山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2023年・第211通常国会

自衛隊でハラスメント横行 「退職妨害」やめさせよ 実態示し迫る

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
冒頭、大臣、防衛大臣から発言のありました陸自ヘリの事故については、早期の救助、原因究明を求めたいと思います。
その上で、本日の質問ですが、安保三文書の一つ、国家防衛戦略は、ハラスメントは人の組織である自衛隊の根幹を揺るがすものである、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築するとしています。元自衛官の五ノ井里奈さんが実名で告発した性暴力事件などを受けてのものですが、岸田政権が大軍拡を進める一方で、深刻なハラスメントがあることを示していると思います。
大臣に伺います。
自衛隊におけるハラスメントの申出件数をお示しください。なぜ被害申告が増え続けているとお考えでしょうか。

○防衛大臣(浜田靖一君) 令和三年度における防衛省内部部局のホットラインへの各種ハラスメントの相談件数は千八百十一件であり、また、各機関等相談窓口への各種ハラスメントの相談件数は五百件の、合計二千三百十一件の相談がありました。
ハラスメント相談件数の増加については、教育、ポスター、教育やポスター等による周知、幹部職員に就任した者に対するハラスメント教育の義務化などの一連の取組や、社会においても、相次ぐハラスメント事案に対する注目、非難の高まりを通じ、ハラスメントは相談、通報し厳格に対処されるべきものとの意識が浸透していることによるものと考えております。
いずれにしても、ハラスメントは、人の組織である自衛隊において自衛隊員相互の信頼関係を失墜させ、組織の根幹を揺るがす、決してあってはならないものであります。現在進められているハラスメント防止対策に関する有識者会議の検討結果を踏まえた新たな対策を確立し、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築してまいりたいと考えております。

○山添拓君 教育、周知啓発の結果、増えてきているという話でした。
そうすると、この先どこまで増えていくかは見通し持てない、まだまだ増えていくだろうということですか。

○国務大臣(浜田靖一君) 今現在、我々とすればそれを防止すべく努力をしているところ、最中でございますが、この数がどこまで行くかというのは、我々としては今のところ確実なものを持っているわけではございません。

○山添拓君 資料の二を御覧ください。
ハラスメント対策の取組をこれまでにも行ってきたんですね。例えば、二〇一六年には大臣訓令が出され、事例集やパンフレット、相談員の手引も発行されました。その後、減るどころか増えているというのが実態です。
防衛省に伺いますが、二〇二一年度のハラスメント相談は、窓口に対しては千八百十一件と大臣から答弁がありました。ホットラインの窓口で対応したのは千六百九十八件、各自治体、機関で対応したのが百十三件とされます。対応の結果、被害者が納得する形で是正が図られたのは何件ですか。

○防衛省 人事教育局長(町田一仁君) お答えいたします。
ハラスメントの相談窓口は、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築するためにも非常に重要な役割を担っており、全ての相談に対して誠実に対応を行っているところです。
令和三年度の自衛隊におけるハラスメント相談二千三百十一件についても誠実に対応を行っているところですが、現在も相談が継続している案件などもあるため、御指摘の是正につながった件数について明示的にお答えすることは困難な状況でございます。

○山添拓君 いや、継続しているものはもちろんですけど、終わったものについても確認はされてないということなんですね。

○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。
相談者との相談が継続中のものや、相談者に是正や解決につながったかを確認しているものなどがございます。これらによりまして時間を要しているものでございます。

○山添拓君 要するに、確認されてないわけですよ。
これは、被害の申出を受けるだけでは解決にはならないと思うんですね。
昨年放送されたTBSの「報道特集」で元自衛官が証言しています。上官から絶対退職しろよと、雑魚だよなど暴言を繰り返され休職、部隊内で調査を求めても進まず、ハラスメントの相談窓口に助けを求めたが、担当者はあくびをしたり、目を半分つぶったり、早く終わってほしいという雰囲気で相手にされていないと感じたとお話しでした。体調が更に悪化し、母親が電話しても調査中という程度の回答しかない。結局、退職に追い込まれました。
これは部隊任せでは解決できないことを防衛省としても十分承知をしているはずです。相談窓口は聞くだけなんですか、あくびをしながら。

