山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2026年・第221特別国会

政治的言論・表現が標的 国旗損壊処罰法案 廃案を

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
日の丸、国旗を大切に思う人もいれば、複雑な思いを持っている人もおります。そして、これは、とりわけ私たちの国においては、やはりあの侵略戦争に導いていった、植民地支配をもたらしたという、そういう歴史は避けては通れないだろうと思います。
自民党の発議者にまず伺います。
できれば松野発議者に御答弁いただきたいと思いますが、高市総理は、総選挙公示日の演説で、外国国旗を汚したり破ったりしたら拘禁刑を受けるかもしれない、でも、日本国旗はどう扱ってもいい、それはおかしいと述べました。外国国章損壊罪があるのに日本国旗についてはないというのは今度の法案の趣旨ともされております。アンバランスということが午前中からも議論されてきました。
ところで、刑法の通説的な見解は、外国国章罪の対象は大使館のような公的機関が掲げる公的なものに限定され、自己所有など私的なものは対象でないとされます。日本の国旗についても、他人所有のものの損壊行為は器物損壊を始め罪に問われます。
したがって、どう扱ってもいいという総理の発言は、これは間違いですよね。

○衆議院議員(松野博一君) 総理の御発言の趣旨について正確に把握をしているものではないため、それについての認識をこの場で答弁することは適切でないかと思います。

○山添拓君 この法案の出発点とされてきたわけです。外国国章罪とのバランス論を殊更強調して、刑罰法規に対しての不信感を意図的にあおった総理の私は基本認識が問われると思います。
確かに、松野発議者では正確なところは御答弁いただけないでしょう。ですから、当委員会に総理に出席いただくよう求めたいと思います。

○委員長(北村経夫君) 後刻理事会で協議いたします。

○山添拓君 この法案は、個人の内心に立ち入ることは想定せず、思想、信条の自由に反するものではないと説明されます。一方、今日も議論がありましたが、衆議院で維新の阿部発議者は、本法案の成立を契機に、今後一層、国旗を大切にするという気持ちが醸成されていくと、そして愛国心、国を愛する心も醸成されていくのではないかと答弁しました。
自民党と国民民主党と参政党の各発議者に伺います。同じ思いでしょうか。

○衆議院議員(勝目康君) この本法案のまさに保護法益といいますのは、国旗を大切に思うというこの国民感情でございまして、この法律を定めることによってそのような社会的法益が保護されることになるというふうに考えております。
この内心に立ち入らないということは、これは累次にわたり御答弁を申し上げているところでございます。

○衆議院議員(飯泉嘉門君) 私も同様でありまして、個々人の内心には踏み込まない、これが今回の法案ということになっております。
以上です。

○衆議院議員(豊田真由子君) 大変恐縮でございますが、私も同志でございまして、共同提出者としまして、この法案の保護法益、あるいはどういった目的であるか、どういう影響があるかということについては一にするところでございます。
○山添拓君 私が伺ったのは維新の阿部発議者と同じ認識かということなんですが、勝目発議者、いかがですか。
○衆議院議員(勝目康君) 阿部発議者のその当該御答弁につきましては、先ほども別の委員からの御質問にお答えをさせていただいたとおり、質問者が政治的な見解を求めたというものに対して、一人の政治家としてその思いを述べられたものというふうに認識をしております。
私どもといたしましては、繰り返しになり恐縮ですが、保護法益はあくまでこの国旗を大切に思うというこの国民感情、社会的法益であって、内心には立ち入らない、あくまで外形的、形式的なものであるということでございます。

○山添拓君 皆さん、この法案は議員立法ですから、そこに皆さん、政治家として座っておられるんですよね。政府の大臣として、政務三役として御答弁なさっているわけじゃありません。ですから、全ての答弁は法案の提出者としての答弁ということになるでしょう。ところが、阿部発議者の答弁と同じ認識だということはほかの方はおっしゃりませんでした。阿部発議者だけがそのようにお考えなのかもしれませんけれども、しかし、私は、与党の発議者が内心に踏み込み、愛国心を抱けと求めていることは重大だと思います。
しかも、この答弁は、先ほどちょっと紹介ありましたが、どういう答弁かと、どういう質疑の中かと、卒業式の君が代で座った生徒がいたと、偏向教育を是正するなどという文脈で飛び出したものです。これ自体、教育への政治介入も甚だしい、国旗・国歌法制定時の議論も全く踏まえない乱暴な姿勢です。
国旗は国家のシンボルです。だからこそ、政府に対する批判や抗議の手段としても使われます。国家権力から不当な扱いを受けたり、国家政策に重大な問題があると考えたりするとき、その国家の象徴である国旗を用いて抗議の意思をアピールすることは当然考え得るものです。
法案は、自宅でこっそり国旗を燃やす、そういう行為は対象にしていません。つまり、表現活動でない国旗損壊は処罰対象としていないわけです。逆に言えば、本質的に表現の自由を制限する立法です。発議者はその認識をお持ちでしょうか。

