山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2023年・第211通常国会

空港軍事利用許されぬ 沖縄・下地島 「国がルール破り」と追及

要約
  • 政府が狙う下地島空港(沖縄県宮古島市)の軍事利用は、県との必要な調整を定めたルールを国が一方的に破るもので許されないと指摘し、政府の対応を追及した。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
昨年十二月に閣議決定された安保三文書は、空港、港湾など公共インフラについて、有事を見据えた平素からの利活用を掲げています。国家防衛戦略は、特に南西地域における空港、港湾等を整備、強化するとしています。
資料①は、昨年四月の防衛省の資料です。南西諸島の二十の空港と十一の港湾について、自衛隊の輸送や国民保護に万全を期すためにインフラ整備が必要としてリストアップしています。
防衛省に伺います。
これらを全て軍事利用の対象と考えているのですか。

○防衛省 防衛政策局長(増田和夫君) お答え申し上げます。
委員御提示の資料は、令和四年四月に、防衛省が自衛隊の運用上の課題、これを部外に説明するために作成した資料でございます。この資料におきましては、南西地域における空港、港湾や通信等のインフラ整備が必要であるとしつつ、南西諸島の各空港、主要港湾の配置図を示しておりますけれども、これは、防衛省・自衛隊として整備したいと考えている空港、港湾を具体的に示したものではございませんで、この南西諸島の各空港、主要港湾を機械的に示したものでございます。
その上で、防衛省といたしましては、一般論として、滑走路や岸壁長が長い空港、港湾は部隊運用上の有用性が高いと考えておりますけれども、いずれにせよ、どこの空港、港湾のインフラ整備が必要であるか、個別具体的な空港、港湾の名称をお答えすることは、現在検討をしている段階でございますので、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

○山添拓君 ここは違うと除外できるところはあるんですか。

○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。
これはあくまで、先ほども御答弁申し上げたとおり、南西諸島の各空港、港湾の配置図を機械的に示したものにすぎません。どこの空港、港湾のインフラ整備が必要であるか、個別具体的なことについては現在検討中でございますので、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

○山添拓君 一つも否定されませんでした。いずれも対象になり得るということだろうと思います。
これ、有事になれば攻撃対象となり、住民の避難どころではなくなります。ですから、そのような懸念が示されているのは当然だと思うんですね。
私は、先月、この資料に出てきます下地島空港を訪れ、管理者である沖縄県から話を伺いました。
まず、国交省に伺います。
一九七九年の供用開始から四十年以上たちますが、定期便が就航し、民間航空会社の訓練も日常的に行われています。老朽化が見られるといっても、例えば滑走路にひび割れがあったり、小石が転がっていたりというわけではないと伺いましたが、空港の現状をどう把握されていますか。

○国土交通省 航空局次長(新垣慶太君) 下地島空港は、委員御指摘のとおり、宮古島市に位置して、沖縄県の地方管理空港として三千メートルの滑走路を有しております。
利用状況につきましては、令和三年度でございますが、コロナの影響により国際線はございませんが、首都圏等を結ぶ国内線として二社が就航しており、旅客数は二十二万人となっております。
その滑走路の整備状況なども、ここは県が管理をしており、今、空港、今申し上げました空港の利用に影響があるような状況にはなっていないというふうな認識をしております。

○山添拓君 管理者として点検ももちろんされているということですから、支障があるようなひびだとか小石があるとかいうことではないんですね。
一九七一年八月、当時の運輸省と琉球政府との間でいわゆる屋良覚書が交わされています。どのような経緯で確認されたものですか。

○政府参考人(新垣慶太君) お答えいたします。
いわゆる屋良覚書は、昭和四十六年、一九七一年でございますが、その当時、下地島パイロット訓練飛行場の建設形態が固まってきたことを踏まえ、当該飛行場の設置管理者となる予定の琉球政府からその運用等について照会があり、運輸省としてお答えしたというものでございます。

○山添拓君 その中身もできれば紹介いただきたいのですが、運輸省は、民間航空の訓練及びそれ以外の目的に使用させる意思はない、使用させることを管理者である琉球政府に命令する法令上の根拠も持たない、軍事利用を否定する覚書です。
一九六九年に建設計画が話題になった当初から、正体不明の飛行場、秘密裏に調査進めるなどと報じられました。政府は軍事目的ではないとしましたが、沖縄の米軍基地からはB52が連日のようにベトナム戦争に出撃し、前年には嘉手納基地で墜落事故も起きていました。六九年四月の宮古郡民大会では誘致反対が決議され、七一年三月には県議会の前身である琉球立法院が絶対に軍事目的に使用させないという決議も上げ、復帰後の西銘確認書でも確認されました。
地域が分断され殺人事件まで起きる中で、将来、どんな政権、知事になっても軍事利用させない、その担保が屋良覚書にほかなりません。これは変な覚書などではないわけですね。
今年一月、米海兵隊が、災害訓練目的で下地島空港の使用届を県に提出しました。県が自粛を求め、結果として今回は見送られました。
外務省に伺います。
資料③は日米地位協定五条です。米軍機の日本の飛行場への出入りと移動を定めたものです。これは、緊急時のような場合を除いて、米軍機が国内の空港を自由に利用できるという意味ではありませんね。

