山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2023年・第211通常国会

大軍拡そのものやめよ 膨らむ兵器開発・購入額

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
敵基地攻撃能力保有の一環として防衛省が約四百発保有、取得するという長距離巡航ミサイル、トマホークについて伺います。
対地攻撃に特化した最新鋭のブロックⅤだと伺います。どんな弾頭を積むのかも含めて、その機能について御説明ください。

○防衛省 整備計画局長(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。
アメリカの海軍の公表情報によれば、一つ前の形式でありますブロックⅣの弾頭は千ポンドクラス、四百五十キログラム程度とされてございまして、防衛省が取得する最新型のブロックⅤにつきましては、ブロックⅣからナビゲーションや通信能力が強化されたものとされてございます。さらに、アメリカ海軍公表情報によれば、射程は千六百キロメートルとされてございます。また、その誘導方式は、慣性誘導、GPS誘導、地形等高等線照合、デジタル画像照合、この四つによりまして目標まで精密に誘導するとされてございます。
以上でございます。

○山添拓君 新たに対地攻撃用に開発された、ジェメウスと読むんでしょうか、統合複合作用弾頭システムという弾頭は、分厚いコンクリートの壁を突き破り、内部で多数の子爆弾が爆発し、無数の破片を生成するシステムを持つそうです。防衛省のトマホークにも搭載するんでしょうか。

○防衛省 防衛政策局長(増田和夫君) お尋ねのジェーミューズ、JMEWS、JMEWS弾頭は、米国防省資料によりますと、トマホークに搭載するため現在開発中の新たな弾頭でございまして、既存弾頭に新たな貫通能力を組み合わせることによりトマホークミサイルが撃破できる対象が拡大する旨説明されていると承知しております。
なお、防衛省が取得を進めているトマホークはあくまでブロックⅤであり、JMEWS弾頭を搭載する派生型のブロックⅤbではございません。

○山添拓君 今、自衛隊は、司令部が核攻撃にも耐えられるよう施設の地下化をするなど強靱化を進めていますが、そうした施設にも貫通するような弾頭を持つということは、これはやはり許されないと思います。今、そういうものではないというお話がありましたけれども、この先どのようなトマホークを保有していくのか、それについては当然説明がされるべきだと思うんですね。
海上自衛隊のイージス艦八隻をトマホーク配備可能にする計画だと伺います。改修のために今後何をするのでしょうか。改修費用など、関連経費を含めた総額は幾らと見積もっていますか。

○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。
トマホークにつきましては、令和八年度、二〇二六年度及び令和九年度、二〇二七年度に納入されてくる予定でございます。現時点におきましてはブロックⅤをイージス艦に搭載する計画としてございます。
イージス艦につきましては、艦艇でございますので定期検査というのがございます。定期検査等の時期も踏まえつつ、トマホークの納入に合わせまして適切な時期、タイミングに改修を行ってまいりますが、その費用、関連経費につきましては、現在アメリカ側との間で詳細を調整中でございまして、現時点で確定的な経費をお示しすることは困難であることを御理解いただきとう存じます。
以上でございます。

○山添拓君 費用ははっきりしないということでした。
イージス艦は横須賀、舞鶴、佐世保に配備されますが、トマホークはこの近辺の弾薬庫に配備することになるんでしょうか。

○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。
弾薬につきましては、どのような弾薬をどこに格納するかというようなことについてはお話を控えさせていただいております。御理解いただきとう存じます。

○山添拓君 いや、それは理解されないと思います。周辺住民に説明することなくトマホークを配備していくと。
このトマホークは、米国の武器輸出、FMS、有償軍事援助による取得が計画されます。昨年度と今年度、FMS契約の契約ベース額と新規後年度負担をお示しください。

○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。
FMSでございます。令和四年度予算におきますFMS調達の契約ベース額は約三千七百九十七億円でございます。そのうち、新規後年度負担については約三千五百五十六億円でございます。また、令和五年度予算におけるFMS調達の契約ベース額は約一兆四千七百六十八億円でございます。そのうち、新規後年度負担については一兆二千九百八十八億円でございます。
以上でございます。

○山添拓君 昨年度との比較でも激増です。新規後年度負担、新たにローン負担をする額も膨れ上がっています。それはつまり、来年度以降の予算編成を圧迫することになります。
FMSは、米国が価格や納期を一方的に変更できるために金額が高騰する傾向にあることが何度となく批判されてきました。これまでのFMS契約で、当初の契約ベース額より最終的な負担額が上回ったケースは何件あったでしょうか。また、上回った金額の総額は幾らになるのか、主な事例とともに御紹介ください。

○防衛装備庁長官(土本英樹君) お答え申し上げます。
委員御指摘の過去のFMS兵器購入に関しまして、契約額と実際の支払額の差という御質問でございます。
まず、FMS調達につきましては、一般輸入では調達できない機密性の高い装備品や能力の高い装備品を調達できるというメリットがありますが、購入国との政府間合意後、米国政府が米国企業と契約を確定するため、合意時点の価格は見積りであることなど一般の調達と異なる点もございます。その上で、日本側と米国政府の契約確定以降に部品の価格変動や為替レートの変動などにより最終的な支払額が変動し、当初契約額を上回ることもございます。
御質問の最終的な負担額を上回った件数及び上回った金額の総額については、大変恐縮でございますが、網羅的には集計しないため、集計していないため、直ちにお答えすることは困難でございますが、例えば、平成二十九年度の契約分で申し上げますと、総契約数百八十一件におきまして、うち百件が支払額が契約額を上回っております。支払額が契約総額に対しまして約三十億円上回ったということを確認されているところでございます。
また、主な事例といたしましては、誘導弾の役務や艦船の部品等における調達におきまして、為替の変動等によりまして契約額に比べまして実際の支払額が約十数%上回った例を確認してきているところでございます。

