山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2021年・第204通常国会

法務委員会で、名古屋入管死亡事件、少年法の虞犯について質問しました。

要約
  • 法務委員会で、少年法の虞犯について質問。 少年による家庭内暴力など、被害届がなく事件として立件できない場合、立件に変わって虞犯少年として保護処分とすることもあるという。 18歳、19歳について新たな非行対策もせず虞犯を対象外とするのは、何の見通しもなく放り出すに等しいと批判。

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
まず、名古屋入管でスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった事件について伺います。
資料もお配りしておりますが、十六日、葬儀が行われ、私も参列してまいりました。挨拶の中で妹のワヨミさんは、こんなことになって誰が責任を取るのか分からない、二か月がたつが、なぜ亡くなったのか答えがない、姉が大好きだった国でこんなことになり耐えられないと涙ながらにお話しでした。
大臣に伺います。この声をどう受け止めますか。
○国務大臣(上川陽子君) 亡くなられた方の、この大好きな日本に来て、そして自分の御希望を持って大きな夢を描きながら日本の地に来られ、また今亡くなられたということでございまして、大変その希望を持った方の若い命が失われたということについては本当に心が締め付けられる思いでいっぱいでございます。
遺族の方、大変仲よしの妹さんたちであったというふうに承知をしておりますけれども、お姉さんのこうしたことについて、特に異国の地でなかなかすぐにお会いすることができるような距離ではございませんので、変わられたお姉さんの姿に接したときの思いを考えると、私も親の一人でございますので、大変胸が締め付けられる思いでいっぱいでございます。
言葉で申し上げるということはなかなか難しいことでありますが、中でも、二度とこうしたことを起こしちゃいけないと、こういうお声もいただいたものというふうに思っておりまして、その切実な、しかし本当にその声にしっかりと向き合って対応していくということ、この責任を、今最終報告に向けましてしっかりとお答えをし、事実を解明していくということが必要であるということを改めて思っている次第でございます。
○山添拓君 最終報告はもちろん必要なことですけれども、まず何よりも入管で亡くなられたわけですよね。持病もない三十三歳が収容から僅か半年で亡くなりました。通常は考えられないことです。命を預かることになる施設内での出来事ですから、まずそういうことになって申し訳ないという謝罪が前提なんじゃないですか。
○国務大臣(上川陽子君) 亡くなられた方の思い、また、それが命を預かる入管の施設であったということ、このことについては極めて重いものと受け止めているところでございます。
私は、その事案が発生して直ちに真相の解明をなるべく早い時期にしていく必要があるというふうに思いまして、そして、その真相の解明において、どこにどういう形で体調の変化の部分があったのか、特に今持病があったのかないのかということにつきましてもはっきりと申し上げるようなことがない中にありまして、外部の医療機関、また内部の診療所の先生に体調を診ていただきながらという関係の中でどういう状況が進行していたのかという事実をまず見極めるという、その客観的、そして公正な、また謙虚な姿勢が必要であるというふうに思って指示をしてきたところでございます。
このことによっての事実解明、さらに、お二人の御遺族の方が事実を知りたい、どういう形で亡くなったのかということを知りたいというこの思い、これは非常に切実な願いであるというふうに思っておりまして、そうしたことに対しても誠実に対応していくということ、このことが大事であるというふうに思っております。
○山添拓君 謝罪の言葉はありませんでした。
ウィシュマさんが二月五日、今大臣も指摘をされて、言及をされた外部の病院を受診した際のことについて入管庁に伺いたいと思いますが、外部の病院のカルテには、薬を内服できないのであれば点滴、入院と指示がありました。中間報告には指示なしと正反対の記載があったとして問題になっている点です。
ウィシュマさんと面会をしていた支援団体STARTの皆さんは、当日、入管の職員に説明を求めたそうです。そうしましたら、病院に同行した職員が出てきたそうなんですね。その職員が言うには、医師から点滴しましょうかと提案があったけれども、時間が掛かるので入院するのと同じになってしまう、それはできないので連れて帰ってきたと、こういう話であります。病院で点滴をさせると時間が掛かるから連れ帰り、点滴を打たせなかったと。間違いないですか。
