山添 拓 参議院議員・日本共産党

国会報告

2017年・第193通常国会

無資格ガイド合法化反対 質の確保されたおもてなしを

要約
  • 無資格の通訳ガイドの合法化などを含む通訳案内士法等改定案に関する質疑。
  • 現行法で禁止される無資格の有償ガイドについて国交省が実態把握や取り締まりを怠ってきたことを指摘。中国語・韓国語などの闇ガイドの現状を紹介しました。
  • 同改定案は通訳案内士や官公庁の意見を無視した上で規制改革推進会議の一存によって進められたものと批判し、悪質な無資格ガイドを横行させるものと主張しました。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
現行の通訳案内士法では無資格者による有償ガイドは禁止をされております。業務独占です。そこで違反をすれば罰則もありますけれども、この十年間には適用された者はいないということでありました。しかし、無資格ガイドは存在するわけです。
先ほど有田議員からもありましたが、沖縄の例を始め、私も通訳案内士の方から似たような事例を幾つも伺います。資格を持ち仕事をしている皆さんが豊富に情報をお持ちになっています。なぜ国交省では実態を把握し、適切な指導監督をしてこなかったのでしょうか。大臣に伺います。

○国務大臣(石井啓一君) 通訳案内士法の業務独占規制違反につきましては、ガイド行為が外国語で移動しながら行われておりまして、その現場を確認することが容易ではないこと、無資格ガイドの被害に遭われた方が訪日旅行中の外国人でいらっしゃって、旅行の終了後は本国へお帰りになるため具体的な被害を日本政府当局に届けることが難しいこと等から、過去十年間、罰則の適用までは行われてこなかったところであります。
しかしながら、国土交通省においては、これまでも観光庁や日本政府観光局に苦情相談窓口を設置をいたしまして、無資格ガイドについて情報収集を行うとともに、通訳案内士制度のあり方に関する検討会等の場において旅行業者、通訳案内士団体からヒアリングを行うなど、無資格ガイドの実態把握に努めてきたところでございます。
また、訪日外国人の方が悪質ガイドの被害に遭わないよう、これまでも、悪質ガイド対策関係省庁連絡会議の開催、訪日旅行者から消費者庁、JNTO及び観光庁に寄せられた悪質行為に関する情報の共有、これらの情報を基に、中国を始め各国の観光当局間と連携をいたしました旅行業者に対する指導の強化、特に被害が多いと考えられます中国人旅行者への注意喚起のためのリーフレットの作成、配布等の取組も進めてきておりました。
今後とも、悪質ガイド被害の防止に努めてまいりたいと考えております。

○山添拓君 把握しにくいとおっしゃるんですけれども、例えばクルーズ船で大勢来てそこからバスに乗り換えると、その段階で調査に入るということは可能なんですね。先ほども一月、沖縄で調査をされたとおっしゃいました。ところが、その段階でも無資格者か有資格者か、この調査はされていないということなんです。大手の旅行会社も含めて使ってきたと伺います。国交省も当然に把握し得たはずなんですけれども、本格的な調査すらしてこなかったと。その責任を棚上げにして、無資格違法ガイドを解禁し合法化しようと、これが今度の法案だと言えます。
例えば、先ほどもお話ありましたが、中国語、韓国語の無資格ガイド、七千人ぐらいいるんじゃないかという話があります。本国から同行してくるケースもあれば、日本に在住していて空港などで受け入れるという場合もあるそうです。中国語、韓国語のガイドというのは九割以上が無資格だとも伺っています。無資格ガイドがこれだけ多いのはなぜだとお考えでしょうか。

○政府参考人(田村明比古君) 近年、アジア各国、特に中国、韓国からの訪日外国人旅行者数が急激に伸びておりまして、直近五年間で見ますと、中国人は約五倍、韓国人は約三倍となっております。また、通訳案内士の数で見ますと、平成二十九年四月、今年の四月時点で、英語では一万五千九百八十五人の登録がなされている一方で、中国語では二千四百九十三人、韓国語では千百十人となっておりまして、英語と比較いたしましても中国語、韓国語の通訳案内士の数が不足をいたしている状況でございます。
このような状況もございまして、中国語及び韓国語につきましては、有資格者でカバーし切れない部分についてボランティアガイドなどの無資格ガイドが増加しているものと考えられます。

