山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2023年・第212臨時国会

女性と面会 否定せず 性加害報道で三宅防衛政務官/自衛隊への個人情報提供”根拠なし”撤回求める

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
法案については賛成です。
三宅政務官の性加害が今日発売の週刊文春で報じられています。事実であれば、不同意わいせつ罪に当たるような行為です。
先ほど、福山委員の質問で、このフランス料理店やカラオケ店に行った事実があるかどうか、実際にこの女性と面会したかどうか覚えていないというのが政務官の答弁でしたが、この記事にあるような西麻布の個室のカラオケ店、事務所スタッフだった女性と二人で行ったその可能性もあるということなんですね。

○防衛大臣政務官(三宅伸吾君) 先ほども申し上げましたけれども、当時の私はメールを確認しました。なぜならば、もう十年前のことでございますので、記憶でお答えするのは申し訳ございませんので、まずメールを確認をいたしました。
そうしたところ、二〇一三年十月二十七日にその女性スタッフからメールをいただいておりまして、職場の人間関係を理由として退職したいという旨のメールを頂戴いたしておりました。
ですから、私が事情を聞きたいと思い、しっかりと会って話を聞こうとしたとしても不自然ではないと思いますし、現に、先ほど申し上げましたように、ホテルニューオータニのロビーで会いましょうというメールも打っております。
しかしながら、実際に面会したか、どこで面会をしたのか、また食事を取ったのかということにつきましてはもう覚えておりませんし、現時点ではそれを裏付ける領収書なども確認できておりません。

○山添拓君 いやいや、領収書があるかどうか、メールがあるかどうかにかかわらず、こうした個室のカラオケ店に二人で行かれたことはあり得るわけですね、御記憶はないとおっしゃるんですから。

○大臣政務官(三宅伸吾君) 繰り返しになりますけれども、その女性スタッフと面会しているのではないかとは思いますけれども、実際に面会したか、どこで面会したのか、食事を取ったのかなどといったことについては覚えておりませんし、現時点ではそれを裏付ける領収書なども確認できておりません。

○山添拓君 否定をされませんでした。面会したのではないかということは述べられました。
公務の後、スタッフのいない事務所外で面談した可能性はあると代理人が回答しているようですから、その可能性はあるということなんですね。
その際、三宅政務官としてはセクハラの認識がなかったとしても、相手がセクハラと受け取るような行為があった、その可能性は否定できないんじゃないですか。

○大臣政務官(三宅伸吾君) もし、山添先生のおっしゃるようなことであるならばですね、その女性スタッフが私に対して何らかのクレームというか、そういうことがなされた可能性もありますけれども、少なくともその点については、メールを確認したところございませんでした。

○山添拓君 クレームがなければセクハラがなかったということにはならないと思うんですよ。
大臣、伺いますけど、そういう答弁ですので大臣に伺うんですが、防衛省は被害者が被害を申し出ているような場合でも加害者が否定すればセクハラや性加害はなかったと、そうお考えなんですか、防衛省は。

○防衛大臣(木原稔君) 先般のその海自のセクハラ事案などの問題を受けてだと思いますが、そういったハラスメント案件に対しましては厳正な措置を求める指示というのをもう発出しております。
その中では、例えばその相手の申出、申出があったときには速やかに報告すると。それが事実かどうかは、それを確認する前に、とにかくまずは必要な組織にデータベースとして乗っかるように報告しろという、そういうことを今申し上げているところであります。

○山添拓君 総理からも、より適切な説明が行われるべきだと指示があったということです。
そうした防衛省内で行っていることとの関係で、三宅政務官の今の説明というのは、大臣に伺いますけれども、適切な説明だとお思いですか。

○国務大臣(木原稔君) 私が先ほど申し上げたのは、自衛隊内、自衛隊の中でのこれはセクハラあるいはパワハラ、いわゆるハラスメントの事案ですので、直接これは三宅政務官の政治活動の中の事案とは適用に、直接関係があるというふうには考えませんが、ただ、一般論として、これはいわゆる、いわゆるハラスメント事案については今様々な問題が提起されているものと承知しております。

