山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会報告

2022年・第210臨時国会

マインド・コントロール下の献金禁止へ実効ある修正を 寄付不当勧誘防止法案で岸田総理に要求/反対討論

要約

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
参議院でこの法案の審議が始まったのは、おととい午後三時の本会議からです。実質丸二日にすぎません。半世紀にわたる政治の不作為が、その責任が問われる中、会期末の日程ありきで一日、二日で結論を出してよい問題ではないはずです。これまでの様々な取組には敬意を表しますが、国会は国会です。与党の理事も、おとといから理事会で異例のことと繰り返し発言されています。衆議院で法案に賛成した会派の議員からも、法案の解釈や実効性について疑問を呈する質問も相次いでいます。
総理に伺いますが、こういう中、とにかく通してしまうことが、総理の言う丁寧な説明なんですか。この法案は総理にとってそんなに軽いものなんですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、政府としては、この被害者の方々を救済し、そしてこうした被害が将来に向けて発生しないようにこの法律を作らなければならない、そういった問題意識を強く持ち、この国会において法案を提出するべく総力を挙げてこの努力をしてまいりました。そして、法律の提出を行い、御審議をお願いしている次第です。
そして、国会のありようについては国会の皆様方に御判断いただかなければならないと思いますが、その範囲内で、政府としては最大限、この法律に込めた思い、そして法律の実効性、これを丁寧に説明させていただく努力をしていかなければならないと考えます。
是非、与えられた日程の中で政府として説明責任を果たしていきたいと考えています。

○山添拓君 いや、そんなことないですよ。必要であれば、更に充実した審議ができるようにするべきだと思うんですね。我が党は会期の延長も申し入れてきました。これ自体、異例の対応です。今日、この後、質疑を終局し、採決すること自体に反対だということは表明したいと思います。
昨日の参考人質疑で、元信者二世の小川さゆりさんが意見陳述されました。自らの両親を通して経験された統一協会による被害の数々は、聞くたびにこちらがつらくなるほどのものです。深く傷つき、体調を崩しながらも訴えてきたのは、政府が本当に動いてくれるのか信じられない、被害拡大の張本人の与党側に動きが見られないから被害者がそこまでやるしかなかったという事実を忘れないでいただきたいとお話しでした。
長年の被害に対する政治の責任について、本会議でも総理に質問いたしました。政府が放置してきたことはお認めになりました。しかし、その根底に自民党と統一協会とが癒着を深めて被害を拡大させてきた、そういう認識をお持ちかという問いにはお答えがありませんでした。お答えください。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、閣僚含む多くの議員が社会的に問題がある旧統一教会、その関係団体と接点を有していたこと、これが明らかになり、国民の皆様の政治に対する信頼を傷つけたことについて、もう率直におわびを申し上げております。
そして、自民党においては、それぞれここの各議員が旧統一教会との関係、過去の関係、これを詳細に点検、報告をし、説明責任を尽くした上で今後関係を持たない、これを徹底することとしております。
是非、こうしたその自民党としての方針を地方においてもしっかり徹底することによって、自民党の対応について国民の皆様方に御理解をいただき、政治の信頼回復に努めたいと考えています。

○山添拓君 地方との話はまた後でお聞きしますので。
多くの自民党の議員の皆さんが票欲しさに接近して、そして広告塔ともなってきたわけですね。その下で被害を拡大させたという認識をお持ちなのかどうかと伺っています。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 様々なこのケースがあり、様々な事態があったと思います。しかし、その全体として政治に対する信頼を傷つけたこと、これは重く受け止め、そしておわびを申し上げなければならないと申し上げております。

○山添拓君 そうじゃないですよ。被害を拡大させた、そのことへの認識はお示しにならないですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今申し上げたように、様々なケースがありました。様々な事態の中で全体として政治の信頼を傷つけた、このことについて重く受け止めております。

