山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会報告

2022年・第208通常国会

法務委員会で、裁判所職員の定員について質疑を行いました。

要約
  • 法務委員会で、裁判所職員の定員について質疑を行いました。 この間、家庭裁判所調査官について、調査官補として採用されながら、調査官として任官されないケースが複数あります。 最高裁も「同様の傾向が続くのか、一時的なものか見極めは必要」「一人一人への適切な指導に努める」旨答弁しました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
裁判所職員定員法改定案について伺います。
判事補を四十人減らし、裁判所職員を二十六人減らす、裁判所全体で六十六人、過去最大の純減をもたらす法案です。判事補四十人減少というのは、これは過去最大で、それ自体、事件の複雑困難化に対応できるのか疑問もあります。ただ、これは最高裁の概算要求時にも盛り込まれていたものでありました。
一方、裁判官以外の職員は、概算要求の時点では、増員要求と定員合理化と、それを差引きして、トータルではプラス・マイナス・ゼロというものでありました。最高裁としては、この概算要求時点ではこれが必要な定員だとして要求したものだったわけですね。
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
令和四年度の概算要求におきましては、判事補の減員のほかに、一般職につきましては、国家公務員のワーク・ライフ・バランス推進を図るため家裁調査官の二人、事件処理支援の体制強化を図るため事務官六十五人の増員要求をしております。速記官の振替減及び定員合理化減との差引き合計でプラス・マイナス・ゼロの要求をしたところでございます。
概算要求の時点におきましては、そのような人員の増員が必要であるというふうに考えているものでございます。
○山添拓君 政府の定員合理化計画への協力を考慮しつつ、必要かつ十分な定員としてせめてプラス・マイナス・ゼロにと、こういう趣旨であろうと思います。
財務省に伺います。
この最高裁の概算要求にどのように対応したのですか。
○政府参考人(坂本基君) お答え申し上げます。
独立機関でございます裁判所の予算につきましては、その独立性を十分に尊重しつつ、意見調整を図り、合意を得る必要があるものと承知してございます。
お尋ねの裁判所の定員につきましては、最高裁判所の定員要求を踏まえまして、最近の事件動向や人的体制強化の必要性等を総合的に勘案しながら最高裁判所との間で意見調整を行い、合意を得たものでございます。
なお、裁判所におきましては、令和三年度の裁判所定員法の改正に際しての附帯決議等も踏まえまして、その定員充足に努めつつ、減員等による欠員の是正などの取組を講じているものと承知してございます。財務省としても、その定員が適正となるよう努めてまいりたいと考えてございます。
○山添拓君 意見調整と今おっしゃったんですけれども、最高裁とは何回ぐらい、どういう意見交換をされたんですか。
○政府参考人(坂本基君) お答え申し上げます。
ちょっと回数という形での把握はございませんけれども、九月、八月の末の御要望をいただいてから十二月中旬にかけまして密接に意見交換をさせていただいて意見調整をさせていただいたということでございます。
○山添拓君 その密接な意見交換の中で、最高裁に対して、政府の定員合理化方針にもっと従うようにと、もっと協力するようにと、こういうことも求められたのですか。
○政府参考人(坂本基君) お答え申し上げます。
政府全体の定員合理化の動きというふうなものを御紹介しながら、最終的には、最高裁判所におきまして意見調整の結果、自主的に最終的に御判断をいただいたというものと承知してございます。
○山添拓君 そうおっしゃるんですけれども、最高裁は最高裁として必要だと考える定員数を財務省に概算要求で上げているわけですよ。それに対して、定員合理化方針を紹介して、更にもっと頑張るべきだと、こういうふうに伝えられたということですかね。
○政府参考人(坂本基君) 定員合理化の動向でございますとか、先ほど申し上げましたような最近の事件の動向の数、例えばでございますけれども、事件動向を見ますと、成年後見人関係の事件など一部の事件を除きましては増加に歯止めが掛かっているというふうな状況の中、事務官三十九名の増員を図ることで事務処理の支援のための体制強化等を図ることができるのではないかといったような議論をさせていただいたところでございます。
