山添 拓 参議院議員/弁護士 東京選挙区候補 日本共産党

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2017年6月15日

初の本会議登壇 新たな決意

委員会審議を飛び越える、異例で異常な強行採決を行なった共謀罪法。問題だらけの内容も、加計隠しのためになにがなんでも強行を優先した与党のやり方も、ハラワタが煮え返るような怒りを感じています。
新しいたたかいが、すでに始まっています。憲法違反の悪法は、廃止するほかない。安倍政権には絶対にできない仕事である以上、新しい政権でやるしかない。自民公明のなりふり構わぬ横暴は、市民と野党の結束をさらに強固にすることを、思い知らせていきたい。

14日夕方からの徹夜国会で最初の議題となった金田法務大臣問責決議案に対し、賛成討論を行いました。事態が動いたのでいくつか追加して、予定よりかなり長くなりました。
私にとっては初めての本会議登壇でしたが、与党議員からのヤジがものすごく、たたかう決意を新たにする、印象深いものとなりました。

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私は日本共産党を代表して、金田勝年法務大臣に対する問責決議案に賛成の討論を行います。

はじめに、今日この後、憲法違反の共謀罪法案を、中間報告という名の審議打ち切り、強行採決を狙おうという与党のみなさんに、満腔の怒りをもって抗議いたします。
なぜそれほどまでに焦るのか。それは、森友学園、加計学園、政治の私物化について安倍政権に向けられた疑惑にふたをし、その解明に背を向け、国民の批判をかわしながら共謀罪法案のみは何が何でも通そうとするものにほかならないではありませんか。

共謀罪法案についての法務委員会の審議は、全く尽くされていません。二度目の参考人質疑を行ったのは、昨日午前のことです。参考人の村井敏邦名誉教授が、「参考人質疑を儀式にしてほしくない」と述べたのを、お忘れになったのですか。徹底審議が引き続き必要であることは、公明党の秋野委員長をはじめ与野党の委員のみなさんが十分認識されているはずです。この状況は、昨日の問責決議案の提出後から全く変わっていません。ところが、その現場の状況すら無視し、把握することもなく、会期末を総合的に判断したなどとして、異例で異常なやり方で強行採決を狙っています。その姿勢自体が、この法案は民主主義と相容れない、よこしまな狙いに基づくものであることを、はっきり示しているというべきではないでしょうか。

共謀罪法案で問われているのは、自由と権利に重大な制約を科す、刑罰法規だということです。何をしたら罪に問われるかわからない、明確性のない法律は、絶対に許されません。ところが法案は、審議すればするほどいよいよ矛盾と疑問が深まるばかりです。そもそもこの法案が、人々の内心の自由を脅かす憲法違反の悪法であるからにほかなりません。

テロ対策のため、TOC条約締結のためだと言いますが、その立法事実はすでに崩れ去っています。
国連の立法ガイドを作成したニコス・パッサス教授は、「条約の目的はテロ防止ではない」「既存の法律で対応できれば新法はいらない」と述べています。東京オリンピックをはじめイベントの開催を脅かすようなテロなどの犯罪に対し、現在の法体系で対応できないものは見当たらないとの指摘を、なぜ真摯に受け止めないのですか。
昨日の参考人質疑では、法案に賛成する福田充教授も含めすべての参考人が、テロ対策にはテロを起こさない努力が必要であると述べ、見解が一致しました。戦争のない平和な社会をつくる、貧困をなくす、教育や就労の支援、日本政府が行うべき真のテロ対策はここにあります。共謀罪法案をしゃにむに強行することでは、断じてありません。

法案は、憲法違反であり刑法の大原則を覆すものです。
村井教授が参考人質疑で指摘されたとおり、刑法の基本原則は行為主義です。危険な行為、危険な結果があって初めて罪に問われます。戦前、日本やナチスが、行為ではなく行為者の危険性を処罰したことが、いかに人々の自由を侵害し恐怖に陥れたか、その反省に立ったものです。計画や実行準備行為で処罰することは、行為主義と相容れない、それが歴史の到達であります。

政府は、組織的犯罪集団、計画、実行準備行為、3つの構成要件で限定したといいます。
しかし、村井教授や松宮孝明教授など、専門家の指摘はいずれも、準備行為の規定ぶりからは処罰条件としか読めない、構成要件ではないというのです。計画だけで犯罪が成立するなら、紛れもない共謀罪です。
また政府は、準備行為は英米法のオーバートアクトとも違うと言い始め、結果、刑法学会で理事長を務めた村井教授が「よくわからない」と突き放すほどに、不透明な概念となっています。これを強行するなら、不明確な刑罰法規のために実務を混乱させるのはあまりにも明らかです。

