山添 拓 参議院議員/弁護士 東京選挙区候補 日本共産党

国会報告

2022年・第208通常国会

予算委員会で、敵基地攻撃能力について、総理に質問しました。

要約
  • 予算委員会で、敵基地攻撃能力について、総理に質問。 力の論理を否定し、紛争の平和的解決を求めたのが憲法9条です。「相手を殲滅するような打撃力」など、憲法違反だと追及。 岸田総理も「憲法の観点からもそうした範囲に収まらない」と述べました。 平和的解決を求める外交努力こそ強めるべきです。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
二月二十二日、大阪高裁は、旧優生保護法の下での不妊手術強制を憲法違反として被害者が訴えた裁判で、初めて賠償を命じる判決を下しました。これまでの判決は、憲法違反と認めても、優生保護法が母体保護法に変わった一九九六年以降二十年以上が過ぎたことを理由に、民法の除斥期間に当たるとして請求を退けてきました。
大阪高裁は、子供を産み育てるか否かを決める自由を奪う差別的なもので、人権侵害は強度である上、国が障害者への差別と偏見を正当化、固定化、助長してきたとし、この事件で除斥期間を適用することは著しく正義、公平の理念に反すると述べて、請求を認めました。画期的な、そして被害者に寄り添う判断だと私は思います。
総理は、おととい、打越議員の質問に、上告するかどうかは厚労省で精査中だと述べました。総理自身はどうお考えですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、優生保護法については、この法律に基づき、あるいはこの法律の存在を背景として、多くの方が特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けられたことについて、政府として真摯に反省し、心からおわびを申し上げる次第です。平成三十一年には、超党派の議連において法律案が取りまとめられ、国会において全会一致でこうした方々への一時金支給の法律が定められました。政府として、このような事態を二度と繰り返さないように最大限努力を尽くしてまいります。
そして、この御指摘の訴訟についてですが、関係省庁、すなわち厚生労働省と法務省において今精査をし、対応を今調整しているところであります。この段階で私の立場で何か申し上げるというのは適切ではないと思います。この関係省庁において判決の内容を精査した上で、適切に対応してまいります。
○山添拓君 総理の判断で、上告をしないと、解決に進むと、こういう決断をしていただきたいと思うんですね。
今、一時金支給法、話が出ましたけれども、その法律では被害救済が不十分だと示したのがこの大阪高裁の判決です。法改正も必要ではありませんか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) いずれにせよ、内容について厚生労働省、法務省において今精査を行っています。その上で適切に判断をいたします。
○山添拓君 原告や被害者の皆さんは高齢で、既に無念のうちに亡くなった方も少なくありません。
日本障害者協議会は声明で、原告らの命を懸けた司法への訴えを正面から受け止め、全ての優生保護法の被害者に対して、謝罪と十分な賠償、尊厳の回復を迅速に行うことが国の責務だと述べています。
上告断念し、法改正へ総理の決断を求めたいと思います。改めてもう一言お願いしたい。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今現在、法務省、厚労省において内容を精査し、対応を検討しています。この段階で私の立場から何か申し上げるのは適切でないと申し上げています。精査した上で適切に対応いたします。
○山添拓君 判決が、この事件で除斥期間を適用することは著しく正義、公平の理念に反すると述べた。その重みは是非受け止めていただきたいと思います。
ロシアによるウクライナ侵略は、戦後の国際秩序を根底から脅かすものです。この下で、一部のメディアや政治家が、国連は無力だ、憲法九条で国は守れるのかなどと述べています。力には力で応じよと言わんばかりです。
総理に伺います。
戦争の違法化は、二つの世界大戦を経た重要な到達です。力の論理を否定し、紛争の平和的解決を求めたのが国連憲章であり、憲法九条です。その認識をお持ちでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 国連憲章においては、第二条第三項において、全ての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際平和及び安全並びに正義を危うくしないよう解決しなければならない、このように定められております。また、同条第四項において、武力による威嚇又は武力の行使、これを禁止しております。
日本国憲法においては、第九条第一項において、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」、このように定められています。
このように、日本国憲法の掲げる平和主義の理念は、国際の平和と安全の維持を目的としている国連憲章等の考え方と理念的に軌を一にするものであると考えております。
○山添拓君 ですから、国連憲章や憲法九条を無力だといって軍事による対抗に頼ろうとするのは、これは安直な戦前回帰と言わなければなりません。今最も求められているのは、侵略やめよという圧倒的な世論でプーチン政権を包囲し、平和秩序を回復し、そして再構築することだと言わなければなりません。