○山添拓君 最高裁は、今財務省が述べたようなことを検討せずに概算要求を上げていたのですか。
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
裁判所事務官につきましては、事件処理の支援のための体制強化のために、概算要求の際には六十五人の増員が必要というふうに考えたところでありますが、概算要求後、財務省と意見交換を行った上で、政府が国家公務員の定員について厳しい姿勢で合理化に取り組んでいることや、他の行政機関が定員の再配置により業務の増大に対処し増員を抑制しているというようなことも踏まえまして、裁判所におきましても、国家機関として現有人員の有効活用を更に図れるかを精査し、改めて増員の必要性について検討したところ、事務官三十九人の増員を図ることで事件処理の支援のための体制強化等を図ることができるものと自主的に判断したものであります。
○山添拓君 いや、そんなこと自主的に判断されないでいただきたいと思うんですよね。元々最高裁として必要だと提起した人数ですから。
財務省に伺いますけど、三権分立の下で最高裁の予算や定員というのは独自に定められる、決められるべきものだと思います。財務省は、最高裁の概算要求から更に減らせと、こういうふうに求める権限はないですよね。
○政府参考人(坂本基君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、裁判所との、の意見、予算につきましては、裁判所の意に反して、例えば行政府において歳出の見積りを減額して予算に国会を、提出するというふうなことになる場合には、財政法十九条の規定により、裁判所の歳出見積りの詳細を記載するとともに、国会が裁判所の歳出額を修正する場合に必要な財源を明記するという、いわゆる二重予算制度ということになっていると、これ御指摘のとおり、三権分立というふうな趣旨を踏まえたものと承知してございます。
その上で、いずれにしましても、現在の予算制度におきましては、裁判所の予算について、その独立性を十分に尊重しながら、合意の下に意見調整を図るというふうなこととしてございます。
○山添拓君 ですから、これに最高裁が無理やり従う必要はないわけです。ところが、資料御覧ください。一番下のところですが、概算要求では裁判所事務官について十八人の増員要求だったものが、法案提出時はマイナス八と、減員要求になっています。最高裁が事務処理の適正化のために必要だとして増員を求めたものが、何だか知らないけれども財務省との意見交換をすると増員どころか減員でよしということになったと。これでは、最高裁として本来必要な定員数を満たせないということになると、こう読むのが普通だと思うんですけれども、最高裁、それでよいのですか。
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) 先ほども御説明させていただきましたとおり、概算要求時に六十五人の増員が必要というふうに考えたところでありますが、その後の意見交換を踏まえ、私どもとして現有人員の有効活用を更に図るということで対応できるというふうに考えたものでございます。
○山添拓君 とても頼りないと思うんですね。
最高裁は、昨年、私の質問に対して、どのような体制を整備していくべきかについては裁判所が自主的、自律的に判断している、政府の定員合理化計画に協力するのかしないのか、その範囲をどうすべきかについては毎年判断したいと答弁しました。自主的、自律的に判断した上で提出されたものがこの概算要求であったはずです。ところが、そうして最高裁が必要に基づいて示した概算要求を財務省との意見交換を通じてすぐに引っ込めてしまうと。これでは三権分立などあったものではないと思うんです。
これは私は、司法の独立、あるいは司法の公正、それに対する国民の信頼に関わると思うんですね。とりわけ、国が相手方となる行政訴訟や国家賠償請求事件で、じゃ、裁判所は実は予算も人員も財務省に握られているではないかと。そうなると、裁判の公正さに国民から疑問を持たれても仕方がないと思うんです。いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) 定員の予算要求等につきましては、先ほど申し上げましたとおり、概算要求をし、財務省と意見交換を重ねた上で、私どもで改めて検討をして、対応できるということで変更したというものでございます。そのことと裁判事務をしっかり適正、確実に行っていくということは引き続き行っていくべきものというふうに考えております。