○山添拓君 いまだに様々とか全体としてということでごまかしになられる。それでは本当に被害救済できるのかということだと思うんですね。
衆議院の参考人質疑で全国弁連の川井弁護士から、昨日は参議院で阿部弁護士から、統一協会の被害救済という意味では新法の内容は余りにも不十分という意見が述べられました。特に政府・与党において被害者の生の声を聞いた時間、量が圧倒的に少なかった、その情報量と理解の差が認識の差になっているという意見も述べられました。
総理は、この法案で救済しようとする統一協会による被害とはどういうものだと認識していますか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 政府におきましては、深刻な事態が報じられる中にあって改めて、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議が設置した合同電話相談窓口や、その機能を継承して法テラスに設置した相談窓口、あるいは全国の消費生活センターなどの各種相談機関等を通じて被害の実態を把握してきたところです。
その相談事例として、金銭トラブル等の法律相談、もちろん多くありましたが、親族間の問題、心の健康に関するものなど様々なものがありました。ただ、その背景には社会的に許容し難い悪質な寄附の勧誘が行われていた場合が多い、こうした認識の下に今回法律の作成を指示し、そして国会の、国会において法案の審議をお願いしている、こうしたことであります。

○山添拓君 その悪質さの中身を伺っているんですね。正体を隠し、知らないうちに教化する、やがて義務感や使命感で自発的に献金するようになる、こういう被害実態をどこまで把握して法案提出に至ったのかが問われると思います。
本会議で、献金を求める際の記録について制度化が必要ではないかと質問しました。今日も少し議論がありました。長い期間を経て脱会し、賠償請求しようと思ったときには記録がないと、証拠集めのためにまた長い時間が掛かる、そういう事例もあると伺います。ところが、総理の答弁は、銀行から取引履歴を入手するなどして、寄附をした日時や金額を明らかにすることも可能というものでした。
資料をお配りしています。宗教二世に取られた緊急アンケートです。献金の証明について法律でどんな条件が必要かという問いに、一番多いのは領収書の交付義務、七六・六%、次が帳簿等記録の長期保存義務、七三・四%。
やはりこういう被害の実態あるいは声に向き合って対策取っていくことが必要なんじゃないでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げたような取組で本当に多くの方々の声を聞いてきました。そして、この御指摘のようなアンケートも政府としてしっかり受け止めなければならないと思います。しかし、その全体の中でこの具体的な事例を考えましたときに、法、日本の法体系において法律の中に盛り込まれる要素、できるだけ盛り込まなければいけない、こうしたことで法律の作成に臨んできました。
様々な指摘は引き続きしっかりと受け止めますが、この法律の成立、施行はこの大きな救済の手掛かりになると考えております。その上で、様々な声も引き続き聞きながら、法律の施行状況もしっかり確認した上で、必要な見直し等についても考えていきたいと思っています。

○山添拓君 これは、被害救済に取り組んできた全国弁連からも提起されている内容です。高額の寄附を受け取った場合に帳簿の作成を義務付け、寄附をした本人から求められたときは帳簿の開示を義務付ける、そういう仕組みは十分検討に値すると思いますが、いかがですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今回用意した法律においても、多くの事態において被害の救済につながるものであると思っています。まずはこの法律をしっかり施行させ、実効性を上げていきたいと思います。その上で、様々な御指摘についても引き続きしっかりと伺いながら、法律のこの執行状況もしっかり確認した上で、必要であれば見直しは考えていく、これが政府の方針であります。

○山添拓君 取消し権があっても幾らが被害額かも把握し難いと、そういう事実が既にあるわけです。今朝も議論がありました。やっぱりこれは検討していただきたいと思います。
法案四条六号の禁止規定について伺います。
マインドコントロールされた下での被害救済に実効性があるのか、これが一番の焦点です。義務感や使命感から献金する、本人が困惑していない場合に取消し権の対象になるのか、これ、条文上は明確ではありません。総理が、寄附当時は困惑しているか判断できない状態でも、脱会後に冷静になって考えると当時不安に乗じて困惑して寄附をしたということであれば、そのような主張、立証を行って取消し権の行使は可能と、こういうふうに述べて解釈を拡大されました。
昨日、この委員会で消費者庁に伺いますと、困惑には何となく二種類あるという答弁があったんですね。本当は帰ってほしいのに帰ってくれない、内心帰ってくれと思いながら無理やりサインさせられたというような本人が自覚している場合の困惑と、いわゆるマインドコントロール下で困惑していること自体に本人が気付いていない場合の困惑があるのだと、そういうことだったんですが、総理、困惑に二つあるんですか。

