山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2017年・第193通常国会

JAL客室乗務員 新勤務基準で体調不良者続出

要約
  • JALで昨年11月から導入された新しい勤務基準の下で、体調不良者が続出している実態を取り上げました。現場の調査・指導を求めたところ、大臣は監査を通じて乗務割り等必要な指導監督を行う、と答弁。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  今日は、航空機の客室乗務員の労働条件について伺います。  客室乗務員の職務の範囲と内容について、航空法に基づく運航規程審査要領細則ではどのような位置付けがされているでしょうか。

○政府参考人(高野滋君) お答え申し上げます。  ただいま委員御指摘になりました運航規程審査要領細則でございますが、それにおきましては、客室乗務員の職務の範囲及び内容は、一つは、「旅客に対するシートベルトの常時着用の要請その他安全上の指示及び説明、緊急避難に係る誘導、機内火災の消火、機内持ち込み手荷物の適切な収納等、客室安全の確保に係る業務を行うこと。」。それに加えまして、「その他機長の指揮命令に基づく業務を行うこと。」と規定しております。

○山添拓君 接客のサービスだけではなく、安全のための要員だということであろうと思います。  国際民間航空条約、ICAO条約といいますが、その附属書六第十二章添付Aの一という項目では、飛行時間、飛行勤務時間、勤務時間制限及び休養要件、これは運航乗務員並びに客室乗務員が安全運航に必要な適切な注意力を持って業務が確実に遂行できることのみを目的として制定されると書かれています。  このICAOが二〇一一年、航空機乗組員及び客室乗務員の疲労リスクの適切な管理を求める条約改正を行い、二〇一六年には疲労管理の詳細な方法を記載したドキュメントの改正も行っています。日本ではどう対応するんでしょうか。

○政府参考人(高野滋君) お答え申し上げます。  国際民間航空機関は、国際航空に関する国際的な技術基準などを定める国連の専門機関でございます。具体的な権能としては、一つは、委員御指摘のように、国際民間航空条約附属書に定める国際標準や勧告方式を定めること、それに加えまして、その他の技術文書にガイダンス等を定めてございます。国際標準につきましては、締約国は国際民間航空条約上遵守することが求められていますが、ガイダンスについては締約国の基準策定に当たっての参考にするという位置付けになっています。  そこで、御指摘の疲労管理に関するガイダンスでございますが、国際民間航空機関は、平成二十八年二月に、操縦士、客室乗務員及び管制官を対象として、疲労リスクを適切に管理するためのガイダンス文書を発行いたしました。これを受けまして、国土交通省といたしましては、諸外国における疲労管理に関する制度の導入の状況なども踏まえ、まずは操縦士を対象として航空会社に対し、疲労に関する教育制度を構築すること、及び疲労に関する安全情報の収集を行い分析を行った上で適切に措置を講じることを求める制度を本年十月から導入することとしております。加えて、疲労を踏まえた操縦士の乗務時間等の制限などにつきましても、その基準を、今後、医学面を含む有識者の御意見をいただきながら検討を行うこととしています。  以上です。

○山添拓君 検討を行うに当たっては、国内での航空会社各社の実際の運用の状況、こういったものについても確認をして情報収集を行っていく、こう伺ってよいでしょうか。

○政府参考人(高野滋君) お答え申し上げます。  今後、乗務時間等の制限の検討を行っていくに当たりましては、もちろん、十月から施行いたします疲労の管理制度の中で各社から集まった安全情報なども参考にしながら検討を進めていくということであろうと思います。  ありがとうございます。

○山添拓君 今度の改正案というのは運航乗務員、操縦士を対象としていますが、客室乗務員についても疲労による乗務へのリスクを防ぐべきは当然であり、ICAO条約も対象としています。時差を伴い、深夜早朝、不規則かつ長時間の勤務です。機内は富士山五合目ぐらいの低気圧、低酸素、低湿度、床面が傾斜しています、また振動がある、更に常に乗客の視線がある中での身体に負担が掛かる姿勢で重いカートを扱う、こういう業務です。感情労働だと言われて、精神的にも非常に負荷が大きい。  深夜二時から六時の身体的低調期と言われる時間帯があるそうですが、こういう場合の乗務制限やあるいはサーカディアンリズム、体内時計の考慮を含めて、疲労管理に当たってこの客室乗務員の就労環境の特殊性を踏まえた対応を検討する必要があると考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(石井啓一君) 我が国における航空会社の操縦士や客室乗務員につきましては、運航の安全を確保するよう、国際民間航空機関の国際標準に基づき乗務時間の制限等に係る基準を定めているところであります。それに加えまして、同機関のガイダンスに定められている航空会社における乗務員の疲労リスクの管理に関し、諸外国において操縦士を対象とした基準導入が進められることを踏まえ、国土交通省といたしましても、まずは操縦士を対象とした制度の導入を本年十月から行うこととしたところであります。  一方、客室乗務員の方々には、運航の安全確保に係る重要な役割を担っていただいているところであります。諸外国における状況等を踏まえ、必要に応じまして客室乗務員を対象とした疲労リスク管理の在り方について検討してまいりたいと考えております。

