山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2022年・第208通常国会

予算委員会で、学費半額を求めて岸田総理に質問しました。

要約
  • 予算委員会で、学費半額を求めて岸田総理に質問しました。 世界的に見ても高すぎる日本の学費。高等教育は、将来の働き手として、社会全体に利益があります。教育への政府支出が多いほど、一人当たりGDP成長率が高いという研究も。総理も「教育の充実は社会全体として大きなプラス」と答弁しました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
物価の高騰が学校給食に打撃を与えています。デザートが減るとか、あるいは東京の杉並区で伺うと、四月一日からの値上げを保護者が後から知らされて驚いたとか、まあ様々な影響が出ております。
政府は臨時交付金で対応できると言いますが、これは一年限りです。義務教育の無償を定めた憲法二十六条二項に照らせば、学校給食も無償にするべきです。給食だけはお代わりできると、栄養のあるものを食べられると、これは切実な声です。
学校給食法が制定された一九五四年の議事録を読んでみました。当時、参議院で議員立法として提出された法案は無償としていました。しかし、財政上難しいということで文部省が法案を出し直し、閣法では自治体と保護者が負担し合うものとされました。
総理に伺います。
それから七十年近くがたちます。今、財政を理由に学校給食の無償化が実現できないということはないはずだと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 誰もが安心して学校に通うことができるよう、経済的に就学困難な義務教育段階の児童生徒に対して、国は市町村が実施する給食費等の負担軽減に対する支援、これまでも行ってきました。そして、この支援はしっかり行わなければならない、このように思っています。
そして今、この昨今の様々な経済状況の中で更なる学校給食費の負担軽減を考えなければならないということで、今回の総合緊急対策において低所得者、低所得の子育て世帯に五万円の給付、そして地方創生臨時交付金により給食費の負担軽減を自治体にしっかり取り組んでもらう、これを後押ししていく、こういった仕掛けを用意した次第であります。
○山添拓君 戦後すぐの国会で、与野党の議員が極めて熱く学校給食の無償化について語っていたんですね。私は、それ、今の与党の皆さん、ルーツにつながるような方々も含めて、かなりこう積極的に、やっぱり無償で提供していくべきだとお話しだったんですよ。
やっぱり国費で全額無償にしていくということ、そういう目標を持つということ、いかがですか。
○国務大臣(末松信介君) 山添先生にお答え申し上げます。
家庭の経済状況が厳しい児童生徒さんの学校給食につきましては……(発言する者あり)全体で。まあ生活保護に、教育扶助や就学援助によりまして支援を実施をしているところでございまして、先ほど先生のその学校給食の無償化につきましては、その学校の設置者と保護者の協力により学校給食が円滑に実施されることが期待されていると。今申し上げたように、学校給食法の立法趣旨に基づきまして、各自治体において地域の事情に応じて今検討いただいております。もし、これ無償にした場合は、今、公立の小学校の生徒さんが六百万人、中学校の生徒さんが三百万人ですから、約四千四百億円掛かると。まあ、小学生が四万七千円、中学生が五万四千円になろうかと思うんですけれども。
そこで、今総理もお話あったと思うんですが、昨今の物価高騰に伴いまして学校給食につきましても懸念が示されているところで、四月二十六日の原油価格・物価高騰等の総合緊急対策を受けまして、新型コロナウイルス感染対応地方創生臨時交付金の拡充によって今対応をいたしているところでございます。
○山添拓君 四千四百億円という話がありました。軍事費五兆円増やしていこうというお話されていますから、そういうお金を子供たちのために、将来のために出せないのかということが問われていると思うんです。総理が無償化の目標すら語れないというのは、私は残念に思います。
憲法に、義務教育は無償という条項があります。それでも、政治が決断しなければ無償にはならないわけです。今、教育無償化のために憲法改正という主張もありますが、やはりこれは憲法の問題ではなく政治の問題だということははっきりしていると思います。
大学の学費について伺います。(資料提示)
国立大学で年間五十三万五千八百円、私立大学の平均は九十三万円余りです。入学金を合わせた初年度納付金は、国立で八十一万七千八百円、私大の平均で百十七万六千八百円余りです。
もし学生がアルバイトでこれを稼ごうとするとどうなるか。東京の最低賃金、千四十一円です。割ってみましたら、国立だと毎週十五時間、私立だと毎週二十一時間働くという計算です。もちろん、生活費はこれとは別に掛かります。
保護者の側から見るとどうかと。四十代前半の平均年収は四百七十万円です。国立大であれば年収の六分の一、私大で四分の一に上ります。平均値ですから、女性の一人親となるともっと深刻であろうと思います。
