい技術でございます。当然、そういう塗工法で作ってまいりますので、大面積化が非常に容易という大きなメリットがございます。
これまでは基礎研究の段階であったんですが、ここ数年で非常に技術が進歩しておりまして、一つの評価パラメーターでございます変換効率、これは二四%まで来ております。この二四%というのはいわゆる小さな太陽電池での評価でございまして、この二四%というのは、大体現在広く使われておりますシリコン系の太陽電池とほぼ同じレベルとお考えいただければ結構かと思います。そういうことで、問題の変換効率がかなり上がってきましたねと、大面積化も容易ですねと。
ただ、残念ながら、一つ大きなまだ課題が残っておりまして、それは耐久性です。太陽電池は当然屋外暴露で使いますので、非常に長期の耐久性が要求されるわけなんですけど、残念ながら、今まだそこが達成されておりません。
そういうことで、大きなそういった課題をクリアして、低コストで、しかも大面積の容易にできる太陽電池の開発を進めておるというのが一つのこの再エネ電力の、で、もう一点、先ほどちょっと触れました、今度は平準化ということになります。
特に、これは後ほどまたお話ししますが、日本というのは残念ながら非常に狭い島国でございます。北海道、本州、四国、九州と島があって、で、こういった狭い国で電力のネットワークというのは当然限界がございます。こういった再エネ電力を普及させるためには、蓄電システムがこれは必須になってまいります。EUですか、USの場合は、ネットワークが非常に広うございますので、少々変動しても全体としてある程度バランスが取るのは容易なんですけど、残念ながら日本の場合はそうはまいりません。かといって、じゃ、新たに蓄電システムをつくっていくというのは、これはコスト的に非常にしんどい話になります。
今御覧いただいております資料、これはリチウムイオン電池の用途別の市場予測でございます。市場実績と市場の予測でございます。この中で、下の水色のバー、これがリチウムイオン電池のモバイルアイテム向けのマーケットです。この赤い棒グラフ、これが電気自動車です。そういうことで、二〇三〇年には大体、これはワールドワイドなんですが、電気自動車がこれぐらい普及しておりますよと。
で、御覧いただきたいのは縦軸でございます。二〇三〇年時点で千四百ギガワットアワーです。これはとんでもない蓄電システムが自動的に電気自動車の普及という形で構築されますよと、これを使わない手は絶対ありませんねと。これはワールドワイドでございますので、そのうちこれが日本の、このうちの一〇%あるいは一五%の普及率になっておれば、十分、こういった再エネ電力の導入で大きな壁になっております蓄電の平準化の問題、コストを掛けずにできますよと。これは、もうそういった社会システムをつくっていただければ、これは間違いなく実行できるかと思います。
そういったことで、この再エネ電力をどうやって導入していくかという一つのお話でございます。
続きまして、今度は再エネキャリアという言葉をちょっと使わさせていただいております。これは、再エネ電力で何がしかのエネルギー、二次エネルギーに変換しますよと、そういうお話でございまして、これが今後、化石燃料の代わりに使っていけばいいですねということでございます。で、その候補として水素、アンモニア、Eフューエルというのが検討されております。これは、先ほど御紹介したGI基金の中でもこの三つのテーマは取り上げられております。じゃ、これが、将来どれが本命になってこのカーボンニュートラルにどれだけ貢献できるのかというのが今一番のポイントとなってございます。
そういうことで、じゃ、この再エネキャリアに関しまして産総研のGZRで今こういう開発を進めていっていますよというのを順に、水素、アンモニア、Eフューエルと、この順番でちょっと御紹介していきたいと思います。
まず、水素につきましては、水素の製造、それと水素の貯蔵、その利用技術ということで、水の電気分解を含めまして研究開発を進めております。
それから、二つ目のアンモニア、これにつきましても、まずは水の電気分解で水素を作って、それをアンモニアに変換しますよと。これはもう百年前の技術ですが、実際これを大規模になおかつ低コストでやっていくためには当然技術革新が必要になります。で、肝になるのは触媒です。そういったことで、触媒の問題、それからアンモニアの燃焼ガスの問題、こういったものを検討を進めております。
最後に、Eフューエルということで、これは合成燃料、まあ簡単に申しますと、再エネ電力で生み出した水素と炭酸ガスを反応させて、天然ガスでございますメタンですとか、あるいはメタノール、そういった新しい燃料を、グリーンな燃料を生み出していきますよという技術でございます。これも、この反応そのものはもう百年前のケミストリーです。ですが、先ほど申しましたように、現時点でそれを見直したときに、やはりいろんな技術革新が必要であろうと。特に、ポイントはやはりこの場合も触媒ということになります。そういった新しい触媒の開発を含めて現在研究を進めております。
最後に、ネガティブエミッションの技術を簡単に御紹介しておきたいと思います。
ネガティブエミッションというのは、その名のとおりでございまして、排出したCO2をマイナスにしてくれますよという技術です。これはちょっと漫画チックな資料になってございます。
そもそも地球が誕生いたしましたのが四十六億年前です。その時点でCO2濃度は数十%の組成になってございました。で、それが現在に至っているわけでございます。それが約四〇〇ppmと。じゃ、なぜ地球の歴史の中で急激にそのCO2が減ってきたかといいますと、理由が二つあります。
一つは、このグラフに書いてございます鉱物固定、鉱物固定というのはいわゆる天然の鉱物です。天然の鉱物が大気中のCO2を吸収しましたよと、簡単に言いますと中和反応です。炭酸ガスというのは酸性でございますので、アルカリ性の天然鉱物がたくさん存在する地点ではそういったものがCO2を吸収しましたよと。これが大きな大きな要因の一つだと言われております。それからもう一つは、当然、いわゆる光合成生物の登場です。これは約三十億年前なんですけれども、シアノバクテリアという光合生物が生まれて、それがCO2を吸収して酸素を吐き出しましたねと。結果として、この二つの要因によって現在の地球の大気組成になっていますよと。
悲しいことに、残念ながらそのせっかく減ってきたCO2が今増えてきております。これは人類の活動によって増えてきておるわけなんですが、もう一度、こういう地球の歴史を振り返って、この技術をうまくもう一度活用していこうというのがネガティブエミッションの技術の中身になります。
具体的には、一つはやはり当然、光合成の高効率化というのがあります。現在、光合成、一般の光合成の効率というのは約一%です。太陽電池と同じ効率で比較いたしますと一%です。これは、今後数%あるいは一〇%ぐらいまで上がってまいりますとがらっと様相が変わってまいります。それには当然新しい技術が必要になります。そういうことで、産総研の中でもこういった新しい光合成機能を持つような植物群を開発を進めております。