○衆議院議員(勝目康君) この本法案の刑罰の構成要件というものが、人に著しく不快、嫌悪の情を催させるような方法により公然と国旗を損壊等する行為と、これに当たるかどうかということであります。
したがいまして、その動機でありますとかそういった内心というのはこの構成要件の該当性というものにおいてしんしゃくをされないということでございますので、そのような今の御指摘というのは当たらないというふうに認識でおります。

○山添拓君 例えば、スポーツ選手が日の丸を羽織ると、あるいはお子様ランチに小旗を立てる、それを問題にする方は多分いらっしゃらないですよ。だから、摘発や処罰の対象は必然的に表現活動、それも政治的なメッセージを込めた表現行為になるのではないかと伺っています。いかがですか。

○衆議院議員(勝目康君) これも繰り返しになりまして恐縮ですけれども、あくまで、この方法、これを外形的、客観的に判断をして構成要件該当性を問うということ、これが広範にわたっての考え方ということになるわけでありますので、あくまでそうした観点での判断ということであります。

○山添拓君 そのようにおっしゃり、また、限定されるものだと答弁もなさると思いますが、しかし、単なる物の破壊ではなく、政治的言論をターゲットにしている罪であることは明らかです。
一九九九年、国旗・国歌法制定時の小渕恵三総理の答弁は、法制化に伴い、国旗に対する尊重規定や侮辱罪等を創設することは考えておりませんとするものでした。
発議者は、本法案は尊重義務を課すものではないとか、あるいは侮辱罪に当たるものではないなどと説明されています。しかし、国旗を大切にする心や愛国心を醸成するためともおっしゃっておりますが、つまり、国旗を大切にせよと、尊重を求めるものですよ。しかも、小渕内閣の答弁書は、侮辱罪かどうかにかかわらず、新たに刑罰の対象とすることは考えていないと、こうしておりました。矛盾するんじゃありませんか。

○衆議院議員(勝目康君) まず、あくまでこの本法案につきましては、尊重義務を課すものでもありませんし、動機を問うものでもないということにつきましては、繰り返しになって恐縮ですが、お答えをさせていただきたいと思います。
そして、今御指摘があった点、これは質問主意書のことではないかと思いますけれども、この質問主意書、どういう質問に対しての答弁書かといいますと、政府の新規立法案、この新規立法というのは国旗・国歌法のことでありますが、刑罰の対象とするのか否かと、こういう質問に対しての答弁書であると認識をしております。つまり、この国旗・国歌法制定において、これをその罰則、ここに罰則を設けるつもりはあるのかということで、それは考えていないというのが答弁書の内容であるというふうに承知をしております。
そうしたことを踏まえて、この小渕総理始め当時の内閣の答弁というものは、この法制化に伴って国旗に対する尊重義務規定や侮辱罪を置くことは考えていない、こういう答弁があったところであり、そして、今回のこの国旗損壊罪の法案は、尊重義務規定を定めるものでもなければ侮辱という目的を構成要件とするものでもないということで、そこは御理解をいただきたいと思います。

○山添拓君 それは理解できません。尊重義務さえ置かないと。
いや、実際には、現場に、とりわけ教育現場に国旗・国歌の押し付けをもたらし、今も大問題になっておりますが、少なくとも強制にわたらないと、こう説明していたわけです。にもかかわらず、本法案は、尊重義務どころか刑罰で強制しようとしているわけです。当時の考え方、国旗・国歌法の下での考え方と矛盾するということは明らかじゃありませんか。

