山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2023年・第211通常国会

軍需産業支援法案に対する反対討論/女性差別撤廃条約選択議定書の批准を「政府二の足踏む中、国会の姿勢問われる」

○委員長(阿達雅志君) 防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案を議題といたします。
本案に対する質疑は既に終局しておりますので、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○山添拓君 日本共産党を代表し、防衛装備品基盤強化法案に反対の討論を行います。
政府が安保三文書改定に向けて設置した有識者会議では、武器輸出の拡大により軍需産業を成長産業にすべきとの主張が相次ぎました。既に政府は、イギリス、イタリアと共同開発する次世代戦闘機について、たくさん売れば売るほど単価が下がるなどと言い、海外への輸出をもくろんでいます。安倍政権が憲法九条に反して武器輸出の解禁に転じた上に、与党協議で、殺傷能力のある兵器まで全面的な輸出解禁を狙っています。
戦争を企業のもうけに利用し、経済成長を図ろうとするのは、杉原参考人が指摘した、死の商人国家への堕落との批判を免れず、断じて許されません。
軍需品製造ラインの強化や事業承継など、企業が策定する計画を防衛大臣が認定し、その費用を国が負担することとされますが、支援対象は民需品と共用の製造ラインでもよく、また、黒字の大企業も対象とされ、複数の支援メニューを受けることも可能です。それでもなお手段がないときは国有化のスキームを用意され、軍需産業にとって、まさに至れり尽くせりです。国有化後、民間に譲渡する期限の定めはなく、国有民営が続けば、事実上、戦前、戦中の工廠の復活に道を開くことになります。
佐藤参考人は、官が認定し官の裁量を増やす点で潜在的に不祥事のリスクがあると指摘しました。武器輸出を支援する指定法人も、基盤強化の計画認定も、軍需産業側とも防衛省側とも構造的な癒着が懸念されます。しかし、審議を通じて明らかになったように、法文中にこれを排除する規定はなく、繰り返されてきた汚職や腐敗の危険は一層高まります。
秘密保全の措置は、防衛省と契約する企業に対し、特約条項にとどまらず、従業員を刑事罰の対象として義務を課すものです。しかし、従来、情報漏えいに対する違約金の対象となった事業者の例をただの一件も挙げることはできませんでした。そもそも立法事実を欠きます。
従業者情報を防衛大臣に報告させる対象は、防衛大臣の定める事項とされ、限定がなく、プライバシー侵害の危険が軽視できません。軍需産業を特別扱いで支え、産業と経済を軍事に従属させることは、社会全体にゆがみをもたらします。官民一体での武器輸出の促進は、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出どころか、東アジアの緊張関係を高めることにつながります。
日米の軍事一体化を中心に軍事的対抗を強めるのではなく、地域の全ての国々を包摂する平和の枠組みを発展させることにこそ力を尽くすべきです。
以上、反対討論とします。

―――

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
五月二十日発表のG7首脳コミュニケは、我々の社会の実質的な変革のためのジェンダー主流化を深化させることにより、ジェンダー平等問題の断片化と疎外化を克服する必要性を強調するとしています。
外務大臣に伺います。
外交政策におけるジェンダー主流化を我が国としてどう進めるおつもりでしょうか。

○外務大臣(林芳正君) ジェンダー主流化とは、ジェンダー平等の観点をあらゆる政策や制度に反映しようとする考え方であると認識しております。
G7広島首脳コミュニケにおいてもジェンダーをめぐる様々な課題が挙げられておりますが、国際社会においては、こうした諸課題の解決、さらには、より良い社会の構築のためには、あらゆる分野において女性が男性とともに意思決定の場に参画し、ジェンダーに配慮した取組を行うことが重要であるとの認識が高まっていると承知をしております。
日本政府としても、こうした国際的潮流を受けて、例えば昨年十月に開催をいたしました国際女性会議、WAW!において、新しい資本主義に向けたジェンダー主流化をメインテーマに、男女間の賃金格差から女性や女児の尊厳、女性の防災分野への参画拡大など、様々な分野におけるジェンダーへの配慮の重要性について議論したところでございます。
また、本年のG7では、首脳会合とこれまでの全ての大臣会合の議論におきましてもジェンダーの視点が反映されております。
岸田総理も述べられておられますように、これを一過性のものとせず、国内外におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメントの推進に向けて引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

○山添拓君 二十四日から予定されるG7男女共同参画担当大臣会合では、W7、ウーマン・セブン・ジャパンとの対話も予定されていますが、このウーマン・セブンが掲げるフェミニスト外交政策は、女性差別撤廃条約とその選択議定書を始めとする国連人権条約の完全で効果的な実施を求めています。
外務省に伺いますが、女性差別撤廃条約と選択議定書の締約国は幾つですか。