それからもう一つは、先ほども言いました天然鉱物でございまして、簡単に言いますと、具体的に申しますと玄武岩です。よく地球上には玄武岩と安山岩と花崗岩があります。これは地球の岩石の大半を占めております。一番多いのがやはり玄武岩です。この玄武岩という天然鉱物というのは、先ほど申しました炭酸ガスを吸収する力があります。でも、残念ながら、地球の表面上の玄武岩というのは既に反応が終わっておりますので、とはいえまだまだ未反応な玄武岩というのは眠っております。そういったものをうまく活用していくと大気中のCO2濃度を減らすことが可能になりますね。これがネガティブエミッションの技術になります。
もちろん、その使い方によっては、ネガティブエミッションではないんですけれども、CO2の固定化と、プラントから排出したCO2をこの玄武岩で捕まえますよと、これはネガティブエミッションにはならないんですけれども、CCSにはなります。こういったいろんな活用の方法がありますねということでございます。
最後に、現状認識と提言ということでまとめさせていただいております。簡単にサマリーをお話しさせていただきます。
国内の再エネ電力の最大限導入にはコストの掛からない蓄電システムの構築が必須になります。これは、わざわざ蓄電のための蓄電システムをつくろうとしますと非常に無理が発生いたします。一方、電気自動車の普及というのは現在世界で普及していっております。その電気自動車に搭載されている電池をうまく活用すれば新たな投資をなしにちゃんと蓄電システムが構築されますよと、結果としてそれが再エネ電力の普及に大きな貢献をしますよと。当然、車のグリーン化、バッテリーEVの普及と再エネ電力の普及、これがうまくリンクするようなシナリオが必要であろうと思います。
それから二つ目の再エネキャリアにつきましては、先ほどお話ししたとおりでございます。当然これは低コストでつくっていない、つくらないといけませんので、再エネ電源の最適地、サンベルト諸国等いろんな国が取り沙汰されております。そういったところが多分生産拠点になろうかと思います。そういったところで当然日本の技術を生かさないといけないわけで、日本の技術がそこに最大限生かせるような、そういった進め方が必要であろうというわけです。
それから三番目のポイントは、先ほど言いました、それと並行してゼロエミッションの技術、二〇五〇年トータルゼロエミッションというのはまさにそのとおりでございまして、どうにもこうにもCO2を出さざるを得ない部分が多分残るかと思います。それが、その部分を帳消しにしてくれるような技術がこのゼロエミッションの技術ですよということでございます。
最後にちょっと、イノベーション創出に向けた研究開発でも、当然のことながら、これはもうグローバルな問題でございますので、国際協調が必要だと思います。そのときに、当然日本がリーダーシップを取れるような形にならないといけないわけでございます。そういったことで、このGZRではG20という国際会議を踏まえていろんな国際活動を進めておりますので、そういったものを是非活用していただきたいと思っております。
それから、当然こういったイノベーションによって日本が豊かにならぬといかぬということでございます。これはもう当然のことでございまして、言い方を変えますと、今回のこのカーボンニュートラルというのは新しい産業を生み出す絶好のチャンスですよと、それが日本から生まれるかどうかが一番大事ですよと。もちろん一〇〇%日本でという必要はありません。少なくとも一五%、二〇%を、日本がこれだけ貢献したんですよと、そういう形を二〇五〇年にはつくり上げないといけないなと思っております。
最後に、一つだけちょっと余計なことを書いてございます。
今後、この特にカーボンニュートラルに向けましては、いろんな国際規格あるいは国際的な約束事を決めていかなければなりません。その場合には、もう各国の国益が真正面からぶつかります。そういったときに、少なくとも日本が損をしないような形にしないと、せっかくいい技術ができたんだけども、ルール上それはもう除外されますと、これはもうアウトです。そういうことで、こういった国際ルール、規格化に関しましては、海外では専門の人を育てています。プロフェッショナルネゴシエーター、日本語で申しますと職業交渉人という言葉が使われております。彼らが全責任を負って、日本の国益に沿うような方向に標準化なりルールを決めますよと。当然、出来高払です。成功払いです。失敗したら一切お金入りませんよと。こういった、残念ながら日本ではまだこれができておりません。相当これまで損してきております。リチウム電池のルール化、規格化でもかなり損してきております。
是非、この点を踏まえまして、少なくともこういう国際ルールで各国の国同士の国益がぶつかったときにちゃんとそれをうまくまとめ上げるような人を育てておいていただきたいというのが最後の締めくくりでございます。
以上でございます。
○会長(宮沢洋一君) ありがとうございました。
次に、関根参考人にお願いいたします。関根参考人。
○参考人(関根泰君) 本日、このような閉鎖系の地球における適材適所のエネルギーと物質というタイトルでお話をさせていただきます。(資料映写)
一部、吉野参考人のお話とかぶるところございますので、そこは割愛させていただきながら、私のお話を進めてまいります。
まず、宇宙から見ると、御存じのとおり、地球というのは閉鎖系であります。宇宙空間には、一立方メートルにせいぜい数個しか分子がない。ところが、地球空間、今私たちが吸っている空気一立方メートルに二・五掛ける十の二十五乗個もの、空気の中のこの酸素、窒素、アルゴン、CO2、水蒸気、こういった分子が飛んでおります。言わば、宇宙から見ると、宇宙空間にはほぼ何もなくて、地球上には密に物質がある。そして、そのやり取りはほとんどないということになります。そのような閉じた宇宙船地球号という中に、私たちは、四十数億年の歴史の中で三億年ぐらいの生物の歴史の営みの遺産である化石資源、これにこれまで頼ってきました。
この三億年の化石資源は、当然ながら有限です。植物性のプランクトンが育ち、海の底なり、そういったところに沈み、そして、長い時間を掛けて、ケロジェンと呼ばれる石油根源岩を経由して、最終最後、背斜構造と呼ばれるような地質の構造を作り、そして、それを我々が油田やガス田、炭田という形で見付けて使っている。これが現在の化石資源の利用ということになります。
当然ながら、永続性という点では、穴を掘って燃料を取り出し、火を付けてエネルギーとして使い、最後はCO2と水になりということになりますから、閉じた地球の空間の中でこれをやり続けるというのは、温暖化を引き起こし、物質としてのサステナビリティーを担保できないということになります。
じゃ、どうしたらいいだろう。本当は、私たちは、閉じた空間に対して外部から入ってくる太陽のエネルギーというのを使うことができます。しかしながら、現在、これをきちんと使っているとは到底言えない。この現状は後で御説明申し上げます。