○政府参考人(松本裕君) お答え申し上げます。
この外部病院の医師につきましては聴取ができております。この医師に確認をしましたところ、亡くなられた方から入院あるいは点滴の申出等はなく、かつ、この医師からその点滴あるいは入院を勧めるような話もなかった、かつ、同行した職員からもそういう話はなかったというふうに認識しているところでございます。
○山添拓君 それは私の質問には答えていただいていません。
その後、ウィシュマさんは発熱、嘔吐あるいは吐き気、体の痛み、症状があって、十分食べられない状況も続いたわけです。ところが、点滴も打たなかった。
STARTの皆さんは、面会で、改善すべきことがあると、その都度入管の職員に申入れを行っておりました。文書でするときもあれば口頭でするときもあったということなのですが、いずれであっても、入管の側にはこういう申入れを受けたという記録はありますね。
○政府参考人(松本裕君) 申し上げます。
まず、先生御指摘の前提とされるその外部病院の記載のところでございますが、医師の、先ほど聴取の結果という形で申し上げましたが、その記録そのものにつきましても、二月五日の外部病院の診療記録、これは電子カルテでございますが、御指摘の、内服できないのであれば点滴、入院、括弧して、入院は状況的には無理でしょう、括弧閉じ、との外部病院医師が入力した記載はございますが、その記載は、当該医療記録におきまして、その日の診察に関する一連の記載の途中部分に当たる記載でございます。
この診療録のこれに続く部分では、胃カメラ検査を終えた上での当該外部病院医師が入力した記載といたしまして、やはり庁内診療で処方済みの薬剤、これはランソプラゾールでございますが、この継続でよい旨の記載がなされており、診察の結果としては、診療情報提供書の記載や外部病院医師からの聞き取り結果と異なる内容が記載されているものではなくて、点滴又は入院の指示がなされたとの内容が記載されているものではございません。
その上で、先生が御指摘の、支援者から点滴等の申入れが入管の職員に対してなされたことがあったのかという点については、そういう申入れがなされていた事実はございます。
○山添拓君 記録はあるのですね。
○政府参考人(松本裕君) 面会者の方からそういう申入れがあったという点について、一部記録として存在するものはございます。
○山添拓君 記録については委員会に提出を求めたいと思います。
○委員長(山本香苗君) 後刻理事会で協議いたします。
○山添拓君 今お話がありましたけれども、カルテの中には、その途中であれ、内服できないのであれば点滴、入院と、そのような記載はあるわけですね。しかし、それをあえて中間報告の下では、中では、そのような指示はなかったのだと正反対に記載をし、点滴や入院についての指示があったことすら、あるいはそのような言及があったことすら反映させていないということであります。
カメラ映像の開示に応じず、死亡事案の解明にも背を向けたまま、そして、こうした外部医師の診療について解明をしない下で法案審議を進めるというのは到底許されないということをここでも指摘をさせていただきたいと思います。
その上で、今日は少年法の改定案の審議でもありますので、法案についてこの後伺っていきます。
法案は、十八歳、十九歳について虞犯の対象から外すものとなっています。虞犯は、正当な理由がなく家庭に寄り付かないなど虞犯事由があり、かつ将来罪を犯すおそれがある場合をいいます。まだ罪を犯していない段階で場合によっては少年院送致まで行うということで、教育的措置としての少年法の大きな特徴の一つでもあります。一方、児童福祉法には、要保護児童を保護するという規定があります。この要保護児童と虞犯少年というのは区別が難しいです。
警察庁に伺いますが、要保護児童であるのか、それとも虞犯少年であるのか、これはどのような事実に基づいて、どのように判別することとしているのですか。
○政府参考人(檜垣重臣君) お答えいたします。
警察では、少年警察活動規則に基づき、虞犯少年と認められる者を発見した場合には、当該少年に係る事件の事実、原因及び動機並びに当該少年の性格、行状、経歴、教育程度、環境、家庭の状況、交友関係等について調査をしております。
そして、個別事案ごとに調査結果を総合的に勘案し、同規則に基づき、当該少年が十四歳以上十八歳未満であって、保護者がないとき又は保護者に監護させることが不適当であると認められ、かつ、家庭裁判所に直接送致するよりもまず児童福祉法による措置に委ねるのが適当であると認められるときには児童相談所に通告し、家庭裁判所の審判に付することが適当と認められるときには家庭裁判所に送致しているところでございます。