○山添拓君 客室乗務員も対象として検討していくということですね。  ところが、昨年十一月から日本航空で導入された客室乗務員の新勤務基準、これは疲労を蓄積させ、安全を脅かす事態となっています。勤務間のインターバルを暦日単位から時間単位として、原則は四勤二休と四日間勤務して二日休みという体系になりました。羽田や成田を基地にしまして、例えば一日目に早朝から沖縄を往復すると、翌日から一泊三日でヨーロッパを往復すると。あるいは、一日目は羽田から国際線の往復、二日目は成田から一泊三日の国際線と。三日間の中長距離路線の前に必ず国際線や国内線の日帰りが付くようになった。あるいは、グアムに日帰りをして韓国へ一泊二日で往復をすると、それから四日目に国内線日帰り、こういう四日間というようなセットが仕組まれていると。  資料の二ページを御覧ください。北米路線のケースではこういうものがあります。一日目から四日目にボストンを往復すると。この後は、三日間公休が入りますが、その後八日目から九日目には羽田から伊丹を経由して関空に移動する、これは大阪基地がなくなったためなんですね。その後、上海、名古屋、羽田と飛びます。十日目、十一日目で成田から釜山を往復すると。公休一日を挟んで、十三日目から十六日目でニューヨークを往復する。これ、八日目以降は九日間で休みが一日しかない、極めて過酷な勤務形態になっていると。  この新勤務基準の下で体調不良者が続出をしました。資料の三ページを御覧ください。幾つか挙げられていますが、成田で搭乗開始前に体調が急変し、嘔吐が止まらず交代をした、三十分の遅延で出発をした。あるいは、宿泊先のパリで体調不良となり、帰りの便は欠員乗務となったと。あるいは、乗客から乗務員の様子がおかしいと指摘があり、機内でドクターコールをして、到着した北京で緊急搬送されてそのまま現地で入院すると。ほかにも飛行中に体調不良となり乗務員用の休憩室で横になり、残った乗務員でカバーするケースなど、この半年に多数発生したといいます。  国交省はJALの勤務基準の変更とその後の実態について把握されているでしょうか。

○委員長(増子輝彦君) どなたですか。

○山添拓君 これは大臣に答弁をお願いしております。

○国務大臣(石井啓一君) 日本航空においては、国の定める基準に準拠し、客室乗務員の乗務時間と休養の基準について運航規程に定められておりますが、その運航規程の内容自体に変更はございません。  詳細な勤務時間の管理方法は社内の客室乗務員就業規程に定められており、昨年十一月に運航規程の範囲内で見直しが行われましたが、乗務時間等、年間休養日数に変更はないと承知をしております。また、同社からの報告によりますと、病欠者数は年度ごとに月の変動があり、就業規程による管理の方法の変更との因果関係は必ずしも明らかではないと聞いているところでございます。

○山添拓君 病欠者数だけで計れるものじゃないんですよね。実際にどういうことが起こっているのかと。先ほども各社の安全情報を収集するとおっしゃいました。ですから、実際起こっていることを是非直接受け止めていただきたい。  客室乗務員から寄せられている声は本当に切実なものです。新勤務基準を受け入れていない日本航空のキャビンクルーユニオンが労働組合の所属を問わずにアンケート調査を行いましたところ、半年間で千二百通の回答が寄せられました。現に新勤務基準で乗務している他組合の組合員からも来ています。  資料の四ページ以下を御覧ください。少し御紹介します。  連日の始発時間帯の出勤に国際線の日帰りの連続勤務、疲れ過ぎて電車の中で乗り過ごしてしまうことも多く、最近は携帯のアラームを掛けています。疲れでじんま疹が出たり、十分な休息が取れないまま重労働に従事するのでこれまで無縁だと思っていた腰痛にも最近悩まされています。  あるいは、国内線日帰り、中国一泊二日、グアム日帰り、四日間働いて休日はたった一日で、今度は国内線乗務の翌日から長距離便一泊三日で働かされるなんて、社員を殺すつもりとしか思えない。中国からの帰りは大幅遅延で、家に着いたのは夜九時、そしてグアムは朝四時起き、フライト間の睡眠時間すら確保されていない。仕事は好きだが、自分の命を守るため、この基準をやめないのであれば私は会社を辞めようかと思っていると。  疲労の蓄積は明らかです。このまま放置しておいてはならないのではないでしょうか。大臣、この声を受けてどのようにお考えですか。