地球を眺めたときの問題点として、プラネタリーバウンダリーズという考え方が広く知られています。
この中でも、近年、気候の変動、それから窒素の循環、それから生物の多様性、この三つは特にクリティカルだということが今から十二年前に言われて、この図はオリジナルのものでありますが、どんどんとアップデートされながら、この考え方は広く広まってきています。
また、IPCCは回を重ね、どんどんと世界の科学者のユニークボイスをまとめ上げ、一トンずつのCO2排出がまさに今温暖化を進めているんだというメッセージを発しています。
また、三千九百四十九ページにわたるAR6の中で、私は全ページに目を通しましたが、繰り返し出てくる図の中にこの図がございます。この図の一番上を御覧ください。
濃い青、薄い青、これは窒素酸化物と硫黄酸化物が今年一年間出した量に対して、十年後に地球が毎年何度暖まるかというインパクトを示した図です。真ん中より左側は冷える側、真ん中より右側は暖まる側、黄色がCO2の寄与、暖まる側です。その隣にオレンジが大きくあるのが御覧いただけます。これはメタンです。更にその右にN2Oということで、十年後の地球を考えると、今日出してしまったCO2も大変ですが、ほぼそれと同じぐらいメタンも大変、N2Oも、量は少ないながら寄与が大きいということが分かります。
こういった点から、これからの閉鎖系において、CO2を出す問題プラスメタンとN2Oというのも同時に排出規制を考える必要があるということは、IPCCのこのレポートから明確に示されています。
一方で、メタンは、きちんと使って燃やしてしまえば害はないので、そういう点では、例えば、合成燃料としてのメタン、これはもちろん、悪者ということではありません。自然界に放出される、あるいは化石資源掘削、こういった場から出るメタンというのが良くないということになってきます。
こういった地球上での物質の循環を考えるときに、私たちは二つの系を考えてみる必要があります。
一つは、人工物の循環。鉄や鉱物、それから紙、プラスチック、こういったものは、自然界と交わり合うことが余りありません。ここに一本のペットボトルがありますが、これを我々が、仮に悪い人が自然界に廃棄をしたとすると、ほぼ姿形を変えず、数年、数十年、このまま自然界に残ってしまいます。プラスチックがうまくリサイクル、機能しないというのは、実はシステムの問題、社会の問題でありまして、例えば、このペットボトルのキャップはポリプロピレンという材料でできています。この外のぺらぺらのフィルムはポリエチレンという材料でできています。中のこの水の入っているボトル自体はポリエチレンテレフタラートという材質でできています。分解する温度も違い、それぞれの持つ特徴も全く違います。ただ、どれか一つにするというのは便益の上ではできない。こういった分離とか社会のシステムとしてこういうものはしっかり考えなくてはいけない。科学技術の問題ではないということになります。
一方で、右側の方、これはCとHとNとOが複雑に入り交じる、自然と人間が織り成す循環の世界。例えば、大気中の窒素を集め、石油化学から作られた水素と反応させて肥料を作ります。年間一億九千万トンのアンモニアを介して肥料を作り、これを大量に施肥をして私たちは農作物を得て、そして農業から上がってきた食料を手にして、それを最後、下水、自然界に排出、排せつとして出すというサイクルがあります。このように、自然と人間、工業と天然のものが複雑に入り交じる世界、これが炭素、酸素、窒素、水素の循環の世界ということになります。
この世界においては、私たちは今までキープレーヤーとして化石資源に頼ってきました。しかしながら、これからは、先ほど閉鎖系の地球における永続性を担保するには化石資源からの利用の脱却を考えないといけないと申し上げました。
よく脱炭素とおっしゃる方が多いです。概念としてはよく分かります。ただ、私が今着けているマスク、この隣にあるパーティション、今のペットボトル、全部炭素の構造から作られています。プラスチックスは炭素の集まりです。炭素が駄目なのではなく、CO2を化石資源から出すという作業が良くないんです。それは、三億年の遺産を火を付けて外に出すという作業であるからです。すなわち、止めるべきは、化石資源の消費を減らし地上資源の利用を進める、これが、CO2を集め太陽の光で再度燃料に戻しまた使う、あるいは植物をうまく使い倒す、育てて、エネルギー、物質として使う、こういうサイクル。穴を掘らずに地表のものだけでうまく回していくということが大事です。
じゃ、地表のものは何があるか。この緑の枠の中にあるものが私たちが未来永劫、普遍的に手に入れることができる地表のものということになります。ただ、残念ながら、そのままエネルギーや物質になるようなものはほとんどありません。水であったり二酸化炭素であったりバイオマス、植物ですね、廃棄物、こういったものはどこにでもあるわけですが、これらはほとんどそのままでは工業には使うことができません。
そこで、閉じた系に唯一入ってくる太陽のエネルギー、これは電力であり熱であり、こういったものをうまく使いながら、これら使い勝手が悪い地表の地上資源を今まで私たちの便益としてさんざん使ってきたこの左側のようなものに転換していくということがこれからの喫緊の課題ではないかと考えます。そこには、移動体の燃料であったり化学産業の原料であったり、こういったものを供給する、これがサステナビリティー、カーボンニュートラルを実現するためのキーとなることであると考えております。
こちらが、我が国のエネルギーの統計を基にした一年間の一次エネルギーから利用形態までを、縦の厚みはエネルギーの量です。単位はエクサジュールという単位です。ジュールというのは熱の単位でして、これのエクサというのは、キロ、メガ、ギガ、テラ、ペタの上ですから、十の十八乗、ゼロが十八個、こういう単位で日本はエネルギーを取り込んで、一億二千数百万の方が毎日使っている。
大体、一次エネルギーとして半分弱が石油です。四分の一が天然ガス、四分の一が石炭、その残りの緑色のところが再エネということで、トータルで二十エクサジュール弱のエネルギーを一年間に私たちは手に入れています。国民全体で、民生、産業全部含めてです。その四割を燃料に持ち込み、四割を発電に持ち込み、一割、一割を化学産業と鉄鋼産業に持ち込み、最終最後、電力セクターに入ったのの約四割弱が電気になり、そして右側の運輸、家庭あるいは業務、それから産業、こういうところにエネルギーとして使われ、最後は熱になって捨てられていくということです。これだけの膨大なエネルギー、二十兆円を超えるエネルギー、これを今はほとんど化石資源に頼っていることがこの図からお分かりいただけると思います。