○山添拓君 確認ですが、児童福祉法は十八歳未満が対象です。十八歳、十九歳の場合には、保護が必要なケースでは、現状では少年法しかないということでしょうか。
○政府参考人(檜垣重臣君) 少年法においてということでしょうか。(発言する者あり)警察におきましては、十八歳、十九歳の少年でありましても必要に応じて保護措置等をとっているところでございます。
○山添拓君 一九四八年に、戦後、少年法が改正された当時の通達では、要保護児童と虞犯少年とを区別することは困難だと書かれていました。その上で、少年法の保護処分と児童福祉法の措置とを比較対照し、個々具体的にいずれの処分が適当かを判断して決めるとされておりました。
しかし、今申し上げたように児童福祉法というのは十八歳未満が対象ですので、原則として、十八歳、十九歳については少年法でしか保護ができないということになるかと思います。
法務省に伺いますが、児童福祉法に基づく例えば児童養護施設における保護というのはあくまで任意の措置であります。少年法による虞犯少年に対する保護処分というのは強制力を用いた矯正教育であって、その性質は決定的に異なると思われます。その意義はどこにあるんでしょうか。
○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
現行少年法の虞犯制度は、保護者の正当な監督に服しない性癖があること、正当な理由なく家庭に寄り付かないことなどの事由に該当し、その性格、環境に照らし将来罪を犯すおそれのある少年について少年院送致を含む保護処分を課すことができるとするものでございます。
このような虞犯制度は、少年の健全育成のためには一般に早期の段階における働きかけが有効であることから、犯罪に至らないものの問題行動等がある少年についてその要保護性に応じた処遇を行うものであり、少年の保護、教育上、一定の機能、役割を果たすものと認識しております。
○山添拓君 身寄り保護の必要性が強いからであろうと思われます。
かつては犯罪予防としての虞犯が積極的に使われていたようですが、現在では、家庭内暴力など、事件として立件するのがふさわしくない場合にその次善策として用いる、あるいは明らかに強制性交であるけれども、被害届が出されず、しかし放置すれば更なる傷害や強制性交につながりかねない、こういうときに事件の立件に代わって虞犯とすることもあると伺います。
厚労省に伺いますが、児童養護施設を十八歳に達した後も利用できるのはどのような場合でしょうか。また、何人ぐらい利用しているのか、こうして十八歳以降も延長して利用するのはなぜなのかという点について御説明ください。
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
児童養護施設への入所は十八歳未満の子供が対象となってございますが、必要に応じ二十歳まで入所措置の延長を行うことが可能となっております。
入所措置の延長につきまして、具体的には、大学等や専門学校等に進学したが生活が不安定で継続的な養育を必要とする場合、就職や福祉的就労をしたが生活が不安定で継続的な養育を必要とする場合、障害や疾病などの理由により進学や就職が決まらない児童等であって継続的な養育を必要とする場合などにおきまして、必要とされた場合に活用することとしております。
児童養護施設における措置延長の実績でございますが、平成三十年度末に高校等を卒業する方の状況に関して調査を実施しておりまして、千七百五十二人の対象のうち、措置延長を行い翌年度も児童養護施設に在籍をした方は三百三十三人となっているところでございます。
○山添拓君 十八歳以降も継続して保護を必要とする少年がいるということは事実であります。
二〇一九年に虞犯で少年院に入所した十八歳、十九歳は、男子で十四人、女子で四人、決して多くはありません。しかし、必要としている少年がいることも事実です。
前回、与党の議員の方が内閣府に質問をしましたら、十八歳、十九歳の非行対策として今政府が行っているのは、関係府省庁で密接な連絡、情報交換、協議等、それだけでしかないということでありました。つまり、何の見通しもなく、放り出すに等しいということになりかねません。
本法案は、育ち直しを必要とする十八歳、十九歳に対して余りにも冷たいものだということを指摘して、この質問を終わります。
ありがとうございました。

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