2025年・第219臨時国会
- 2025年12月15日
- 予算委員会
上限超え続発 企業・団体献金禁止こそ/人間らしい生活を送れないでいいのか 最低賃金 全国1500円以上直ちに/日米一体の戦争体制づくりの下での危険 台湾有事発言撤回を
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
総理が代表を務める自民党支部が、政治資金規正法の上限を超える企業献金を受けていました。
改めて伺いますが、なぜそんなことが起きたのでしょうか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 自民党奈良県第二選挙区支部では、企業からの御寄附を受けるに際しましては、その寄附の申出者に対して、資本金の額によって寄附額に制限があるという法律の内容について書面でお伝えをした上で寄附を受け取るということを徹底しております。
御指摘の件ですけれども、これ令和六年中に資本金十億円未満の企業から、寄附額の制限七百五十万円を超える一千万円の寄附がなされたというものでございます。先方の企業の代表の方からも、先般、書類の確認がちゃんとできていなかったというおわびをいただいて、かえって申し訳なかったんですが、これが判明したので、直ちに二百五十万円を返金したものでございます。
支部を代表する者としては、申し訳なく存じます。
○山添拓君 受け取る側も確認が必要な問題です。(資料提示)
これ、この五年なんですが、同様のケースは報道されただけで十七件あります。ほとんどが自民党です。総理の支部以外のものがたくさんありますけれども、なぜこんなにあるんでしょうか、総理。
○内閣総理大臣(高市早苗君) なぜこんなにあるかということなんですが、恐らく私が支部長を務める支部で起きたのと同じようなことなんだろうと思います。
資本金を、例えば寄附のお申出があった場合に、このホームページなどで確認することもできますが、割と小さい企業ではホームページに資本金を掲載されていない場合もございます。また、会社四季報で確認するという方法もありますが、会社四季報に掲載されていない企業もございます。
ですから、こちらの方から資本金別に寄附上限額があるということをきちっと書面でお示しして、先方で御確認をいただくと、こういった取組を各支部行っている。しかしながら、その確認が先方で十分でなかった場合に、こちらも確認できないままこういった案件が生じるんだろうと思っております。
○山添拓君 寄附した側の責任にばかり転嫁することはできないと思います。
収支報告書というのは、締め日から公表まで十一か月あるんですね。その間、まともに確認せずに、公開後に指摘されて初めて発覚し、それから返還しているというのが実態です。
選挙の直前や期間中、国と取引がある企業から献金を受ける例も後を絶ちません。昨年の総選挙中も萩生田幹事長代行が代表を務める支部などで献金を受けていました。
総理の支部でも、二〇一七年と二一年、同様のケースがありましたね。(発言する者あり)
○委員長(藤川政人君) 山添拓君。
○山添拓君 国と取引がある企業から献金を受ける例、一七年、二一年。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 選挙に関する支部は、寄附は受けておりません。いずれの寄附も、政党支部に対する政治活動に関する寄附でございます。法に抵触するものではございません。
○山添拓君 ただ、返金されたんじゃありませんか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) それが問題視されるような記事もございましたので、有権者の誤解を招くことがあってはならないと考えて返金をいたしました。あくまでも寄附は合法だと考えております。
○山添拓君 総理は、政治資金規正法を所管する総務大臣を歴代で最も長く務めた方です。ところが、今おっしゃったように、誤解を招きかねないような、企業献金を返金するような事態を繰り返しておられます。それはなぜでしょうか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) まあ、それほど繰り返してもいないと思うのですが。
選挙に関する寄附ですね、これはちゃんと選挙の収支で収入として報告をされるものでございます。政党支部に対する寄附はこれとは別物でございます。
報道をされると、主に、主に某新聞なんですけれども、その報道をされると、それによってやはり有権者の方から疑念を持たれるんじゃないかということで返金をするということで、別に返金をしなければならないものではありませんが、あえて返金をしたということでございます。
○山添拓君 繰り返しているものではないとおっしゃったんですけど、一件でもあったら、やはりそれは疑念を抱きかねないようなお金の扱いをされているということだと思いますよ。