電力のセクターの中の再エネだけに注目すると、意外とパーセントは分母、分子でいうと大きくなる、見えます。ただ、燃料のセクターは、今現在再エネはゼロです。鉄鋼、化学、ここもゼロです。そういう点で、全産業、全人口のベースで見ると、私たちはまだ再エネにはほとんど頼れていないという悲しい現状があります。ここを、先ほどのように、地上資源を使いながら再エネを使い倒して、化石資源から脱却し、この青とえんじ色と黒を全部緑に変えていくという作業が、これからの数十年、二〇五〇年カーボンニュートラルまでの必要なこととなります。
現在、このカーボンニュートラルに向けて、電力と非電力の世界それぞれ、グリーンイノベーション、私も座長として関わっておりますが、そちらでこういう議論がされておりますが、その中には、炭素、酸素、窒素、水素、この四つの元素の循環というのが一つ重要な役割も持っております。
グリーン成長戦略、この中でも、十四の重点分野というのが示されているとおりであります。
さて、ここから残った時間で、エネルギーの世界、物質の世界における適材適所という話を少々御紹介したく思います。
今申し上げたように、地上資源だけで、太陽の光で私たちが暮らしていくすべを考えましょう。その際には、いろいろな物質がある。もちろん、電気にしてそのまま使う、これが一番よろしゅうございます。
これからの再エネの時代、一次エネルギーは、ゼロ次エネルギーが太陽としますと、一次エネルギーは電力ということになってまいります。今までは化石資源が一次エネルギーでした。今度は、再エネの時代は電力が一次エネルギー、そして、そこから作る水素や合成燃料やアンモニアのようなもの、これは二次エネルギーということになってきます。かつ、昼に安くて夜に高い電力という今までと全く違うパラダイムシフトが起こってくることでしょう。
そんな中で、電力をそのまま使うことができれば一番ハッピーです。ただし、電力は、風力や太陽光を考えると、例えば太陽光の場合は昼しか使えない、風力の場合は、島国日本では風況のいいところが余りなく、夕なぎ、朝なぎの時間は沿岸部での海洋、陸地の間での風は起こらない。常に吹く偏西風のようなところであればいいんですが、沿岸とかですと朝夕は風車が回らないということが起こります。
そういった中で、私たちは、じゃ、どうしたらいいだろうか。時間、空間をシフトしながら電力を蓄えたり、それを違う形で使おうということを考えると、例えば水素にする、例えば合成燃料にする、電池にためる、そういったオプションがいろいろあります。決め手は何か。密度です。すぐ使うのでしたら、水素が一つのオプションでしょう。それから、時定数が短い、ぱっとためてぱっと使う、こういったケースというのは電池が一番いいと思います。一方で、備蓄とかカントリーリスクのヘッジ、長距離輸入、こういうものにはこの二つは余り適していない。そういう点では、合成燃料、アンモニアや有機ハイドライド、あるいはEフューエル、SAF、こういうものに変えて持ってくるということが重要となるでしょう。
また電化しやすいものとしにくいものと、あるいは水素化しやすいものとしにくいものというのがあります。これも適材適所。
路線バスは、同じところを同じ決まったダイヤで回りますから、いつ水素が空になり、いつ電池が空になり、そしていつ充電するかをプログラムすることができます。一方で、観光バスは、どこに行くか分からない、そういった点では、日々いろんなところを動きながら、充電できるか、あるいは水素入れられるか分からない運用の中で、なかなか電化や水素化というのは難しいでしょう。という点で、路線バスや例えばタクシーのようなもの、そういうものは電化や水素化がしやすいでしょうし、観光バスや大型トラック、こういうものは電化や水素化が難しい。ましてや航空機の大型のものというのは、電化をすると、密度の観点から、やはり空を飛ぶということは重量や体積に非常にシビアになりますから、液体の炭化水素燃料、すなわちSAFのようなものが非常に重要になってきます。
ここからは、先ほど水素の話ございました、エネルギーキャリアの話も吉野参考人からございました、この中で一つだけ付け加えますと、先ほども申し上げたように、カントリーリスクをヘッジするために、いろいろなエネルギーをいろいろな国から買ってこないと、日本の中には再エネの余力というのはそう大きくありません。
かつ、そのリスクをヘッジするためには備蓄をすることも重要でしょう。現在の苫東や例えば福井や、いろいろな、沖縄から全国津々浦々、石油が大量に備蓄、原油が大量に備蓄されています。これが水素の時代、合成燃料の時代、電気の時代になったときに私たちはどうやってそのリスクをヘッジするか、どうやってためておくか。数十日分の一億数千万人分のエネルギーをためておく必要があると、こういったときに、例えばふだんは使い勝手が余り良くないような有機ハイドライドのようなものは備蓄には非常に向いていると思います。そういう点で、いろいろな技術を複線的なシナリオで考えながら適材適所で使っていくということが非常に重要なのではないかというふうに考えます。
この図は、オレンジの左側が現在のエネルギー、右側が未来のエネルギーですが、水素で代替が利くところ、電化をすれば済む、これは是非そこで、そういう形で使えばいい。一方で、水素、電化が利かない場所もあるということは申し上げたとおりです。こういうところは合成燃料のようなものを、左に対応して右の合成燃料を作っていくということになります。
このように、地域やスケールでも使い分けが重要でしょう。ノートパソコンやスマホは電池で動く以外のオプションは絶対にないです。大型トラックや飛行機は合成燃料で動かすのが一番いいでしょう。そうすると、軽自動車ぐらいまでは多分電化した方がよくて、大きくなっていくと合成燃料がいいとか、あるいは水素がいいと、いろいろな使い分けがあると思います。
最後に、CO2の再利用ということで、二つケースを分けてお話をしたいと思います。
二酸化炭素を再資源化しよう、エネルギーの観点からはばかばかしいことです。しかし、地上資源に頼って便益として合成燃料を動かしていこうとなると、やはり回収しないといけません。
大きく分けて二通り。昨日まで出しちゃったものを集める、これは大変です。あした以降出す予定のものを集める、これはインセンティブの問題だけです。お金が掛かるからやりたくないというところにうまくカーボンプライシングのようなことを考えながらアシストしていけば、ここは可能であるというふうに考えます。そこからの技術は、既に百年の触媒化学のような技術ということで、十分に対応できる技術ばかりということになります。
時間参りました。最後にまとめたいと思います。
私たちは、閉じた地球という空間の中で三億年の遺産の化石資源を日々使っています。行く行くは太陽光に頼る、そして地上資源に頼る時代をつくっていかないといけません。そのためには、電気、水素、合成燃料、これをうまく適材適所で使いながら、かつ、備蓄やカントリーリスクといったものも視野に入れて、複線化したシナリオで、適材適所で使っていくことが期待されるというふうに思います。
以上でございます。ありがとうございます。
○会長(宮沢洋一君) ありがとうございました。
次に、浅岡参考人にお願いいたします。浅岡参考人。
○参考人(浅岡美恵君) 本日はお招きいただきまして、ありがとうございます。