ところが、岸田政権は、まさにこの力の論理を推し進め、敵基地攻撃能力の保有、検討を表明しています。これは危険な逆行と言わなければなりません。この間、与党議員が相次いで敵基地攻撃能力という名称を改めるべきだと主張し、総理も検討すると応じています。安倍元首相も昨年十一月の講演で、敵基地攻撃能力という表現は適切ではないのかもしれないと、敵基地だけに限定せず、抑止力として打撃力を持つのだと述べています。
総理が検討する敵基地攻撃能力も敵基地だけに限定しない打撃力なのですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今、ミサイルをめぐる技術、これは急速なスピードで変化、そして進化しています。その中にあっても、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、これをあらゆる選択肢を排除せず現実的に検討していくこと、これは政治の責任として重要な取組であると認識をしています。
そして、その検討、議論を進めるに当たって、これは再三申し上げておりますが、憲法及び国際法の範囲内で、そして日米の基本的な役割を維持しつつ議論を進めていくということを申し上げています。この範囲内で現実的に何ができるのか、これをしっかりと考えていきたいと思っています。
○山添拓君 お答えいただいていないんですよ。敵基地だけに限定しない打撃力のことを指しておられるのかと伺っています。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 具体的な議論、これは国家安全保障戦略を始めとする安全保障に関する文書の改定の議論の中で進めていきたいということを申し上げています。これから議論を進めるわけです。その際に、申し上げたこの憲法、国際法の範囲、そして日米の基本的な役割分担、これをしっかりと維持していきたいと考えています。
○山添拓君 明言されない、明言されない。敵基地に限定しない。明言をされなかったことを私は指摘しているんですよ。(発言する者あり)答弁席から言わないでくださいよ。
安倍氏は同じ講演で、抑止力として相手をせん滅するような打撃力を持たなければ日米同盟が危機に直面するなどと述べています。総理は衆議院で、こうした相手国をせん滅する全面戦争を行う軍事力を持てということは全く考えていないと、ここは断言されました。この安倍氏の発想は、憲法や国際法に反するからですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げたように、敵基地攻撃能力を含むあらゆる選択肢についての検討は、憲法及び国際法の範囲内、範囲で、日米の基本的な役割分担を維持しつつ進めています。相手国をせん滅する全面戦争を行う、それができる軍事力を持てとの考えで検討するものではありません。
○山添拓君 いや、その理由を尋ねたんですよ。それは憲法や国際法に反するからですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 相手国をせん滅する全面戦争を行う、そうした軍事力を持つ、これは先ほど申し上げました、国際法の観点からも憲法の観点からも、日米の役割、基本的な役割分担からも、そうした範囲内に収まるものではないと認識をいたします。
○山添拓君 それでは、安倍氏はそういう憲法違反、国際法に反するような発想をあちこちで述べられていますので、それは正していただきたいと思います。
総理はこの間、敵基地攻撃能力の保有について、今も述べられました、憲法、国際法の範囲内で日米の基本的な役割分担を維持しつつ進めると繰り返し述べています。
そこで伺います。(資料提示)
歴代政府は、憲法九条と自衛隊の関係を説明するために、専守防衛を基本としてきました。最新の防衛白書にもこう書いております。「専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢をいう。」と。
この専守防衛は維持するのですか。
○国務大臣(岸信夫君) 今委員がお示しになりました専守防衛の考え方はまあそのとおりなんですけれども、いわゆる敵基地攻撃、敵基地攻撃と憲法の改正に、関係については、あくまで一般論として申し上げれば、政府は従来から、誘導弾等による攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとることは、例えば誘導弾等による攻撃を防御するのに他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは法的に自衛の範囲内に含まれると解釈しております。
このような見解と、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限度にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限度のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいう専守防衛の考え方は、整合するものと考えています。
いずれにいたしましても、専守防衛は憲法の精神にのっとった我が国防衛の基本方針であり、今後ともこれを堅持する、してまいります。