○消費者担当大臣(河野太郎君) 昨日申し上げたのは、本人が自覚している困惑と、本人が当時はマインドコントロール下にあって自覚していないけども後から気付いてそのときに困惑していた、これは取消しの対象になる、そういうものがある、そういうことでございます。

○山添拓君 その二つの困惑は、法律上、別々に規定されていますか。

○消費者庁次長(黒田岳士君) ここでいう困惑で規定しています。だから、別々に規定はしていません。

○山添拓君 義務感や使命感に基づいて自発的に献金するのは、やはりそれは困惑ではないだろうと思うんですね、後から振り返って困惑というふうに説明されてきたわけですが。で、とうとうその困惑には二種類あるんだという説明になったわけです。これは裁判になったら裁判所も困惑すると思うんですよ。
昨日、消費者庁の次長は、そのことは一連の議論の中ではっきりしたことだというふうに述べられました。二つの困惑があるということですね。議論の経過の中で判明してきたことであれば、その議論を踏まえて法案に反映させるべきなんじゃないですか。

○政府参考人(黒田岳士君) 議論の中を踏まえてといいますか、元々この困惑にはそもそも様々なパターンがあるということで、最初からその含んだ形でこういうふうに規定しているということでございます。

○山添拓君 いや、違うんですよ。昨日は、その場で自ら困惑を自覚している場合の困惑と、マインドコントロールされてその時点では自分では困惑しているか判断できない、後から脱会しマインドコントロールが解けた状態になって初めて困惑していたと分かる、そういう困惑は別のものなんだと、二種類あるんだと、それが議論を経て分かったんだというふうにおっしゃったわけです。そうであれば、その違いが分かるような条文に本来するべきだと思います。法律に明記するべきだと様々指摘されてきたところです。
大臣に伺いたいんですが、本人がマインドコントロールされ、自分では困惑しているかどうか判断できない状態でも勧告はできるというのが昨日の答弁でした。しかし、これもよく分からないんですね。本人が困惑を自覚していない、法人側も困惑させていないと主張するでしょう。それでも困惑している人がいるんだと。
法案の四条違反の行為があり勧告できるというのは、これ一体何を根拠に判断していくことになるんでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君) もうこの統一教会のことで申し上げれば、既に様々不当行為が認められております。法人側が困惑させてないと言い張ったとしても、もう客観的に見て困惑が起きているという事態がありますから、それと同じようなことが行われていたら、それは当の本人はマインドコントロール下で困惑に気付いていないかもしれないけども、客観的にそこで困惑が起きているということを認めるのはそんなに難しいことではないと思います。

○山添拓君 そうなりますと、統一協会については、既に脱会された方、マインドコントロールが解けて主張されている方も大勢おりますから、今大臣が言われたように、困惑する、させるような事態が多数行われていることが既にはっきりしていると。そうなりますと、この法案が成立したら、施行したら直ちに勧告と、そういうことを予定されているんですか。

○国務大臣(河野太郎君) 施行後の勧誘行為というのがこれは対象になってくるんだろうと思いますから、どの時点になるのか分かりませんが、そのようなことがあり、ここで定めている要件に合うようなことが起きた場合に、それは勧告ということになるんだろうと思います。