総理に伺います。
日本の学費は高過ぎると思うんですけれども、そういう認識をお持ちですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 日本における大学の授業料が高過ぎるのではないかという質問でありますが、これ、日本が他国と比べて高過ぎるかどうか。これ、国際的な状況を見た場合、おっしゃるように、ドイツ、フランスのような低廉な国があるのは事実です。一方で、英国、米国、こうした国、これは我が国の二倍近い国もある、これが現実であると思っています。
そうした様々な状況の中でありますが、我が国として引き続き、未来を担う学生の学びを支えていく、こういった努力を続けていく、これは重要であると認識をしています。
○山添拓君 いや、他国との比較もありますけれども、私は、この額を今保護者が払わなくちゃいけない、学生が自分でアルバイトまでして担わなくちゃいけない、その額そのものについて総理がどうお考えかと伺っています。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) こうした負担に対して、真に必要な、支援の必要な低所得世帯の学生に対して、給付型奨学金、授業料減免、これを実施しているところですし、また、無利子奨学金、有利子奨学金、こうしたものについても返済時に様々な負担軽減を用意する。そして、それに加えて、先般の教育未来創造会議において、授業料減免や給付型奨学金、中間層へ拡大するべきではないか、さらにはライフイベントに応じた柔軟な制度、出世払いの仕組み、こうしたものも提言されたということです。
これらを是非実施していきたいと思っています。
○山添拓君 そうやっていろんな手だてを取らなければならないというのは、高過ぎるからですよ。
修学支援の新制度の利用者は、二〇年度二十七万人、二一年度は三十二万人でした。これは、全学生三百五十万人の一割にも満たない数です。
文科大臣に伺います。
このうち、授業料が全額免除となったのはそれぞれ何人だったでしょうか。
○国務大臣(末松信介君) お答え申し上げます。
授業料の減免と給付型奨学金の支給を行う高等教育の修学支援新制度、真に支援が必要な低所得者世帯の学生を支援するものでございまして、住民税非課税世帯に加え、それに準ずる世帯について支援の対象といたしております。
その前提で、先生お尋ねの二〇二〇年度は、今先生おっしゃいました修学支援新制度の利用者数は約二十七万人で、そのうち全額支援の対象となっていた方は約十五万人です。そして、二〇二一年度、令和三年度は、三十二万人に対して全額支援の対象となった方は十八万人でございました。
○山添拓君 つまり、修学支援新制度の利用者の半分程度と。高等教育無償化だと言いますが、本当に無償になっているのはごく僅かなんですね。日本学生支援機構や民間のものを合わせますと、学生の半数が何らかの奨学金を利用しています。かなりの部分が借金です。大事な一歩を踏み出していると思うんですね、給付型奨学金も含めて。しかし、求められている規模には全く追い付いていないのが現状です。
日本の学費の高さ、先ほど総理もおっしゃいました、国際的にも異常と批判されてきました。フランスは三万四千円、ドイツは七万八千円、スウェーデンは無料の上に生活費が出ます。学費の高いところもあるとおっしゃるんですけれども、そういうところは給付型の奨学金が充実していますから、日本のように学費が高くて、しかも奨学金が借金という国は少ないわけです。
政府は、学んで利益を得るのは学生自身であるから学費を払って当然だと、受益者負担論で説明してきました。しかし、大学で学んだ学生は社会に出て働き手となり、社会全体の力となります。高等教育への政府支出が高いほど、一人当たりGDP成長率が高いという研究もあります。
総理にはこういう認識はおありでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほども申し上げましたが、国際的な比較において、日本より低廉な国もあれば二倍近い国もある、その中で日本の授業料、大学における負担、これを考えるわけですが、真に支援の必要な低所得世帯の学生にしっかり支援を行うところから始めなければならないということで、給付型奨学金についても、私学で自宅外の学生については最大九十一万円支援があります。授業料減免についても、私学で自宅外の学生においては最大七十万円の支援があります。
こういった支援をどれだけ広げていくか、これが議論されています。先ほど申し上げました教育未来創造会議においても、こうした授業料減免、給付型奨学金、これを中間層に拡大していく、どこまで拡大していくか、これをしっかりと追求しなければならないと考えています。
○山添拓君 総理、お答えいただきたいのですが、大学で学んで利益を得るのは学生だから、学費は学生が払うべきだという受益者負担論ですね。私、学生時代にも学費の負担軽減を求めて財務省や文科省とも要請したことあるんですけれども、そのときもそういうふうに言われたんですよ。負担の公平あるいは財政上の問題、学生に適正な負担を求める、だから学費の無償化や給付型の奨学金などとんでもないと、こういう反応だったんですね。