○外務省 大臣官房参事官(今福孝男君) お答え申し上げます。
国連のホームページによりますと、女子差別撤廃条約選択議定書の締約国数は、二〇二三年六月現在、百十五か国と承知しております。

○山添拓君 選択議定書の肝は、国内の裁判では救済されなかった権利侵害について、個人が委員会に通報できるという個人通報制度です。
発効以来の個人通報の件数、審査の結果、侵害ありとされた件数、また、その代表的な事例を御紹介ください。

○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。
国連人権高等弁務官事務所によりますと、これちょっと若干古いデータになりますが、二〇二〇年一月時点で、女子差別撤廃委員会に通報された件数は百五十五件、そのうち、委員会による検討の結果、条約に定める権利の侵害とされた件数は三十二件となっております。
案件につきましては、例えばドメスティックバイオレンス、あとセクシュアルハラスメント、強姦など、女性に対する暴力に関するものなどが取り扱われていると承知しております。

○山添拓君 昨年十月時点では百八十七件が登録されているということであります。デンマークやオランダなど、北欧やカナダといった人権政策が進んだ国ほど市民の人権意識も高いので、申立てが増える傾向にあるとされます。
条約違反があると認められる場合、委員会の見解、勧告が出されます。この勧告は法的拘束力はありませんが、金銭賠償や原状回復を求めるほか、一般的な勧告がなされる場合があります。
これ、一般的な勧告とはどういう種類のものがあるんでしょうか。

○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。
女子差別撤廃条約選択議定書は、第七条の四で、締約国は、委員会の見解及び勧告がある場合には、その勧告に十分な考慮を払い、かつ六か月以内に委員会に対して当該見解及び勧告に照らしてとった措置に関する情報等を書面で回答することを規定しております。
今お尋ねございました一般的な勧告につきましては、これは種々のケースがございますと承知しておりますが、それら出てきたものに対して、私どもとしては真摯に検討を行い、書面で回答することとしております。

○山添拓君 いやいや、この条約に入った場合の、そして侵害があったと認められた場合の一般的な勧告として、例えば、法律の施行についての勧告や、あるいは法律家、法執行官に対する訓練など、そういった種類の勧告がされる場合、様々種類がありますかね。

○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。
今委員から御指摘ございましたようなものとか、あと、そのほかにも金銭賠償や措置等を勧告することもあり得るというふうに承知しております。

○山添拓君 例えば、ブルガリアでは、性暴力の被害者は加害者に民事の損害賠償を請求できるのですが、物理的な損害だけで、慰謝料、精神的な損害は請求できないという法律でした。そのような法律は変えるべきだという勧告が行われています。あるいは、法律家、警察官や入管職員、刑務官など法執行官も含めて、こうした人に対する研修を行うべきだと、これは多くの勧告に入っているようです。
そして、その勧告内容をどう実施するかは、勧告の後も委員会がフォローアップを行います。法的拘束力はないわけですが、勧告を手掛かりに関係者が対話を重ね、被害者の救済等、再発予防の在り方を探っていく。これは、裁判所の判決では望めない、きめ細かな在り方だと思います。
G7コミュニケで表明した、我々の社会の実質的な変革のためのジェンダー主流化、あるいは大臣から、女性に対するエンパワーメントという言葉もありました。この選択議定書の勧告の在り方、その実施の在り方というのは、こうしたG7コミュニケでも表明したジェンダー主流化に資するものだと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。
G7サミットのコミュニケにございますのは、これはG7各国で今年協議、調整した上でまとめたものでございますので、日本としても、日本政府といたしましても、その方針の中でコミュニケの内容をフォローしていくということだと思います。
また、女子差別撤廃条約につきましても、我が国は締約国でございますので、その規定を誠実に、これまでも遵守してきておりますが、引き続き遵守していくことになると考えております。

○山添拓君 いや、選択議定書は入っていませんから、で、今問題にしているわけですよ。選択議定書の権利侵害についての通報ですね、個人通報、そして侵害ありと認めた場合の勧告、勧告のフォローアップ。一般的な勧告として、当該権利侵害を受けたという個人に対する金銭賠償だけではなく、制度としての変革も求めていく。しかも、それも一方的に求められるというだけではなく、委員会と締約国との対話を通じてフォローアップされていく。こういう在り方がジェンダー主流化を実現していく上でも資するものではないかという質問なんですが。

○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、我が国は選択議定書の締約国にはなっておりませんので、女子差別撤廃条約に基づいて設置されている女子差別撤廃委員会から個人通報制度に基づく情報に関してどのように対応するかといった点については検討すべき種々論点があると考えておりますので、引き続き関係省庁と連携しつつ、真剣に検討していきたいと考えております。