○山添拓君 いや、これは大臣からもきちんと説明責任果たせということは少なくともおっしゃるべきだと思うんですよ。所信表明では、ハラスメントは人の組織である自衛隊の根幹を揺るがすと大臣述べられたんですね。その大臣の直近で性加害の疑惑があるわけです。にもかかわらず、まともな説明がないと。
三宅政務官は説明責任果たされるべきだと思いますが、同時に、私はこれで自衛隊のハラスメントを一掃などできるのかと、これ極めて疑問だと思います。
その点は強調した上で今日は本題に移りたいと思いますが、こうした自衛隊の体質が自衛官の応募者数の減少やあるいは中途退職者の増加に拍車を掛けていると、こういうことも言えると思うんですね。だからこそ、近年、自衛隊員の募集をめぐって自治体に対するプレッシャーが強められています。
二〇二二年度、自衛官募集のために、十八歳、二十二歳の本人確認情報、住民基本台帳に記載された氏名、生年月日、住所、性別の四情報を自衛隊に提供した自治体は千六十八に上り、初めて六割を超えました。
大臣に伺います。
紙やシール、電子媒体による名簿の提供はあくまで自治体に対する協力のお願いであって、自治体の義務ではありませんね。

○国務大臣(木原稔君) 委員の配付していただいた資料の中にもありますけれども、この自衛隊法の第九十七条の一項において、「都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務の一部を行う。」というふうにされておりまして、自衛官募集は、法律上はこれ地方公共団体の事務とされていると承知しております。
また、同じく自衛隊法施行令のこの百二十条によって、「防衛大臣は、自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。」と定められておりまして、これらの法令上、自衛官等の募集はいわゆる法定受託事務として自治体の行う事務と考えております。
防衛省としては、そういった法令に基づき与えられた事務として自治体に対して資料の提出を求める一方、これを強制するものではなく、自治体に対して丁寧に依頼しているところでありまして、募集に関する案内の送付は、そういった募集対象者やその保護者の方々に職業としての自衛官を正しく理解していただくための重要な募集活動であって、それに際しては、地方公共団体から募集対象者に関する情報を提供いただくことが必要になってきます。
引き続き、防衛省としての考え方を、これを丁寧に説明していきたいと思っております。

○山添拓君 丁寧に依頼するということですから、自治体の義務ではないわけですよね。今うなずいておられましたので、そういうことだと思うのですが。
総務省に伺いますが、住民基本台帳法上、防衛省・自衛隊が市町村長に対して本人確認情報を請求できるのは、十一条に基づく閲覧の請求だけですね。

○総務省 大臣官房審議官(三橋一彦君) 防衛省及び自衛隊は、住民基本台帳法第十一条第一項に基づきまして、法令で定める事務の遂行のため、市区町村長に対して住民基本台帳の一部の写しの閲覧を請求することができることとされております。

○山添拓君 ですから、住基法上は閲覧だけなんです。そして、住基法上、本人確認情報の提供、そのものを渡すと、名簿を渡すことが可能とされるのは住基ネットの場合ですが、これは、提供される情報の内容、提供の方法、提供された後の管理や利用、目的外利用の禁止、個人情報保護のための監視の仕組みなど、詳細に規定されております。
資料をお配りしています。防衛省に伺います。
資料の一枚目は、二〇二〇年十二月の閣議決定です。二枚目は、それに基づき、防衛省、総務省連名で全国の自治体に発せられた二一年二月の通知書です。これらによれば、自衛官募集のための四情報の提供は、住基法ではなく、自衛隊法九十七条一項と施行令百二十条を根拠としています。
三枚目を御覧ください。しかし、二つの条文には個人情報保護に関する規定は一切ありませんね、防衛省。

