山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会報告

2022年・第208通常国会

予算委員会で、消費税インボイス制度について質問しました。

要約
  • 予算委員会で、消費税インボイス制度について質問。 家族経営や個人事業主で、納税事務に労力を割くことが大変な中小零細企業、取引先からは買い叩かれるフリーランスなど、新たな税負担や事務負担が重く、倒産や廃業に追い込まれかねない。 消費税5%への引き下げと、インボイスの中止を求めました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
宮城、福島を中心とする地震で被害に遭われた方にお見舞いを申し上げます。政府としても、情報収集と救援、復旧に万全の対応を求めたいと思います。
新型コロナ危機が長期化する中、材料費や原油の高騰が追い打ちを掛け、ロシアのウクライナ侵略が経済へも影響を及ぼし始めています。
この下で、なりわいと暮らしに大打撃を与えるのが来年十月の実施が予定されている消費税インボイス制度です。業者は、売上げに係る消費税から仕入れに係る消費税を差し引いた額を納税します。ここで、仕入れに係った消費税を差し引くのにインボイスという伝票が必要になる制度です。
年間の売上げが一千万円以下の業者は現在免税業者です。ところが、今度、取引先にインボイスを発行するには課税業者になる必要があります。中小企業や個人事業主、フリーランス、一人親方など、その数は一千万者とも推計されることから懸念が広がっております。
パネルをお示ししました。(資料提示)どういうことが懸念されるか、三つのパターンが考えられると思います。
免税業者は取引先から求められればインボイスを発行せざるを得なくなり、消費税を価格に転嫁できないような事業者が新たに税負担を負うことになります。
あるいは、インボイスを発行しない場合はどうか。取引先である課税業者が代わりに消費税を負担するか、そんな相手とは取引できないということで排除されることも懸念されます。
政府は価格に転嫁すればよいと言うわけですが、今でも一〇〇%転嫁できない状況があります。仮に転嫁できたとすれば、それは消費者の負担が増えるということであります。
総理に伺います。
結局、このインボイスを導入すれば、免税業者か課税業者か、あるいは消費者か、誰かの税負担が新たに増えることになると思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、御指摘のインボイス制度ですが、複数税率の下で適正な課税を行うためにやっぱり必要なものであると認識をしています。
そして、制度の移行に伴い現在免税業者である方々からこの課税業者に転換した場合、新たに消費税の申告等の事務負担が生じること、免税事業者が取引から排除されるのではないか、御指摘のように様々な懸念の声がある、これは承知をしています。
こうした声を踏まえて、事業者準備を、事業者の準備を加速するための支援、免税事業者を始めとした小規模事業者の取引環境の整備等を行うこととしており、今後とも丁寧に周知、広報に努めていきたいと政府としては考えております。
○山添拓君 伺ったことにお答えいただいていないのですが、新たに誰かが税負担を負うことになる、免税業者が課税業者になることによって、あるいは課税業者が免税業者に代わって負担することによって、あるいは価格に転嫁されて消費者が負担することによって、誰かがその税負担を新たに負うことになるものではないかと。この点いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げたように、広報、周知、広報にしっかり努めなければならない、そのことによって弱い立場の方々がそうしたしわ寄せを負うことにならないように、この制度、インボイス制度が複数税率の下で適正な課税を行うために必要なものである、この本来の趣旨に沿って運用されるように、しっかりと周知、広報に努めていきたいと考えております。
○山添拓君 新たに税負担を負う人が増えるということをお認めにならないのですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) これ、趣旨が、インボイス制度の趣旨が複数税率の下で適正な課税を行うために必要なもの、こうした制度でありますので、これは、基本的にはこれは消費者が負担するということになるわけであります。
○山添拓君 いろいろおっしゃるんですけれども、誰かの負担増になることは違いありません。
小規模事業者といっても、農家や個人タクシーや、あるいは文化芸術、イベント分野で働く人、ウーバーイーツの配達員、さらにはシルバー人材センターで働く七十万人にまで影響は広範に及びます。
消費税を一〇%に増税する際、軽減税率によって税収が減る分をインボイス導入による増収二千四百八十億円で穴埋めに充てると説明されました。インボイスの実施は、業者であれ消費者であれ、誰かに新たな税負担を求めることにより、税率を変えることなく増税を強いるものにほかなりません。だからこそ、政府は、一〇%への増税と同時にインボイスを導入することはできず、四年間の移行期間を設けました。これ増税すれば景気が悪化します。その打撃が薄れるのを待ってインボイスを実施しようとしたものです。
しかし、その見込みは大きく外れました。一〇%への増税直後からコロナ禍が襲い、二〇年度のGDPは四・六%減少、リーマン・ショックの二〇〇八年度を超え、戦後最悪でした。二一年度も楽観できません。
この下でインボイスを導入し、負担が増えれば、倒産や廃業に追い込まれる事業者が更に増えるのは目に見えていると思いますけれども、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) このインボイス制度については、円滑な移行を図る観点から、事業者の準備や負担を軽減、緩和するために軽減税率の実施から十年間の十分な措置を設けているところであります。