大臣は衆議院の審議で、共謀罪の主体は組織的犯罪集団に限定されると繰り返し、そのごまかしを指摘されるたびに答弁を二転三転させ、ついには与党が強行採決で審議を打ち切りました。参議院の二週間あまりの審議で、対象範囲はどんどん広がっています。環境保護団体や人権団体が「隠れ蓑」であれば対象になる、組織的犯罪集団の構成員だけでなく「周辺者」も含まれる。法案のどこにもない言葉が次々と登場しています。
そもそも「組織的犯罪集団」とは何か。大臣はこれまで、テロ組織や暴力団を例に挙げ、いかにも強固な組織だけが対象であるかのように描いてきました。しかし、現実の裁判では、友人の集まりにすぎないと弁護人が主張するグループが、振り込め詐欺「組織」だと認定されています。その境目はどこなのかと質問すると、継続的結合体、指揮命令関係や役割分担による組織性など、政府は長々説明するのですが、結局あいまいになるばかりです。
刑法は、二人以上で犯罪を共同する共犯や幇助犯、そそのかしについて、話し合っただけ、共謀だけでは処罰しません。計画=共謀段階で処罰される組織的犯罪集団なのか、それとも共謀だけでは罪とならない共犯なのか、その大事な境目があやふやであることは、刑罰法規にとって致命傷というべきです。

あやふやな境目でふりわけるのは、捜査機関です。
社会保険庁の職員が休日にしんぶん赤旗号外を配布したことが国家公務員法違反に当たるとして、逮捕・起訴された堀越事件は、最高裁で無罪が確定しました。この犯罪でも何でもない行為について、公安警察は徹底した捜査を行いました。二九日間にわたり延べ一七一名の捜査員が、少なくとも四台の車と六台のビデオカメラを使用して、尾行し盗撮する。公安警察が犯罪の嫌疑ありとした被疑者だけでなく、接触した第三者まで追跡していました。「捜査の必要からだ」というのですが、それは捜査機関がターゲットとした人物のみならず、関係する人物も含めて洗いざらい調べ挙げることにほかなりません。プライバシー侵害は極めて深刻です。みなさん、これが、令状なく行えるという、任意捜査の実態であります。捜査機関が必要と判断すれば、犯罪の実行行為の前であっても、ここまで行ってはばからないのです。
共謀罪の捜査となれば、計画=共謀の前から捜査を行うでしょう。客観的には危険な行為も結果も生じていない、予備罪すら成立しない段階で、起訴して有罪にできる証拠を獲得するには、計画=共謀のまさに瞬間を押さえようとし、恣意的な判断でねらいをつけ、尾行や監視、通信を含めて丸裸にする捜査が行われる、こう考える方が自然です。
政府は、法案は実体法であり捜査はこれまでと変わらないと言いますが、それは全くの間違いです。実体法である共謀罪を創設すれば、捜査のあり方を大きく変えるからです。にもかかわらず大臣は、「警察の活動について具体的に申し上げられる立場にはございません」などと述べ、答弁を避けています。あまりにも無責任ではありませんか。

国連人権理事会の特別報告者、ジョセフ・ケナタッチ氏が懸念を表明したのも、まさにこの点です。
政府は、ケナタッチ氏から「ただ怒りの言葉が並べられているだけ」と反論された、感情的な抗議文を慌てて送りつける一方、寄せられた質問に対しては一切回答していません。テロ対策のためであっても国民の権利、自由が不当に侵害されてはならないことは、総理も認めました。ところが大臣は、ケナタッチ氏への回答を外務省に任せ、例えば捜査機関による監視に対する事前の第三者機関によるチェックなど、本来法務大臣として検討し回答すべきことまで放置しています。恥ずかしい態度と言わなければなりません。

金田大臣は、治安維持法は当時適法に制定され適法に執行されたと言い放ちました。小林多喜二をはじめ、拷問や虐殺の犠牲者は数十万人に上ります。その痛みと苦しみ、家族や周囲の人々の悲しみを思うとき、大臣がいかなる認識であのように述べられたのか。あの治安維持法の法案審議においても、「一般人は対象にならない」と強調されながら、幅広い市民を巻き込んでいった歴史を、大臣はいったいどう受け止めておられるのか。その資質を疑わざるを得ません。
痛苦の経験と反省の上に日本国憲法があり、思想・信条の自由を保障する一九条、拷問と残虐な刑罰を絶対に禁ずる三六条は、国家が内心の自由に踏み込んではならないことを明記しています。ところが大臣は、「憲法の個々の条文の成り立ちについては意見を差し控えたい」と言います。歴史の事実に対する認識がないとしか思えません。その大臣が、自らも説明できない共謀罪法案を提出し押し通そうとする、国民の不安と懸念は、払拭されるどころか高まる一方です。

法案に反対する市民の声は、連日にわたり国会を包囲しています。全国各地でわき上がっています。それは、秘密保護法、安保法制=戦争法を強行し、憲法改悪までねらう安倍政権がこの法案を手にすれば、平和でよりよい社会を願い声を上げる多くの市民を監視し、その声を封じる道具として使いかねない、不安と懸念の世論が、大きく膨らんでいるからにほかなりません。
事実と論理に向き合わず、異論や批判を悉くはねのけ、憲法違反の共謀罪法案を強行採決するなど、断じて許されません。廃案しかないことを改めて強調し、金田法務大臣の問責決議案に賛成の討論を終わります。

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