山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2023年・第211通常国会

子どもの貧困と自殺増 子どもたちが生きる道選べる政治に「社会的な困難の現状」に関する参考質疑

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
三人の参考人の皆さん、今日はありがとうございました。
まず、清水参考人に伺います。
資料でもお示しをいただきましたが、自殺者数、子供の自殺者数についてはコロナの前から増加をしてきているというのが実態かと思います。政府も対策は取ってきたということも言うわけですが、しかし、増加を食い止め切れていないのは現実としてあると思います。ですから、従来の延長ではない取組が求められていることは明らかだと思います。
〔会長退席、理事小沼巧君着席〕
特に子供の場合に、先ほどどこをタッチポイントとしていくのか経路が分かっていないだけに対策が、まず分析からだというお話もあったんですが、そうはいっても、そのSOSをキャッチできる、あるいは更に手前の異変に気付いて声を掛けられる、掛け得るところとしてはやはり学校は大事なところなのかと思います。もちろん、学校だけでは対応し切れない問題あるかと思うんですが、しかし、学校は必ずキャッチし得るところだと思うんですね。その学校で、教員が少ない、阿部参考人からもありましたが、あるいはそのための長時間労働など問題もあろうかと思うんです。
清水参考人が御覧になってきた中で、学校がこの問題に対応するに当たって課題になっていると思われる点についてお聞かせいただければと思います。

○参考人 特定非営利活動法人自殺対策支援センターライフリンク代表 (清水康之君) 御質問ありがとうございます。
今のに関して言うと二点あって、まず一点目が、学校に所属している児童生徒が亡くなっているという統計なので、なので学校が無関係ではないんですけれども、ただ、先ほどお話させていただいたとおり、昨年の一月から自殺統計原票が変わって、高校生の内訳が全日制と通信制、定時制と分かるようになってきたことによって初めて、実は自殺死亡率でいうと定時制、通信制の高校生の方が全日制よりも三倍高いというようなこと分かってきたんですよね。
〔理事小沼巧君退席、会長着席〕
もしかしたら、その不登校になっている子の自殺が多いという可能性も否定はできませんので、そうすると学校ではなかなか不登校状態の子の異変を察知することが難しいというようなことにもなってくるので、やはりしっかりとした実態の解明、それによって戦略を立てていくということが大事だと思っています。
ただ、もう一点は、そうはいっても、入学であったり、あるいはその不登校の子に対してのアプローチ、アウトリーチも学校はし得るわけなので、そうした実態を解明する、あるいは、実態が解明するまで待つのではなくて、でき得ることとして、少なくとも今分かってきた定時制、通信制の高校生の自殺死亡率が高いであるとか、あるいは学校の現場として不登校になっている子の自殺の危険性が高いということであれば、そのアウトリーチをどういうふうにやっていくかというような、そういう、一つ一つの学校でいうと自殺ってめったに起きないんですよ。
昨年の自殺者数、高校生以下は五百十四人ということは、全国の学校の数から比べれば本当に割合としては非常に低いわけなので、ただ、もう一度起きると取り返しが付かないという、そういう側面が子供の自殺にはありますので、あらゆる学校が子供の自殺が自分たちの学校でも起きても決して不思議ではないという危機意識を持って、じゃ、どういう子に自殺リスクがあるという可能性があるのかということで、これはもちろん国の支援も踏まえてということになるとは思いますけれども、学校で手を尽くしていく必要があるんだと思います。
ただ、現状、まさに御指摘のとおり、私の兄も高校の教師をしていて、小学校からの親友が小学校の教師をしているんですけれども、もうとにかく学校の先生は余裕がなく、自殺リスクのある生徒が一人いると、もうその生徒に掛かりっきりになって、ほかの子たちの様子もなかなか見づらくなっていくというような局面も、側面もあったりするようなので、やっぱり学校の現場で自殺リスクがあるということを少なくとも気付いた場合には、担任以外の先生も入っていく体制を構築するとか、あと、先ほどお話ししたとおり、子供の自殺危機対応チーム、専門家がチームをつくって学校をバックアップするというような、そういう体制をつくるであるとか、やっぱり、学校任せにしていても察知はできるかもしれないですが、でも察知した後のフォローまでは学校だけでやっていくというのは現実的ではないので、いかに察知することをできるようにするということと同時に、察知した後の支援体制を地域も巻き込んでどうやって構築していくか、それが重要な鍵を握っているように思います。

○山添拓君 ありがとうございます。
次に、渡辺参考人に伺いたいと思います。
キッズドアの取組など、本当に敬意を表します。
資料の十九ページにもありましたが、子育て世代の負担、長期にわたり大きいわけですが、特に大学など高等教育に多額の費用が掛かるということは大きな負担かと思います。
私も、この間、学生向けの食料支援などを行われているところ行きますが、コロナが落ち着いてアルバイトが戻っても、やっぱり並ぶと、大勢利用するという状況が見られます。また、子育て世代が自分でも奨学金の負債を抱えているということもあって、やっぱり子供をもうけて大学までということにためらいがそもそもあるということは現実としてあるかと思うんですね。
その背景として、高等教育の公的支出の少なさというのはあるのではないかと思います。日本はGDPで〇・四%、OECDの加盟国では最低水準です。他方で私費負担については〇・九%で、OECDの加盟国でいうと大体倍ぐらいだということが指摘されてきました。
個々の施策の問題はもちろんあるわけですが、総じてこの公的支出が少な過ぎるという問題についてどうお考えでしょうか。