しかし、学生が学んで社会に出て、いろんな職に就いてそれを還元していく、利益を得るのは社会全体であるという、そういう認識はお持ちかどうかということなんですが。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) もちろん、教育を充実するということは、本人、個々人にとって大変重要なことでありますが、おっしゃるように、社会全体としてこれは大きなプラスであると認識をいたします。そういったこの基本的な考え方に基づいて、真に支援が必要な方々からまずしっかりと支援を行っていかなければいけない、それをどこまで拡大するか、しっかり考えていきたいと思っています。
○山添拓君 社会全体にとってもプラスとなるというお話でした。
日本政府は二〇一二年、国際人権A規約、いわゆる社会権規約の第十三条二項(c)の留保を撤回しました。これに参加するということですね。高等教育の漸進的無償化、次第に無償にしていくという条項です。外務省のホームページにはこの留保撤回を国連に通告した際の文書が今でも掲載されており、ここにお示ししています。平成二十四年、二〇一二年九月十一日から、これらの規定の適用に当たり、規定にいう「特に、無償教育の漸進的な導入により、」に拘束されることとなりますと書いています。つまり、高等教育について無償化を進めていく、拘束されるんだと、法的に拘束されるということを表明したわけです。
ところが、現在の学費はどうかと。私立大学の平均は、二〇一二年度に八十六万円だったのが九十三万円に上がっています。国立大学は、独立行政法人化された二〇〇四年以降、上がっていませんけれども下がっていません。むしろ、この間、千葉大学や東京工業大学など、一部では値上げをした大学もあるぐらいです。
文科大臣に伺います。
二〇一二年以降、政府内で授業料そのものを下げる検討を行ったことはあるでしょうか。
○国務大臣(末松信介君) いろいろな話合いはなされておりますけれども、下げる検討を行ったかどうかという確認は私は今できません、ここでは。
○山添拓君 下げる議論がされた、それが公にされているものはありますか、確認いただければと思います。
○国務大臣(末松信介君) お答え申し上げます。
今、秘書官と話ししましたけれども、確認は今できません。
○山添拓君 そういうものはないんですね。むしろ、二〇一五年には、当時の安倍政権が、国立大学の学費を十五年間で四十万円値上げするという計画まで打ち出していました。漸進的無償化どころか逆行です。
こういう状況にある原因というのははっきりしていると思います。政府の高等教育予算が少ないからです。GDP比で僅か〇・四%、OECD三十八か国の平均の半分しかありません。逆に、これ見ていただきたいのですが、私費負担、その割合は〇・九%でOECDの倍です。ほかの国では公的に支えている教育が保護者と学生の自己責任にされてきたから、それが実態だと思うんです。アメリカでは、アルバイト時間ゼロだという学生が七割です。日本では、学生の七割近くがアルバイトをしています。
総理に伺います。高等教育予算を倍増させて、学費を緊急に半額にするべきではないでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、社会権規約第十三条2(c)との比較において問題かということにつきましては、これは規約自体、漸進的な導入と明記されています。これ、具体的な方法までは規定していないわけでありますから、我が国のこうした取組、漸進的に努力をしている、こうした方針が維持されておりますので、社会権規約との関係において問題になることはないと思っています。
ただ、教育の無償化に向けて努力をするべきである、こういったことは御指摘のとおりであり、これまでも様々な努力を続けてきましたし、これからも努力を続けていきたいと思います。
ただ、今すぐにという話でありますが、これは是非、この我が国の財政その他、現状を考えるについても、まず優先順位をしっかり付けることによって導入を進めていきたいと思っております。
○山添拓君 財政の状況を考えてとおっしゃるんですね。子育て、教育の話だと財政が理由になるんですよ。軍事費上げるときにはそうはおっしゃらないじゃないですか。相当な増額ってバイデン大統領と約束してきたじゃないですか。教育予算こそ相当な増額をするべきですよ。
私、提案したいと思うんです。文科大臣、いや、今私が質問していますので、文科大臣に伺いますけれども、授業料だけでなく入学金の負担というのも大きいですね。国立大学で二十八万二千円、私大の平均は二十五万円近くと。実際に入学をしない滑り止めの大学、いわゆる滑り止めですね、そういう大学にも手付金のように払わなければ入学資格を取り消されてしまう実態があります。これは不合理だという声が受験生や保護者から上げられています。
アメリカやドイツ、フランス、イギリスなど多くの国で入学金そのものが存在しません。韓国は二〇一九年に法改正で廃止しました。日本もなくすべきじゃないでしょうか。
○国務大臣(末松信介君) お答え申し上げます。
