山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2017年・第193通常国会

原発依存のエネルギーミックスの問題点を指摘

要約
  • 日本の原発依存のエネルギーミックスの問題点を指摘。2030年電源構成での原発の位置づけや原子力・自然エネルギーの発電コストなどについて質問しました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
安倍政権は、原子力を重要なベースロード電源と位置付けて、二〇三〇年発電電力量の二〇%から二二%を原発で賄うという計画です。
〔会長退席、理事福岡資麿君着席〕
福島原発事故は既に六兆円を超える賠償がされましたが、それでも不十分ですし、廃炉費用の二十一兆円の試算は、現状すら把握できず、また事故原因の究明も終わらない、更に増えるでしょう。核燃料サイクルの計画が破綻をし、使用済核燃料の貯蔵もあと五年程度だと。再処理をしても、使う当てのないプルトニウムと処分場のめどがない高レベル放射性廃棄物を抱え込むだけです。何よりも、ふるさとを奪われた多くの方が今なお苦しんでおられます。
高木副大臣に伺いますが、こうした現状を踏まえても、二〇三〇年電源構成での原発の位置付けというのは変わらないでしょうか。原発の依存を強めるということが将来に更なるリスクとコストをもたらす、少なくともその可能性があるという認識をお持ちでしょうか。

○副大臣(高木陽介君) 私も、今、原子力災害の現地対策本部長を務めさせていただいてもう二年八か月になりますけれども、まさに、東京電力の福島第一原子力発電所の事故において多くの被災者の方々が今なお避難をされていて、この三月の三十一日、四月と、四つの自治体で避難指示が解除されましたけれども、ようやく復興のスタートラインに着いたと思います。
そういった中で、今まで想定外ということで原子力発電をやってきた、この考え方はやはり改めなければいけない。そういった中で、ある意味でいうと、第三者委員会の原子力規制委員会をつくって、その上で世界最高水準の原子力発電の基準というものを作っています。
そういった中で、この事故以前は三〇%強の原子力発電の依存でありましたけれども、それを、今回、エネルギーミックスという形にして電源構成比二〇三〇年代を作り上げました。それぞれいろいろな要素というのがある中で、3EプラスSという、こういったことを考えながら、今回、二〇三〇年を目指しております。
〔理事福岡資麿君退席、会長着席〕
ただ、いずれにいたしましても、日本のこの資源のない国にあってどういった電源又はエネルギー構成をしていくかというのは、絶えず不断の努力をしながら考えていかなければいけない、このようにも考えております。

○山添拓君 二〇%賄うと、これは原発二十五基とか三十基の再稼働ですし、四十年を超える高齢の老朽化原発も使っていくという計算です。どの世論調査でも国民の五割から六割が再稼働に反対という状況では、私は到底許されないことだと思っております。
その上で伺うんですが、経産省の資料の四ページに、二〇一四年のモデルプラント試算結果、載せられています。電源ごとの発電コストは、原子力がキロワットアワー当たり十・一円からと、そして、太陽光のメガで二十四・二円、太陽光、住宅では二十九・四円となっています。
二〇三〇年の時点では、これは、原子力と太陽光の発電コスト、それぞれどうなると予測しているでしょうか。

○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
発電コストにつきましては、発電コスト検証ワーキンググループというところで試算をした結果がございまして、モデルプラント方式という方式で計算をしております。このモデルプラント方式といいますのは、OECDでも使用しております国際的に利用されている方式でありまして、これで計算をいたしますと、原子力につきましては十・一円パー・キロワット・アワー以上ということになってございます。

○山添拓君 それは二〇一四年の試算ですね。二〇三〇年です。

○政府参考人(村瀬佳史君) これはモデルプラント方式というものでございまして、このワーキンググループで試算結果を出したのが、今、二〇一四年という御指摘だと思いますけれども、このモデルプラントで示した数字は、これから新しく造るとしたならばどのぐらいのコストで掛かるだろうかということで計算をしておるものでございますから、いつ時点のものということではございませんで、新たに原子力なりほかの発電設備を造ったならば、その相互の比較においてどの電源が経済性として優れているかと、こういうものを計算したものでございます。
したがいまして、今御指摘があった二〇一四年の数字というものではございませんで、このモデルプラント方式に沿って各電源のコストを比較しているということでございます。
済みません、発電コストは、今ちょっと私間違って申し上げたかもしれませんので、二〇三〇年のモデルプラント試算につきましては十・三円以上ということでございます。