それでは、申し上げます。(資料映写)
昨年のCOP26におきまして、一・五度の目標に向かってこれを保持するということを確認いたしまして、二〇三〇年までに排出量をほぼ半減させると、そして、すなわち、これからの十年のその削減の取組が決定的に重要であると、そのためにアナベーテッド、排出削減対策が取られていない石炭火力の段階的削減が必要であると、こうしたことが確認をされました。
私たちは、こうした国際交渉をフォローしてまいりましたので、その観点から今日はお話しさせていただきたいと思うのですが、残念ながら、このような、今年、今回のCOP26の大きな論点が、政府のCOP26の報告の中には反映されていないという現状がございます。
この一・五度の目標に向かってこの十年ということが何度も強調されておりますように、非常に時間の制約があると、このことを踏まえながら、いろいろお話しいただきました技術が大変重要ではありますけれども、先ほどもお話ございましたように、様々な場所の適材適所を使うと、そういう観点からのイノベーションこそが、それに向けました時間枠を考えながら選択される、そして、それを実現するために社会経済のシステムのイノベーション、これこそが今大事だということを今日申し上げたいと思います。時間も限られますので、特に石炭のところにつきまして、後半で申し上げたいと思っております。
グラスゴーのCOP26に私も現地で参加をいたしましたが、大変熱気にあふれた会議でございました。そこでパリ協定と一体となる極めて重要なCOPの決定、これをグラスゴー気候合意と呼ばれておりますけれども、それが採択されたわけでございます。
御案内のように、現在、地球の平均気温は約一・一度上昇して、大変な気候災害を既にもたらし、気候危機と言われているわけでありますが、今後そうした災害は頻発しますし激甚化する、これはもう確実なこととされております。
二度の気温上昇が、その影響は大変甚大であるということから、一・五度を目指すと、抑えるということの決意を示したわけでありましたけれども、こうしたグラスゴーの合意の中で大変一貫していることは、科学の重要性、そして対策の切迫性であると、この点を特に申し上げておきたいというふうに思います。
すなわち、もう既に気候変動問題は不確実なこととかねて言われていたようなことではなくて、確実性を持って全ての国が対応しなければならない問題なのだと、そういうことであります。
この表はそうしたグラスゴー合意をまとめたものでございますので、ちょっと割愛させていただきまして、このCOPの26の決定に至ります背景につきまして少し申し上げたいと思います。
国連環境計画、UNEPは、毎年こうした温度目標に沿いました各国の目標との対応をギャップレポートという形で出してまいりまして、COP26の前には二・四度までしか届いていないということを示されておりました。そこで、カーボンニュートラルを早めていく、そして二〇三〇年の目標を各国が引き上げていく、こうした大きな課題があったわけであります。
特に重視されましたのが、残余のカーボンバジェットということでございました。二酸化炭素の累積的な排出量と世界の平均気温の上昇がほぼ比例しているということは既に明らかにされておりますけれども、このことはすなわち、温度の目標を決めるということ、温度目標が定まりますと今後排出できる残余のカーボンバジェット量が決まる、まあ炭素予算とも呼ばれておりますけれども、こうしますと、実質的にゼロにしなければいけない時期というものもおのずと定まってくると、そんな世界に今いるわけであります。
ここの表にありますように、最新のAR6の数字をここに、併せてここに入っておりますけれども、六七%の確率で一・五度に抑えるというための世界の残余のカーボンバジェットは四百ギガトン、四千億トンでございまして、現在、三百三十五億トンぐらい世界で排出されておりますので、もう大変少ない。このAR5からの八年の間にももう大変急速に削減したんだと、減っているのだということを特にこのグラスゴーの合意の中で確認をしているわけであります。
日本の対策をどうするかということを考えますときに、世界のカーボンバジェットは日本では幾らになるのかと、これを考える必要がございます。多く見積もっても、人口比で考えるということではないかと考えられますが、日本の人口は一・六%ほどでございますので六十四億トンか五億トン程度。すなわち、日本で現在、年で十億二千九百万トン以上CO2が出ているわけでありますから、もう六年分もないと、そういう切迫性の中で日本の対策が考えられなければならないということを申し上げたいと思います。そして、これが、そうしたIPCCの報告をまとめて日本のバジェットの量を示したものでございます。
こうした考え方は、科学に基づきまして、今世界の裁判所で、科学に基づくこの気候変動の影響は人権の問題だというふうに捉えられていることをお伝えしておきたいと思います。
詳しく申し上げる時間はございませんが、二〇一九年十二月、オランダの最高裁判所が、二〇二〇年の目標について国に二五%削減に引き上げるよう命じをいたしました。それは、温暖化による危険な気候変動は国民の生命、健康への切迫した脅威であると、この切迫性というのは時間的な先を言うのではなくて将来生じることが確実であるというものを含むのだと、それを、こうした危険から国民を守るのは国の責務だとしたものでございます。政治の課題であるとともに人権問題であるから、裁判所もこうして関与しているのだということであります。
この判決の後、アイルランドの最高裁判所も、翌年、削減計画がパリ協定に整合して、ものになっていないということで差戻しをいたしましたし、昨年はフランスでも同様の判決が出されているところであります。
ドイツの憲法裁判所が、昨年ですけれども、こうしたカーボンバジェットを踏まえた判決をしております。ドイツでは気候変動法という法定の削減目標を定めた法律が、ヨーロッパの国の中では遅かったのですけれども、制定されましたが、二〇三〇年まで五五%というところと二〇五〇年カーボンゼロというところが、ネットゼロということが入っていただけでありましたが、これは、十代の原告らの世代間の公平を欠いているということを訴えたものに応えたものでございます。ドイツの残余のカーボンバジェットに照らせばこうした世代間の公平を欠いているということで、二〇二〇年末までに三〇年以降の削減目標を、まあちゃんとしなさいということを議会に命じたわけでございます。その直後にドイツの政権は極めて迅速に対応いたしまして、御案内のように、二〇三〇年目標を六五%に引き上げ、四〇年には八八%とし、ネットゼロの時期も二〇四五年に前倒しをしたのであります。
