2025年・第217通常国会
- 2025年5月19日
- 予算委員会
財源示し消費税5%緊急減税を 医療機関に重い負担 「社会保障が経済支える」
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
物価高の下で医療が崩壊の危機にあります。今日、他党の皆さんからも質疑がありました。
診療報酬の引上げが全く追い付かず、赤字の病院が七割、八割に上ります。全国保険医団体連合会の緊急調査では、昨年より収入が減ったと答えた医療機関が六五・五%、光熱費や材料費、人件費、物価高騰分を補填できていないが九割を超えます。
都内のある病院の医師に伺いますと、入院ベッドは常に九割以上埋めておかなければ経営として成り立たない。しかし、それでは余りにも余裕がないと。賃上げをしたいけれども、昨年末やむなくボーナスをカット、すると看護師が二十人も辞めてしまったと言います。
診療時間や診療科を減らす、入院の受入れを減らす、救急医療を停止するなどが全国で広がっております。これは国民の命に関わる状況です。
三月十二日、日本医師会と六つの病院団体が合同記者会見を開き、このままではある日突然、病院がなくなりますと告発しましたが、事態はその後も改善するどころか悪化しています。
まず、総理に伺いますが、日本の医療は崩壊の危機だと、こういう認識をお持ちでしょうか。
〔理事進藤金日子君退席、委員長着席〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 厳しい状況にあることは御指摘のとおりでございます。
これが崩壊しないようにどうするかということを考えるのが政府の責務であると承知をいたしております。
○山添拓君 崩壊しないように、直ちに行うべき対策を提案したいと思います。
四月十六日付け日本病院団体協議会の要望書はこう述べておりました。医療機関はコスト増を診療報酬に上乗せすることができない、病院医療は地域社会の最も重要なインフラの一つである、例えば感染症の流行拡大や不測の自然災害等に対しても、地域医療を破綻させないためには、安心、安全を守るためにある程度余裕を持たせた診療報酬改定が求められると。そのとおりだと思います。そして、期中の診療報酬の改定も提案されております。
私ども日本共産党では、患者負担にならないように、緊急に国費を五千億円投入し、診療報酬の基本部分を引き上げ、医療崩壊を止め、医療従事者の賃上げを図るよう提案しています。(資料提示)今、物価上昇が二・七%、診療報酬の改定は〇・八八%、足りないと。この五千億円投入というのは、診療報酬を実質二%引き上げるような、そういう国費の投入に相当するものとして提案をしています。
厚労大臣、これやるべきじゃないでしょうか。
○厚生労働大臣(福岡資麿君) 政府といたしましても令和六年度診療報酬改定で一定の措置を講じておりますが、その後も依然として物価高騰が続いている状況でございます。
そのため、令和六年度の補正予算によります一千三百億円の緊急的な支援であったり、重点支援地方交付金の積み増し。また、令和七年度予算によります入院時の食費基準の引上げを行うほか、これらの取組の効果が出るまでに医療機関等が立ち行かなくなってはいけませんので、資金繰り支援として福祉医療機構の融資を大幅に拡充をしたところでございます。
補正予算による支援を全国へ速やかに行き届かせるように、都道府県と連携して対応するとともに、その効果や物価等の動向、経営状況など、足下の情勢変化、よく把握した上で必要な対応を行ってまいりたいと思います。
○山添拓君 その補正予算の対策では不十分だという声が既に上がっております。また、融資の話もありましたけれども、それはどうあっても一時しのぎの問題になるだろうと思うんですね。その先も見据えて診療報酬の改定を行っていく、場合によっては期中の改定も行う、こうした対応が必要ではないでしょうか。
○国務大臣(福岡資麿君) 今おっしゃったように、その融資というのはそのつなぎでありますから、その先の姿を見せるというのは当然必要なことだと思います。
そのために、先ほども申しましたように、これからまさに補正予算の効果とかが現れますから、その実態をしっかり把握した上で必要な措置を講じていきたいと考えております。
○山添拓君 私、補正予算ということをおっしゃるんですけれども、補正予算の中で今最も活用といいますか、申請がされているのは病床削減の経費だと思うんですね。一床当たり四百万円を超える金額、最大五十床、二億円の病床削減の補助金、これ今五万床分の申請があるということが厚労省からも言われておりますが、このとおりに進めれば、これは医療提供体制が崩壊してしまうような問題だと思います。