いわゆる入学金でございますが、まあ先生は専門ですけれども、最高裁判所の判例におきまして、学生が大学に入学し得る地位を取得する対価の性質を有するものとされております。これは、平成十八年十一月二十七日の第二小法廷判決によります私立高校の授業料支援の加算についてでございます。
入学金は、制度として位置付けられているものではなく、その取扱いについては各大学の設置者において判断されるべきものですが、文部科学省としては、各大学の設置者に対し、学生の経済的負担の軽減を図る観点から、入学金の額の抑制、減免、分割納入等の措置を積極的に講ずるよう要請をいたしているところでございます。
○山添拓君 この国立大学の学費、あっ、入学金というのは二十八万二千円なんですけれども、何か根拠あるんですかね。
○国務大臣(末松信介君) 今、こちらで定かに申し上げることはできませんで、調べてみることはできます。
○山添拓君 入学金は合格した学生を受け入れる事務手続等にも充てられる、だから認められるんだという最高裁判例があります。
国立大学の事務手続に二十八万円も掛かるんでしょうか。
○国務大臣(末松信介君) 文科大臣として、まあ当然、手数料等は要るわけですけれども、一遍調べてみたいと思います。
○山添拓君 じゃ、調べた上で、やっぱりこの不合理な制度だと思うんですね、廃止に向けて動き出していただきたい。教育にお金が掛かり過ぎることが少子化に拍車を掛ける事態ともなっております。国際的に見ても低水準の高等教育予算、抜本的に拡充することを求めたいと思います。
桜を見る会について伺います。安倍元総理が、後援会員を大量に招待し、税金を使った公的行事を私物化していた問題です。
総理は、昨年十二月、衆議院の予算委員会で、大いに反省すべき点がある、検証すべきだという指摘についても、党改革の議論を進めていくと述べていました。検証されたんでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 桜を見る会については、長年の慣行の中で招待者の基準が曖昧となり、招待者の数も膨れ上がってしまったものと認識をしています。
そして、委員御指摘の私の答弁ですが、検証すべきだという御指摘についても、自民党のありようということで、今、党改革を議論しておりますが、こうした議論を進めていき、信頼を回復したいと思います、このように発言しております。
検証につきましては、これは前の政権において繰り返し国会等で説明をしていると承知をしております。そして、自民党の党改革については、今まさに議論を進めており、国民の信頼を取り戻すよう取り組んでまいりたいと思っています。
いずれにせよ、私の内閣においては、少なくとも私の内閣においては、桜を見る会を開催することは考えておりません。
○山添拓君 まだ検証中ということでありました。それでは決して多くの国民は……(発言する者あり)まあ議論の途中だという答弁だったと思います。
そういう中で、前夜祭について新たな事実が明らかになりました。
しんぶん赤旗日曜版が安倍元総理の公設秘書の刑事確定記録を閲覧したところ、会場のホテルが作成した宴会ファイルに安倍事務所側が持ち込んだ酒の種類や本数が明記されていました。例えば、二〇一八年は、ビール八十、ウイスキー三十、赤ワイン二十四、白ワイン二十四、焼酎七百二十ミリリットル十二。そのすぐ横に書かれた電話番号は、サントリーホールディングスの秘書部でした。既に報道もされておりますので今日パネルでお示ししようと思いましたが、自民党に反対をされまして認められませんでした。
サントリーは、この前夜祭の開催は安倍事務所から教えていただきました、多くの方が集まる会だとお聞きし、弊社製品を知っていただくいい機会だと考え、この会に協賛させていただきました、よって無償となります、金額は十五万円程度と回答しています。新たな利益供与の疑惑です。
総務大臣に一般論として伺います。
企業が寄附することができるのは、政党か政治資金団体だけです。前夜祭を主催した安倍晋三後援会は、政党でも政治資金団体でもありません。その上で伺いますが、こういう団体に寄附した場合には、違法な企業献金に当たる可能性がありますね。
○国務大臣(金子恭之君) お答え申し上げます。
個別の事案については、具体の事実関係に即して判断されるべきものであり、お答えは差し控えさせていただきます。
その上で、一般論として申し上げるならば、政治資金規正法において、「会社、労働組合、職員団体その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならない。」とされているところでございます。
いずれにしましても、個別の事案については具体の事実に即して判断されるべきものと考えております。
○山添拓君 違法な企業献金に当たる可能性もあることであろうと思います。
東京の秘書の二〇二〇年十二月十二日付けの供述調書が、これも刑事確定記録で出されています。会費の不足分を安倍氏や関係政治団体が負担すれば、有権者への寄附に当たり、公職選挙法に違反するおそれがあることは分かっていました、そのため、ホテルから提供される飲食の代金を抑えるために会場にお酒を持ち込んだと書かれています。これもパネルを作っていたんですが、やはり駄目だということでお示しすることができません。