○衆議院議員(勝目康君) この国旗・国歌法制定時に、この国旗・国歌法において刑罰の対象とするかどうかという質問に対しての答弁書であるということでございます。
今回のこの法案というのは、まさにこの構成要件というのは、あくまで客観的、外形的な方法に限られるところでありまして、動機であるとかあるいはその内心に立ち入るものではございません。そして、何かその内心に反するような特定の行為、行動を強いるものでもありませんので、そこはそういうものとして御認識、御理解をいただければと思います。

○山添拓君 それはちょっと詭弁だと思いますね。
この国旗・国歌法制定時の議論との関係では、当時は、国の威信を保護するための刑罰法規を設けることは考えていない、こういう言い方もしていたと。そして、今度の法案は国の威信の保護のためではないんだと、こういう説明も皆さんされているかと思います。間違いありませんか。

○衆議院議員(勝目康君) この法案の保護法益は、国家的法益ではなくて、社会的法益、つまり国旗を大切に思う国民感情を保護法益としているものでございます。

○山添拓君 衆議院の参考人質疑で百地章氏は、本法案について、国旗に尊重される国の威信と名誉こそ本当の保護法益と、狙いを正確に語っておられると思います。そうしますと、発議者はこの参考人の意見とは違う考えだということでしょうか。

○衆議院議員(勝目康君) 参考人の方、それぞれの思いを委員会の場で述べられたんだろうと思いますけれども、この法案そのものは、条文を御覧いただきますれば、そこはあくまで外形的な方法のみをこの構成要件としているものでありまして、そしてまた、そこから導かれる保護法益はあくまで社会的法益でございます。国家的法益を今回の法案でこの保護法益とするものではないということは、これは累次にわたり立案者より御答弁をさせていただいているところでございます。

○山添拓君 実は、高市総理も二〇一一年のコラムで、日本の威信、尊厳を尊重する国旗に対する愛情や誇りを守りたいと述べておりました。それが出発点になっているだろうと。ですから、徹頭徹尾、本音を隠して合憲を装う法案だと言わなければなりません。
法案の条文について聞きます。
二条一項、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法による損壊や汚損を対象としています。著しくとはどういう意味でしょうか。また、こうした方法の具体例、どのような行為を想定しているでしょうか。

○衆議院議員(勝目康君) ここでの人に著しく不快、嫌悪の情を催させる方法ということでございますけれども、既存のストーカー規制法でありますとか軽犯罪法、こういった法律の文言を参考にしたものでございます。一般通常人から見てひどく快くないと感じさせ、又は不愉快に感じさせるような方法をいうということでございます。

○山添拓君 方法の具体例としてどういう行為を想定していますか。

○衆議院議員(勝目康君) これはあくまで例えばということでございますが、ちょっと比較的に申し上げますと、国旗に何か汚物で描くという行為と、あるいは一般に市販されているマジックで文字を書く、この行為を比べてみれば、通常は、後者というのは人に不快、嫌悪の情を催させる程度が前者よりも低いと考えられるわけでございます。
したがいまして、こうした行為につきましては、それだけでは処罰対象とはならないこととしまして、より限定的にこの処罰対象を画すものということでございます。

○山添拓君 通常は低い、高いと。これでは、私は、やはり適用する側の恣意的な判断によって幾らでも広がり得るだろうと、摘発の段階、それから起訴するかどうかの段階、有罪とするかどうかの段階、どの段階でも際限なく広がり得るものだと思います。
法案の二条二項は、こうした行為に該当するかどうかの判断は、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案して行うとしています。
構成要件該当性、つまり刑罰法規の違反に当たるかどうかの判断基準としてこういう文言を設けている例はどのようなものがあるでしょうか。

○衆議院議員(勝目康君) 例をということでございますけれども、刑罰法規としてこのような文言を置いている例はないということでございますけれども、この条文の文言を御説明をさせていただきますと、この行為者自身とか、あるいはこれを見た方が現実に不快感、嫌悪感を覚えたか否かということではなくて、あくまで一般通常人というものを基準として、損壊行為がどのような流れの中で、どのような物体を用いて、そしてどのような場所で行われたかと、こうした様々な客観的事情を総合的に勘案をして社会通念によって判断をされるということ、このことを明確にしたものでございまして、あくまでこの一般的、客観的な視点から判断されるもの、そういうことを規定しているものでございます。