総理は金曜日の当委員会で、支部への献金は私への献金ではないと述べられました。しかし、昨年、総理の支部に上限を超えて献金した鳥羽珈琲の会長、ドトール創業者の鳥羽氏は、総裁選を前にした週刊誌のインタビューで、高市さんしかいないと、許されるのであれば幾らでも献金したい、こう述べています。つまり、総理への献金じゃありませんか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) その寄附者の御意思がどこにあるのかは私も承知をしておりませんが、政党支部というのは、その政党の政策をお伝えしたり、広報を担ったり、支部長の私物ではないのですね。個人に対する寄附というのは、私の場合でしたら、政治資金管理団体を設けておりますので、高市早苗がいいという人に関しては、個人でしたら主にそちらの方に御寄附をいただいている場合が多いと思います。政党支部に関しては、その政党支部を応援しよう、また政党を応援しようという形のものが多いんだろうと考えております。
あくまでも支部というのは支部であって、政党活動をする主体でございます。
○山添拓君 ところが、総理のホームページ見ますと、こうあるんですよ。高市早苗の政策に共鳴し、活動費の御協力をいただける法人その他の団体の皆様は、高市早苗が支部長を務める政党支部で寄附を受けますと書かれているんですね。つまり、支部への寄附というのは総理への献金にほかならないじゃありませんか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 支部は私一人でやっているわけではございません。他にも構成員が多くございます。
○山添拓君 いや、しかし、ホームページには、高市早苗の政策に共鳴し、協力をいただける法人は、高市早苗が支部長を務める政党支部に献金してくださいと、こう書いていますよ。つまり、高市早苗に対する、総理に対する献金を、支部に対して法人がやろうと思えば行っている、こういうことだと思うんですよ。
企業は政治家個人には献金できません。受皿となっているのは政党とその支部だけです。その御認識はありますね。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 企業、団体は、個人には献金できません。
○山添拓君 三十年前に企業献金禁止の抜け道としたのが政党への献金とパーティー券でした。企業献金の九七%は自民党に集中しています。それが不正、腐敗の温床ともなってきました。
私は今、総理のような言い分を許さないためにも、やはり企業献金は全面禁止するしかないと、このことを強調しておきたいと思います。
次に、今朝も議論がありましたが、最低賃金について伺います。
総理は、二〇二〇年代に全国平均千五百円という方針を事実上撤回しました。しかし、欧米は既に二千円以上、お隣韓国よりも日本は低いです。これ、どうするおつもりなんでしょうか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 最低賃金については、骨太方針二〇二五で、二〇二〇年代に全国平均千五百円という高い目標の達成に向け、たゆまぬ努力を継続するという方針は閣議決定されていますので、その目標は堅持されています。同時に、高市内閣はその目標を事業者の皆様には丸投げいたしません。
よって、今御審議いただいている令和七年度の補正予算や、それから、これから編成します令和八年度当初予算案、そして税制なども含めて、事業者の皆様が継続的に賃上げができる環境整備にしっかりと取り組む、その決意でございます。
○山添拓君 私は、目標を取り下げることこそ丸投げだと思います。
千五百円というのは、全労連など労働組合が全国で行う最低生計費調査、普通に働いて人間らしく暮らすには幾ら必要か、そういう調査に基づいて要求してきた額です。今や千五百円でも足りません。例えば愛労連調査では、名古屋市の若年単身者の時給は千八百六円必要だと。この結果は審議会の資料にも採用されました。
総理に伺いますが、最低賃金というのは生存権に関わります。労働者が幾ら必要なのか、これが前提じゃないでしょうか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 最低賃金の決定に当たりましては、地域における労働者の生計費、賃金、賃金支払能力の三要素を考慮することとされております。
その上で、近年の消費者物価の状況が続くこの今の状態では、最低賃金審議会において、最低賃金に近い賃金水準の労働者に関係の深い物価の状況を評価するなど、労働者の生計費を重視した審議をしていただいております。
○山添拓君 それでは足りないということを申し上げているんです。いかがですか。
○厚生労働大臣(上野賢一郎君) いずれにいたしましても、最低賃金の決定におきましては、労働者の生計費、賃金、また賃金支払能力の三要素を考慮することとされておりまして、この三要素に基づきまして、審議会におきまして公労使三者で真摯な議論をいただいて決定をしているところであります。
なお、生計費との関係で申し上げますと、近年におきましては、頻繁に購入する食料品の水準であったり、あるいは一か月に一回程度購入する例えば電気代等の水準であったり、そうしたことも十分考慮しながら決定プロセスを進めていただいていると承知をしています。
