山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会報告

2022年・第208通常国会

参議院法務委員会で、刑法侮辱罪(北海道警のヤジ排除問題)について質問しました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
侮辱罪の法定刑引上げについて伺います。
逮捕が容易になることが懸念をされております。そこで、法務省と警察庁連名による政府統一見解が出されております。侮辱罪による現行犯逮捕について、表現の自由の重要性に配慮しつつ慎重な運用がなされる、実際上は想定されないなどと記されております。
国家公安委員長に伺います。
前回の質疑で法務省は、侮辱罪で現行犯逮捕を必要とするかどうか、これを判断するのは逮捕者だと答弁しました。ですから、慎重な運用とありますが、実際に現行犯逮捕するかどうかの判断は現場の捜査官次第ということになるかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(二之湯智君) 逮捕権の運用につきましては、身体の自由に直接関連することから、犯罪捜査規範において、逮捕権は慎重適正に運用しなければならない旨を規定しているところでございます。
その上で、侮辱罪による現行犯逮捕については、身体の自由に加え表現の自由への配慮も重要と考えられることから、先般、表現の自由の重要性に配慮しつつ逮捕権の運用を慎重に行う旨を政府統一見解としてお示しをしたところでございます。
○山添拓君 いや、私が伺ったのは、その上で、最終的に現行犯逮捕をするかどうかの判断は現場の捜査官が行うことになると思いますが、そうですね。
○政府参考人(大賀眞一君) 大臣からも、国家公安委員会委員長からも答弁がありましたとおり、侮辱罪については慎重な運用が求められるということは重々承知をしております。そして、表現行為という性質上、現行犯逮捕時に正当行為でないことが明白と言える場合は実際上は想定されないと考えております。
改正法の成立後、逮捕権の慎重適正な運用、こうした趣旨について、十分警察庁から都道府県警察に対して周知を徹底していくということとしております。
○山添拓君 三回目ですから。その上で、最終的に現行犯逮捕するかどうかの判断は現場の捜査官が行うわけですね。
○政府参考人(大賀眞一君) 現行犯逮捕でございますので、逮捕者が行うということには間違いございません。
○山添拓君 慎重な運用というのは当然ですけれども、最終的には現場の捜査官次第ということになります。それは歯止めにならないのではないかということを指摘してきたわけです。
これは二〇一九年の参院選、安倍元首相が行った街頭演説で、安倍辞めろ、増税反対などと声を上げた市民二人を北海道警察が排除した事件からも明らかです。
警察庁に伺いますが、やじを飛ばした二人は警官らに肩や腕などをつかまれて移動させられたり、長時間付きまとわれたりしました。この二人を排除してほしいと主催者から何か要請はあったんでしょうか。
○政府参考人(森元良幸君) お答え申し上げます。
お尋ねの点でございますけれども、これは、いずれも現場の警察官がそれぞれの状況を踏まえてトラブル防止の観点から法律に基づき必要と判断した措置を講じたものであるとの報告を受けているところです。
○山添拓君 主催者から要請はなかったわけですね。
○政府参考人(森元良幸君) そのとおりでございます。
○山添拓君 この二人とも言葉を発してから十秒程度で排除されています。要請などなく、道警が勝手に判断して行ったものです。国家賠償請求の裁判で道警は、警察官職務執行法四条、五条に基づく行為だと主張しました。しかし、この主張自体理解し難いものです。
四条は、何らかの危険が及びそうなので避難させることができるという規定です。原告の二人が誰かから危害を加えられかねないと、言わば被害者と見て移動させたということになります。ところが、被害者として移動させたというのなら加害者はどうなったかということになるんですが、加害者については放置されております。
一方で、五条というのは、犯罪が行われようとしているときに制止することができるという規定です。原告の二人を今度は言わば加害者と見たということになります。しかし、加害に及びそうな原告が興奮状態だったとか、あるいはポケットに手を入れて何か物を投げ出そうとしたとか、そういった警察官が証言した事実は裁判ではいずれも否定されております。