○国務大臣(石井啓一君) 国土交通省といたしましては、今後とも、日本航空に対する安全監査等を通じまして、乗務割等を含め必要な指導監督を行い、安全運航の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

○山添拓君 健康への影響はもちろんですけれども、もう続けられない職場と化している、こういう中で安全運航は担保されないと思います。  JALではこれまでにも過労により心身の障害を生じる事例が起きています。客室乗務員だった岩本章子さんは、一九九六年五月二十九日、到着地の香港のホテルでくも膜下出血に倒れ、一命は取り留めたものの後遺症が残り、乗務復帰はかなわなかった。成田労基署は労災と認めず裁判となりまして、二〇〇六年十一月二十二日、東京高裁で労基署の処分取消し、労災と認める判決が出されています。業務の過重性についてこの判決はどのような判断をしているでしょうか。

○政府参考人(藤澤勝博君) お答えを申し上げます。  御指摘の東京高裁の判決は、国際線の客室乗務員に発症したくも膜下出血について、当該客室乗務員の業務は頻繁な作業スケジュール変更などの不規則性が高く、長距離を長時間掛けて乗務する等の拘束時間が長い業務であり、また、深夜・徹夜業務、時差への対応などから心身の負担が大きい業務で、機内における保安業務やサービス業務などの身体的、精神的ストレスにさらされやすい業務であり、このように相当負荷の大きい業務が発症前六か月間継続したことを考慮すると、業務と脳・心臓疾患との間に相当因果関係があると言うことができると判示したものと承知しているところでございます。

○山添拓君 休日からフライトへの変更が多かったとか、発症前六か月間の月間の乗務時間数が七十五時間を超えていた、あるいは特別に負荷が大きいニューヨーク便を三か月連続で乗務していた、こういった個別の事情も含めてですが、勘案しまして、就業規則の範囲内の乗務であっても業務の負荷が高くないとは言えない、こういう判断をした判決です。  資料の七ページを御覧ください。当時、JALの乗務時間制限は月八十五時間、年間九百時間でした。二〇〇八年以降現在までは月九十五時間、年間九百九十時間と増えています。岩本さんのような七十五時間超え、これ連続するというのは決して珍しくなく、月八十時間、九十時間飛んでいるんだと伺います。北米便の連続というのも特段制限はされない。その上、過酷な新勤務基準が導入されている。岩本事件の当時より過酷な状況で、現に多くの客室乗務員からこのままでは乗務が続けられないという声が続出しているんです。  大臣、これ是非、JALに対して調査し、改めて指導していく、こういうことが必要ではないでしょうか。改めて答弁をお願いします。

○国務大臣(石井啓一君) 先ほども答弁申し上げたところでありますが、国土交通省といたしましては、安全監査等を通じまして、乗務割等を含め必要な指導監督を行い、安全運航の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

○山添拓君 現在無理な勤務基準を強いている背景には、JALが破綻時に強行した大量解雇がベテラン乗務員の不足という形で現場に現れていることも指摘したいと思います。  最後に、サービス残業の実態について伺いたいと思います。  JALでは、客室乗務員の勤務時間はショーアップ、出頭時刻からとされています。しかし、実際には最低その一時間前、場合によっては二時間前に出勤しているといいます。乗務する便の機材や担当クラスのサービス、機内食のメニューと盛り付けの手順、路線の特性、旅客の情報、こういった事前の、あるいはその都度調査や確認を必要とする事項があります。ショーアップ後はブリーフィングになりますので、時間に余裕がないため早出を余儀なくされると。資料の八ページ目以下にはその様子があるんですけれども、会社はこういうふうにテーブルごとに便名を記した札まで立てているんですね。いわゆる会社公認の早出残業になっています。  これ労働時間そのものではないかと考えますが、厚生労働省、いかがでしょうか。

○大臣政務官(堀内詔子君) 資料九ページ、十ページの写真のことについて御質問であると思いますけれども、個別の事案については回答を差し控えさせていただきたいと思っております。  けれども、一般論として申し上げますと、労働時間の適正な把握を徹底するために、平成二十九年の一月の二十日に、これまで厚生労働省の地方労働局向けに示していた通達を改め、企業向けに労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインを新たに作成したところでございます。  このガイドラインにおいて、労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たるとしており、使用者の指示により就業を命じられた業務に必要な準備行為を事業場内で行った時間については労働時間に該当すると考えております。

○委員長(増子輝彦君) 山添拓君、時間が過ぎております。

○山添拓君 必要な調査、指導の徹底を求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

関連記事