山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2022年・第208通常国会

本会議で、2022年度予算案について反対の討論を行いました。

要約
  • 2022年度予算案について「21億円も予算計上されたままのロシアへの経済協力は中止を。長期化するコロナ禍から国民の命とくらし守るという点で不十分な予算案。130兆円もの大企業の内部留保に課税し、消費税引き下げ、インボイス制度中止を」と反対討論を行いました

○山添拓君 日本共産党を代表し、二〇二二年度総予算三案に反対の討論を行います。
冒頭、ロシアによるウクライナ侵略に満腔の怒りを持って抗議します。ロシアの軍事行動は、武力行使を禁じた国連憲章の明白な違反であり、原発、病院、避難所などへの無差別攻撃は、ジュネーブ条約を始め国際人権、人道法に反します。断じて許されません。侵略の中止と即時の撤退を強く求めます。
国際司法裁判所は、ロシアに対し、侵攻の即時停止を命じる暫定措置命令を出しました。国連総会では、人道支援のアクセス確保、国際人道法の尊重などを求める新たな人道支援決議採択の動きが始まっています。国連憲章を守れ、国際人道法を守れの一点で国際社会が力を合わせることが何より求められています。
一方、本予算案には、二〇一六年に安倍元首相がプーチン大統領と約束した八項目の経済協力プランに基づく二十一億円が計上されたままです。ロシアによる実効支配を強め、日本の領土主権が損なわれる四島での共同経済活動とセットの経済協力を、この期に及んで放置することは看過できません。総理は、予算の執行段階で適切に判断したいと言いますが、予算案に計上しておくこと自体、適切ではありません。経済協力プランはきっぱり中止し、予算は削減すべきです。
本予算案は、長期化するコロナ禍から国民の命と暮らしを守るという点で全く不十分です。
総理は記者会見で、第六波の出口ははっきり見えてきたと述べました。死者数は第五波の三倍近くに上り、いまだに増え続けています。過去最悪の結果を招いた責任を曖昧にすることはできません。ワクチンの三回目接種が遅れ、検査も不十分なままです。この現状を一体どう認識しているのですか。
コロナ禍の二年間、医療体制を恒常的に強化する予算は組まれず、逆に急性期病床の削減は着々と進められ、消費税を財源とする国の補助金を受け、全国で二千八百四十六もの病床が削減されました。いいかげんにやめるべきです。
保健所の体制強化は、二年間で保健所一か所当たり僅か二・四人分にすぎません。保健師を二倍にしてほしい、限界をはるかに超えているという現場の声に正面から向き合うべきです。
児童生徒の感染者数が第五波を大きく上回り、小学校や保育園の休校、休園が相次ぐ中、保護者の休業補償が切実な課題です。にもかかわらず、小学校休業等対応助成金の支給実績は少なく、相談窓口が働きかけた企業の八割が特別の休暇制度を導入しないと答えています。事業主が認めない限り支給しないという現行制度は見直すべきです。
多くの事業者が営業時間の短縮や自粛を余儀なくされてきました。ところが、事業復活支援金は、対象期間が五か月と短く、支給額も不十分です。せめて持続化給付金と家賃支援給付金並みに支援を拡充すべきです。
暮らしと営業を支える抜本的な対策強化が求められるにもかかわらず、予備費五兆円で対応しようとするのは、その場しのぎの姿勢と言わなければなりません。
総理は、新しい資本主義を掲げ、新自由主義の弊害を是正すると述べました。
低賃金で不安定な働き方が広がり、結婚のハードルを上げ、少子化にも拍車を掛けました。派遣法の改悪など、非正規雇用を四割にまで拡大した政治に重大な責任があります。ところが、官房長官は、非正規雇用の増大が新自由主義の弊害であるとは認めようとしませんでした。これを弊害と言わずに、一体何を弊害と言うのですか。