そして、そうしたこの経過措置の中で、様々な負担に対して政府としても必要な支援を行っているわけでありますし、また周知、広報に努めているということで、この制度移行を円滑に行えるよう政府としても環境整備に努めている、こういった次第であります。
○山添拓君 周知、広報すれば、倒産、廃業しないということにはならないと思うんですね。
安倍政権は、消費増税について、リーマン・ショック級の出来事がない限り引き上げるとしていました。ですから、コロナ禍を受けて、本来すぐにでも減税すべきだったと思うんですね。この上、インボイスの導入によって新たな負担を求めるのは前提を欠くと思います。ヨーロッパでインボイスが導入されたときには多くの小規模事業者が廃業に追い込まれた、このことも認識されるべきだと思います。
大体、周知も準備も今十分になされているとは言えません。日本商工会議所が昨年十一月に行ったアンケートでも、インボイス制度の導入準備をほとんどしていないという回答が五九・九%でした。売上げ一千万円以下では七三%に上っています。インボイスは全ての取引で発行が必要になり、事務的な負担が膨大になります。
財務大臣に伺います。
日本商工会議所はインボイス制度凍結を求め、日本税理士会連合会は導入時期の延期を求めています。これも、こうした事務負担が増加することを懸念したものですね。
○国務大臣(鈴木俊一君) 山添先生御指摘の意見あるいはその建議書でございますが、これは、コロナ禍においてインボイス制度の導入が事業者の事務負担や取引に与える影響等を懸念をして、中小企業のデジタル化が進められるまでの間は導入の延期や凍結を求めているものと、そういうふうに理解をいたしております。
そうしたような懸念の建議書やこの意見を踏まえまして、政府としては、これまで、これからですね、IT導入補助金により、インボイス制度も見据えた中小・小規模事業者のデジタル化による事務負担の軽減ですとか、あるいは持続化補助金により、免税事業者からインボイス発行事業者となる小規模事業者の販路拡大、販路開拓の支援などを実施することといたしております。
さらに、優越的地位を利用した一方的な価格の引下げなどに対しましても、独禁法、下請法等の取扱いをQアンドA等により明確化をいたしまして、各事業者団体への法令遵守要請を行うなど、免税事業者を始めとした事業者の取引環境の整備に取り組んでいるところでございます。
○山添拓君 今、独禁法とおっしゃったんですけれども、私、公正取引委員会に伺ったのですが、独禁法違反で公正取引委員会が措置を行った、買いたたきや減額や利益提供要請行ったということで措置を行ったのは、五年間遡っても五件だけだというんですね。だから、いろいろやるとおっしゃっても、それが実効性あるものとなるような保証は全くないわけです。
商工会議所のアンケートでも、課税業者となる際の課題で最も多かったのは、制度が複雑で事務負担に対応できないというものでありました。私は、フリーランスの方からもお話を伺いました。アニメーター、一日十二時間働いても年収二百万円台が珍しくないと、自分が免税業者だという認識もなく、消費税について学ぶ時間も取れないと、その中で、この先インボイスの事務に時間を取られるのかと心配されていました。これはもっともだと思います。
消費税導入以来、一定の売上高より少ない事業者は免税業者とされてきました。財務省はその理由を、中小業者の事務負担に配慮し、実務を簡素化するためだと述べてきました。今もその考え方に変わりはありませんか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 消費税の事業者免税点制度は、前々年又は前々事業年度の課税売上高が一千万円以下の小規模な事業者について、消費税の納税義務を免除する制度であります。これは、制度の公平性や透明性を著しく損なわないその範囲の中で、中小事業者の事務負担に配慮し、事務の簡素化のために設けられたものであります。
○山添拓君 家族経営や個人事業主で、特別の事務員がいるわけでもなく、経営規模が小さく、納税事務に労力を割くことも大変だと。しかも、取引先と対等、平等ではなく、買いたたかれもすると。そういう事業者の実情をも踏まえた制度であります。こういう中でインボイスを導入しても、いいことは一つもないわけですね。
総理は、先ほども複数税率の下で適正な課税を確保するためにインボイスが必要だと答弁されました。二〇一九年十月以降、複数税率となって二年半が過ぎます。この間、課税業者はインボイスを使うことなく、複数税率の下で消費税を納めてきました。帳簿上、年間の売上額と年間の仕入れ額が分かれば計算は簡単です。一〇%と八%、二つの税率ごとに区分して計算することは十分可能です。
財務大臣に伺いますが、一つ一つの取引にインボイスを発行するなど、膨大な事務負担を求める必要などないのではありませんか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 私どもといたしましては、複数税率の下でインボイス制度というものは必要不可欠であると、そのように考えてございます。それは、複数税率の適正な課税を確保するためには、売手と買手で税率の認識が一致していることを制度として担保する必要があると考えるからであります。
この点、現行制度の下では、売手側に請求書等の交付義務やその写しの保存義務もない一方で、買手側は、一定の場合には請求書等の保存がなくとも消費税の仕入れ税額控除が可能となっております。そのため、仮に売手が軽減税率で申告しているものについて買手が標準税率で控除を行ったとしても、書類が保存されていない場合があり、事後的な確認が困難となっているところでございます。
こうしたことから、インボイス制度は適正な課税を確保するために必要なものであると考えております。
