山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2017年・第193通常国会

ダンプ過積載問題 荷主責任追求と運搬単価対策強化を

要約
  • 過積載問題について年間3千件以上が警察に摘発されるものの、これまで関与した荷主の責任は追及されてこなかった現状を指摘。こうした過積載の背景には低すぎる運搬単価の問題があることを大臣に迫りました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  今回の法改正のきっかけは、三菱自動車の燃費偽装です。その三菱自動車は、二〇〇〇年に内部告発をきっかけにクレーム隠し、リコール隠しが発覚し、刑事事件ともなりました。二〇〇二年には、横浜市でハブの欠陥が原因で大型トレーラーの車輪が脱落し親子三人が死傷する事故も起こりました。ここでも三菱自動車は一貫して整備不良が原因だとしていました。大臣、委員の皆さんもお読みになったことがあるかどうか、池井戸潤さんの「空飛ぶタイヤ」という小説はこの事件をモデルにしたものであります。  昨年発覚した燃費偽装も、他社から指摘をされて初めて認めて、国交省が求めた再測定でも偽装をしていました。もうあの手この手で不正に繰り返し及んでいるわけです。  資料の一枚目は、二〇一四年五月十一日の新聞赤旗の記事ですが、二〇一〇年にベテラン運転手だった河西さんが三菱ミニキャブで冷却水漏れに気付き、部品を交換しました。放置すれば事故に至るようなものでしたが、本社は地元の販売店に言ってくれと言い、販売会社は整備不良だと言い、国交省も話を聞くだけだったと言います。ところが、その後の二〇一三年にミニキャブを含む三車種四十一万六千六百台、これ、リコールではなくサービスキャンペーンと称して無償修理に応じました。  国交省は、この件で三菱自動車に調査を指示し、報告をさせたのでしょうか。結論だけを端的にお答えください。
○政府参考人(藤井直樹君) お答えいたします。  今委員御指摘の点につきましては、国土交通省としては、三菱自動車工業に対して道路運送車両法に基づき報告を求めているところでございます。
○山添拓君 どのような報告がされたんですか。
○政府参考人(藤井直樹君) 二点ございますけれども、報告内容の概要としましては、不具合が発生した部品を確認したところ亀裂があることを確認したということ、もう一点目がこの亀裂は高温に長時間さらされた結果発生したものではないかと推察をされるということ、この二点でございます。
○山添拓君 整備不良だとは言っていないんですね。しかし、販売会社は整備不良だと言って、国交省はこのユーザーからの訴えを特に真摯に受け止めるでもなく話を聞くだけで、その結果をこの河西さんに伝えたわけでもなかったと。度重なるリコール隠しの後でも国交省の対応というのは極めて中途半端ではないかと思います。ユーザーよりも三菱側の言い分だけを前提にリコール不要だという判断に至っています。  先ほど大臣が別の答弁で性善説だということをおっしゃったんですが、不正を繰り返してきた会社だと、その認識をした上で必要な対応に当たるべきだと考えます。  そもそも、なぜ不正を繰り返すのか。リコール費用を節約するなど、企業利益のためです。国は不正を見抜くことができずに来ました。法案には私ども賛成ですけれども、国として率直にこの点を反省をした上で、今後も同様の事態が起こり得るという前提で対処をしていただきたいと考えています。  今日は、同様に重大な違法不正行為であるトラックなどの過積載について伺っていこうと思います。  車両の操作性を低下させ交通事故を誘発し危険であるほか、また道路や橋の損傷の原因ともなるものです。〇・三%の過積載車が道路橋に与えるダメージは全交通の九割だということも指摘をされています。エンジンや車体に過大な負担が掛かるため、騒音や振動、排気ガスの増大など、環境の悪化を招く要因ともなります。  資料二ページを御覧ください。  二〇一二年に百六十六万台だった過積載車が一四年には二百十五万台に三割増えたとされます。この数字は直轄国道三十九か所の計測データですので、実際には更に多くの車が過積載で走っていると想定されます。  なぜこんなに増えていると考えているんでしょうか。大臣に答弁を求めます。
○国務大臣(石井啓一君) 過積載は深刻な事故の原因となるとともに、道路を劣化させる主な原因となっております。過積載車両につきましては、全国三十九か所の自動重量計測装置のデータでは、今御紹介いただいたように、平成二十四年度から二十六年度の三年間では約三割増加をしているところでございます。  過積載につきましては、荷主からの要求や、輸送経路、貨物量等に関する契約の書面化がなされていないといった非効率な商慣習が大きな要因と考えておりまして、昨年八月にトラック事業者に実施をいたしましたアンケート調査では、荷主から過積載等を強要されたことがあるとの回答が約一五%となっております。  これを踏まえまして、トラック事業者のみならず、荷主にも責任とコストとを適切に分担をさせていくため、取締り時の違反者への荷主情報の聴取、特殊車両通行許可の申請時に荷主名も記載させるなどの取組につきまして、警察など関係者とも連携をしながら検討してまいりたいと考えております。