安倍元総理が国会で説明したのは、この後の二〇二〇年十二月二十五日なんですね。しかし、そのときに、公選法に違反するおそれがあることは分かっていた、秘書はですね、という話や、そのために会場にお酒を持ち込んだ、そういうことは話していないんですね。説明がなかったわけです。百十八回もうその答弁を重ねて、間違いを正さなければならなかったのに、十分確認されなかったか、あるいは知った上で隠したかのどちらかということになります。いずれにせよ、国民と国会に不誠実を重ねたことになると言わざるを得ないと思うんです。
先ほど他の議員の質問で出ました自民党のガバナンスコード、その中には、疑念を持たれた議員は、政治資金規正法及び政党助成法等の趣旨にのっとり、国民に対して丁寧な説明を行うと書かれているそうです。
安倍元総理に説明し直してもらう必要があると思いますが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) いずれにせよ、関係者がこれを説明する、これが基本だと思います。
個別の案件について、私の立場から申し上げることは控えます。
○山添拓君 これは個別の案件といって済まされる問題ではないと思うんですよ。自民党の元総裁、総理ですね。そして、これだけ国政を揺るがし、政治をゆがめた疑惑として注目をされてきたもので、自民党自身も、先ほど総理おっしゃったように、信頼を取り戻さなければならないと。そのきっかけの一つとなった出来事ですよね。
やっぱり説明し直してもらう必要あるんじゃないでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) ガバナンスコードにつきましては、自民党の党としての基本的な姿勢、考え方を明らかにしたものであります。信頼回復に向けて努力をしなければいけない、当然、党のガバナンスコードの中に入っております。
そして、個別の案件につきましては関係者が説明すべきものであると認識をいたします。
○山添拓君 これは当然説明し直していただかなければならないと思います。
サントリーは、二〇一六年から四年間、酒を無償提供していたといいます。この時期は、政府・与党が税制改正でビールを減税し、発泡酒や第三のビールは増税し、やがては一本化という検討をしていた時期です。第三のビールの比率が多いサントリーは、この税制改正が進めば大打撃だと言われていました。
ところが、二〇一五年、サントリーホールディングスの現社長、新浪剛史氏が当時の安倍首相や麻生財務大臣と会談し、翌年には一本化見送りが決まりました。その後も安倍氏との懇談は重ねられ、一本化は二六年十月まで先延ばしになっています。桜を見る会前夜祭への酒類の提供は、まさにこの時期に行われていたんですね。酒税変更先送りのお礼ではないかという疑念も持たれています。
総理、単なる違法献金にとどまらない、政治をゆがめた疑惑でもあると。調査するべきではありませんか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) タイミングが重なったというようなことをおっしゃっているんだとは思いますが、税制改正においては、これは一人の人間が判断するものではなくして、自民党において、与党において延々と議論を積み重ねて、どうあるべきかという議論を何年にもわたって議論をし、そして決断を出したものであります。そうした税制等における取扱いについては、こうした議論の積み重ねの結果であると認識をしております。
そうしたタイミングが一致しているということで、推測に基づいて申し上げることはあってはならないと思っています。
○山添拓君 二〇一六年十二月の日経新聞は、「政府の経済財政諮問会議の民間議員も務める新浪剛史社長が動いたとの噂が、まことしやかに広がった。」と記していたほどです。動いていたどころか、酒の無償提供までして総理にコミットしていたのではないかと。当時表面化していたら大問題だったはずです。
大体、安倍氏は、総理をお辞めになった今も、敵基地攻撃能力の保有、核共有、軍事費二%、あるいは日銀は政府の子会社、言いたい放題ですよね。その安倍氏の関与する中で政治をゆがめたという疑惑を放置するべきではないと思いますが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 税制の議論は議論の積み重ねであり、丁寧な議論の結果であると思っています。そして、様々な疑惑については、関係者がそれぞれの立場で説明すべきものであると考えております。
○委員長(山本順三君) 時間が来ております。
○山添拓君 はい、もう終わりますけれども、日本共産党は、やっぱりこういう企業・団体献金、あるいはその抜け穴となっているパーティー券購入を含めた全面禁止をするべきだと。違法行為、不正の温床となるような企業・団体献金については禁止をしていく、そういう改革が必要だと思います。そのことを最後に主張し、質問を終わります。
ありがとうございました。

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