警察庁は前回、有田議員の質問に、トラブル防止の観点から移動させたと説明しました。トラブルなら相手がいるはずです。なぜ相手はおとがめなしで、やじを飛ばした二人が排除されたんですか。
○政府参考人(森元良幸君) お答え申し上げます。
事案でございますけれども、札幌駅前の聴衆の中で大声を上げる方がおられ、周囲からは反発の声が上がり、聴衆の一人がその男性を手で制するなど、手で押すなどの行為が発生したところでございます。
トラブル防止の観点から当該男性を移動させたとの報告を受けておりまして、その根拠といたしましては、周囲の聴衆とのトラブルによって危害を加えられるおそれがあり、また、興奮して暴行などに及ぶおそれもあったということで、警察官職務執行法四条一項、五条に基づき、避難及び制止の措置をとったと報告を受けているところでございます。
○山添拓君 私が伺っていますのは、そのトラブルがあったと、あるいはそれが懸念されたということであれば、その相手方ではなく、なぜこのやじを飛ばした方を排除したのですかということです。
○政府参考人(森元良幸君) お答え申し上げます。
北海道警察からは、周囲の状況に照らし、そのような方法しかなかったというふうに報告を受けております。
○山添拓君 原告を排除した後、警察官は、演説しているから、それ邪魔しちゃ駄目だよ、選挙の自由妨害すると発言したといいます。
トラブル防止ではなく、演説の邪魔をするなということだったんではありませんか。
○政府参考人(森元良幸君) お答え申し上げます。
先ほどもお答えいたしましたとおり、この度の警察官の措置ですけれども、多数の聴衆と個人とのトラブルを防止するために現場の警察官が必要と判断した措置を講じたものでございまして、意見の内容などに着目した措置ではない、こういう報告を受けております。
○山添拓君 そのような報告を受けられていると言いますが、札幌地裁の判決は、警察官が安倍総裁の街頭演説の場にそぐわないと判断し、表現行為そのものを制限し、また制限しようとしたものと推認せざるを得ないと判断しました。そのとおりだと思います。
国家公安委員長に伺います。本当に現場の警察官の対応が適切だったと言えるでしょうか。御自身はそのことを確認されましたか。判決お読みになりましたか。
○国務大臣(二之湯智君) お尋ねの事案は、平成元年の七月十五日の……(発言する者あり)あっ、令和元年、済みません、七月十五日の札幌市においての参議院通常選挙に係る街頭演説が行われた際に、警護、警備を行う中で北海道警察の現場の警察官がトラブル中止の観点から一部の方々を移動すると、したなどの事案であると承知をしているわけでございます。
本件に関しては、北海道警察からは、いずれも現場の警察官がそれぞれの状況を踏まえ、警察官職務執行法に基づき必要とした、必要と判断した結果との措置、結果であるということの報告を受けております。
今後とも、各種法令に基づきまして適切に職務を執行していくよう警察を指導してまいりたいと思っております。
○山添拓君 札幌地裁の判決は、公安委員長自身はお読みになったでしょうか。
○国務大臣(二之湯智君) 読んでおりません。
○山添拓君 証人尋問の中で現場の警察官が次のように証言しているんですね。質問、一般的に有形力を行使するには法律の要件を満たしている場合に限るということは間違いないですか、答え、仮定の質問にはお答えできません。質問、要人警護のためであっても、警察が有形力を行使するには法律の定める要件を満たしていなければならないと思うんですが、それはあなたの認識と合致していますか、答え、個別の法解釈については回答できません。質問、やじは憲法上保障されているやってもいい行為だという認識はありましたか、答え、個別の法令解釈についてはお答えしかねます。質問、適法か違法か分からなかったら現場で対処できないんじゃないですか、答え、法令に基づいて適切な判断をしたと思っております。
これが現実ですよ、公安委員長。先ほど委員長が、現場の警察官がそれぞれの判断を、それぞれ状況を踏まえて、法律に基づいて必要と判断した措置だと、そうおっしゃったその警察官の認識というのはこういうものなんですね。御存じでしたか。