○山添拓君 抑止力としての敵基地攻撃能力は、攻撃を受ける前に打撃する能力です。これは専守防衛を超えるではありませんか。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) じゃ、速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山本順三君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(岸信夫君) 政府は従来から、我が国に対する武力攻撃が発生した場合とは、他国が我が国に対して武力攻撃に着手したときであると解していますが、その時点で武力攻撃の着手があったと認めるべきかについては、その時点の国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等によるもので、個別具体的な状況に即して判断すべきものである、あります。
○山添拓君 全然私が聞いたことにお答えいただいていないんですよ。
抑止力としての敵基地攻撃能力と、これは総理も述べています。これは、攻撃を受ける前に打撃し得るという能力です。そして、抑止力というのは、いざというときには行使するという脅しですから、行使が前提です。専守防衛というのは、攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使するというものです。それとは矛盾するではありませんか。
○国務大臣(岸信夫君) 専守防衛については先ほど答弁したとおりでございますが、いずれにいたしましても先制攻撃は禁じられております。だから、着手を、の、相手方の着手、我が国に対する攻撃の着手をもって防御をするということでございます。
○山添拓君 攻撃を受ける前に、それを防ぐために敵基地攻撃能力を行使するという議論がされているので伺っているのです。これは専守防衛とは相入れないものだと言わなければなりません。
衆議院で防衛大臣は、自衛隊機が相手国の領空に入り軍事拠点を爆撃することも自衛の範囲として排除されないと述べました。海外での空爆を認める重大な答弁です。
しかし、歴代政権は、いわゆる海外派兵は憲法上許されないとしてきました。岸大臣自身、二〇二〇年十一月十三日の衆議院安全保障委員会でこう述べています。政府は、従来から、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領空、領海に派遣する、いわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されない、現在もこの考え方に変わりはありませんと述べています。
海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超える、憲法上許されない、現在も変わりはありません。いつ変わったんですか。
○国務大臣(岸信夫君) 御指摘の私の答弁につきましては、今般の検討は、憲法及び国際法の範囲内で日米の基本的な役割分担を維持しつつ行うという、との前提の下で、あらゆる選択肢を排除せずに行っていくとの趣旨を述べたものであります。
急速なスピードで変化、進化しているミサイルなどの技術に対しても、国民の命は、命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、いわゆる敵基地攻撃も含めてあらゆる選択肢を排除せず、現実的に対応、対応、検討してまいります。
○山添拓君 違いますよ。憲法の範囲内でとおっしゃったんですね。しかし、憲法上許されないとしてきた、海外派兵は。一般的に必要最小限度を超える、だから許されないとしてきた。それが、この議論が始まると、相手国の領空から爆撃することまで排除されないと言い出した。これはいつ変わったんですかと伺っています。
○国務大臣(岸信夫君) 基本的な政府の考え方は変わっておりません。
○山添拓君 大臣自身の答弁ですよ。僅か二年前です。二年前の答弁で、いわゆる海外派兵、他国の領土、領空、領海に派遣する、いわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超える、憲法上許されない、現在も考え方に変わりはありませんと、こうおっしゃっていた。ところが今年は、海外に戦闘機が出かけていって爆撃を行うことも排除されないと言う。変わっているじゃありませんか。
○国務大臣(岸信夫君) まず前提として、他の、他国の領域における武力の行使に関して憲法上の考え方を申し上げれば、政府は従来、いわゆる海外派兵は一般に憲法上許されないと解してきている、おるところです。その上で、昭和三十一年の統一見解では、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨ではどうしても考えられないとして、他国領域における武力の行使であっても憲法上認められる場合について述べたものであります。
専守防衛といわゆる敵基地攻撃の関係について申し上げれば、専守防衛の考え方と……(発言する者あり)じゃ、分かりました。
○山添拓君 今、昭和三十一年、一九五六年の答弁を持ち出されました。これは、敵基地攻撃能力、法理的には可能だとしたものだという答弁です。
しかし、その後の一九五九年、そういう仮定の事態を想定して、その危険があるからといって平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような武器を持つ、兵器を持つことは憲法の趣旨とするところではないと、そういう答弁になっているんですね。
ですから、法理的には可能だと言った。しかし、そういう事態を、仮定を置いて、ふだんから危険があるからといって攻撃的な兵器を持つことは憲法の趣旨とするところではない。これが歴代政権の答弁ですよ。変えたのですか。
○国務大臣(岸信夫君) その解釈、政府の解釈について、これまで変更したわけではございません。