○山添拓君 それは速やかに勧告なり実効性のある措置をとれるように対応していただきたいとは思うんですが、私は今の法案の文言のままでは統一協会側から様々な反論も予想されるのではないかと思います。
例えば、衆議院で川井参考人が紹介した東京高裁の二〇一七年十二月二十六日の判決があります。二〇〇一年に路上で正体を隠して勧誘、その後、正体を隠されたまま教化され、献金もさせられ、二〇〇四年になって統一協会であることが明かされました。二〇〇五年三月、礼拝に参加し、教会長が涙を流して説教する姿を見て、自分に何かできないかと尋ねて百五十万円の祝福献金をしたなどというものです。
これは被害総額としては一千万円、何千万円に上るというものですが、当初不安を抱かせ入信させたかもしれませんが、献金させる段階では不安を抱いていない、必要不可欠と告げることももちろんしていない、自分に何かできないかと自発的に言ってきていますから、したがって困惑もないわけです。
統一協会による特徴的な被害事例の一つですが、総理、この法案でこういう事例で救済し得るでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 結論からいうと、救済できると思います。入信から寄附行為までタイムラグがある。また、寄附の時点で本人は困惑してないと思っていたとしても、脱会後振り返ってみたら、あの時点で困惑したというふうに考えたときに、本人としてこの法律の適用を考えるという形で救済されると考えます。

○山添拓君 長い期間があっても一連の寄附勧誘と見られるからと、そういうことですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 一連の寄附勧誘が行われている、入信時に生じた不安が継続していた状況の下で、この不安に乗じて献金することが不可欠と告げられ困惑した場合、後に脱会後、取消し権が発生する、このように理解をしています。

○山添拓君 この判決では、統一協会が綿密に構築した過程に従って、組織的、計画的に勧誘、教化を行い、教義を信じ込ませ、献金させ続け、入信させ、献身的に活動を行わせたと。原告は統一協会の計画どおりに信者になったことが認められています。
しかし、それでもなお、一連の不法行為とは認めなかったんですね。常に不安や恐怖を感じていたものではないと、言われるままに行動していたわけではない、統一協会との関係の解消が不可能あるいは困難であったとまでは認められない。そういう認定がされているんです。
総理は、入信前後から寄附まで一連の寄附勧誘と判断でき、事後的に当時困惑していたと考えた場合には取消し権の対象となり得ると、こう答弁されてきました。しかし、一連の寄附勧誘という評価は裁判上かなり難しいです。統一協会に反論もされやすいです。そういうことは認識されていますか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、私は、入信前後から寄附に至るまでが一連の寄附勧誘であると判断でき、また、事後的に寄附当時困惑していたと考えた場合には、入信当初と寄附の勧誘にタイムラグがある場合にあっても取消し権の対象になり得る、こういった趣旨を述べたものでありますが、入信から寄附までが一連の寄附勧誘とみなしにくい場合でも、例えば入信時に生じた不安が継続していた状況の下で、その不安に乗じて献金することが必要不可欠と告げられ困惑した場合、これはやはり取消し権が発生すると考えています。

○山添拓君 今紹介したこの事件の場合でも一連の不法行為とは認められませんでしたので、個別の判断となっていったんですね。不法行為が認められたり認められなかったりしています、一体の寄附勧誘でありながら。つまり、不安に乗じて行われた一つ一つの行為でありながら、やっぱりそれぞれ、不法行為が認められたり認められなかったりしています。取消し権についてもそうなっていくことが予想されると思います。結局、被害者の主張、立証、あるいは裁判所による条文の解釈と判断に大きく依拠する条文だと言えると思います。弁護団が不安視するのも当然です。
統一協会の組織的不法行為責任を認めた事案です、私が先ほど紹介したのは。この典型的な事案の中で、救済に懸念がある。総理は大丈夫だとおっしゃるんですが、私はやっぱり、裁判で主張し、立証していく中ではそうそう簡単にはいかないように感じます。これはやはり被害実態を本当に踏まえているとは言えない、そういう前提があるからではないかと思います。
総理は、マインドコントロールによる寄附は多くの場合不安に乗じた勧誘であり、取消し権の対象となると述べました。しかし、果たして本当にそのように言えるのか。遡って困惑と考えた、そういうよく分からない解釈が入り込んで、本当に救済されるのかということはやっぱり懸念があります。
これは、寄附を勧誘する側にとっても大事だと思うんですね。統一協会以外のほかの団体も主体に含まれるわけです。条文上の明確化がされなければ、寄附を勧誘する側にとっても困る事態が起きるだろうと。困惑させてはならないという条文なのに、そのとき本人が困惑していなくても、後から遡って困惑と言われる可能性がある。それでは、何が禁止されているのか明確ではないということになると思います。ですから、私は、やはりより明確な条文にするべきだと思うんですね。
資料をお配りしています。二ページです。
我が党は八日の朝、衆議院で修正案を提出しておりました。その要綱です。幾つかありますが、中心点は、四条六号を困惑類型とは別の禁止類型とすること。
この第一の一、禁止行為の二を御覧いただきたいと思います。個人を寄附をするか否かについて適切な判断をすることが困難な状態に陥らせ、又は個人がそのような状態に陥っていることに乗じ、寄附の勧誘をしてはならないという規定にすると。で、この第二にありますように、これに違反してされた寄附は取り消すことができるようにする。取消し権は、民法のとおり、寄附のときから二十年に時効を延ばすというものです。
これは、全国弁連の皆さんの主張を参考に作り、衆議院法制局にも御尽力いただいたもので、昨日、阿部参考人も救済にかなり役立つ条文だと意見を述べられました。他党の皆さんが作られた案とも一部重なるものだと思います。
総理に伺いますが、こういう条文にすることは可能であり、すべきではないでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、先ほど来の委員の御意見の中で、間違いなくこうした法律を作ることによって取消し権が行使できることがより明確になると考えています。この法律の意味はあると思っています。
そして、その上で、御指摘のこの案、御党の案でありますが、これは、衆議院における御党提出の修正案については、国会においてその取扱いが議論されたものであり、政府として直接コメントすることは控えなければならないと思っています。様々な、党から様々な御意見があった、これは今後考える上で様々な参考にはさせていただきます。