○山添拓君 そうすると、今もう複数税率が始まっていますけれども、何かいいかげんな税、徴税やっているという、そういうことなんですか。今、何か具体的に複数税率で不都合が生じるような、そういうことになっているんですか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 個別の具体の案件につきましてはちょっと差し控えさせていただきますが、例えばですね、八%である食料品と一〇%である酒類の仕入れについて、全額をこの標準税率、つまり一〇%で税額控除をしているような事例、こういうものが把握をされているところであります。
○山添拓君 把握ができているということであれば、適正化を図ればよいことなのであります。
八%と一〇%、二種類の税率で、しかも食料品とそのほかという分け方であれば、現在の帳簿方式でも大きな不都合はありません。財務省は、帳簿方式で消費税を計算しているのは日本だけだと説明されます。確かに、ヨーロッパではインボイスを基に消費税を計算する仕組みが取られています。
そのヨーロッパの消費税の状況を見ると、どうなっているかと。例えば、フランスでは、標準税率二〇%に対して、旅客輸送や外食サービスは一〇%、書籍や食料品、スポーツ観戦や映画は五・五%、新聞、雑誌、医薬品などは二・一%、こういう税率です。スウェーデン、標準税率二五%、食料品や宿泊、外食サービスで一二%、新聞や書籍は六%など。確かに複雑で、その計算にはインボイスが有効だとされています。
総理に伺います。
現在の日本の消費税の下では必要のないインボイス制度、大きな不都合が生じているわけではないそのインボイス制度をわざわざ導入しようとするのは、これは、日本にもヨーロッパ並みの二〇%台、そういう消費税を導入することを目指しているのですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 少なくともこの消費税について私自身、何か触れる、税率について触れるということは考えてはおりません。
今、インボイス導入がそうした税率引上げを目指しているのではないか、こういった御質問でありましたが、そういった議論とインボイス、税率の議論とインボイス引上げの議論、これは結び付いているものではないと認識をしております。
○山添拓君 それなら、おやめになったらいいと思うんですね、インボイス制度を導入することは。
いや、昨年十二月、自民党の宮沢洋一税制調査会長は、将来的に社会保障支出を賄うための消費増税について、かなり有力な選択肢として議論されるのは間違いないと述べています。既にそういう考えを持っておられるんじゃありませんか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) これ様々な議論があるとは存じますが、政府としましては、このインボイス制度、この複数税率の下で適正な課税を行うために必要であるという認識であります。そして、その例として、先ほど鈴木大臣の方からも一般論として税も挙げさせて、あっ、例も挙げさせていただきました。
是非、この適正な課税という目標のために、この制度御理解いただき、皆様方に活用していただけるよう、政府としては努力を続けていきたいと思っております。
○山添拓君 いや、そのためには別に今インボイスを日本で導入する必要はないということを申し上げているんですね。
今、コロナで傷んだ暮らしと経済を立て直すためにやるべきことは、インボイスではなく、消費税の五%への引下げです。インボイスは軽減税率、複数税率ゆえに必要だと今日も再三答弁されています。五%に引き下げれば税率は一つになり、インボイスは必要なくなります。世界で既に七十か国以上が消費減税に踏み出しています。消費税は所得の低い人ほど負担が重くなる不公正な税制です。日本も引下げに踏み出すべきではありませんか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 税制は、各国それぞれの考え方に基づいて制度を構築しています。
我が国においては、消費税、この少子、社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置付けられています。こういった点を考えますときに、この消費税については、当面触れることは考えておりません。
○山添拓君 パネルをお示しします。
一九八九年の消費税導入から三十三年、消費税が増えた分以上に法人税や所得税、住民税が減収になっています。消費税収の総計は四百七十六兆円、ほぼ同じ期間で法人三税は三百二十四兆円、所得税と住民税は二百八十九兆円も減ってしまいました。増税のために景気が悪化する、その影響も受けています。消費税はその穴埋めに使われて、社会保障には使われていないではありませんか。これは、総理、どう説明されるんですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 消費税は、安定した財源として社会保障に使われるということ、法律で担保されています。
この消費税は、政府として、社会保障の財源として重要であると考え、当面触れることは考えていない、これが政府の考え方であります。
○山添拓君 それは説明になっていません。いろいろおっしゃっても、これが事実だと言わなければなりません。
その社会保障は、年金給付が削られて、高齢者の医療費窓口負担が増え、生活保護の削減など、六兆円もの給付減と負担増が国民に押し付けられてきました。社会保障は良くなるどころか弱まるばかりです。しかも、コロナの下で、消費税を財源に急性期の入院ベッドを大規模に削る計画まで進めています。社会保障のための消費税というのは、これは事実に反します。
消費税の五%への引下げとインボイスの中止を改めて求めて、質問を終わります。

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