○山添拓君 政府の見解を変えたわけではないと言う。変えたわけではないけれども、これまでできないとしてきた海外派兵ができるようになり、相手国の領空から戦闘機によって爆撃することまで可能にすると言う。これでは、総理が言うように、憲法の範囲内で議論をするといっても、その憲法の範囲内がどんどん拡大しているじゃありませんか。これでは議論の前提が成り立たないんじゃないでしょうか。総理が言う憲法の範囲内とは何ですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほどから申し上げている憲法、国際法の範囲内ということについては、先ほど防衛大臣からありました昭和三十一年の敵基地、いわゆる敵基地攻撃に関する政府見解、さらには、我が国の武力の行使についても、旧三要件から平和安全法制の議論の中で新三要件という形に変わりました。こうした考え方、さらには、国際法においても、武力の行使というのは国連憲章二条四項において禁止をされる中にあって、例外規定として五十一条の集団的自衛権と個別的自衛権があり、第七章の集団安全保障がある、こうした国連憲章の体系をしっかりと守っていく、こうしたことを申し上げている次第であります。
その範囲、その中で、先ほど議論になりました先制攻撃というのもこれは禁止されているわけでありますし、様々なこの項目、事例についても、今申し上げた範囲内の中でしっかり考え、そして最大限何ができるのか、これを考えていく。何よりも国民の命や暮らしを守るために現実的に何が求められているか、これをしっかり議論することが重要であると考えております。
○山添拓君 他国の領域に入って爆撃などすれば、当然全面戦争につながっていきます。だから歴代政権ですら憲法に反するとしてきたわけです。とても憲法の範囲内ではありません。今与党席から笑い声が上がりました。全面戦争につながり得るような、そういう危険な道に踏み出そうとしていることを私は指摘しているんですね。
これまでの考え方を維持するとおっしゃるので、もう一点伺います。日米の基本的な役割分担という点です。
政府は従来、敵基地攻撃は米軍に依存していると説明してきました。パネルを示します。安倍元首相の二〇一九年五月十六日の衆議院本会議での答弁です。いわゆる敵基地攻撃については、日米の役割分担の中で米国の打撃力に依存しており、今後とも、我が国の政策判断として、こうした日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていませんと述べています。
日本が敵基地攻撃能力を持てば、この基本的な役割分担は変えることになるんではありませんか。
○国務大臣(岸信夫君) 日米の基本的な役割分担とは、日米それぞれの憲法や安保条約の下での我が国の防衛のための日米両国の役割分担に係る基本的な政策としての考え方であります。
そうした日米の基本的な役割分担の下で、例えばガイドラインにおいては、日米は、あっ、日本は防衛力を保持し、米国は引き続き核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じて拡大抑止を提供すること、日本は日本の国民と領域の防衛を主体的に実施し、自衛隊は日本及びその周辺海空域、その接近経路における防衛作戦、防勢作戦を主体的に実施すること、米国は適切な支援を行い、米軍は日本を防衛するため自衛隊を支援し補完すること、米軍は自衛隊を支援し補完するため打撃力の使用を伴う作戦を実施することができることといった記載があります。
その上で、政府は、いわゆる敵基地攻撃については、日米の役割分担の下で、中で、米国の打撃力に依存していると説明をしてきているところです。
今般、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討していくこととしており、今般の検討の結果を予断することは差し控えますが、今後とも、日米の基本的な役割分担を変更しないことを前提として、国家の安全保障戦略等を策定する中で議論をしていきます。
○山添拓君 全然答弁になっていないですね。聞いたことにお答えいただいていない。
このとき、安倍元首相の答弁では、いわゆる敵基地攻撃能力は、敵基地攻撃は米国の打撃力に依存するのだと、今後も変更しないと述べていると。これは変更するということになると思うんですよ。憲法の範囲、基本的な役割と言っているんですよ、このときに。よく見ていただきたい。
憲法や、あるいは日米の基本的な役割分担、いずれも政府の従来の見解すら踏み越えて、これは攻撃できる自衛隊、戦争する自衛隊に変えようとするものにほかならないと言わなければなりません。
先ほどから総理は、年末に向けていろいろ議論しているのだと、文書を改定するために議論していると繰り返します。これ、どんな議論かと。有識者との意見交換を重ねていると伺います。ほとんどが、この間、安倍内閣や菅内閣の下で安保戦略の改定や改変に関わってきた人たちです。
どういう見解の人か調べてみました。例えば、折木良一元統合幕僚長は、昨年十一月、他の自衛隊最高幹部とともに政策提言を発表し、専守防衛を見直し、非核三原則の是非を問う議論まで呼びかけています。憲法の範囲内どころか、憲法から積極的に逸脱しようという人を有識者として招いておられる。
しかも、この意見交換は議事録も資料も公表されていません。秘密裏に進めるつもりですか、総理。
○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