○山添拓君 荷主の関与が重大だということは、今大臣からの御答弁にもありました。貨物自動車運送事業法では、過積載違反の行政処分に際して荷主への勧告もすることができるとなっています。  ところが、資料の四枚目を御覧いただければ分かりますとおり、二〇一五年で例えばいいますと、協力要請を行ったのは二十六件ですが、警告書はゼロ件、勧告はゼロ件。過去に警告書を発したのも一件のみという実態です。勧告をしたことがあるのは過去にゼロ件だと。協力要請の実績も年々減ってきています。  国交省は、道路局の目標によりますと、二〇二〇年度に過積載車両の半減と掲げているそうですけれども、荷主の責任追及が甘過ぎると考えます。今大臣から、違反した者から荷主情報を聴取するんだと、こういう話がありましたが、違反したドライバーというのは荷主の関与を言えば仕事を振ってもらえなくなりますから、情報提供が十分になされる保証はないと考えます。  私は、建交労、全日本建設交運一般労働組合ダンプ部会の皆さんに実態を伺いました。例えば、採石工場などでは、現地の重機オペレーターが積込みを行います。これ、ダンプの運転手からこれだけ積んでくれと言うのではなくて、何も言わなくても積み込まれます。どのぐらい詰め込むか、運転手が決めるわけではないんですね。台貫、一台、二台の台と、それから貫くという字の台貫という計測器に車ごと乗ると、その積載量が伝票のように記録されて出てくると。目的地の生コン工場に到着するときにもまた台貫に乗りまして、その記録を請求書代わりに荷主に示して、そして単価掛ける積載量で報酬が払われます。つまり、この過積載の有無というのは荷主も運送元も十分把握しているんですね。  ところが、国交省が荷主に対して警告書を発したのは十年間で一件だけ。警告書が発せられるのは、荷主勧告には至らないものの、違反行為に対し荷主の関与が認められる場合とあります。つまり、国交省としては、この過去の事例、荷主の関与はほとんどなかったと、こういう判断をされているんでしょうか。
○政府参考人(藤井直樹君) お答えをいたします。  貨物自動車運送事業法におきましては、トラック事業者の法令違反行為に関して、その違反行為が荷主の指示あるいは荷主の行為に起因するものだと認められ、かつトラックに対する行政処分のみでは違反行為の再発防止が困難であるときには荷主に対して勧告を行うことができるという規定を置いているところでございます。  これにつきましては、今委員御紹介ございましたとおり、勧告に至らないまでも、荷主の関与が認められるものについては警告書、さらには、荷主の関与が明白に認められない場合であっても、積載貨物の荷主を特定できた場合には協力要請書を発出するなどの措置をとっているところでございます。  トラックの様々な問題を考える際には、荷主との関係、この契約自体を適正化することが非常に重要であると。これにつきましては、過積載に限らず、非常に共通のテーマとして、今、厚労省なども交えた形での協議会なども開いて荷主の理解、協力を得る取組を進めているところでございまして、そういった形で荷主にも、過積載の関係でいえば、しっかりそういった法令違反がない形で契約を結んでいただける、そういった意味での御努力をいただくということについての取組を今後も進めていきたいと考えているところでございます。
○山添拓君 余りお答えいただいていないんですけれども、荷主の関与が重要だという認識はおありだと。  そうしますと、違反者から荷主情報を聴取するということだけではなくて、例えば建交労のダンプ部会のように様々な実態を把握している第三者があるわけです。こういうところからも荷主情報を受け付けて対策に生かすべきではないかと思いますけれども、いかがですか。
○政府参考人(藤井直樹君) 今申し上げました協議会、トラックの契約の適正化の協議会でございますけれども、これは中央だけではなくて全国各地、都道府県ごとに全て置いているところでございます。これにつきましては、役所でいえば私どものほかに厚労省なども入っておりますけれども、さらには荷主、組合の方、そういった方々も含めて、このトラックの輸送にまつわる方々、なるべく多くの参画をいただいているところでありますので、そういったところで、まさに現場で起こった状況、あるいは実際こうなっていると、そういった情報もできる限り集約をして、そのことについても的確に活用することによって今申し上げたような契約状況の改善に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○山添拓君 警察庁の交通局作成の「平成二十九年中における交通警察の運営について」、そういう文書がありますが、「過労運転、過積載運転等組織的・構造的な違反については、その背後責任を積極的に追及する。」とあります。同様の記載が毎年あります。  二〇一二年以降の五年間、過積載違反の取締り件数と荷主等に対して再発防止命令などを発した件数の推移を警察庁から御紹介ください。