○山添拓君 衆議院の法制局で憲法や民法の原則との関係も整理しながら調整いただいた規定です。駄目ということはないですね。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げました。コメントは控えます。

○山添拓君 いや、政府の案に対して、修正としてこういう規定も可能ではないかという提案なんですね。
政府案について、現行法の中で、憲法の中でぎりぎりのところでやったものだというふうにおっしゃるものですから、いや、憲法や民法の原則の範囲内でもここまでは規定できるんではないかと、つまり、今の困惑類型にこだわった在り方から、別の規定の在り方というのはこれはあり得るんじゃないでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 様々な御意見はあります。政府としては、今の日本の法体系の中で最大限内容を盛り込み、そして被害の救済につながるべく法律を作成いたしました。そして、是非成立をお願いしたいと思っています。
政府としては最善のものを用意したと信じて御審議をお願いしているわけですが、ただ、この執行後の状況ですとか社会の変化等の中で法案の執行状況を判断した上で、様々な御意見を参考に必要な見直しについては考えていく、こうした姿勢は大事にしていきたい、このように申し上げています。

○山添拓君 総理が、遡って考えてみると困惑していたというような困惑の二類型目を用意されたというのは、現在の困惑させてはならないという条文では取り込み切れない被害があると、その規制の必要性があるということを端的に表していると思います。これまでの文言に固執するべきではないと思います。
もう一つ、配慮義務についても禁止規定とする条文案を示しています。見ていただきたいのですが、「法人等は、寄附の勧誘をするに際し、①寄附の勧誘を受ける個人に対し、当該寄附の勧誘を行う法人等を特定するに足りる事項を告げないこと、又は②寄附の勧誘を受ける個人に対し、寄附される財産の使途について誤認させるおそれのある行為をすることにより、寄附の勧誘を行う法人等の主体又は寄附される財産の使途について誤認させてはならないものとすること。」と。法案で言うと三条三号の条文を禁止規定にする、そういう条文案です。
総理は、衆議院の審議で配慮義務の内容を客観的で明確なものとして規定することは可能かと問われて、否定はされませんでした。ですから、こういうふうに禁止規定にしていくことも可能ではあると思うんですが、いかがですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 配慮義務に、まず、禁止行為、これは法人がどのような行為をしてはならないのか、これを客観的に、客観的、明確に規定するべきであると考えます。そして、配慮義務については、適正な判断をすることが困難な状態等、結果としての個人の状況に、状態に、状態を規定しているものであります。よって、配慮義務の方は、こうした結果を招くより幅広い行為を捉えることができる、こうしたものであります。
そして、配慮義務を禁止行為に置き換えられるのではないか、そのように御質問がありましたが、禁止行為とするためには誤認されるおそれのある行為を規定することになるわけですが、その行為を規定するということになりますと、結果的にその範囲が限定的になってしまう可能性があると考えます。