さらに、企業もそうした同じような考え方が、裁判所で企業に対しましても示されております。昨年六月には、ハーグの裁判所が世界の石油メーカー、事業者でありますシェルのグループに対しまして、二〇三〇年までに四五%、二〇一九年比ですが、それが最も多かったからですが、削減するように命じました。これが世界のコンセンサスのある水準であると、今日の企業が守るべきデューティー・オブ・ケア、法律的な、日本の法律的な言葉で言えば善管注意義務に当たると。さらに、下の方に、左下にちょっと図示をしておきましたけれども、シェルの直接の排出だけではなくて、上流及び下流のスコープ3と呼ばれるものにつきましても同じように削減の努力をせよということになったものでございます。
こうした、裁判所で認められるようになっているような現状におきまして、グラスゴー合意がなされた中で、一・五度の目標に向けて動き出したときに、先駆的なビジネスの世界はより明確な方向性を持って動き出しております。世界の産業界、マーケットの動きというものは確たるものになってまいったと思います。
そして、こうしたサプライチェーンの中に日本の企業もございますので、既に日本の企業も再エネ一〇〇の要請に応えるために大変御苦労されているということが、この朝日新聞の最近の記事では、京都に本社があります村田製作所、日本電産、島津製作所などの御苦労が紹介されているところであります。本当に、先ほどから御案内ございましたように、再エネを拡大していくための方策、これは待ったなしになっているというふうに思います。
さらに、COP26で大変顕著でありましたのは、こうした発電以外のセクターの中でも脱炭素の動きは大変顕在化しておりました。メタンについての宣言もございましたし、石油やガスの生産廃止の同盟も立ち上がりましたし、一〇〇%ゼロエミッション自動車、このバンなどの移行の宣言とか、二〇五〇年までにゼロエミッションの海運、船ですね、についての宣言とか、電化が困難だと、先ほどのお話にありました電化の困難な領域でも大変うねりとなっているということが見えます。これを更に後押ししているのが、世界的にも機関投資家や金融機関の動きであることは御案内のとおりでございます。
これまでも石炭火力を早く止めるようにということがございました。これから少し石炭についてお話ししたいと思いますけれども、この十一月四日、会期中でありますけれども、四十六か国が参加した、石炭からのクリーンな電力への移行声明というものが発表されましたが、そこには、アジアの国でもベトナム、インドネシア、フィリピン、シンガポール、韓国、またポーランドなども含まれております。アジアでもこの動きは座視することはできないという空気があることを見て取らなければいけないと思います。
この図は、二〇二一年五月に公表されたIEAの二〇五〇年のネットゼロに向けたセクター別ロードマップでございます。これは大変役に立つものだと思います。この削減の、申し上げたような切迫性の時間枠、そして技術のイノベーション等を統合し、セクター別にいつどうしていくのかということを大変細かくまとめておりまして、二〇二一年にはもう石炭火力を新設廃止、三〇年には先進国はCCUSのない石炭火力が廃止、二〇三五年には先進国は全て電気を脱炭素化、二〇四〇年には世界の電気を脱炭素化する、このようなロードマップが示されているわけであります。そうしたことの、これまでのような話も受けまして、世界ではほぼ、の先進国が、大半、ほとんどが石炭火力発電所を廃止していくと、その流れが確定をしてきているというところに、日本が石炭火力が一九%、二〇三〇年に、今、予定をされております。現在の政策ではこれはもっと増えかねないという懸念がございます。
と申しますのも、現在、日本は既に四千八百万キロワットもの石炭火力があり、今でも建設中でございまして、このほんの最近の、数年の間に建設、稼働を始め、又は今建設工事中のものがUSC、超超臨界という高効率であると呼ばれているものだけでも一千万キロワットも新たに加わります。小規模の亜臨界のものも、十八基、百四十万キロワットもできたところでございまして、古い発電所はフェードアウトするということが言われたのですけれども、なかなか具体化しておりません。それがこれからどうなっていくのか。これまでどう積み上がったのか、これからどのように積み上がるのか、この赤い部分というのは大変懸念されるもとになっているわけでございます。
こうしたことがございまして、第六次エネルギー基本計画では、アンモニアの混焼、専焼を火力の脱エミッション化というふうに申しまして、電力の政策の中枢に、中核に据えられているというのが現状ですが、これは投資回収のための延命策だというふうに見られても、海外から見られても仕方がないというものだろうと思います。
そして、さらに、今年に入りまして、経済産業大臣はこの計画を前倒しをするということを表明されておりますが、二〇三〇年までにCCS導入を、二〇三〇年までにCCS導入を取り組む、二〇三〇年までにアンモニアの全焼の技術の実現に向けて目指すと大変前倒しになっていて、グリーンイノベーション基金もここに投じられているわけでありますが、しかし、こうした石炭火力に対するアンモニアのこの混焼、専焼というのは大変多くの問題があります。
技術自体も、二〇三〇年までに、これから二〇%混焼に向けて、これから数年掛けて実証実験を始めるというふうなものでございますし、そして、そもそもアンモニアのもとになります水素は、石炭火力、天然ガス火力の火力から作るというグレー水素と呼ばれるものであります。それはCCS等で対応しなければなりませんし、さらに、アンモニアを作るというところで大変なエネルギーを必要といたしまして、削減効果は大変僅かだということに算定されております。
このまま、現在石炭火力から排出されているCO2量は二億六千万トンありますが、このまま十年間いきますと二十六億トンも出ることになります、もう三十億トン。ということは、日本の残余のカーボンバジェットの過半がここに費やされてしまうと、そのようなことであります。さらに、コストも高いものでありますし、CCSには適地がない、コストが高いという問題を抱えております。
さらに、こうした事情を見ますと、このような政策は、二〇三〇年までに排出量を半減させなければならないという世界の一・五度を目指すというものと全く整合しないという点を御理解いただき、本当にここにマーケットがあるというものではもうないのだという御理解をいただく必要があろうかと思います。コストも大変高いものだということであります。
実際、これはIEAの試算の中でも示されておりまして、IEAの石炭火力の削減のこの具体的な性能別のロードマップで見ましても、アンモニア混焼というのは〇・五%しか勘定されておりませんし、それも二〇三〇年までのことではございません。こうした、これはコスト的にもタイミング的にも間に合わないと言われているものでございます。
もう一つの問題は、こうしたものが、あっ、失礼しました、このようなアンモニア混焼、専焼というものは、国際合意の中で登場いたします排出削減対策が取られている石炭火力発電所とはみなされていないということでございます。このように解釈しているのは本当に日本ぐらい、このようなことを考えてやろうとしているのは日本ぐらいと、こういうことを御理解いただきたいと思います。