○山添拓君 全然明確にはならないんですよ。そして、こんな条文を置いている刑罰法規はほかにないということが今答弁がありました。
刑罰法規には条文としてはないけれども、恐らく裁判例ではこういう言い方しているものがあるじゃないかと、それが立法者のこういう条文を盛り込んだ趣旨でもあろうと思うのですが、しかし、判例が同様の文言を使うのは、条文のそのままでは憲法違反の疑いがあるので合憲的に判断しようと、条文を言わば限定で解釈しようとするような場合です。こういう文言を初めから入れているのは、そもそもこの法案が極めて違憲性が高いということを発議者自身がお認めになっているからにほかなりません。
アメリカの連邦最高裁は、一九八九年、国旗冒涜罪による国旗の焼却が罪に問われたテキサス対ジョンソン事件で、社会が単にその思想自体を不愉快、不快、不愉快だと感じるというだけで表現を禁止してはならないとして違憲判決を下しました。欧州人権裁判所は、二〇一八年、国王夫妻の写真を燃やした者を王室侮辱罪で処罰したスペイン政府を欧州人権条約違反とした判決の中で、表現の自由は好意的に受け止められるものや無害又は無関心とみなされる情報や思想だけでなく、不快感を与え、衝撃を与え、動揺させたりする情報や思想にも適用される、これが多元主義、寛容、そして開かれた精神が要求するものであり、これらがなければ民主的な社会は存在しないと述べています。
一方、香港が中国に返還された一九九七年、中国政府は中国の国旗法の規制を香港にも適用しました。中国国旗を公然と焼いたり落書きしたりして侮辱する行為を罰則で取り締まるもので、中国政府はこうした行為を民族の感情を傷つけると批判しました。二〇一九年には大規模なデモで、それでも中国国旗を焼いたり海に捨てたり国章に黒ペンキを掛ける、そうした抗議が相次いで、中国政府は翌二〇年、香港国家安全維持法で抗議活動それ自体を実質的に違法化してしまいました。
これ、通告しておりませんが、各党の発議者に伺います。今私が紹介した各国の例を聞いて、率直に言ってどうお感じになりますか。

○衆議院議員(勝目康君) 改めてでありますけれども、その内容について私どもとして構成要件該当性を判断することはないということでございます。
その上で、様々なこの表現行為があるわけでございますが、これは衆議院においてこの委員会への提出資料としてこの違法性阻却事由の考え方あるいは事例についてペーパーを出させていただいております。
違法性阻却事由というのは、非常に、この全体の個別性が非常に強い中で、なかなかこの類型化するのが難しいということはこれまでも御答弁をさせていただいているところでございますが、そうした中にあってこの違法性が阻却される可能性がある場合、逆に違法性が阻却されない可能性がある場合というものをお示しをさせていただいております。
これ以上のことはやはりその個別性が強い中で個々の判断になるということでございますが、ただ、繰り返しになりますが、やはりその表現内容そのものに着目することはないという中で今回立法させていただいております。

○衆議院議員(飯泉嘉門君) 今のお話をお聞きして、中国の場合の保護法益は国家的保護法益、今回のこの処罰法につきましては社会的保護法益ということで、根本的に保護法益が違うと、こうした印象を持ったところであります。
以上です。

○衆議院議員(豊田真由子君) 他国の事案の受け止めということでございますが、今種々御答弁ございましたが、やはりその各国それぞれ同じような処罰の法案に、法律に見えましても、その個別の事案の背景、あるいはその法案自体、法律自体の、あるいは国自体の歴史、文化、国民感情、様々だと思いますので、立法府、日本国の立法府の一員として他国の例についてコメントすることは差し控えたいと思います。
我が法案に関しての考え方は発議者同じでございます。

○衆議院議員(黒田征樹君) 今お答えありましたように、保護法益そのものが違いますのと、あとは、この法律につきましては、かなり抑制的に法案として構成させていただいておりますので、今言った事例そのものは今回の法案とは関係のない話かなというふうに理解しております。

○委員長(北村経夫君) 時間が来ておりますので、おまとめください。

○山添拓君 はい。
時間ですので、終わりにいたします。
いろいろ伺いましたけれども、他国がこうだから日本もというのが出発点だったはずです。そこで他国の例を出したわけです。お答えいただきたかったと思いますし、私は、表現の自由、言論の自由を不快とか嫌悪の情を与えるからといって刑罰で禁じるのは民主主義とは相入れないと考えます。
以上、終わります。

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