○外務省 北米局長(河邉賢裕君) お答え申し上げます。
米軍の航空機は、日米地位協定第五条に基づきまして我が国の飛行場に出入りすることが認められておりまして、米軍機が我が国の民間空港を使用する場合には、同条に基づいて行われることになると考えられます。ただし、実際の空港の使用に当たっては、米軍の民間機による空港使用への影響が最小限にとどめられるよう、空港管理者と所要の調整を行うこととなっております。
このように、米軍は全く自由に飛行を行ってよいわけではなく、公共の安全に妥当な考慮を払うことは言うまでもありません。米軍に、あっ、米国に対して、安全面に最大限配慮するとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう引き続き強く求めていく考えです。

○山添拓君 全く自由に使えるわけではないという御答弁でありました。ですから、だからこそ今回も米軍は管理者である県に対して使用届を出し、自粛を求められたので見送ったという経過になったのだと思います。
確認ですが、訓練や訓練のための離着陸のためといって民間空港を米軍が自由に使うことができると、全く自由に使うことができるというわけではありませんね。

○政府参考人(河邉賢裕君) お答え申し上げます。
日米地位協定第五条が定める出入りとは、米軍による我が国の飛行場の使用の権利を定めたものと解釈されます。
出入りの中にどのような行為が含まれるかについては、空港使用の態様といった個別具体的な状況次第であり、一概に言えませんが、一般論として申し上げれば、一定の期間空港内で訓練を行うといった場合には、通常、日米地位協定第二条4(b)が定める共同使用の手続によることになると考えられます。

○山添拓君 一定の手続が必要であり、空港管理者の了解を得ず自由に離着陸できるというものではないと思います。これは、広大な米軍基地を既に提供しているわけですから、基地以外の空港についても米軍が自由に離発着できるなどという解釈、運用は主権の放棄に等しいわけです。
自衛隊についてはどうかと。浜田大臣は今年一月、有事以外にも自衛隊が利用する多様な空港の例として下地島空港も含めると述べました。
防衛省に伺います。武力攻撃事態など何らかの事態認定がされないいわゆる平時において、下地島空港を自衛隊のために使用させる根拠法令はありますか。

○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。
ちょっと、突然の御質問でございましたので、もう一度、大変申し訳ございませんけれども、もう一度確認させて、しっかりと答えたいと……(発言する者あり)

○山添拓君 いわゆる平時の時点で、下地島空港のような民間空港を自衛隊機の離発着のために使用させるその根拠法令はありますか。

○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。
正確にお答えできるかどうかちょっと正直自信がないんですけれども、民間の空港を平素自衛隊が使う根拠法令、これは詳細、正確には承知しておりませんけれども、通常、やはりここは自衛隊が平素、例えば災害派遣や訓練等で使う場合には、それを管理している自治体やその団体等と調整を行いながら、行って、使わせていただくものだと承知しております。

○山添拓君 空港管理者である沖縄県との間で、軍事目的には使えない、使わせないことを確認したのが屋良覚書です。防衛省もこれを尊重するのですね。

○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。
下地島空港の自衛隊機による利用につきましては、地元住民の意向といった地域の個別事情を踏まえる必要があると考えております。

○山添拓君 いや、地域の個別事情がこの屋良覚書に表れていると思うのですが、これ尊重するのですよね。

○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。
下地島空港の自衛隊機による利用につきましては、委員御指摘の屋良覚書、これも十分念頭に置きながら、地元住民の意向といった地域の個別事情を踏まえる必要があると考えております。

○山添拓君 念頭に置くという程度ではなく、やっぱりこの経過がある下での屋良覚書ですから、尊重いただく必要あると思うんです。
二〇一三年度の予算で、航空自衛隊の先島諸島での運用に関する調査研究が行われています。下地島空港も調査の対象に含まれていましたか。

○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。
今、手元にその調査の詳細な資料がちょっとないので、調べまして、後ほど御回答させていただきたいと思います。

○山添拓君 調査研究ですので、その成果物があるかと思います。委員会への提出を求めたいと思います。

○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。

○山添拓君 国家安全保障戦略は、有事を見据え、平素からの利活用に関するルール作りなどを行うと述べていますが、管理者である県と国との合意を一方的にほごにするなどというのは、これはルール作りという名のルール破りであり、許されないものです。
国交省に伺います。地方自治体が管理する空港を国管理へと移行した、そういう事例というのはあるんでしょうか。