○参考人 認定特定非営利活動法人キッズドア理事長(渡辺由美子君) 御質問ありがとうございます。
本当に高等教育の無償化みたいなことはできればいいなと思っています。阿部先生がおっしゃったように、本当に財政がなかなか難しい中でどうやっていくかっていう道筋あるかと思うんですけれども、やっぱりヨーロッパだとか、世界各国、高等教育もかなり無償とか低額な中で行けるというふうなことが少子化対策とかで本当に一番いいのではないかなというふうに私は思います。
とにかく、本当に大学生が学び、せっかく入ったからしっかり学ばなきゃいけないのに、入る前から自分は卒業できるのかどうか心配ですというふうに言っているって、これは時代が大分変わりまして、学費が物すごく上がっているということなんですね。本当に、昔であれば、公立に入ればすごく安かったりとか、私学もそんなに高くなかったんですけれども、高いと。世界、世間では今、理系がすごくいいんだと、これからは理系人材が求められるから理系の学びをしましょうというふうにいって、子供は一生懸命頑張って、高校で理系に行こうと思ってやっていたんだけれども、いや、やっぱり国立は無理だから私立に行こうかというと、入学金と前期の学費で一年間で百八十八万円とかって、それはその世帯の所得だったりとかするわけですよね。もう、もう、ちょっと無理だからといって、じゃ文系に変えようだとか、そういうふうなことが出てくる中で、本当に、要は、日本にとっては優秀な人材が力を付けて、働いてどんどん稼いでくれるというサイクルに戻していかないと、本当にこの先、パイの取り合いみたいなことになっていくので、やっぱりそこは投資として考えるということが重要だと思います。
ただ、本当に、大学に行けばいいのかというと、そうではないですし、様々な学びの機関がありますし、例えば、今、大学入試に関して言うと、一般入試で入る方というのは大体半分ぐらいになっているんですね。指定校推薦とか、要は特別推薦という、AOと言われていたようなものだとかに変わってきていて、本当に学びも変わってくると。今本当に、話題のチャットGPTみたいなことも含めて、本当にドラスチックに必要な力が変わっていく中でどういう学びが必要なのかとか、これから生きることに、生きる子たちには何が必要なんだろうなということを考えながらやっていくという、本当に体系的なものがあって、その中でどこを支援していくかということを考えられるとすごくいいのかなと思います。
本当に、予備校に行かないといい大学に行けないみたいなのはやっぱりおかしいなと思いますし、本当に高校生が塾に行きたかったというふうに言うというのもどうなんだろうなということはある中で、やっぱり学びの質とか学ばせ方というふうなところもすごく、なかなか学校現場が忙しい中で日本はアップデートできていないんだと思うんですけれども、やっぱりそういったところをやっていく中で、本当に、例えば大学の運営コストみたいなものもすごく下がるから学費が下がるとか、そういったことも出てくるのかなとか、本当に、大学に行かなくてもスキルを身に付けられて、いい、自分が目指すべき仕事ができるようになるだとか、進路が多様になっていくんだと思うので、そういったことを考えられるような土壌とか土台とか、そういったことがあるといいなと思います。

○山添拓君 ありがとうございます。
阿部参考人に伺います。
子供の貧困に親の所得減少が大きく影響しているのはもうそのとおりだと思いますし、三十年間にわたる親の稼得能力の低下が原因だと、稼得能力、勤労所得を上げる必要があるという御指摘でした。私も、最低賃金の引上げというのは、全体を引上げ、底上げしていく上で重要だと思います。
ただ、同時にその三十年間にわたる親の稼得能力の低下というのは、独りでにそうなったというわけでもないと思うんですね。特に、今日の資料でも、三十年の期間の起点にされていた一九八五年というのは象徴的に派遣法が成立をされた年でもあり、やっぱり非正規雇用、不安定な、そして低賃金に向かいやすい、そういう働き方を、これは政治的にもつくってきましたし、社会が広げてきたという実態があるかと思うんです。
非正規でも暮らせる賃金とすること、より抜本的には、非正規から正規へ、とりわけ公務職場などでそういう必要というのは、正規を当たり前にする必要というのは大きいのではないかと。この稼得能力、勤労所得を上げていく上で、これ働き方を、やっぱりつくられてきた働き方の変化を立て直していくということは必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○参考人東京都立大学人文社会学部教授 (阿部彩君) ありがとうございます。
おっしゃるとおり、非正規が増えたということはその一因かなというふうには思いますけれども、正社員だけでグラフを作っても同じような状況があるんですね。つまり、再分配前の貧困率が上がっていると、いっているので、この問題は、単純にじゃ、非正規を、問題を解消しましょうという、正規、非正規問題だけでは説明付かないというふうには思います。
ですので、正規雇用の中でもどのような、賃金の格差というのが大きくなっていますし、それから、特に七割、今でも二十歳以下の子供の一人親世帯率というのは六%ぐらいですので、大部分が二人親世帯なんですけれども、親と、父親と母親というのは、そのカンパネーションですね、そのカンパネーションが世帯所得になるので、その在り方ですとか第三号問題ですとか、そういったことも含めてやはり考えていく必要があるんではないかなというふうには思いました。

○山添拓君 ありがとうございました。
正社員の中でも、確かに最近、限定正社員などという形で、期間の定めはないけれども賃金は最低賃金水準という方の声も伺いますので、そのとおり、御指摘の点があるんだなと思いました。
以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

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