○山添拓君 厚労大臣、そうしたら今の額で十分だとお考えですか。
○国務大臣(上野賢一郎君) 公労使三者で真摯な御議論をいただいた結果だと考えております。
○山添拓君 これで十分とはとても言えないと思いますよ。最低生計費調査の結果は、全国どこでも千八百円前後必要というものです。各地の審議会でも人口減少を止めて格差を是正する必要が指摘されて、全国二百近い地方議会が全国一律最賃をと要求しています。
厚労大臣、必要ではないでしょうか。
○国務大臣(上野賢一郎君) 全国一律の最低賃金とすべきとの御指摘につきましては、地域の経済状況がそもそも異なります。また、引上げ幅が地方ほど高くなりまして、とりわけ地方の中小企業の負担感が大きくなる、そうしたことにも留意する必要があろうかと思います。
○山添拓君 先進国で連邦制でもないのに地域別最賃というのは日本ぐらいです。
今朝も議論がありましたが、今年は発効日を十一月以降とするのが二十七府県に上り、群馬県や秋田県は来年三月、半年も遅れます。地域別ゆえにこんな事態まで起きているんじゃないでしょうか。
○国務大臣(上野賢一郎君) やはり地域の実情というのを十分反映をして御議論いただいていると認識をしております。
とりわけ遅れている県におきましては、午前中も申し上げましたが、引上げ幅が大幅になっている、そのことで少し準備時間が必要だと、そうした判断もあったというふうに承知をしています。
○山添拓君 準備期間というのは、事業者側の準備期間ですね。
○国務大臣(上野賢一郎君) 午前中、赤澤大臣からも御答弁がありましたが、企業の方で資金手当て等も含めた様々な準備が必要だろうというふうに思っておりますし、そうしたことも前提に置いて政労使において合意をされた内容だと承知をしています。
○山添拓君 いや、労働者の側が延ばしていいという話にはなりません。暮らしていけない賃金を事業者側の都合で先送りというわけにはいかないと思うんです。
岩手や徳島など五県、賃上げ企業への直接支援を行っています。しかし、中小企業支援というのは全国どこでも必要です。国として行うべきではないでしょうか。
○国務大臣(上野賢一郎君) まず、政府の役割といたしましては、中小企業等が継続的に賃上げができる環境を整えることだと認識をしております。そのため、政府全体といたしましても、価格転嫁対策の徹底あるいは生産性向上支援の強化等に取り組んでいるところであります。
また、自治体におきましては、地域の実情に合った賃上げ環境整備の取組を後押しするため、重点支援地方交付金の対応をされているところがあろうかと承知をしています。
○山添拓君 地方任せでは駄目だということを私は指摘しているんですね。各県が行っているのは直接支援です。高知など地方審議会も直接支援をと求めているんじゃありませんか。
○国務大臣(上野賢一郎君) 失礼いたしました。
重点支援地方交付金の拡充等におきまして進めていただいているところもあろうかと承知をしておりますので、そうした仕組みも活用していただければと考えています。
○山添拓君 地方審議会からどのような要求が上がっているか、御紹介ください。
○国務大臣(上野賢一郎君) 地方審議会の一部からは、政府への要望として、運転資金の直接的な助成を求める声があることは承知をしておりますが、先ほど来申し上げておりますとおり、政府としては、事業環境をしっかり整えて賃上げの環境を整えることが大事だと考えております。
○山添拓君 地方からの声には応える必要があると思うんです。
そして、総理、今最賃の目標を政府としては責任を持って示せない、経済動向を踏まえて検討ということをおっしゃっているんですが、しかし、経済動向を良くしていくためにも賃金の底上げ、最低賃金の引上げということが必要だと思うんです。そのためには、国としての直接支援が必要だと思います。総理の御認識も伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 国としての支援が必要だから、今中小企業の賃上げに資する、そのための補正予算案を御審議いただいております。
○山添拓君 それが直接支援になっていないと。業務改善助成金のように、何らかの生産性向上の投資をした場合に助成する、こういうものはあります。しかし、求められているのは直接支援です。
私どもは、大企業の内部留保に時限的に課税して財源をつくって、中小企業を直接支援し、最低賃金は全国一律千五百円以上に直ちに踏み出すべきだと考えます。これは強く求めておきたいと思います。
次に、台湾有事をめぐる総理答弁で問題となった存立危機事態について総理に御説明を受けたいと思います。
○内閣官房長官(木原稔君) 定義ということで、私の方から。
存立危機事態とは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある状態をいいます。