○国務大臣(二之湯智君) 恐らく、私が現場にいたわけではないわけでございますけれども、あくまで現場の警察官はトラブル防止という観点からそのお二人に移動を、移動してもらったということでございます。これが札幌地裁でのああいう判決になったわけでございますけれども、現在係争中でございますから、そのことに関しましては私はコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
○山添拓君 トラブル防止であれば、法律ののりを越えて有形力を行使してよいということにはならないと思うんですよ。しかし、その現場の警察官の認識、裁判で聞かれて、問われて答えた認識というのは、個別の法令解釈については答えない、だけど現場では適切に法令に基づいて対処した、これは答えになっていないと思うんですが、こういう認識で現場に臨んでいたということなんですね。
排除の法的根拠についても、先ほど警職法四条、五条というお話がありました。これ、現場での説明はありませんでした。初めて四条、五条を持ち出したのは七か月後のことです。これは実際には排除ありきの対応だったと非難されても仕方ないと思うんですね。
国家公安委員長は本会議で、官邸の指示を含めて、道警の組織的な関与も疑われるとの指摘は当たらないと答弁されました。この当時の状況を知る方に伺うと、このとき異常なほど警察官がいて、事件となった場所のほかでもあちこち止められていたというんですね。
警察庁、伺います。当日、現地には警視庁の要人SPもいましたね。
○政府参考人(森元良幸君) お答えします。
警護、警備の具体的な体制の話になりますので、お答えを差し控えさせていただきます。
○山添拓君 警視庁の要人SPも配備されていたことは裁判の資料上明らかになっているんですね。
安倍元総理の街頭演説に当たって警察庁から何らかの指示はしていたということかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(森元良幸君) 先ほど答弁申し上げたとおり、北海道警察からは現場の警察官が状況に応じて法律に基づき必要と基づく判断を行ったと報告を受けておりまして、警察庁から特段の指示は行ってございません。
○山添拓君 やじを排除したことについての指示ではなく、安倍元総理が街頭演説をするに当たって警察庁から何らかの指示をしていたことは事実ですよね。
○政府参考人(森元良幸君) 個別具体的な警備における指示、措置につきましては答弁を差し控えますけれども、一般的に平素から、重要な警護、警備におきましては、要人の安全確保、雑踏事故の防止などの観点から指示を行うとともに、教養を実施しているところでございます。
○山添拓君 これは裁判でも記録が開示されたんですけれども、黒塗りでした。何ら組織的な関与がないとおっしゃるのであれば、いかなる指示をしていたのか明らかにされるべきだと思います。
国家公安委員長はこのやじ排除について、先ほどの答弁でも、現場の警察官の判断としてあくまで適切だという立場であろうかと思います。そうなりますと、今後も現場の警察官は全国で同様の対応をすることになると思うんですよ。何の問題意識もありませんか。
○国務大臣(二之湯智君) 札幌駅での安倍首相の演説で、つまりお二人ですか、の方が移動を強制されたということですが、これはあくまでトラブル防止という観点からでございまして、決して言論の自由、表現の自由を圧迫するという目的では何らないわけでございますから、そういうことについての配慮はこれからも十分に慎重にしていかなければならないと私は思っておるところでございます。
○山添拓君 トラブル防止などではなく排除ありきの対応だったということが裁判では指摘をされております。
私は、先日、池袋で街頭演説を行ったんですけど、道路占用許可も得て警察とも調整してのものでありました。ですから、大勢の警察官がいたわけです。ところが、右翼の街宣車が私たちの車のすぐ横、あるいはすぐ前、聴衆が耳を塞ぐような大音量で罵声を浴びせ続けました。一時間近くに及びました。しかし、警察がこれを実力行使で排除するなどということはありませんでした。
一方で、札幌ではやじを飛ばしただけの二人がすぐさま実力で排除されました。この警察の恣意的な運用について問題意識すらお持ちでないと。その下で、侮辱罪の現行犯逮捕は慎重な運用、実際には想定されない、これは全く説得力がないということを申し上げて、質問を終わります。

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