○山添拓君 太陽光も御紹介ください。

○政府参考人(藤木俊光君) お答え申し上げます。
二〇三〇年モデルプラントの試算ということでお答え申し上げますと、太陽光、メガのソーラーにつきましては十二・七円から十五・六円、住宅用に関しましては十二・五円から十六・四円というような試算結果となっていると承知しております。

○山添拓君 ですから、これは、二〇三〇年の電源構成の前提となっているのは二〇三〇年のモデルプラント試算結果だと伺っています。そうすると、この配られているものですと、何か原子力と太陽光というのはかなり、二倍、三倍の開きがあるかのように印象を持つんですけれども、実際にはエネ庁の試算でも、二〇三〇年には原子力と太陽光の発電コスト、かなり接近してくると、少なくとも二倍、三倍といったオーダーではないということだと思います。これ、なぜか原子力についてだけ上限値が入っていないということも極めて不自然だと思いますが、そういう状況だと。
その上で、二月八日の本調査会では、平沼参考人また高村参考人から、二〇一五年に前後して再生エネルギーの大きな変化が国際的に起こっているという紹介がありました。発電量に占める再エネの割合が石炭に次いで第二位となるとか、世界の四分の一が再エネ電気となるといったような指摘でありました。そして、予測する以上の速度での導入の拡大があり、国際エネルギー機関の再エネ導入量の見通しが実際の導入量に追い付いていないと、こういう指摘もありました。
経産省の資料の中には、先ほどの他の議員への御答弁の中で短期間で急速に進展しているという話はありましたが、この資料の中には少なくともこういう世界的な激動というのは反映されていないんではないかと思います。むしろ、資料の四ページなどは、二〇一四年の数字を根拠にして、原子力は低コストだと強調している。六ページなども、これは再エネの買取りによる国民負担をどう抑制するのか、こういう観点で書かれているように感じます。
国際的な再エネをめぐる状況、コストの低下ということも含めて、こうしたことを踏まえれば、改めて現在のエネルギーミックス、長期的な視点から見直すことも有用なのではないかと高村参考人からも指摘がありました。こういう指摘を、高木副大臣、どう受け止められているでしょうか。

○副大臣(高木陽介君) 今、コストの部分で御指摘をいただきました。先ほどの御答弁でも申し上げましたように、3EプラスSという考え方、すなわち安定供給、経済性、環境適合、安全、このバランスが最も重要であると思います。
実はこのゴールデンウイークのときに、私もデンマークの洋上風力、これを視察してまいりました。八メガワットという大変大きな洋上風力で、北海沿岸の各国はこの風力をかなり重要な電源としております。一方で、ヨーロッパ大陸、EU域内においては、かなり送電網が発達しておりますので、再生可能エネルギーの場合には太陽光も風力も気候変動によってかなり変わってまいりますし、そういう不安定な部分をベースロード電源で賄う、又は各国融通し合う、こういった可能性が考えられます。
そういった部分では劇的なコストの変化というのはあると思いますが、一方で、我が国の場合には、この日本列島という孤立した形の中でほかの国との送電網をつくるといったことはなかなか困難であると思われます。そういった中で、再生可能エネルギーをベースロード電源にするという考え方は今現在私どもは持っておりません。そういう中においてのこのバランスをどう取るかということでの原子力、又は化石燃料を使った火力、さらには再生可能エネルギーと、こういったバランスを重要視しながら今回のエネルギーミックスを考えているということでございます。

○山添拓君 私は、日本で、とりわけ福島原発事故を経験した日本で今後の原子力含むエネルギー政策を考える上では、その原子力に対する国民の思い、あるいは実際に起きている被害の状況、先ほども御指摘もありました、こういうものを踏まえなければ考えようがないと思っています。
再エネによる電力目標、先ほどデンマークの話もありましたが、例えばEUでは全体で四五%に二〇三〇年していくと、あるいはドイツでは二〇二五年に四〇%から四五%と、アメリカのカリフォルニア州は二〇三〇年に五〇%などと。こうした国々は確かに、御指摘もあった系統接続や地域間連系の送電網など、コストを下げるためにいろんな環境整備を整えているということがあります。
この環境が整えば市場原理によって再エネの導入が更に加速するという御意見もありましたので、是非、日本も更に再生可能エネルギーの範囲を広げていく、例えば四〇%というものを目指していくというような、そういう目標を持って進めていくべきだということを述べて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。

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