で、間もなく公表されるということのようですが、トランジションゼロという研究団体の方が日本のこの電力における石炭問題につきまして詳細な研究をまとめておられるんですが、ここでも、本当に削減効果がなく、そして大変コストも高いと、政府の中でも高いことが承認されております。もう、ちょっと補足は割愛させていただきます。
そして、先ほども資料の中にございましたけど、このグリーンイノベーションの中で技術大変重要で、取捨選択されるというんですが、どちらかといえばやっぱりこのような、アンモニアが登場するように、技術に偏り過ぎているのではないだろうかという目で私たちは考えるところでございます。
やはり、先ほどのお二人の先生方のお話にもありましたように、やっぱり、現在もう既に歴史的な経過のある商用化された技術というものは十分うまく活用できる、そのための社会経済システムのイノベーション、これが大変重要なのだと。それを実現していくためには、国においても自治体においても、一・五度を目指すという世界の流れをちゃんと認め、そして二〇三〇年に向けた削減目標、再エネの目標ももう一度見直し、そして、その目指すところを国民によく伝えると、共有、社会的に共有していくということでございます。
そして、その排出量取引制度とか炭素税とか炭素の価格付け政策というのも、炭素国境税なども出てきそうなところでございますから、もう避けては通れないところに来ているかと思います。
再エネをどのように増やしていくのかという点につきまして多く御説明もいただきましたところ、加えますと、デマンドレスポンスとかEVとの組合せというのは大変重要だと思います。そうしたセクター化というのを進めていくとか、それから、再エネへのいろいろな問題はゾーニングの欠落でありますし、地元、再エネを産出する地元を優先し、地元の人々の人材を育成していく、地域を活性化させていく、そういう住民、国民に対する知識経験等のアドバイスの体制も取っていくと、このようなことが本当に急がれていると思います。
また、日本は特に住宅建築物の省エネ対策の強化が大変遅れております。今回、不十分ながらですが法案が提出が予定されていたと聞いておりましたけれども、先送りになるらしいとお聞きいたしましたが、高排出構造がビルトインされないように、これも急がれるところでございます。
さらに、このような大きな産業構造の転換にとりまして、労働者の人たち、あるいはそれに依拠してきた地域社会が大きく転換をしていく、そのための公正な移行と呼ばれることについて正面から取り上げ、そしてそれをサポートしていくと、これも大きな国や先生方のお役目として期待されるところでございます。
このように、技術だけではなくて多くのイノベーションが期待されているところでありますし、時間枠を考慮しながら、本当に優先順位を見極め、それぞれのイノベーションに御尽力いただきたいと考えております。
以上でございます。

 
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
参考人の皆さん、今日は大変ありがとうございました。
浅岡参考人に伺います。
COP26、グラスゴー気候合意の一・五度目標について強調して御説明いただきました。一・五度という目標、温度目標を定めると、世界が排出できるCO2の総量、残余のカーボンバジェットが決まる。そのために、脱炭素に移行するタイムスケジュールが求められるという御説明でした。これは、私は、日本政府に決定的に欠けている視点でもあると思います。
なぜ日本政府はそのような立場に立てずにいるのかということについて、お考えを伺えますか。
○参考人(浅岡美恵君) 残念ながら私どもは、どんなに精査いたしましても、日本の温暖化対策あるいはエネルギーの基本方針といたしまして、二度目標であっても、一・五度目標はなおさら、これを目指すということを公的に書いたものを見付けることはできません。それを受け入れてはいらっしゃらないと思われるわけです。パリ協定と整合したエネルギー政策、温暖化対策をするのだと、これもなかなか見付けることはできません。
それはなぜかといいますと、その話をいたしますと、もう残余のカーボンバジェットは世界中でこれだけというのは、もう既にこれまで排出しましたと。あとプラスこれだけ足せば一・五度になります、更にこれだけ足せば二度、三度、四度となります。もうこれは二〇一三年以来IPCCで示されていることでありまして、もう算数のレベルの計算になるわけであります。それで私は、その話に踏み込んでくださらない。
また、日本にどれだけそれは割り当てられる、あるいは分担があるのかと、使えるものがあるのかと。この議論も、ドイツではちゃんと、そうした裁判所でもそういう議論があり、国のレベルでもあり、そして今回のCOPの会議の交渉の中でも、このカーボンバジェットの話は交渉官の中からしょっちゅう出てくるのです。しかし、日本の中では、一・五度を目指すということを決意を持って努力するとなったんですよということすら広報記事にはございません。
やっぱり、それはとっても大きな肝となっている対策の原点だからであり、本当に脱炭素に向かって、あるいはパリ協定が定めるそうした温度目標の実現のために国が日本として応分の国際的対応をする、そのことが日本の企業の競争力を今後維持していくために不可欠だということの御理解が私はまだ足りないのではないかと思います。でも、本当にそれは企業にとってもう不可欠のものになっているとひしひしと、COPの中、交渉の現場にいますと感じるわけでございます。
○山添拓君 続けて浅岡参考人に伺います。
このCOP26では有志の国々による様々な合意もされたということも御説明いただきました。脱石炭連盟が主催する会議ですとか、あるいは石炭だけでなく石油や天然ガスも含めたあらゆる化石燃料からの脱却を目指す動きなど、より踏み込んだ動きがあったと伺います。
アジアの国々を含めて、そうした動きに踏み出す各国の動機というのはどういうところにあるのでしょうか。
○参考人(浅岡美恵君) 一つは、本当に気候変動、気候危機のもたらすものは、国民の命、健康だけではなくて産業基盤も失われると、もう全ての国にとってそれは死活問題であるという認識が非常にあります。もう企業活動もできなくなるという認識があります。そういう大きな前提で、一・五度あるいはもう二度を十分下回るというそういうところに何とか努力しようといたしますと、本当にタイム、時間が限られている、排出できる量が決まっているわけです。大気中からまた回収するなんということは、本当に遠い先、できるかもしれないことであります。
ということになりますと、そういうことが今の企業間の競争、国の競争の基本にあるということです、これは科学の要請であるとともに、という計算から。ですから、それを踏まえないでその国の経済政策を立てていくと結局は敗者になると。本当に今、勝者になれるのか敗者になるのかと、レース・ツー・ゼロという言葉がもう行き渡っているように、それくらい辛辣なところに今もう来ているというのが国際社会の流れではないかと私は感じております。
○山添拓君 ありがとうございます。