○山添拓君 意義についてもなかなかお認めにならないんですけれども。
いや、政府も早期締結が必要だということを姿勢としては示してこられているわけですね。だからそんなに頑張られる必要ないと思うんですよ。大事なものだと思うんですね。
ところが、批准はされず、二〇二一年九月に国連に提出された報告では、まあいろいろと検討課題があるんだといって、個人通報制度関係省庁研究会で通報事例を可能な限り収集し、研究を行っているとしています。
資料の二ページ以下を御覧ください。これがその研究会の二〇一六年八月の記録です。委員の皆さんには、二の四という、少々字が小さいですが、ページを御覧ください。その左側ですね。最高裁で確定した判決の効力を否定するような勧告がされるのかという質問に報告者が答えています。委員会の審査は最高裁に対する四審ではないので基本的にはそのようなことはない。ただし、フィリピンの例、強姦の被害を告訴したのに裁判に七年も掛かった挙げ句、被告人が無罪となったことを不服として申立てがあった例では、確定判決は尊重するが、裁判所の条約解釈が間違っているという結論となり、裁判官のジェンダーバイアスをなくすよう研修を強化すべき旨の勧告を行った例もあるとされています。
この資料は、婦団連、日本婦人団体連合会が開示請求によって入手したものです。見ていただければお分かりのように、報告者、これは女性差別撤廃委員会の委員長を務められた林陽子さんの説明ですが、その報告者の説明部分が黒塗りにされているんですね。何か都合の悪いことでも言われたんですか。

○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。
この手続につきましては、情報公開請求に基づいて外務省において当時審査し、内容、法に合致して開示すべきところにつきましては開示させていただき、開示できないところにつきまして、法に照らして開示できないところにつきましては黒塗りにさせていただいた次第でございます。

○山添拓君 いや、開示できないといっても、様々検討を行っている、その中で報告者から説明を受けた部分ですから、これはちょっと説明になっていないと思うんですよ。
研究会は、この後三回開かれていると伺っています。それぞれ、いつ、何をテーマに行われたんですか。

○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。
三回と申しますのは、その後、第二十回は二〇一九年四月の二十三日、第二十一回につきましては二〇二〇年の八月二十七日、第二十二回につきましては二〇二一年の八月二十六日に開催されております。
いずれも、内容につきましては最近の事例研究や同制度をめぐる最新の状況となっております。

○山添拓君 二十年ずっと事例研究されているんですよ。
三回の研究会の記録については当委員会に提出されたいと思います。

○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。

○山添拓君 国連への直近の報告が二一年の九月です。それ以降、政府としてはどのような進展があるんですか。

○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。
政府といたしましては、その間も関係国等における動向等を随時情報収集等を行っているところでございます。

○山添拓君 いや、その収集の結果、まだ検討は全然進んでいないのですか。

○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、この女子差別撤廃条約の選択議定書の加入につきましては種々検討すべき論点があるところから、検討を鋭意関係省庁とともに進めているところでございます。
○山添拓君 では伺いますが、二〇二〇年三月の当委員会で外務省は、実施体制の検討課題があるんだと、それは何かと問われて、国連見解が出たときの窓口をどこにするのかということだとお答えだったんですね。
三年たちました。窓口決まりましたか。

○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。
まだ検討の途中でございます。

○山添拓君 大臣、これは、ちょっといつまで検討しているんだということになると思うんですよ。第五次男女共同参画基本計画、選択議定書の早期締結について真剣な検討を進めるとあります。早期というのはいつですか、大臣。

○国務大臣(林芳正君) 今、山添委員からございましたように、第五次男女共同参画基本計画には、女子差別撤廃条約の選択議定書については、諸課題の整理を含め、早期締結について真剣な検討を進めるとされております。
今、様々に御議論いただきましたが、この個人通報制度、これは条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から、注目すべき制度であると考えております。これも御議論いただきましたが、一方で、この制度の受入れに当たって、我が国の司法制度それから立法政策との関連での問題の有無、それから同制度を受け入れる場合の実施体制等の検討課題、こういうものがあると認識をしております。
こうした論点、検討課題が存在をするところ、女子差別撤廃条約選択議定書の締結の見通しについてお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

○山添拓君 時間が参りましたので終わりますが、資料の一枚目を最後に御覧ください。毎年、全国各地で請願署名が取り組まれ、国会に提出されてきました。当委員会では二〇〇一年から、解散の場合を除いて長年採択されてきましたが、最近では二〇一七年に維新の会が保留とされ、その後は自民党が保留とされて採択されずに今に至っております。
今国会も閉会が近づいております。各会派、請願審査は行われていることと思います。早期締結と言いながら政府が尻込みをしている今、国会の姿勢が問われておりますので、各会派の良識ある判断を求めて、質問を終わります。

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