○山添拓君 日本が攻撃されていなくても、同盟国の米軍を守るために自衛隊が武力行使を行う、従来政府が憲法違反としてきた集団的自衛権のことであります。
この下で、日米一体の戦争体制づくりが進められてきました。例えばヘグセス国防長官は、日本は西太平洋で最前線に立つと言い、日本に軍事費の増額を求めてきました。日米の統合司令部による連携を強め、共同の軍事演習も強化しております。
これは総理に伺いたいんですが、総理はこの間、主体的に判断と繰り返し表明されております。しかし、米軍と無関係の軍拡などではないと、これははっきりしているんじゃないですか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 我が国は我が国自身で守らなければいけない、これは基本でございます。自律的に防衛力を高めていく、しっかりと我が国の国民、そして領土を守れるようにしていく、これは当たり前のことでございます。
○山添拓君 いや、それが米軍との関係でどうかということを私聞いたんですね。
防衛大臣に伺います。今年九月の軍事演習、レゾリュート・ドラゴンは具体的にどのような訓練を行いましたか。
○防衛大臣(小泉進次郎君) 今、山添委員からお尋ねの日米共同訓練、レゾリュート・ドラゴンでありますけれども、まず、このレゾリュート・ドラゴンとは、令和三年度に初めて実施したものでありまして、本年度が五回目となります。国内における陸上自衛隊とアメリカ海兵隊との共同訓練であります。
本年の日米共同訓練、レゾリュート・ドラゴン25につきましては、九月に陸上自衛隊、アメリカ海兵隊等の部隊が日米の連携強化及び共同対処能力の向上を図ることを目的として実施したものでありまして、まあこれぐらいの説明でよろしい……(発言する者あり)もうちょっとしていいですか。ありがとうございます。
珍しくもっと話していいと言われましたのでお話しさせていただきますが、その上で、例えばどのようなものを配備をしたかと、こういったことについては、NMESIS、タイフォン、一二式地対艦誘導弾など、こういったものを展開をさせていただきました。
まず、申し上げておきたいのは、周辺国等が我が国以上に軍事力を増強させてきているということがまず事実であって、それを無視して、まるで我が国だけが能力を強化しているような御指摘は前提が全く異なりますので、それは付け加えておきたいと思います。その上での日米共同訓練は何かというのは、今の説明であります。
○山添拓君 私はそんなこと言っていませんので、最後はやはり余計な話をされたと思いますが。
在沖縄海兵隊トップのロジャー・ターナー司令官は、この訓練の目的は有事に一体となって対応する体制を整えることだと述べています。南西有事を想定し、日本列島を丸ごとミサイル攻撃拠点とする米軍の作戦構想を日米一体で進めようとするものです。総理の先ほどの発言とは違って、やはり日米一体で進めようとするものです。
私は、だからこそ総理の台湾有事発言は大問題だと考えます。台湾海峡での米中の武力衝突を想定し、日本への攻撃がなくても米軍を守るために参戦、つまり日本が中国と戦争することがあり得る、こう宣言したに等しいものです。
総理は、台湾に関する政府の立場は一九七二年の日中共同声明のとおりと述べております。具体的に御説明ください。
○外務大臣(茂木敏充君) 外交文書についてでありますから私の方から答弁をさせていただきますと、台湾に関します我が国の基本方針、これ、総理明確に答弁しておりますとおり、一九七二年の日中共同声明のとおりでありまして、日中共同声明の第三項には、日本国政府は中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づき立場を堅持する旨が記載をされております。
その上で、我が国は、一九五一年のサンフランシスコ平和条約第二条に基づいて、台湾に対する全ての権利、権原あるいは請求権、これを放棄しておりまして、台湾の法的立場に関して独自の認定を行う立場にありません。
いずれにしても、台湾をめぐります問題が対話により平和的に解決されることを期待する、これが我が国の一貫した立場であります。
○山添拓君 外務大臣、一応確認したいと思いますが、ポツダム宣言八項に基づく立場とはどういうものですか。
○国務大臣(茂木敏充君) ポツダム宣言第八項、これはカイロ宣言の規定、カイロ宣言には我が国は加わっておりませんけれど、この規定には、履行されるべき、こういった記載がされております。
このカイロ宣言は、当時の連合国の政策の目的として、満州、台湾及び澎湖島のような地域の日本から当時の中華民国への返還が掲げられているわけであります。
このカイロ宣言の規定が履行されるべき旨が記載されているポツダム宣言を我が国は受諾をしておりますが、その後、第二次世界大戦後の日本の領土を法的に確定したのは先ほど申し上げましたサンフランシスコ講和条約でありまして、その講和条約では、先ほど申し上げましたように、第二条に基づきまして、我が国は台湾に対する全ての権利、権原そして請求権、これを放棄をいたしておりまして、台湾の法的地位に関して独自の認定を行う立場にはございません。