もう一点、浅岡参考人に伺います。
アンモニア混焼の石炭火力では削減できるCO2は僅かで、技術的にも経済的にもあり得ないという御指摘だったかと思います。国内ではもちろんですけれども、これをアジアの諸国などに輸出するということになりますと、先ほど御説明あったように、アジアの諸国も含めて脱炭素に向けて努力を開始している中で、世界全体の実質ゼロへの取組をこれむしろ妨害するようなことになるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○参考人(浅岡美恵君) ありがとうございます。
COP26で岸田総理大臣の演説に対しまして化石賞が贈られたと報道もされたと思いますけれども、その一番大きな理由は今御指摘いただいた点であります。
途上国が、これまでの先進国が歩んだような道筋で生活水準も上げ経済力も高めていくということを繰り返すような時間がないわけです、この脱炭素、一・五度目標、本当に気候変動の被害を防止するためには。寄り道をしないでより早くその国の脱炭素経済をつくっていくということが求められていると。そこにわざわざ寄り道をするような方法を提案していくというものとして捉えられている。ある意味で昔の公害輸出がこんなところに形を変えて現れていると、そういう捉え方すら私はされているように感じた次第でありました。
やっぱり、途上国が本当によりショートコースで、本当により早くその国も脱炭素の国になっていけるように直接援助できると、無駄なことを回り道させないようにしていただくというのを最大限大きな目標にして輸出事業も行っていただきたいと思います。
○山添拓君 ありがとうございます。
吉野参考人と関根参考人に伺います。
吉野参考人を含めて歴代のノーベル賞受賞者の方は、必ずと言っていいほど基礎研究の重要さを指摘をされます。大体、総理大臣から電話が掛かってきたときにもそのように言われることが多いかと思います。しかし、先ほど吉野参考人の御回答の中でも、今若い研究者にとって必ずしもハッピーな状況ではないということもお話しになりました。
なるべくそのハッピーでない状況をハッピーにするのが政治の役割でもあると思いますので、この場で是非御意見伺いたいと思うのですが、吉野参考人は、基礎研究十個に一個実現すれば十分だというお話もされています。関根参考人も、基礎研究というのはやっぱり時間が掛かるものだという御指摘をされてきました。時間を要する以上はやはり長期的な視点で支援することが不可欠だと思いますけれども、カーボンニュートラルに関わる技術に限らず、基礎研究に対する国の支援の在り方についてお二人の御意見を伺えますでしょうか。
○会長(宮沢洋一君) それでは、まず吉野参考人。
○参考人(吉野彰君) お答えさせていただきます。
基礎研究の在り方につきましては、いわゆる民間企業における基礎研究とアカデミアの基礎研究、ちょっと分けて議論した方がよろしいかと思います。
まず、今の民間企業での基礎研究の比率というのは、そう昔と大きく変わっていることはないと思います。今おっしゃいましたように、基礎研究といったものは十に一つ当たればいいぐらい確率の低いものでございます。通常、これは昔も今もそうだと思います。企業の場合、一つの研究所があれば、大体九十名ぐらいは目的研究、何かプロジェクトがあって、それを商品化に向けて動いていくと、そういう研究に携わっております。残り一〇%が大体基礎研究なんですね。これが、その図式は今も昔も変わっておりません。
たかだか一〇%ですので、実は基礎研究にはそんなに金掛からないんですよね、たった一〇%ですので。したがって、それをうまく運用して、十人おれば一人当たればいいぐらいのつもりでちゃんとそれを運営できているかどうかが今ちょっと問題になっているかと思います。
一方、アカデミアの基礎研究につきましては、これは私の前からの考え方なんですが、基本的には、全く目的とか何の役に立つかも一切無視して、もうまさに先生の好奇心に基づくような基礎研究を是非やっていただきたいというのが一つ。それからもう一つは、他方、当然アカデミアでも目的研究というのはあります。それはもう当然目標を達成しないといけないので、それは、それに携わる先生方は逆にそれに徹底していただきたいと。
非常にちょっと私危惧しておりますのは、今のアカデミアの先生方、多分その真ん中辺りでうろうろされていると思います。徹底的に基礎研究をやるわけでもなく、かといって徹底的に目標を達成するために動くのでもなく、非常に迷っておられると思います。
ですから、国としてのそういう予算も含めたいろんな方向性を示すのであれば、もうまずはっきり分けてくださいと。あなたのミッションは役に立たぬ研究やってくださいと、極端に言いますとね。あなた方はもう絶対一〇〇%の確率で成功してもらわぬといかぬのですよと。そういうような両輪で動くのが多分理想的だと思います。
無駄な研究というのは、例えば百に一つ当たれば全部ペイしますよ、百倍以上のリターン返ってきますのでね。ということは、九十九駄目なんです。ですから、その九九%を駄目だから予算切りましょうといったら、全て、百もゼロになっちゃいます。
したがって、そういうようなアカデミアに対してはできるだけもうきれいに分けてあげた方が先生方が非常に動きやすいと思います。
○参考人(関根泰君) ありがとうございます。
若手の育成という点と研究費という点に関してちょっとリンクさせてお話をさせていただきますが、まず若い人が研究の世界で夢を見ることができる、これが非常に重要だと感じます。
一方で、今の日本の状況はどうかというと、必ずしもそうはなっておりません。高校から大学に進学して大学院に進学してという過程で、学費が非常に重い、重くのしかかる。一方で、例えば理系に行くと、しんどい割に給料が余り上がらないというキャリアパスの問題。そういったことが見えてくる中で、なかなか工学とかそういう方に優秀な学生さんが志望しないのではないかということが危惧されるところです。
一方で、その後のところを考えますと、今、吉野参考人おっしゃるとおり、大学教員の多くは研究のための研究にいそしんでいる状況があり、そのためにいろいろな省庁から大きな予算が流れ込んで、選択と集中という名の下に研究のための研究が数多くされている現状があり、そこに学生は余り関与できておりません。本当はVCやギャップファンドのようなものが、学生が起業して、理工系の学生が新しいベンチャーをつくることにもっとプロモートしてあげてもいいというふうには思います。それによって、技術でカーボンニュートラルを実現することで、自らの仕事を得て、自らがそれで富を得るという夢を描くことができれば、若い人はその道に喜んで入ってくるんじゃないかというふうに思います。
現時点では、理工系の大学院生、特に修士、博士の学生さんにはそういう夢を描けないシナリオしか残っていないように思います。
以上です。
○山添拓君 ありがとうございました。

 

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