○山添拓君 今の総理の説明を受けて、それを踏まえてなお禁止規定にすることは可能であり、そうすべきだというのが昨日の参考人質疑での参考人の御意見だったんですね。いや、何かありますか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) ですから、もし禁止行為にした場合に範囲が限定的になると説明しています。できるできないかじゃなくて、した場合に対象が限定的になってしまう、そういった判断の下に、禁止行為と配慮義務、この二段階でより幅広くその救済を実現しよう、これが法律の趣旨であります。

○山添拓君 それでもなお禁止規定が必要だという御意見だったんですよね。(発言する者あり)いや、そうなんですよ。大臣、首振っておられるけれども。いやいや、参考人の御意見がそうだったということですよ。何でそれ否定されるんです。これからも弁護団や様々な取り組んでいる皆さんの声は違うと言って聞かないつもりですか、首を振って。さっき、これからもいろんな意見を踏まえていくとおっしゃったじゃないですか。なぜ、この場でそうやって首を振って、その意見は受け入れられないということを示されるんです。
禁止規定は明確にというお話もありましたが、昨年、この国会で強行された土地利用規制法の場合には、禁止行為は機能阻害行為と、これだけだったんですよね。今日、国会では、与党の議員からも権力の行使は抑制的にという発言がありました。私もそのとおりだと思いますが、最も抑制的であるべき治安立法では曖昧な文言でよしとして、統一協会の被害救済では明確なものまで明確でないと言い張って禁止規定に盛り込むことを拒まれる。これ、どういうことかと私は思います。
統一協会による報告徴収、対する報告徴収・質問権が行使され、昨日が回答期限となっていました。その分析はこれからだと思います。しかし、既に把握している法令違反の事実も少なくないはずです。
総理に伺います。政府は、この間、一九九四年以降、民事裁判で統一協会の責任が認められた事件を少なくとも二十二件把握していると説明してきました。この二十二件について、法令違反の組織性、悪質性、継続性はどのように確認していますか。

○文化庁審議官(小林万里子君) お答え申し上げます。
その二十二件につきましては今コメントを差し支えたいと思いますけれども、済みません、裁判例の把握状況などは、報告徴収・質問権の適正な行使、その後の対応に支障を来す懸念がありますことから、今の段階ではお答えを控えさせていただきたいと思います。

○山添拓君 つまり、二十二件のここまでの分析では、少なくとも解散命令を請求するには至っていない、その判断をするまでには至っていないということなんだと思うんですね。
そうすると、要するに、統一協会によるこれまでの法令違反、積み重ねられてきた裁判例の下での被害実態、やっぱり政府として十分把握できていないということなんではないでしょうか。だからこの法案も生煮えになっている、被害実態を十分反映したものと言えない、そういう状態にあるんじゃないかと思います。参考人質疑で出された意見も踏まえて、やっぱり丁寧に審議し、法案を修正するべきだと思います。
統一協会への解散命令請求、そして被害の防止救済を本気で進める上でも、自民党と統一協会の癒着の解明は引き続き求められます。総理は、自民党議員と統一協会との新たな接点が判明した場合、その都度追加的に報告、説明を行うことを徹底すると述べてきました。ところが、本会議で、九月に自主点検の結果を公表した後、追加的に報告、説明した議員は何名で、どのような関係が判明したのかという質問に、党として取りまとめの発表は行っていないと述べられました。なぜですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 党の方針についてはこれまで度々申し上げておりますが、各議員それぞれが旧統一教会との過去の関係を八項目に分けて詳細に点検、報告し、新たな接点が判明した場合にはその都度追加的にそれぞれ報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底する、これが方針であります。その方針に従って、この御指摘いただいた点についても、それぞれ報告、説明をするということが党の方針であります。

