山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2023年・第212臨時国会

CV-22オスプレイ墜落 防衛相、原因究明要求 明言せず 「極めて異常」/核兵器禁止条約 「被爆者支援、国際協力を」

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
昨日、米空軍横田基地所属のオスプレイが屋久島沖で墜落し、一人の死亡が確認される重大な事故となりました。他の乗組員の救助が早急に行われるよう求めたいと思います。
屋久島はもとよりですが、東京、沖縄、あるいは自衛隊オスプレイの配備が予定される佐賀などでは、恐れていたことが起きてしまったと、こういうショックが広がっています。
防衛大臣に伺います。
米空軍や米海兵隊にはオスプレイの運用停止を求めるべきだと思います。先ほどの答弁を伺っていますと、飛行に係る安全性が確認されるまで再開しないよう求めたと、こういう答弁でした。これは、原因が判明するまで運用の停止を求めるべきではありませんか。

○防衛大臣(木原稔君) 改めてですけれども、昨日、鹿児島県屋久島東側沖合において米軍、米空軍横田基地のCV22オスプレイ一機が墜落をいたしました。事故直後から自衛隊も海上保安庁と連携して捜索救難活動に当たっておりまして、乗員八名のうち一名が救助されましたが、残念ながら搬送先で死亡が確認されております。心から哀悼の意を表させていただきます。
このような事故の発生というのは、地域の皆様に大きな不安を与えるものであり、誠に遺憾であります。
昨日、総理から防衛省に対して、米側との間で一時飛行停止を含めた必要な対応について検討するよう指示がなされたところであり、このような指示も踏まえ、本日防衛省から米側に対しては、国内に配備されたオスプレイについて、これは国内の配備ですからCVもMVもということですね、捜索救難、捜索救助活動を除き、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう要請するとともに、もう先ほど行ったという答弁しましたが、事故の状況等については早期の情報提供を求めているというところであります。
また、陸上自衛隊のオスプレイについても、事故の状況が明らかとなるまで当面の間はその飛行を見合わせることとしているところであります。

○山添拓君 いや、ですから、事故の原因が判明するまでは飛行停止を求めると、こういう理解でよいですか。

○国務大臣(木原稔君) 国内に配備されたオスプレイ、これは米軍のオスプレイですけれども、捜索救難活動を除き、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう要請をしたところであります。

○山添拓君 いや、その内容、意味するところは、少なくとも事故の原因究明が終わるまでは飛行停止をするよう求めると、これはそう言えないんですか。

○国務大臣(木原稔君) 繰り返しになりますけれども、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう要請をしたところであります。

○山添拓君 米側に原因究明は求めないということですか。

○国務大臣(木原稔君) 事故の状況、まずは捜索活動そして人命救助が第一ということであります。その事故の状況等について早期の情報提供を求めており、そういったことの積み重ねによって、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう要請したところであります。

○山添拓君 防衛大臣から原因究明という言葉すら聞かれないというのは極めて、これはちょっと異常だと思うんですよ。
横田基地のCV22、これは横田と沖縄の間を往復する際に、奄美大島など緊急着陸をこれまでも繰り返しています。三沢基地に向かう東北上空の飛行ルートでは、仙台や山形に緊急着陸を繰り返してきました。普天間基地のMV22は、今年の九月、奄美、新石垣、大分、緊急着陸やはり相次いでいます。ところが、それらについて原因究明、対策、不十分なままに飛行再開をしてきたわけですね。
防衛大臣、これらも含めて米側に説明を求めて、国民と国会に対して明らかにするべきじゃないですか。

○国務大臣(木原稔君) 地域の皆様方に大きな不安を与えているということ、これは誠に遺憾であります。
防衛省としては、沖縄の基地負担軽減の観点からも、その米軍機の運用に当たっては安全確保が大前提であると考えておりまして、これまでも累次の機会を捉えて米側に対し、地元への配慮と安全確保について申入れを行ってきたところであり、今回についても、そういった観点から飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うように要請をしたところであります。

○山添拓君 安全確保が大前提というなら、事故やトラブルの原因究明を求めるのは当然だと思うんですよ。なぜそれが言えないんでしょうか。
自衛隊と合わせて、日本には四十四機のオスプレイが配備されています。アメリカ以外では最も多いんですね。ところが、国民に対して十分な情報提供すらされていません。昨年三月にはノルウェーで四人が亡くなる事故があり、六月にはアメリカ・カリフォルニアで五人が亡くなる事故がありました。今年の八月、オーストラリアで三人が亡くなる事故があったと、これがMV22海兵隊のオスプレイです。
空軍のCVについても、昨年、クラッチの不具合を理由にして運用を停止していました。私もこの委員会で質問もしてきました。元々構造的な問題を含めて危険性が指摘されながら、配備を進め、自衛隊での導入も進めて、そういう中で、今回、日本でも人命に関わる事故が起きたと、これ極めて重大だと思うんですよ。
大臣、このことについてはどう認識されていますか。