○山添拓君 先ほどもありましたが、二万人の通訳案内士の方のうち専業は六%ということでもあります。実際には資格のある人にきちんと仕事が行っていないと。私が話を伺いました方の中でも、年間五十日程度しか仕事はなくて、さらに終日、一日中仕事があるのはその半分だということでした。
無資格がはびこるのは、今ボランティアという話もありましたが、安上がりだからにほかならないわけです。有資格者であれば一日二万円、高級ツアーだと四、五万円になるそうですが、ところが、無資格ガイドは日当不要で旅行会社に売り込みます。代わりに客をぼったくり店に、免税店に連れ込んで、そしてキックバックを受けるわけですね。
資料の二枚目、三枚目を御覧ください。
先日、私は銀座や秋葉原の免税店に行ってまいりました。店内には化粧品、衣料品、家電製品、時計、南部鉄器のようなお土産まで売っているんですが、日本語はほとんどありませんで、中国語が躍っております。十四万円する炊飯器ですとか、三ページにありますが、普通の薬局では見たことがないような栄養食品、納豆キナーゼ三百六十粒、十四万八千円と。私が入りますと、警戒されて店員が後ろを付いて回りまして、パスポートの提示を求められたんです。日本人ですよと言ったんですが、いや、免税店だから見せてくださいとか、もう普通じゃあり得ないようなことが国内であるわけです。
こういう店に大型バスで乗り付けまして、車内では、日本人はみんなこういうものを飲んでいるんだよ、だから長生きなんだと、こう宣伝をしまして、他の店で買うと高いからここで買うようにと、こう吹き込んでおくわけです。割引券だと言ってカードを渡すそうです。客が買った額に応じてキックバックを支払いますので、連れてきたガイドの名前と手配したランオペ業者を免税店側で判断できるようにしておく必要があるわけです。二万円から三万円の商品でガイドには九千円のキックバックがあると、別途ランオペにも支払われるそうです。
無資格ガイドの中には、先ほどもお話ありました出入国管理法違反や、あるいは所得税の無申告、ガイドが白タクのドライバーを兼ねるなど、もう何でもありだという状況です。以前、ある免税店がバスを出して空港から店まで運転していたそうでありまして、これ白バスだったんですね。一斉摘発に遭いまして、その後はエバーグリーンという名前のバスにしたそうです。これ、いつも緑ナンバーということですね。これ、笑えない話なんですけど、幾らでもこういう話があると。その上、ガイドをすれば、大阪城を建てたのは徳川家康だと案内するような話もあると。
大臣、これが日本のおもてなしなんでしょうか。こういう訪日経験をする方を増やすようなこういう政策、大臣、やっぱり日本は取るべきじゃないと思うんですけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

○国務大臣(石井啓一君) 観光振興は我が国の成長戦略の柱でありまして、地方創生の切り札であります。昨年三月に取りまとめました明日の日本を支える観光ビジョン及びそれを踏まえた観光立国推進基本計画におきましては、二〇二〇年までの訪日外国人旅行者数四千万人、旅行消費額八兆円の達成等を目標といたしまして観光先進国を目指すこととしたところであり、現在、政府一丸となって諸施策を推進をしております。
今回の通訳案内士法の改正につきましても、訪日外国人旅行者数が増加する中で、通訳案内士につきまして、その数が不足をしており、求められるサービスの質も多様化していることから、今般、業務独占規制を廃止をし、名称独占規制のみ存続することとしております。
委員が御指摘ありましたとおり、我が国における訪日旅行の質の確保は重要であります。今般、通訳案内士制度の見直しと併せて、訪日旅行商品の企画やガイド等の手配を行うランドオペレーターにつきましては、登録制の導入等を通じた業務の適正化を図ることとしております。これに加えまして、本年四月から、悪質ガイド対策関係省庁連絡会議を実施をする、苦情の多い免税店に対する任意の事情聴取や改善要請の実施、旅行会社に対しなるべく有資格のガイドを活用するよう要請を行う、中国政府と連携をいたしまして、苦情の多いツアーを実施する日中の旅行会社について双方の根拠法令に基づき指導を行う、訪日旅行における悪質事案に関するリーフレットを作成をしまして、空港や観光案内所において配布し注意喚起を行う等の取組を総合的に行うことによりまして、訪日旅行の安全、安心の確保に向けた取組を今後とも進めてまいりたいと考えております。

○山添拓君 通訳案内士の業務独占を廃止すれば、旅行業者やランオペ業者にとっては有資格者を用いる積極的な理由はなくなるわけです。無資格ガイド問題の対策とはなりません。質の低い有償ガイドを合法化するだけであろうと思います。
業務独占の廃止をやめるように求めたネット署名がございまして、ここにはたくさんのコメントが寄せられておりました。法律に違反しているにもかかわらず、その人たちにはおとがめなしで、得する人たちがいるので法律を変えちゃおうというのはむちゃくちゃだ、あるいは、難関の試験を突破し誇りを持って民間外交官の役割を果たしている私たちの夢を打ち砕かないでください、また、いいかげんな偽ガイドをのさばらすのは一流国で観光を目玉にしていこうとする国のすることではない、これ、もっともな声だと思います。実態把握と取締りを適切に行い、通訳案内士を質、量共に充実させることこそが求められていると私は思います。
こういう悪質ガイドの問題については、今度旅行業法の改正でランオペ規制をして対応するんだと言っています。悪質な土産物屋への連れ回しを禁止行為で位置付けるんだとしています。さらには、業務改善命令や登録の取消しといった監督権限を予定されているわけですが、こうしたぼったくり店への連れ回しや出入国管理法違反、キックバックによる収入の無申告、白タクの手配や薬事法、景品表示法違反などの違法行為を行った場合にも改善命令の対象となるでしょうか。これ、そうであるかどうかということだけお答えいただければ結構です。