一方で、賃上げにも使える支援金、これも紹介されておりますけれども、これは我が党の倉林明子議員が厚労委員会でも指摘しておりますが、二百床の病院でも最大八百万円程度の支援にしかならないと、これでは全然支援にならないということで使われていないという状況もあろうかと思います。ですから、支援策そのものを転換すべきだということも指摘をしたいと思います。
全国公私病院連盟の邉見公雄会長は、赤字の背景と原因として、人口減少や人材流出とともに物価高騰を挙げています。カテーテルなどの治療材料、医療機器、設備の維持更新、入院給食の材料費や清掃の委託費など日常の諸経費、また水光熱費の値上げ、これが大きい。しかし、命を守るために必要な経費ですから節約はできません。そこに重くのしかかっているのが消費税だといいます。医療機関は、事業者として納税義務がある一方で、最終消費者とみなされますので、患者に転嫁をすることができません。
パネルは、日本医師会と六つの病院団体の会見資料です。二〇一八年から二三年にかけての五年間で経費が急増している。中でも、一番下にありますが、消費税の負担は四八・九%増えたと、一・五倍に上っていると告発しています。あらゆる経費に消費税が掛かりますが、医療機関は患者に転嫁することができないわけです。
これは総理に伺いますが、今、医療の危機を打開する大変厳しい状況にあることを承知していると総理もおっしゃいました。医療機関のその危機を打開する上でも、消費税を一律に五%に減税していく、これは即効性のある対策だと思います。やるべきじゃないでしょうか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 医療機関についてお答え申し上げますと、医療につきましては、御指摘のように消費税は非課税ということになっております。医療機器などの仕入れ時に医療機関が支払った消費税、これを仕入れ額控除できる仕組みとなっておりませんので、医療機関の御負担になっているのではないかと、こういうような御指摘かと承知をいたしておりますが、これ、この仕入れ税額に相当します部分は診療報酬に上乗せする仕組みを取っておりますので、実質的に医療機関の負担にはならないというようなことになっております。
消費税の減額という議論とは別に、医療機関についてはどうなのだということについてお答えをいたしますと、診療報酬にその分は上乗せされているということでございます。
そして、いろんな医療あるいは介護、看護、そういう現場にまで十分行き届いていないというのは、当然いろんな申請書類等の手続もございまして、すぐに行き届くというお話にはなりません。それが本当に補正予算、あるいは七年度予算でとりました措置が現場にきちんと行き届いているかということにつきましては、私どもとしてきちんと確認をさせていただきます。
それでなお足らざる部分は、では診療報酬を上げるのか、消費税で補填を、対応していくのか。消費税で対応するということを考えましたときに、それでは消費税減税というものとどう両立をするのだということについて答えを出していかねばなりません。そういうことだと思っております。
○山添拓君 総理、診療報酬で対応するというお話なんですが、累次の診療報酬を経てもなお消費税による負担が大変重いというのが病院団体からの指摘だと思うんですね。この点についてはいかがですか。診療報酬で手当てが十分できているわけではないと、こういう実態あると思いますよ。
○内閣総理大臣(石破茂君) 先ほど診療報酬でその部分は見させていただいておると、医療機関に過度な負担にならないように、そこは診療報酬を手当てをしているというのは先ほどお答えをしたとおりでございます。
実際にそうなっているか、なっていないかということは、補正予算あるいは本予算で対応した部分が本当に行き届いているかということの検証は、これは急ぐように厚生労働省に指示をいたしておるところでございます。そこの結果を見て、また私どもとして、現場が疲弊しないよう、その対応は取っていきたいと考えております。
○山添拓君 結果を待っている間に地域の医療がどんどん壊れていくということのないように、それはもう急速に行っていただくべきだと思うんですが。