今現在、新たな国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の策定に向けまして、政府外の有識者から幅広い知見を伺うという観点から、政府事務レベル関係者が有識者との意見交換を実施しているということでございます。意見交換の実施後には、毎回でございますけれども、開催の日時やテーマ等について公表をさせていただいております。また、参加されました有識者の方の方から意見交換の場において御自身がどのような意見を披瀝されたかということについては妨げていないということでございます。
また、御指摘の意見交換の議事概要につきましては、行政文書として作成をし、保存をしているという状況でございます。
○山添拓君 日時とテーマだけ示されても中身が全然分かんないんですよね。
戦争する国に踏み出すかどうかの意見交換ですよ。国民的に検証を可能にするべきです。開示を求めたいと思います。
委員長、お願いします。
○委員長(山本順三君) 後刻理事会で協議をいたします。
○山添拓君 米中対立で台湾海峡有事が懸念される中で、台湾危機をあおるような動きが散見されます。
日本戦略研究フォーラムというシンクタンクが昨年八月、台湾周辺で軍事的緊張が高まった場合のシミュレーションを行いました。安保法制の策定に関わった元官僚や自衛隊元最高幹部、自民党の国会議員も参加しています。
その成果文書を読んでみました。シミュレーションの目的は、台湾が不安定化するシナリオに基づいて政策シミュレーションを行い、我が国の安全保障上の課題を抽出する。得られた成果を政策提言に取りまとめ、公表することにより、世論を啓蒙すると書かれていました。その目的のとおり、取材に入ったNHKが昨年末NHKスペシャルで放映して、まあ世論を啓蒙しようとしているんですね。
私が注目をしたのは、最後に元外務省国際法局長がこう述べたことです。今回そのシミュレーションをやってみて思うのは、こんなシナリオに入ったら、勝者は誰もいないということは、非常にはっきりしている。こういうところに入ったら、もうある意味負けだ。そのとおりだと思います。全面戦争につながるからです。軍事対軍事の対抗を続ければ、それはますます深刻になるだろうと私は思います。こんなシナリオに入らないために外交努力を尽くすことが政治の役割ではないのですか、総理。
○国務大臣(林芳正君) 台湾海峡の平和と安定、これは日本の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要でございます。
台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来から一貫した我が国の立場でございます。この点、これまでも、この日米、日豪、G7など、台湾海峡の平和と安定の重要性について一致しております。
こうした立場は中国側にも直接伝えるとともに、各国の共通の立場として明確に発信していくことが重要だと考えておりまして、引き続き両岸関係の推移を注視しつつ、両岸の関係者を含む国際社会にしっかり主張してまいります。
○山添拓君 総理にも答弁いただきたい。
全面戦争に至るような、こういうシナリオに入らないように、これシミュレーションした人たちがそう言っているんですから、政治の役割だと。答弁いただきたい。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど来からこんな事態に至らないようにと繰り返されておりますが、私自身その番組見ておりませんので、こんな事態というのがどういう事態か十分に把握してはおりませんが、いかに、いかなる事態においても、外交手段を使って、外交交渉を使ってこの緊張を緩和するべく努力をする、これが基本であるというふうに考えています。
ですから、台湾、台湾をめぐる問題についても、対話により平和的に解決されることを期待する、これが我が国の従来から一貫したこの立場であります。この立場から台湾をめぐる情勢についても引き続き関心を持って注視をしていきたいと考えます。
○山添拓君 日本が敵基地攻撃能力を保有すれば、これは北朝鮮であれ中国であれ、それを上回る軍拡を進めることになるでしょう。際限のない軍拡競争に至ります。
日本共産党は、東アジアで平和と友好の地域協力を進めるための提案をしています。そのお手本がASEANにあると考えます。
ASEAN加盟国は、友好協力条約、TACを結んでいます。ここにあるように、意見の相違又は紛争の平和的手段による解決、武力による威嚇又は武力の行使の放棄を掲げています。
ASEANに武力紛争を発展させない、ASEAN域外の大国に介入させない、その意思を示したものです。そして、そのASEANが中心になって、日本や韓国、中国、アメリカやインドも含む東アジア・サミットが毎年開催されています。
最後にこの点だけ伺いたい。
総理は、この東アジア・サミット、重要な会議だと述べました。東南アジアの平和と協力を進める上でその役割をどう評価しているのか、伺います。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 山添さん、もう時間が来ていますから。あなた理事ですからね。ですから、要望に切り替えてください。時間が来ています。
山添君。
○山添拓君 答弁いただけないのは大変残念です。
東アジアの地域全体を、対抗ではなく対話と協力の地域にするのがこのASEANの展望です。私は、これが二十一世紀の国際社会が進むべき道だと考えます。
○委員長(山本順三君) 議論をまとめてください。
○山添拓君 平和な世界秩序が脅かされる中だからこそ、いかに平和のルールを実効的なものにするかが問われています。力に力で応える道に進んでは絶対にならない、このことを述べて、質問といたします。
ありがとうございました。

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