○山添拓君 政府の定員合理化計画に裁判所がそこまで追従する必要はないですよ。しかも、国の行政機関は、この間、デジタル庁の創設などによって二年連続で純増になっています。そのツケを司法府に負わせるということは、これはあってはならないと思います。
大臣にも伺います。
最高裁の概算要求については、よほどのことがない限り、これはそのまま認めるというのが筋だと思うんです。財務大臣に法務大臣からそのように進言すべきじゃありませんか。
○国務大臣(古川禎久君) 裁判所の経費は独立して国の予算に計上するものとされておりまして、裁判所の予算の原案は独立の機関たる最高裁判所が独自の判断に基づいて内閣に提出することとされております。したがいまして、予算編成過程における財務当局との協議も最高裁判所の事務当局が当たるものでございまして、法務省はこれに介入すべき立場にはないと考えております。
もっとも、裁判所の予算につきましても、最終的に予算案を作成するのは内閣の責務であります。そのため、法務大臣としては、内閣としての意思決定の段階において、閣議の一員として、また、裁判所の職務に最も近い関係にある法務を担当する大臣として、裁判所の要求が正しく理解されるよう努めてまいりたいと考えています。
○山添拓君 そう大臣おっしゃるんですけれども、しかし、今聞いていただいたように、しかも、これもう長年そのように行っていると、概算要求から更に削れということを財務当局との意見調整の名の下に行っているというのが現実なんですね。
大臣も内閣の一員ですから、やはりそういうことはやらないようにするべきだと、三権分立の下で最高裁の掲げてきた要求、これも非常にささやかなものだと思うんです、プラス・マイナス・ゼロですから。それについては尊重するべきだと、こういうことを閣議の中でもおっしゃるべきじゃないですか。
○国務大臣(古川禎久君) 三権分立の精神はいかなる場面においても尊重されるべきものであると考えております。
御指摘の点について、司法が、司法の独立が侵された状況にあるというふうには認識しておりません。
○山添拓君 その認識は改められるべきだと思います。やはり、司法府に定員合理化計画を押し付けるような、そういうやり方そのものを改めるべきだと指摘しておきたいと思います。
残りの時間で家裁調査官の問題について伺います。
二名増員となった、ワーク・ライフ・バランス推進を理由として増員とされたのは初めてですので、これは前進だと思います。しかし、全国で二人では十分とは思えませんので、今後もそのための増員を視野に入れていくべきだと思います。
ちょっと気になる点がございます。調査官は調査官補として採用されます。約二年間の養成課程を修了して任官する仕組みです。研修所での研修や家裁での実務研修もあり、言わばOJTで研さんを積んでいきます。
資料二ページを御覧ください。
ところが、近年、調査官補として採用されながら任官されないというケースが目立ちます。二〇一九年採用者では四十五人中四人、二〇年度は四十八人中四人が任官されていません。
最高裁は、その背景や要因についてどのように分析していますか。
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えを申し上げます。
御指摘のとおり、家庭裁判所調査官補として令和元年度には四十五人を、令和二年度には四十八人を採用し、そのうちそれぞれ四人ずつが家庭裁判所調査官として任官しなかったところでございます。
もっとも、このような傾向が今後も続くのか、一時的な現象にとどまるのかは慎重に見極める必要があると考えているところでございます。
いずれにしましても、採用された家庭裁判所調査官補に対しては、これまでも一人一人の資質、能力等を踏まえつつ、家裁、家庭裁判所調査官としてその職責を果たしていけるよう指導してきたところでございますが、今後とも、適切な指導、育成に努めてまいりたいと考えております。
○山添拓君 せっかく調査官補として採用されながら任官に至らない人が増加傾向にあるというのは看過できないと思います。
調査官は、少年事件であれ家事事件であれ、人に寄り添い、丁寧に対応しなければならない重い仕事だと思うんですね。知識も経験もOJTで積んでいくもので、かつては研修も三年だったと伺っています。安易に退職に追い込むことのないように、丁寧に研修をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

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