私は、消費税の話をいたしますと、必ず政府の側からは、これは社会保障の財源だと、その代替財源が必要だという話が出てくることに対して違和感があります。社会保障の財源というのは消費税でなければならないというわけではないかと思うんです。
これ総理に伺いたいんですけれども、他の税収を社会保障に充てること自体は、これは禁止されないですよね。
○財務大臣(加藤勝信君) もちろん、税にそれぞれ色があるわけではないという意味においては御指摘のとおりでありますけれども、日本においては、高齢化が進む中で増大する社会保障費をどうやって負担しようかという議論をずっと重ねてくる中で、結果的に、幅広い世代が負担をしていくべきだ、そしてそれが消費税だと、また、税と社会保障一体改革を進める中においても、消費税をその財源とする、こういったずっとした経緯の中で、今日、今申し上げているように、所得税についても、所得税については社会保障に充てていく、こういう考え方に、(発言する者あり)あっ、消費税については社会保障に充てていく、こういう考え方に至っているという経緯でございます。
○山添拓君 じゃ、財務大臣に伺いますけれども、そもそも主要国で消費税、付加価値税、その使途を社会保障に限定しているような国というのはあるんでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) フランス、ドイツ、スイスでは付加価値税収の一部を社会保障の支出に充てていると承知はしていますが、我が国のように消費税収を基本的に社会保障財源とするという形で用いている国は把握はしておりませんが、ただ、それには先ほど申し上げた我が国の議論の経緯があるということでございます。
○山添拓君 ですから、これは、総理、もう一度伺うんですが、消費税以外の財源を社会保障に充てると、それは禁止されないですよね。
○内閣総理大臣(石破茂君) それは法的に禁止されておるわけではございませんが、直接税というものは、所得税であろうが法人税であろうが、景気の変動によって税収が大きくぶれるという特性がございます。
今財務大臣からお答えいたしましたように、決して目的税というわけではございませんが、国分の消費税収が二十・一兆でございます。そして、社会保障四経費は三十四兆円でございまして、これだけでも全然足りないということで、それを借金で賄って次の時代の方々に御負担をいただきますかと。それが正しいのか、それともほかの税金を用いるのかということは、私どもとして借金をしてそれに充てるということは決して好ましいことだと考えておりません。
○山添拓君 総理、御承知のとおり、私どもは借金をして充てようということを言っているわけじゃありません。年間十一兆円にも及ぶ法人税の減税などは改めるべきじゃないかと、こういう主張ですから、そうした税制の転換を含めて社会保障の充実を図っていくことが必要ではないかと思います。
私は、今日最後に総理と論じたいと思いますのは、そもそも社会保障とは何かという問題なんです。
パネルは二〇一二年版の厚生労働白書です。社会保障の機能、役割をこう書いています。社会保障は、一つ、生活上のリスクを軽減し、生活への安心を提供する、二つ、高齢世代への私的扶養を代替することで、現役世代の社会保障にも貢献している、三つ、経済成長と社会の安定に寄与し、雇用を創出すると。安心の提供はもちろんですが、世代間の対立ではなく、高齢者を支えることが現役世代を支える、そして社会保障は経済だと、こういう指摘です。
医療や介護、福祉の機関の収入というのは、そこで働く人の雇用を支えて、給料として払われ、消費に回ります。年金はもとより消費に直結します。都会も地方も、社会保障の充実こそが経済を支える。この点についての総理の認識を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(石破茂君) それはまさしくそのとおりでございます。
社会保障がきちんと機能するということは安心につながるものでございますし、消費が増えないのはなぜなのかといえば、それ将来大丈夫なのと、医療はどうなるの、年金はどうなるの、介護はどうなるの、それじゃ、消費をしないで手元へ取っておこうという方々が大勢おられますので、社会保障の充実ということと消費の喚起というものはそういう牽連関係にあるものと理解をいたしております。
○山添拓君 ありがとうございます。
私は、だからこそ今消費税を減税し、大企業や富裕層には応分の負担を求めて財源を確保し、そして社会保障を充実させていくべきだと考えます。
このことを指摘して、質問を終わります。