○国務大臣(木原稔君) このような事故の発生はあってはならぬというふうに考えております。そういった上で、地域の皆様方に大きな不安を与えているということも、これも事実であろうと思います。
その上で、現在、その事故が発生した鹿児島県と屋久島町においては、本日、松本防衛大臣政務官を派遣して深くおわびを申し上げるとともに、その時点での把握している最新の情報、事故の情報について説明を行っていく予定であります。
いずれにしましても、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うようしっかりと要請をしてまいります。

○山添拓君 大臣、もう一度伺いますけれども、事故の原因究明、米側に求めませんか。民間機なら、事故を起こしたときには同型機を運転止めると、原因究明が進む、行われるまで動かさない、これ当たり前の対応ですよ。オスプレイは、あるいは米軍は例外ですか。

○国務大臣(木原稔君) まず、今回の事故を受けまして、防衛省としては、まず人命の救出に全力を尽くすということであります。
米軍に対しては、事故の状況に関する事実関係の確認を求めておるところであります。また、国内に配備されたオスプレイにつきましては、捜索救難活動を除き、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うように今朝ほど要請をしたところであります。

○山添拓君 今回も、漁船や地上に危害が及ぶ可能性は十分あり得たと思います。運用を停止する、原因究明を行う、これはもちろんですが、米軍に対しても自衛隊についても、オスプレイは撤去をするべきだということを改めて強く求めたいと思います。
二十七日、国連で核兵器禁止条約の第二回締約国会議が始まりました。初日の本会議で登壇した日本被団協の木戸季市事務局長は、原爆が人間を滅ぼすか、原爆をなくして人間が生き残るか、今が分かれ道だと、今が分かれ目だと訴えています。
我が党から笠井亮衆院議員がニューヨークに行っています。ほかの党からも参加されている議員がいらっしゃるかと思います。日本政府は今年も参加をしていませんが、オブザーバー参加をしている国が幾つあるか承知しているでしょうか。

○政府参考人(林美都子君) 核兵器禁止条約第二回締約国会議には、国連が公表している資料からによりますと、現時点で二十六か国がオブザーバーとして参加しているというふうに承知しております。

○山添拓君 ドイツやベルギー、オーストラリアなど、NATOやアメリカの同盟国、すなわちアメリカの核の傘の下にある国も参加していると、これも承知されていますね。

○政府参考人(林美都子君) 先ほど申しました二十六か国の中では、アメリカの同盟国につきましてはドイツ、ノルウェー、ベルギーが参加しているというふうに承知しております。

○山添拓君 ですから、同盟国にあるということがこのオブザーバー参加のハードルにはならないわけですね。日本も十分参加し得るわけですが、あえて無視しています。
二〇二一年一月に条約が発効し、昨年六月の第一回締約国会議では、条約六条の被爆者と核実験被害者への支援、そして環境修復、また七条の国際協力を進める作業部会がつくられました。被害者の、被害者ですとか、あるいは核実験場跡、その調査、また国際的な支援基金の創設に向けた検討も行われています。日本被団協の代表も会議で報告をされています。
大臣に伺います。
日本政府はこの動きにどのように貢献するおつもりですか。

○国務大臣(上川陽子君) 核兵器禁止条約におきまして、被害者援助、環境修復、そして国際協力、国際援助に関する規定が置かれていることは承知をしているところであります。
我が国は、従来から、唯一の戦争被爆国としての経験、知見も踏まえ、カザフスタンにおける旧ソ連時代の核実験地域における医療機材整備や地域医療改善支援等、無償資金協力や技術協力といった我が国の政府開発援助の枠組み等を活用しつつ、核実験被害国における支援を積極的に行ってきてまいりました。
引き続き、適切な協力の在り方につきまして検討してまいりたいと考えております。

○山添拓君 繰り返しになるかもしれませんが、この核兵器禁止条約六条や七条の枠組みでの日本政府としての協力と、これも是非検討いただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○外務大臣(上川陽子君) 今申し上げた日本の取組の、これまでの取組ということを十分に延長させ、また適切な協力の在り方について検討してまいりたいと考えております。

