山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2023年・第211通常国会

緊急集会は「合理的」 参考人、議員任期延長に疑問

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
参考人の皆さん、今日はありがとうございます。
松浦参考人にまず伺います。
参議院の緊急集会では対応できない場合があるということで、緊急事態における国会議員の任期延長の必要性について今日も議論がされてきました。これも議論になっていますが、一方で、憲法が国会議員に任期を定めているのは、選挙で国民に選ばれた代表であるからこそ立法を通じた権利の制限あるいは義務を課す、その正当化がされるという理屈であろうと思います。
この任期を延長された国会議員の民主主義的な正統性、あるいは延長された後の国会議員が自らの次の総選挙に向かわせるような、つまり総選挙を行おうというそういうインセンティブですね、それはなかなか働かないのではないかということも思うのですが、その点はいかがでしょうか。

○参考人 防衛大学校教授(松浦一夫君) インセンティブの問題というのは、私、国会議員でございませんので余り理解をしておらぬのですけれども、その任期の延長が必要なケースというのは、繰り返しになりますけれども、緊急事態が宣言されて、それに伴って例えば衆議院が解散が禁止されたり、あるいは任期の延長がなされるということですから、それを単独でもって任期が延長されるという話ではないんですね。その緊急事態を宣言しなきゃならぬ要件というものはかなり政治的なものでありまして、これはケース・バイ・ケースだと思うんですね。非常に重大な、つまり、通常の統治機構が機能しないような状態になったときにどうするかという話。そのときに、もう選挙をやっている場合じゃないだろうと。で、選挙もできないというときに任期の延長をすべきだと。一旦はこれ選ばれた議員ですから、国民の信任を完全に喪失したわけではないし、先ほども御質問でありましたように、解散のケースだってあるわけですから、解散は、これ国民が解散したわけではなくて政府の都合で解散しているわけですので、国民の信任をそこで失ったという考え方ではないんだろうと思うんですね。
緊急事態になった場合に何を優先させなければいけないかというのは、もう言うまでもないことですが、国民の生命、財産を守るということが最優先であって、それを優先させるために国会が混乱してはいけないと、政府の統治能力を十全に機能させるために国会がその権力の濫用は抑制しなきゃならないけれども、国会の機能もちゃんと維持しなければいけないというところが重要なのであって、そのためには一時的に任期の延長が必要になる。衆議院の場合には四年任期ですけれども、解散があったらもっと短いわけですね。
一方で、その参議院の場合は六年任期が保障されているわけです。六年任期だから参議院よりも任期が長いので、身分が保障されているから、衆議院の優越、これは国民の意識が繰り返し反映されるのでというような議論がありますけれども、それを言ってしまいますと、衆議院は六年任期だから国民の信任は薄いことを認めるという話になってしまうと思うんですね。
やはり、場合によっては三年で終わる衆議員もいれば、四年任期を全うできる議員もいらっしゃる。それでも国民の信任を一度は得ている、で、優先しなきゃならない国会の緊急事態にそれを優先する、そのために国会を混乱させてはならないので任期を一時的に延長する、その必要がなければ緊急事態宣言はもう解除するというシステムをつくれば、それは濫用の危険というのはないんだと思います。

○山添拓君 ありがとうございます。
長谷部参考人と土井参考人に伺います。
今の点にも関わるのですが、私は、やはり選挙で選ばれて任期中の参院議員が関与をする緊急集会と、内閣の判断によって、ほかにも幾つかの手続はあり得るとしても、内閣の判断で任期が延長された衆院議員が権限を持つ仕組みとでは、民主主義的な正統性という点では質的な異なりがあると思います。これは、緊急時における緊急の必要あるときの民主主義的な正統性の持つ意味ということかと思います。
その点について、両参考人の御意見を伺いたいと思います。

○参考人 早稲田大学大学院法務研究科教授 (長谷部恭男君) これ先ほども申し上げましたけれども、憲法五十四条では、四十日、三十日という日数を限っておりますのは、現在の民意を反映をしていないような政権の居座りを防ぐと、それを阻止するということで、それが主たる目的でございますので、それなのに、それに代わって衆議院議員の任期を延長するということになります。それは結局、現代の民意に反映をしていない政権の居座りを正面から認めるということになってしまうわけでございますから、できる限り慎重にお考えをいただくということが大切ではないかというふうに考えております。

○参考人 京都大学法学系(大学院法学研究科)教授(土井真一君) 私も先ほど申し上げましたように、いずれの場合であっても、完全な民主的正統性がある状態ではないという事態ですので、どちらが民主的正統性があるのかということを議論しても、若干観念論に陥ります。なので、先ほど申し上げましたように、正常な事態に戻すためにどちらが有効な方策であるかという点をしっかり御検討いただくのがよいかと思います。
以上です。

○山添拓君 ありがとうございます。
長谷部参考人、土井参考人に続けて伺いたいと思います。
この間、緊急事態条項あるいは緊急集会をめぐる議論は、自然災害への対応を理由とするもの、また、新型コロナなど感染症の拡大を理由とするもの、そしてロシアのウクライナ侵略を契機に戦時対応を理由とするものなど、その必要性、議論の根拠自体が変遷を重ねてきたかと思います。
こうした議論の状況を御覧になってお感じのことがありましたら、御紹介ください。

○参考人(長谷部恭男君) 緊急事態の発生の原因、いろいろなものがあるということ自体はそのとおりだと思いますので、その折々で話題になった問題、御議論になるということ、特に不自然なところは私はないかとは思いますけれども、ただ、そのために憲法を変えることは是非とも必要なのか、それ以前に憲法以下の対処は果たしてできることはないのかということもやはり十分お考えをいただくということが必要ではないかというふうに考えております。

○参考人(土井真一君) 私も、長谷部参考人がおっしゃられたように、緊急事態の問題はその都度その都度の状況を踏まえて御議論になっておられると思いますので、それについて意見を申し上げることはございません。
緊急事態についてできる限り適切な仕組みを検討されるというのは国会の役割でございますので、それについても異論はございません。
ただ、緊急事態というのは余り観念的に議論しても進まない話で、実際にどういう場合があるのかということを想定して御議論になるのが一番現実的であろうと思います。その意味では、現に緊急集会の制度があるわけですから、参議院におかれまして実際に緊急集会をどのような形で開催する必要があるのか、その際にどこに問題があるのかということをしっかり御議論になった上で次のステップに進んでいかれるというのが穏当な方法ではなかろうかと感じております。
以上です。

○山添拓君 ありがとうございました。
終わります。

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