○山添拓君 上回った例を網羅的に把握していないということだったんですが、これからまさに爆買いを進めていくわけですから、過去のデータについてもやはり詳細は示されるべきだと思うんです。
半田参考人は、防衛省の規則で二五%値上げされた場合にはキャンセルできるが、グローバルホークは二三%で寸止めされてキャンセルできなかったと紹介されました。二〇一五年に防衛装備庁が発足した際定められた規則によるもので、一五%上昇で事業の見直しを義務付け、二五%上昇で中止の検討を義務付けています。なぜ二五%なんですか。

○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。
委員御指摘の点に関しましては、いわゆる装備品の構想から運用、維持、廃棄までの各段階を通じまして、装備品のコスト、スケジュール、リスク等を管理するいわゆるプロジェクト管理の関係の御質問かと思われます。
それで、今委員の方から御質問ございました、ではなぜ二五%かというこの二五%の関係でございますが、単価が二五%以上超過した場合には、中止を含めまして事業継続の必要性を検討することとしております。
この制度の根拠になったものといいますか、につきましては、アメリカの制度を参考にさせていただいたところでございます。

○山添拓君 中止にするかどうかの基準も、アメリカから言われてそれを受け止めているということなんですよね。これ、見直しについては義務付けですが、中止は検討を義務付けるだけです。これ、税金を食い物にするようなFMSをこのまま放置すべきではないと思います。
国産の兵器についても伺います。
一二式地対艦誘導弾能力向上型は、従来型射程二百キロを千キロ以上に延伸しようとするもので、二〇二一年度から開発が進められ、地上発射型、二三年度から量産される計画になっています。今後五年間の費用の総額、お示しください。

○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。
委員今御指摘の一二式地対艦誘導弾能力向上型につきましては、地上発射型、艦艇発射型、航空機発射型の三種類につきまして、研究開発及び量産を合算しまして、約一兆円の数字を見積もっているところでございます。

○山添拓君 地発型、開発は終わったんですか。

○政府参考人(土本英樹君) 地発型につきましては、令和三年度から開発に着手しておりまして、これをまだ継続しているところでございます。他方、令和五年度に量産に着手しまして、令和八年度から納入する計画でございます。

○山添拓君 今お話がありましたが、開発と量産、並行する計画になっています。開発が遅れれば、費用が想定を上回る可能性は否定できないですね。

○政府参考人(土本英樹君) 一二式地対艦誘導弾能力向上型につきましては、プロジェクト管理重点対象品目に選定しておりまして、引き続きライフサイクルコストなどをしっかり管理してまいる所存でございます。

○山添拓君 否定をされません。
島嶼防衛用高速滑空弾能力向上型、これも一八年度から開発が始まっていますが、射程二千キロに延伸する能力向上型の配備が計画されています。これも二三年度から量産される計画です。
五年間の費用、そして能力向上型の開発が終わったのかどうか、お示しください。

○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。
島嶼防衛用高速滑空弾能力向上型につきましては、研究開発及び量産経費を合算しまして約〇・四兆円を見積もっているところでございます。

○山添拓君 開発が終わったのかどうかも伺いました。

○政府参考人(土本英樹君) 大変失礼いたしました。
島嶼防衛用高速滑空弾につきましては、開発はまだ終わっておるところではございません。

○山添拓君 今御紹介をいただいた一二式地対艦誘導弾能力向上型の開発と量産、島嶼防衛用高速滑空弾能力向上型の量産、潜水艦発射型誘導弾の開発、あるいは極超音速誘導弾の研究、いずれも三菱重工が受注したと報じられています。二千億円の開発費を投じたH3ロケットや一兆円を投じた国産ジェット、MRJが頓挫した三菱重工です。射程を大幅に延ばすような開発が順調に進むという保証はなく、開発、量産費用が膨れ上がる可能性も十分にあるだろうと思います。
防衛大臣に伺います。
米国製兵器を爆買いするFMSも国産ロケットの開発も、現在想定されている額に収まる保証はないんじゃないでしょうか。大臣自身、昨年十二月の会見で、トマホークを取得する意義を問われて、一二式の開発段階で何が起きるか分からないところもあり、抑えが必要だと考えたとおっしゃっています。開発が頓挫する可能性、織り込み済みなんですね。

○防衛大臣(浜田靖一君) 我々とすれば、この防衛力整備計画の所要経費については、昨今の物価高騰も踏まえつつ、整備計画を策定した二〇二二年十二月時点で入手していた最大限の情報に基づいて算出したものであります。
その上で、今後五年間の物価や為替の変動、見通しについて述べることは困難ですが、仮に物価や為替変動等の影響を受け、所要経費が上振れした場合には、防衛力整備の一層の効率化や合理化を徹底することにより、見積もった経費の範囲内に所要経費を収めるように努力してまいります。
いずれにせよ、防衛力整備計画でお示しした四十三兆円程度という規模は、防衛力の抜本的強化が達成でき、防衛省・自衛隊として役割をしっかり果たすことができる水準としてお示しした金額であり、超過することは考えておりませんし、この最初から頓挫を意識してということは当たらないと思っております。

○山添拓君 本当は財務大臣にも伺いたかったんですが、時間がありませんので終わりますけれども、やっぱり必要とされる予算額に根拠がない、膨れ上がる可能性も織り込み済み、こんな予算編成はほかにないと思います。
本法案は、そもそも財源論として余りにずさんですが、予算そのものが収まり切らない可能性が大きく、無責任だと思います。無謀で危険な大軍拡そのものをやめるべきだということを指摘して、質問を終わります。

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