○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。
防衛省ハラスメントホットラインに相談がなされた場合には、まず相談員から詳細な事実関係等の聴取を実施します。その後、相談者の了解を得た上で、確認した事実関係を基に加害者とされる者や第三者からの聞き取り調査等を実施し、ハラスメントの事実が確認された場合には、被害拡大防止の観点から、上司等から加害者に対し指導を行うなどの具体的措置を講じつつ、人事部署へ速やかに報告し、懲戒処分等の調査を開始することとしております。

○山添拓君 その窓口での対応が内部の調査につながるものではとても信用できないという声が出されているわけです。これは、是正のために機能しているとは言えない実態があるんじゃないでしょうか。
自衛官の中途退職者が後を絶ちません。資料の三ページを御覧ください。二〇二一年度、前年度比で三五%増加し、直近十五年で二番目に多い五千七百四十二人。毎年の新規採用者の四割近い数です。
二〇二〇年の調査によれば、任官後早期、四年以内の退職者が七割近くを占め、退職原因で最も多かったのは就職だったとしています。しかし、退職するから次の就職が必要になるのであって、退職を決意する直接の原因とは限らないと思います。
大臣に伺います。中途退職の背景として、いじめやハラスメントの影響について把握していますか。

○国務大臣(浜田靖一君) 今委員から御指摘のあった点、令和三年度の自衛官の中途退職者については約五千七百名となっており、中途退職者が五千名を上回るのは平成二十年度以来でございます。中途退職者が述べた退職理由の集計によると、令和三年度においては民間企業への就職が約半数近くを占めて最も多く、続いて進学、家庭の事情、性格不適合となっております。
防衛力の中核である自衛隊員の人材流出の防止に向けて中途退職者の抑制は急務であり、今後、防衛力整備計画に基づき、中途退職者に関する自衛隊員の意識等の調査を実施し、効果的な施策を講じてまいりたいと考えております。
今御指摘のこのハラスメントについての調査というのは、我々とすれば、今現在行っている最中でありますし、今お話にあったように、そういったことが原因で就職ということもあるかもしれません。その点についても、またこれからしっかりと調査をしていきたいというふうに思っているところであります。

○山添拓君 まだよく分かっていないということでした。
自衛官の人権弁護団北海道によれば、昨年から今年にかけて百三十五件の相談のうち半分以上が、退職を申し出ても認めない、言わば退職妨害のハラスメントだったといいます。自衛官が退職を申し出た際、退職理由としてハラスメントや自衛隊への不満を記すと書き直しを命じられるというんですね。
防衛省に伺いますが、退職理由の提出というのは、これは法的根拠に基づくものではないですね。

○政府参考人(町田一仁君) 自衛官が退職するに当たっては、どういった方向、就職、それから事情があるのかということを把握し、我々の中途退職防止につなげているものでございます。(発言する者あり)あっ、法的根拠は特段あるものではございません。

○山添拓君 この職業選択の自由がありますから、退職はもちろん自由です。
防衛省は退職に至る経緯をきちんと把握すべきですが、根拠もなく退職理由書を求め、その書き直しまで命じる、これはやめるべきじゃないですか。

○政府参考人(町田一仁君) お答えいたします。
防衛省としては、防衛力の基礎、根幹が自衛隊員にありますことから、そのような書き直しや、それから強要するようなことがあってはならないと考えております。
いずれにいたしましても、きちんとした人事施策、これは退職時の指導、聴取も含めて行ってまいりたいと、そのように考えております。