○政府参考人(長谷川豊君) お答え申し上げます。  過積載車両の検挙件数についてでございますけれども、平成二十四年は四千五百四十五件、平成二十五年三千六百六件、平成二十六年三千九十九件、平成二十七年三千二十四件、平成二十八年は三千四百七件となっております。また、道路交通法第五十八条の五に定めますいわゆる荷主の再発防止命令の件数につきましては、平成二十四年以降では一件となっております。
○山添拓君 違反は横ばいの件数なのに、荷主への命令は僅か一件です。警察庁は、問題のある荷主はほとんどいないと、こういう認識なんでしょうか。
○政府参考人(長谷川豊君) 過積載の運転につきましては、組織的、構造的な違反と認識しておりまして、その背後責任を積極的に追及する必要があると考えております。警察庁では、各都道府県警に対しまして、荷主、使用者等の背後責任の追及について指示をしているところでございまして、今後とも関係機関と連携しながら対策を推進してまいりたいと考えております。
○山添拓君 その指示は全然実効性を伴っていないということでしょうか。  一九九三年の道交法改正で、荷主と荷受人も取締りの対象となりました。過積載をなくす切り札だとされたと伺います。この翌年には年間七十二件の再発防止命令が執行されておりましたが、その後、減り続けています。背後責任を積極的に追及すると言いながら、実際には野放しだと考えます。  昨年十一月に、建交労のダンプ組合員が東京都北区で過積載を理由に交通機動隊に検挙されました。この組合員は、積み込んだ砕石工場の伝票やあるいは納品先の生コン工場の業者名、所在地など荷主の情報を警官に告げまして、発送元、受取人双方を取り締まるように求めています。ところが、その後も砕石工場や生コン工場、相変わらず過積載をさせまして、少なくとも黙認された状況です。  資料の六ページを御覧ください。これは警察庁、右側の写真でいいますと、生コン工場のすぐ近くなんですが、これダンプを待ち伏せしてドライバーの取締りを行っているんですね。納品先の工場のすぐ近くです。  ここまで分かっていて、そして運転手からも情報提供を受けたんであれば、なぜ荷主の調査を進めないんでしょうか。警察庁、いかがですか。
○政府参考人(長谷川豊君) ただいま御指摘の点につきましては具体にちょっと承知をしてございませんけれども、いずれにいたしましても、警察庁といたしましては背後責任の追及について指示をしているところでございまして、今後とも関係機関と連携をしながら対策を推進してまいりたいと考えております。
○山添拓君 では、この事案について建交労から追加の情報提供を行いますから、調査し、そして指導を行っていただけますか。
○政府参考人(長谷川豊君) いずれにいたしましても、今後とも関係機関と連携をして対策を推進してまいりたいと考えております。
○山添拓君 そういうことをするのは当然のことだと思います。  今日、質問としては、最後に伺いたかったのが、こうした過積載の背景には、本来保証されるべき、支払われるべきダンプの運搬単価、これがきちんと末端まで行き渡っていないということがあろうかと思っています。  実際、東京都でいえば、ダンプの一人の一日の運搬単価というのは五万円程度に上ると積算でされるんですけれども、しかし、この北区の事例の場合には、一日当たり法定積載量であれば九千円程度、燃費だけでもう足が出てしまうという状況でした。実際に手元に残るものとしては、もうこれ最低賃金も大きく下回るような状況です。荷主が運転手の足下を見ている、公共工事の運搬単価から程遠く、燃料費すら賄えない単価では食べていけない状況があり、そこでやむなく過積載となっています。  こういう違法行為を前提とするような低過ぎる単価契約自体に問題がある、ここを是正すべきだという認識を大臣お持ちかどうか、最後に御答弁ください。
○国務大臣(石井啓一君) トラックの運賃水準と過積載との具体的な関係については明らかになっておりませんけれども、余りに安い運賃の設定が過積載につながる場合もあると考えられます。実運送を行うトラック事業者が適正な水準の運賃を収受できる環境を整えるためには、トラック事業者による原価計算の実施と、その結果を踏まえた荷主、元請事業者等との価格交渉を通じた運賃設定を推進することが重要であると認識をしております。  このため、国土交通省では、トラック事業者向けに原価計算に関するリーフレットや価格交渉に当たってのポイントを示したハンドブックを作成をし、セミナー等で周知を行う等の取組を行っております。また、トラック運送業における適正取引推進のため、法令上問題となり得る行為や望ましい取引の在り方等を示しましたトラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドライン等を活用いたしまして、荷主、元請、運送事業者と下請運送事業者間の取引等の適正化を図っているところであります。  国土交通省といたしましては、今後もこれらの取組を通じまして、トラック事業者が適正な水準の運賃を収受できる環境整備に努めてまいりたいと考えております。
○山添拓君 終わります。  ありがとうございます。