○政府参考人(田村明比古君) 当然、違法行為、禁止行為はそういうものの対象になるというふうに考えております。

○山添拓君 定期的に実態を把握する体制をきちんと整えて対処をすべきだと考えます。
そもそも、なぜこの通訳案内士法の改定案が出されるに至ったのか。二〇一五年十二月に、業務独占を廃止し名称独占のみを存続させる規制緩和を行うべきだという提案が規制改革推進会議に出されました。観光庁はこの提案にどう回答されましたか。

○政府参考人(田村明比古君) 通訳案内士の業務独占規制について平成二十七年十二月の規制改革会議において議題に上がりまして、その後、規制改革ホットラインを通じて業務独占資格制度を廃止し名称独占資格制度のみを存続させるよう規制緩和に関する具体的な御提案をいただきました。
観光庁といたしましては、この御提案に対しまして、その時点におきまして訪日外国人旅行客が増加しガイドに対するニーズが高まる中で通訳案内士の絶対数の確保に加えて質の確保が課題であること、それから、依然として無資格ガイドによる不適切な勧誘等が行われている等の問題が生じていることから、まずは通訳案内士の量と質の確保に取り組むことが先決であると認識しているとの回答を行ったところでございます。

○山添拓君 資料の四ページでございますが、当時の所管省庁としての国交省、観光庁の措置の分類としては対応不可なんですよ。業務独占廃止は応じられないというのが当時の対応だったわけです。
二〇一四年に観光庁に通訳案内士制度のあり方に関する検討会が設置され、長らく議論がされておりました。この二〇一六年二月の第十二回の検討会、ここでも議論がされておりまして、通訳案内士団体の皆さんあるいは旅行業者、ヒアリングを行っていますが、その議論の中でも業務独占を廃止せよという意見は全く出されておりませんでした。
この規制改革推進会議がその後、二〇一六年一月から四月に計三回このテーマで議論をしておりますが、資料の八ページを御覧ください。
一月二十八日、観光庁の意見は、資格が必要な業務範囲を明確にする、訪日外国人旅行客の増加に的確に対応できる資格取得者を確保する、無資格ガイドについては、両罰規定の導入と法の適正な執行などと、至ってまともな意見を述べているんですね。ところが、岡議長の取りまとめでは、本件は業務独占を廃止するしかないと、観光庁においてもその方向で検討してもらいたい、もう廃止ありきだったんです。
二月十日には五つの通訳案内士団体からヒアリングを行っておりますが、これはその次のページです。
ここでも業務独占を廃止すべきだという意見は現場からは出ていないわけです。観光庁も、その後も業務独占廃止は主張されておりません。
ところが、四月八日には業務独占廃止の結論に至っています。最後の資料です。
当時の河野大臣、業務独占をやめるということだけ、今通常国会に、昨年ですね、議員立法でも何でも出すべきだ、観光産業の育成を邪魔するような役所だったらやめてしまえばいいと、これ、まるで脅しだと私は思います。大臣が議員立法をあおるという明らかな越権行為まである。そして、六十年の歴史を持つ制度を激変させる結論を下してしまいました。誇りを持って仕事に当たっている通訳案内士の皆さんはもちろん、所管する国交省、観光庁の意見すら無視して、僅か三回の会議で結論を押し付けたわけです。
これ、大臣、最後に伺いたいんですが、規制改革実施計画が閣議決定される前には、国交省としても業務独占を廃止すべきとの意見を一度も出していない、これはお認めになりますね。それなのに、なぜ受け入れるんですか。

○委員長(増子輝彦君) 田村長官、申合せ時間が過ぎておりますので、簡略にお願いします。

○政府参考人(田村明比古君) はい。
平成二十八年のこの二月に開催された規制改革会議のワーキンググループでは、委員御指摘のように、通訳案内士団体の皆さんから業務独占規制、維持すべきというような意見も出されておりました。しかしながら、その後、通訳案内士制度のあり方に関する検討会において、これらの団体の方々にも加わっていただいて議論を重ねた結果を踏まえて、今般の法案が作成されたものでございます。

○山添拓君 もう終わりますが、結局、規制改革推進会議が決めたことだからということなんです。これ、規制改革でも何でもない、規制の破壊だと私は思います。
通訳案内士制度の業務独占の廃止には理由がありません。その決定プロセスも極めて不適切であると考えます。そのことを述べまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。

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