フリーランスは、最低賃金の保障も労働時間の制限もなく、コロナ下での育児休業支援金も受け取れません。人間らしい生活を保障するため、労働者としての保護こそ必要です。
男女の賃金格差の開示について、有価証券報告書や女性活躍推進法の見直しを検討することが表明されました。直ちに進めるべきです。
一方、現実には、将来の職務内容や配置の変更の可能性の違いを理由に、勤続年数ゼロでも男女の格差があります。厚労大臣は、我が国の雇用環境を踏まえたものだと開き直りましたが、国際基準の同一価値労働同一賃金とは言えません。女性が多い職場の非正規化やコース別人事など、男女格差を温存してきた企業と、それを許してきた政治の責任が問われなければなりません。
格差と貧困の拡大は、新自由主義の本質です。ところが、所得一億円を超える富裕層で所得税負担率が軽くなる一億円の壁の是正は早々に先送りされました。総理は、優先順位が違うと言いますが、これこそまず実現するべきです。
第二次安倍政権以降、大企業は約百三十兆円もの内部留保を積み増しました。賃金を低く抑え、法人税を減税してきた結果です。日本共産党は、このストック分に課税し、最低賃金の大幅引上げなど、賃上げに使う提案をしています。総理は、政府としては賃上げ税制だと述べますが、賃上げ税制を八年にわたり実施しながら、実質賃金が低下している現実を直視するべきです。
来年度、公的年金が〇・四%引き下げられようとしています。自公政権の十年で実質六・七%もの削減です。年金受給額の減少に配慮するなら、年金カットをやめるべきです。
消費税は五%に減税し、中小業者やフリーランスを倒産、廃業に追い込むインボイス制度は中止するべきです。
東日本大震災と東電福島第一原発事故から十一年。最高裁は、原発事故の被害賠償を求めた六つの集団訴訟で決定を下し、東京電力の責任が初めて確定しました。いずれも賠償の目安を定めた国の中間指針を上回る損害を認めています。中間指針は直ちに見直すべきです。
原発事故は、今もふるさとと人生を丸ごと奪い続け、被害者を苦しめ続けています。この事実を無視して、テロ対策施設が未完成でも再稼働を認めよなどというのは暴論です。
気候危機への対応は、原発ゼロと脱炭素を決断し、再エネ、省エネの抜本的拡大で進めるべきです。
総理は、水素やアンモニアを活用すると言いますが、いまだ実証段階の技術に頼るのは、石炭火力の延命策にほかなりません。経済界の要求で海外輸出の公的支援まで行うのは、途上国を含めた世界的な脱炭素化の足を引っ張ります。COP26で化石賞を受賞した理由を自覚するべきです。
本予算案は、護衛艦の空母への改修と、搭載するF35戦闘機の取得、長距離巡航ミサイルの開発など、敵基地攻撃能力に利用可能な兵器の保有を進めるものとなっています。
総理は、敵基地攻撃能力の保有について、憲法と国際法の範囲内で検討すると言います。しかし、安倍元首相は、相手国をせん滅する打撃力と言い、岸防衛大臣は、相手国領空での空爆を排除しないと述べ、専守防衛、海外派兵の禁止など、歴代政権の憲法解釈との整合性すら投げ捨てています。断じて容認できません。
自民党や一部野党が日米の核共有を求めていることも看過できません。
非核三原則は、衆参の本会議決議を経て国是とされたものです。日本被団協の声明は、核兵器は人間として認めることができない絶対悪の兵器だと厳しく批判しています。総理は核共有を否定しましたが、ならば、与党内での議論や検討はきっぱりやめさせるべきです。
松井芳郎公述人が述べたように、核抑止力論は、十九世紀の国際社会を支配した勢力均衡の考え方と同じです。
軍事、核、力の論理による対抗は、際限のない軍拡競争で緊張関係を高めるばかりです。東アジアを平和と協力の地域にするために、憲法九条を生かした外交戦略に知恵と力を尽くすことこそ政治の役割だと強調し、反対討論といたします。(拍手)

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