○山添拓君 九月には公表されたのに、その後、公表をされない理由は何かあるんでしょうか。取りまとめが追い付かないぐらいにたくさん寄せられているとか、そういうことですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) その後、様々な追加的な指摘について、それぞれ報告、説明を行っていると承知をしています。
今後とも、こうした接点等について御指摘をいただいた、あるいは判明した、そういったことについては追加的に報告、説明を行っていく、こうした方針が党の方針であります。それに従って御指摘の点についても報告、説明すべきであると考えます。

○山添拓君 癒着の解明には全く後ろ向きだと思います。政務三役も含めて、自らきちんと報告などされていないですよ。これまでの癒着の解明もないのに、将来も何もあったものではありません。引き続き徹底解明を求めて、質問を終わります。

○委員長(松沢成文君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。御苦労さまでした。
他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
これより両案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○山添拓君 日本共産党を代表し、消費者契約法等改正案に賛成、法人寄附不当勧誘防止法案に反対の討論を行います。
統一協会は、霊感商法や高額献金、集団結婚などで多くの人の財産、家庭、人生そのものまで奪ってきました。その加害行為の中核は、正体を隠して勧誘し、伝道を強化し、教義を教え込み、信者にする、信教の自由の侵害にあります。この被害実態に即した新法が必要です。
法案について、昨日、全国霊感商法対策弁護士連絡会の阿部克臣参考人は、余りに不十分であり見直すべきと意見を述べました。委員の皆さんの多くが同じ思いなのではありませんか。
元二世信者の小川さゆり参考人は、特に政府・与党の皆さんに被害者の声をもっと聞いていただきたいと訴えました。被害実態を踏まえた法案でないことが最大の問題です。
法案四条六号は、寄附の勧誘をするに際し、不安をあおり、又は不安に乗じて、寄附が必要不可欠と告げることによって困惑させてはならないとする条文です。
統一協会のように入信から献金の要求までタイムラグがある場合を含むのか、マインドコントロールされ献金の時点で困惑していないケースを含むのかなど多くの懸念があります。
総理がマインドコントロールを抜け出し、当時困惑していたと考えた場合には取消しできると述べたために、政府が困惑には二種類あるなどと条文から読めない説明をせざるを得ない法案になっています。裁判に耐え得るものか、極めて疑問です。
いわゆる困惑類型ではなく、我が党の修正案でも提起したように、個人を、適切な判断をすることが困難な状態に陥らせ、又は当該個人がそのような状態に陥っていることに乗じ、寄附の勧誘をしてはならないなどとする条文に改めるべきです。
法案三条は、強制力のない配慮義務にとどめるのではなく、禁止規定とすべきです。特に三号の正体隠しや使途のごまかしなどは行為として明確であり、当然禁止すべきです。衆議院の修正で十分にという文言が加えられましたが、司法判断における効果は不明瞭です。また、配慮義務違反による勧告は、個人の権利保護に著しい支障が生じる場合でなければならないなど厳しい要件が課され、本当に勧告までなされるのか疑問です。
債権者代位の特例が設けられますが、本人がマインドコントロールされ、取消し権を行使しないときに家族が代位権で取り消すのはなかなか難しいと政府も述べました。財産を取り戻せる範囲は扶養義務の範囲に限定され、無資力要件があり、未成年の子が行使する場合の困難など、使いにくい制度であることは明らかです。禁止される資金調達要求については、生命保険の解除など生活維持に必要な財産に広げ、取消し権の行使期間は二十年とするべきです。
本院における審議が始まったのは、一昨日夕方の本会議です。半世紀にわたる政治の不作為の責任が問われる中、会期末の日程ありきで一日二日で結論を出してよい問題ではありません。委員会審議の時間を衆議院より多少積み増ししたからといって、拙速審議のそしりは免れません。
条文の文言解釈も審議の進め方も、余りにずさんで不十分です。被害者や宗教二世、被害救済に取り組んできた弁護士などの声に応えた実効ある規制とするために、会期を延長し、徹底審議で必要な修正を行うべきことを強調し、反対討論とします。

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