○政府参考人(新垣慶太君) お答えいたします。
現時点で、地方管理空港から国管理空港に移行した事例はございません。

○山添拓君 そのような権限は政府にありますか。

○政府参考人(新垣慶太君) 現状、設置管理者の主体的な意思なしに地方管理空港を国管理空港に移行させることは想定していないものと考えております。

○山添拓君 空港の運営会社にもお話を伺ってきました。先ほど御紹介あったように、東京便や那覇便など観光客による利用は順調にあり、台湾との直行便の運航再開を目指したキャンペーンも行われているとのことでした。
勝手に国有化するような乱暴なことはもちろん許されませんが、利活用のためといって国が一方的にルールを定め、自衛隊や米軍による軍事利用を可能にすることがあってはならないと思います。これは大臣にもお約束いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○防衛大臣(浜田靖一君) 我々とすれば、先ほどから申し上げているように、地元との協議というのがこれは最優先の課題だというふうに思っておりますので、我々とすれば、しっかりと御説明をしながらいろいろな可能性を探っていきたいというふうに考えております。

○山添拓君 いや、これはいろいろな可能性という話ではないと思うんですね。
ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会の皆さんと懇談しました。資料の四枚目に付けております。
下地島空港を含む宮古島市には、二〇一九年、陸上自衛隊のミサイル部隊が配備され、敵基地攻撃能力として使える長射程ミサイルの配備が心配されています。保良訓練場に既にある弾薬庫に加えて、新たな弾薬庫の整備も計画されています。ミサイルを積んだ車両が毎日のように島内を走り、航空自衛隊のレーダーやアンテナが林立しています。一帯が軍事要塞化するようで、住民に説明のないまま有事をつくろうとする姿勢への怒りが語られました。
宮古で過ごしていくその夢が持てない、子や孫に住み続けてよいと言い難いという声を、浜田大臣、どう認識しておられますか。

○国務大臣(浜田靖一君) 住民の皆様方の声は我々も十二分に承知をしておるところでございますので、我々とすれば、必要な説明をしっかりとしながら御理解を得る努力をしてまいりたいと思っております。

○山添拓君 それは理解されないと思うんです。
宮古島は、戦時中、三つの飛行場がありましたが、真っ先に狙われました。爆撃と艦砲射撃で市街地も壊滅をしたといいます。四万人の島に本土から三万人もの兵隊が送り込まれていましたが、海上封鎖で食料も医療品も途絶えてしまいました。住民は軍隊に食料を奪われ、餓死者が相次ぎ、マラリアで亡くなった住民は二千人に上るといいます。軍隊は住民を守らないという痛切な経験があるわけです。
その沖縄で防衛省は、住民保護は自衛隊の任務ではなく自治体の仕事だと突き放しています。戦前は日本軍に、そして戦後は米軍、今度は自衛隊と、また沖縄を捨て石にするつもりかという怒りが渦巻いています。昨日ミサイル基地が開設された石垣島でも同様の声があると伺っています。
大臣は二言目には住民の理解とおっしゃるのですが、問われているのは沖縄の歴史とその住民の思いに対する政府の側の理解ではないかと思うんです。大臣、いかがですか。

○国務大臣(浜田靖一君) 我々とすれば、あくまでも国民を守る責務があるわけでございますので、我々のこの考え方というものを幅広く多くの方々に御説明をしながら、御理解をいただく努力を続けていきたいと思います。

○山添拓君 その国民とおっしゃる中に、沖縄の、あるいは宮古島に暮らす人々は含まれているのかということだと思うんですよ。地下水で保たれている島です。攻撃対象になり、ミサイルで攻撃され、汚染されれば住むことができなくなると、大体、避難などどうやってするのかと、その声は切実なものですよ。そして、造らないと明言していた弾薬庫まで造られたわけです。理解を得ると言いながら、理解を得られなくするようなことを次々進めてこられたと思うんですね。平和のためだと言って戦争準備を進めることは許されないと思います。
二月二十五日、城辺保良鉱山に弾薬庫の設置を計画している件で住民説明会が開かれました。弾薬庫を置けば有事に攻撃される、住宅地に余りにも近くて危険など、懸念の声が相次いだといいます。このまま建設を進めるつもりではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(浜田靖一君) 我々とすれば、御理解をいただく中で準備を進めてまいらなければならないと考えておるわけでありますので、不断の努力をしていきたいというふうに思います。

○山添拓君 私は、やはり、現地の皆さんのそのこれまでの経験と、今抱えている不安と懸念、その思いに寄り添うというのであれば、今進められようとしている大軍拡の道を歩むべきではないと考えます。
そのことを最後に重ねて強調し、質問を終わります。

ページ
トップ