○山添拓君 現に起こっているから問題になっているんですよね。
防衛省は、二〇一九年度、懲戒の処分事由にハラスメントを新設し、二〇二〇年一月にはその厳罰化のためとして、暴行等を伴う違反行為に関する懲戒処分などの基準を策定しました。違反行為の態様とその適用基準が事細かに区分されています。例えば、パワハラで違反態様が極めて重大な場合とは、刃物等を用いた場合、被害者の自殺の主たる原因となった場合、身体機能等に深刻な後遺障害が残る程度の傷害を負わせた場合などとされます。重大な場合とは、全治一週間以上一か月未満の傷害など、さらに、比較的重大な場合、軽微な場合、比較的軽微な場合、極めて軽微な場合と、六段階もに分かれているんですね。
防衛省に伺います。
こうして細分化をし、まあ防衛省の言葉では厳罰化ですが、その結果、懲戒処分は減ったんですか。

○政府参考人(町田一仁君) 厳罰化により懲戒処分のそのものの件数が減ったかということについて明示的にお答えすることは困難でございますが、現在ハラスメントを理由に懲戒処分を受けた自衛隊員は、令和元年中に八十二人、令和二年度中に百十七人、令和三年度中に百七十三人でございました。

○山添拓君 ですから、むしろ増えているんですね。これだけ細分化して処分基準を設けなければならないこと自体、自衛隊内でいかにハラスメント、まあハラスメントというより暴力行為だと思いますが、これが横行しているか、蔓延しているかを示していると言わなければなりません。
それだけではありません。同時に出された人事教育局長が定める考慮事項等についての細部についてという通知があります。ここでは、懲戒処分の軽減事由が規定され、パワハラであっても被害者が挑発した場合、重傷を負わせた場合であっても被害者が反抗的な態度を取った場合など、被害者の態度次第で加害行為、暴行行為をした側を擁護する定めになっています。
なぜこんな軽減規定が必要なんですか。

○政府参考人(町田一仁君) 懲戒処分を行うに当たっては、それが生じた、どのような形態で起こって生じたものか、それらをきちんと把握する必要があるということから、起こったことをつまびらかにするために明らかにすると、そういう必要性からこの規定を置いているものでございます。

○山添拓君 起こったことを明らかにするということと、それによってハラスメントを行った加害者に対する懲戒処分を軽減する理由になるかどうかということは別だと思うんですね。つまびらかにするべきですよ。しかし、だからといって懲戒処分を軽減する理由にはならないんじゃありませんか。

○政府参考人(町田一仁君) 調べた結果をもって、それが軽減事由に当たるかどうかというのも含めて懲戒処分を決定しているというところでございます。
それと、申し訳ございません。もう一点、先ほど、退職理由につきまして、規則、法律で定めたものはないというふうに御答弁申し上げましたが、例えば、陸上自衛隊でございますと、陸上自衛官人事業務規則、これは陸上自衛隊の達といいます。陸上自衛隊の中での規則でございますが、そこの退職願には退職理由を記載する様式として規定がございます。
したがいまして、法律ではございませんけれども、自衛隊の中の規則で退職理由を書くということになっておりますので、それを付言させていただきます。申し訳ございません。