○防衛省 人事協力局長(三貝哲君) お答え申し上げます。
先生の方、名簿を提供できる法的根拠についてお伺いになったと理解しておりますけれども、先ほど大臣の方からも御答弁差し上げましたとおり、自衛隊法第九十七条一項において、「都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務の一部を行う。」とされておりまして、自衛官募集は、法律上、地方公共団体の事務とされております。
これを受けて、自衛隊法施行令第百二十条において、防衛大臣は、自衛官又は候補生の募集に関し必要があると認めるときには、都道府県知事又は市町村に対し必要な報告、資料の提供を求めることができることとされております。
この情報提供、個人情報保護の観点から問題ではないかというところでございますが、自衛隊法百二十条に基づく求めに応ずることは、個人情報保護法第六十九条第一項の、法令に基づく場合に該当いたします。
以上でございます。

○山添拓君 いや、自衛隊法施行令百二十条に個人情報保護のための規定というのは全くないですよね。それを確認しているんです。

○政府参考人(三貝哲君) お答え申し上げます。
個人情報保護法第六十九条第一項又はほかの保護の規定により、保有する、保有個人情報の提供が可能である場合について、実際に提供を行うべきか、その具体的方法については、地方公共団体においてそれぞれ法令の趣旨に沿って適切に判断されるものだと承知しております。

○山添拓君 ですから、この法律上、自衛隊法上あるいは施行令上は、どのような場合にどのような情報について提供を求めることができるのか、そしてまた提供を受けた情報をどう管理するのか、全く定めはないわけですよ。
四枚目、御覧ください。自衛隊法の解釈文献とされる一九七四年発行の「防衛法」という書籍です。
施行令百二十条については二枚目を御覧ください。こう書いています、何のための規定かと。これは、募集事務がスムーズに遂行されるよう、都道府県知事及び市町村長に対して、募集に対する一般の反応、応募者数の大体の見通し、応募年齢層の概数などに関する報告及び県勢統計等の資料の提出を求め、地方の実情に即して募集が円滑に行われているかどうか判断する、こういう規定だと。
ですから、個人情報の提供を求めるような、その根拠となるような規定ではそもそもなかったわけですし、ましてや個人情報保護の観点などないわけですね。
大臣に改めて伺いますが、資料の一枚目、大体、この閣議決定、市町村長が住民基本台帳の写しを提出することが可能だと決め付けているだけです。何の法解釈もありません。資料の二枚目、自治体への通知もそうです。できると勝手に述べているだけですね。自衛隊法上、提供される本人確認情報についてどう保護されるべきか何の規定もないのに、提供はできると、こう言っているわけです。これは、憲法十三条のプライバシー権を犯す、誤った解釈です。撤回すべきじゃありませんか。

○国務大臣(木原稔君) 募集に関するその案内の送付の基となる様々な情報ですけれども、募集対象者やその保護者の方々に、職業としての自衛官を正しく理解していただくために大変重要な募集活動の一環だというふうに考えております。
個人情報保護法の第六十九条第一項は、他の法の規定により保有個人情報の提供が可能である場合において実際に提供を行うべきか否か、その具体的方法については地方公共団体においてそれぞれの法令の趣旨に沿って適切に判断されるものというふうに承知しております。

○山添拓君 何か自治体のそれぞれの判断のように言われていますけれども、閣議決定をして通知を出して事実上強制させていくと、だから六割に上って提出をさせるという事態になっているわけですが、しかし、望むと望まないとにかかわらず、個人情報が勝手に提供されて、勝手にダイレクトメールが送られてくると。これは個人情報の整理の在り方、管理の在り方としてはやはり妥当性を欠くと思います。今度、奈良県では高校生がこの問題、問題視をして裁判を準備していると報じられております。
こうした閣議決定は撤回し、もうやめるべきだと。少なくとも本人の同意がないような、同意を確認することもなく情報を収集し通知を送るというような運用はやめるべきだということを求めまして、質問を終わります。

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