○山添拓君 大臣が言われたように、日本は唯一の戦争被爆国です。広島、長崎で七十万人以上が被爆をしました。多くの被爆者がその痛みと苦しみを抱えながら生きてきたという現実があります。そして、その被爆者の声が核兵器禁止条約を後押しし、今も多くの被爆者が核廃絶の先頭に立って奮闘されています。そういう中で、政府が対応しないままでよいはずがないと思うんですね。これは、条約に参加する前であっても、この被害者に対する支援、環境修復など、国際協力を進めていく、こういうところは是非積極的に貢献していくべきだと思います。
条約の下には、科学諮問グループも設けられました。核保有国のその保有状況と核兵器の近代化について分析がされています。八〇年代のピーク時に比べますと、核弾頭数というのは大きく減少してきました。
しかし、核弾頭の廃棄率、古くなった弾頭を廃棄をする、その割合は急激に落ち込んでいるといいます。なぜなら、核兵器の耐用年数を延ばして、近代化を進めて、言わば新しい核兵器へと置き換えが進められているからです。例えば、この分析によりますと、アメリカは、二〇七五年まで使う大陸間弾道ミサイルを開発し、潜水艦発射型の弾道ミサイルの耐用年数は二〇八四年まで延長しようとしているようです。ロシアや中国、ここも潜水艦を更新しています。耐用年数四十年と見込まれているといいます。フランスが開発をする第三世代の潜水艦は、この先二〇三五年に運用を始め、二〇九〇年まで使う計画だといいます。
外務省に伺いますが、こうした核兵器の耐用年数の延長、近代化の現状というのは、それをそのままにしておけば半世紀先まで核兵器がなくならない、こういうことを意味するんじゃないでしょうか。

○政府参考人(藤本健太郎君) 核兵器の近代化、耐用年数の延長の現状認識について申し上げますが、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しております。核戦力との関係では、我が国周辺において、北朝鮮による核の更なる小型化の追求や中国による急速かつ不透明な形での保有核弾頭数の増加等、核・ミサイル戦力を含む軍備増強が急速に進展していると認識しておりますし、また、今先生御指摘の国も含めて、核戦力の近代化というものが行われているということが認識しております。

○山添拓君 いや、ですから、認識はそうなんですけど、それをそのままにしておけばですよ、多くの核保有国が近代化をし耐用年数をうんと延ばしていると、これは、核廃絶どころか、半世紀、場合によっては更に長い時間、核兵器が存続し続けると、世界中に存在し続けると、こういうことになってしまうんじゃありませんか。

○政府参考人(藤本健太郎君) 現在の世界の安全保障環境でございますが、我が国も含めまして世界の安全保障環境が非常に複雑かつ厳しい環境になっているという状況があると思います。
このような中で、各国が核戦力について様々な措置を行っているということだと認識しております。

○山添拓君 核兵器なくす気あるんですかということを私は伺いたいですね。
大臣に伺いますが、G7の広島ビジョンは、「核兵器は、それが存在する限りにおいて、防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、並びに戦争及び威圧を防止すべきとの理解に基づいている。」、このむき出しの核抑止論を掲げたわけです。日本政府は、一方では核兵器廃絶を究極的目標としていますが、この核抑止力論にしがみつく限り核兵器廃絶には近づけないんじゃありませんか。

○国務大臣(上川陽子君) 先般のG7広島サミットにおきまして、G7首脳に被爆の実相に触れていただきました。また、胸襟を開いた議論が行われたところであります。そして、核兵器のない世界へのコミットメントが確認されました。また、これらを踏まえまして、核軍縮に関する初めてのG7首脳独立文書となりますG7首脳広島ビジョンが発出され、核兵器のない世界に向けた国際社会の機運を高めることができたと考えております。
その上で、現在、先ほど来のお話のとおりでありますが、ロシアによる核兵器の威嚇や、また北朝鮮の核・ミサイル開発などによりまして、我が国を取り巻く安全保障環境は依然として厳しい状況にございます。こうした中にありまして、国民の生命、財産を守り抜くため、現実を直視し、国の安全保障を確保しつつ、同時に、現実を核兵器のない世界という理想に近づけていくべく取り組むことは決して矛盾するものではないと考えております。
核兵器のない世界に向けまして、政府としては、引き続き、核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンを強固なステップ台としつつ、ヒロシマ・アクション・プランの下での取組を一つ一つ実行していくことによりまして、現実的かつ実践的な取組を継続、強化してまいりたいと考えております。

○山添拓君 いや、その大臣の言葉の中には、現実的にあるいは実践的に核廃絶へ向かうステップは全然見えてこないと思うんですね。大体、大臣、この間の日米会談で、アメリカに対して一度でも核兵器の縮減、廃絶、こういうふうに率直に求めたことがありますか。

○国務大臣(上川陽子君) まさに、そうした方向に向かって、理想に向かって、日本として、唯一の被爆国として主張してまいりましたし、これからもそうした方向で進めてまいります。

○山添拓君 理想を現実にするためには具体的な行動が必要だと思います。
今開かれている核兵器禁止条約の締約国会議、非人道性に関するパネルの討論で、アフリカ中部の国、赤道ギニアがこう述べています。日本は核廃絶を主張する一方で、国連総会では核保有国と足並みをそろえて投票している、日本の戦略を説明してほしいんだと。広島の湯崎知事が参加をされていて、私たちも当惑していると、こうおっしゃっていますよ。日本政府がそうした矛盾から抜け出し、少なくともオブザーバー参加として議論をし、最終的には禁止条約に署名、批准することを望んでいると、こういうふうに述べられています。私もそのとおりだと思います。
核兵器禁止条約、出口だと政府は言っています。出口だと言うなら、まず入口に立つべきだと、このことを述べて、質問を終わります。

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