○山添拓君 法的根拠はないとお話しでしたし、また、それが規則としてあったとしても、書き直しを命じるようなことはこれはやはりあってはならないわけですね。書いてきたもののとおり受け取ればよい話だと思うんです。
先ほど、軽減規定の話については、調査をした上で軽減事由の有無を調べるんだとお話しでしたが、これは厳罰化の抜け道にほかならないと思います。これは防衛省・自衛隊の姿勢自体が問われていると思うんです。
資料の四ページを御覧ください。
二月二十七日、航空自衛隊那覇基地でのセクハラ被害を訴えたにもかかわらず、空自が適切に対応しないばかりか、不利益な扱いを受けたとして、現役自衛官が国に損害賠償を求め提訴しました。
二〇一〇年に那覇基地に着任、挨拶回りの際、既に年齢をやゆするような言葉を投げられ、こんな発言が許される職場なのかと驚いたといいます。他の女性自衛官に対しても、更年期、生理中かなどと発言していました。まあ言わば下ネタを日常的に発して、原告に対しても胸や尻について冗談を言っていましたが、二〇一三年には交際相手との性行為についても言及するようになりました。交際相手とばっかりやってんじゃねえよ、やりまくってるからって業務をおろそかにするんじゃねえよなどと言葉を浴びせたといいます。上司や相談員に相談したものの対応されず、男性隊員や同僚らは被害を否定しました。
やむを得ず、二〇一六年、この男性隊員を相手に損害賠償訴訟を提起しました。判決は、違法なセクハラ発言に当たる可能性は十分にあるとしましたが、国家賠償法に基づき、公務員個人の責任は問われないとする最高裁判例に従って請求を認めませんでした。原告はこのとき部隊の法務班にも相談していましたが、個人の問題には関与しないとして拒まれたといいます。ところが、裁判になってみると、加害者側が反訴を提起してきた。その加害者の上司や部下がセクハラはなかったという陳述書を提出、法務班がそのひな形を作っていたというんですね。
一般論として伺いますが、自衛隊の法務部門というのは、被害者側からの提訴の相談には応じず、加害者側の応訴や反訴には対応しているんですか。

○政府参考人(町田一仁君) 今委員から一般論というふうにお話がございましたが、この航空自衛隊那覇基地でセクハラ被害を訴えた女性自衛官の対応に係ることでありまして、係属中の裁判に関することであり、今後の裁判に影響を与えかねないことから、お答えできないことを御理解ください。

○山添拓君 一般論が答えられないというのはおかしいですよ。自衛官からの個別の法律相談に法務部門がどのように応じているのか、法的根拠を含めて当委員会に報告されたいと思います。

○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。

○山添拓君 判決後も原告の苦しみは続きました。二〇一三年に相談した後も、一五年まで男性隊員と同じ勤務地で日常的に顔を合わせる状態が続いたといいます。
これも一般論で聞きます。セクハラがあったと十分考えられるケースでも、加害者と被害者を別の部署にするような対応すら取らないんですか。

○政府参考人(町田一仁君) セクハラがあったという訴えを受けまして、相談者からの対応につきましては先ほどお答えをいたしましたが、個々、懲戒処分に至りますには、規律違反の動機や原因、状況や程度、それから規律違反者の職責などを考えて行っております。その手続を進めるに当たって加害者と被害者を別々の部署で勤務させるということも、それは行っているところでございます。

○山添拓君 このケースでは取られておりませんでした。
那覇基地ではセクハラ教育が実施され、女性の被害が題材にされました。使われた資料では、男性隊員は匿名でしたが、女性は実名が記載され、女性に非があるかのような説明がされ、その後、基地内でも好奇の目にさらされたといいます。教育のやり直しを求めたが受け入れられなかったといいます。事実ですか。

○政府参考人(町田一仁君) 先ほどもお答え申し上げましたが、この航空自衛隊那覇基地でセクハラ被害を訴えた女性自衛官に対する件につきましては、係属中の裁判に関することであり、今後の裁判に影響を与えかねないことから、お答えできないことを御理解ください。
いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊としては、現在進められているハラスメント防止対策に関する有識者会議の検討結果を踏まえた新たな対策を確立し、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築してまいります。

○山添拓君 那覇基地で使われた資料の当委員会への提出を求めます。

○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。

○山添拓君 時間が参りましたので質問を終わりますけれども、原告は今も睡眠障害やフラッシュバックに苦しんでいるというんですね。今度の提訴に当たって、上司から過去を掘り返すなと言われたといいます。しかし、被害者にとっては、過去ではなく、長年続く、現在も続いている被害なわけです。組織が隠蔽し、被害を申告した側を悪者のように扱ってきたと、こういう告発がされていますよ。個人の尊厳をないがしろにする、その組織性や悪質性が著しいです。
大軍拡どころか足下で組織の在り方が問われているということを厳しく指摘し、質問を終わります。

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