○山添拓君 総理、今外務大臣が答弁されたとおりだと私も思います。
日本は台湾の法的地位を認定する立場にないというのが、政府が繰り返し表明してきた立場です。また、加えて言えば、二〇〇八年日中共同声明は、日中は互いに脅威とならない、こういう合意もしております。つまり、台湾問題で日本が軍事的に介入することはこうした合意に反することになると考えます。いかがでしょうか。
○国務大臣(茂木敏充君) 先ほど申し上げたように、法的には独自の認定を行う立場にはない。一方で、台湾をめぐる問題、これが対話により平和的に解決されることを期待する。これが我が国の政策的な一貫した立場であります。
○山添拓君 総理に答弁を願います。
台湾問題で日本が軍事的に介入することはこれまでの日中間の合意の立場に反する。いかがですか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 今外務大臣からお答えしたとおりでございます。
○山添拓君 御自身の言葉で語っていただけませんか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決することを期待するというのが我が国の一貫した立場でございます。
○山添拓君 今、中国軍機によるレーダー照射などが起こり、これは偶発的な衝突にもつながりかねない危険な行為ですから、私も冷静な対応を強く求めたいと思います。
同時に、今起きている対立と緊張は総理の答弁がきっかけです。改めて撤回すべきだということは求めておきたいと思います。
危機をあおり、軍備を拡張し続けることが何をもたらすのか。世界の軍事費は昨年、過去最高の二兆七千億ドル、四百二十三兆円に達しました。
国連は、SDGs、持続可能な開発目標の達成に軍事費の増加がどう関わるか、報告書を発表しています。外務大臣、どのように評価したものですか。
○国務大臣(茂木敏充君) 本年の九月に、グテーレス国連事務総長、これは、私たちが必要とする安全保障と題する報告書というものを発表しております。
この報告書では、二〇二四年の世界全体の軍事費が過去最高となる一方、持続可能な開発目標を達成するための資金が不足をしていること、これが指摘をされております。また、軍事費の増大が必ずしも平和と安定の増進につながらず、むしろ持続可能な開発目標の進捗を阻害しているとの見方が示されていると承知をいたしております。
ただ、委員も御案内のとおり、これは日本について言っているわけではなくて、他の国々、さらに、我が国よりも圧倒的に防衛力を強化している、増大している国々もあると、こういったことを踏まえての発言であると、このように考えております。
○山添拓君 後のところは国連が言っていることではないと思うんですが。
私が大事だと思いましたのは、国際社会は軍事費の増大はより大きな平和をもたらさないという厳しい現実を直視しなければならない、こういう指摘です。増大した軍事費は必ずしも平和と安定の強化につながらない、この指摘を総理はどう受け止めますか。
○国務大臣(小泉進次郎君) 軍事費の話でしたので。
まず、山添先生のその思いは是非言うべき相手を考えていただきたいというのは、例えば中国は今、二十年間で約七倍、軍事費、防衛費を増加させていますし、この三年間で見ましても、我が国の防衛費の伸びをはるかに上回る軍事費、防衛費を増強させているというのは先ほど茂木外務大臣が触れたとおりであります。
ですので、そういったことを前提として、我が国として何もせずにいたときの一方での軍事バランスが地域で崩れて、我が国の抑止力や対処力が向上しない中で、この日本の防衛に対して、日本を侵攻すれば取れるとか、そういった誤解をさせてはならない。そのための防衛力の整備というのは、私は日本の抑止力をむしろ向上させることになると考えておりますので、丁寧に説明をさせていただいて、御理解を得られるようにしていきたいと思います。
○山添拓君 防衛大臣、私は防衛大臣に通告したわけではなかったんですが、しかし、日本の軍備の拡張というのは限界があります。憲法九条の下での制約があります。周りがどうだからといって、幾らでもやってよいということにはならないんじゃありませんか。
○国務大臣(小泉進次郎君) これは山添先生と度々委員会でもやらせていただいているんですが、よく日本のことをミサイル列島とか、こういった形の前提を、まるで他国の今の軍事費の増強をおいておいて、日本だけが一方的に防衛力を増強させているかのような前提に立った議論は不正確でありますので、そこについてまず前提の認識を合わせた上で御議論させていただきたいという思いから、今のような発言をさせていただいております。
○山添拓君 憲法九条について何らの言及もない、こんな危ういことはないと思いますよ。私は、それでは果てしない軍拡競争だと思います。
一方で軍事費の増加と、他方でSDGsの財源不足、二つの方向を転換させることが人類の生存に不可欠だと、この国連の指摘を重く受け止めて、大軍拡ありきを転換するよう強く求めて、質問を終わります。