山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2023年・第211通常国会

9年間で裁判ゼロ 米軍人・軍属「公務中」犯罪の米側の処分

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
日豪及び日英部隊間協力円滑化協定について伺います。
日本の自衛隊がオーストラリアや英国の軍隊と共同訓練などを円滑に行えるようにするためとされ、一方が他方を訪れ活動する際の手続や法的地位を定めるものです。日本にとっていずれも初めての協定です。
外務省は、先ほども答弁ありましたが、従来、外国軍隊が日本で活動する際には、両国間で協議の上、口上書の交換などにより各種調整を行ってきたとし、本協定によって今後はその都度合意することなく活動できるようにすると説明しております。
協定の二十一条は、軍人軍属の公務執行中の犯罪などについて派遣国が刑事裁判権を持つとするものです。
外務省に伺います。
従来、米軍以外の軍人軍属が日本国内で訓練などを行う際、その刑事裁判権はどのように扱ってきたのですか。

○外務省 アジア大洋州局審議官(岩本桂一君) お尋ねの点につきましては、従来、例えばこの豪州、英国との関係でございますが、この協定がない場合には、先ほど申し上げましたとおり、その都度外交上のルートを通じて協議を行って決定をしてきているという具合に承知しております。

○山添拓君 その都度協議を行った結果として、刑事裁判権の扱いはどのようにしてきたのですか。

○政府参考人(岩本桂一君) 御指摘の刑事裁判権を含む所要の事項については、個別の活動内容を踏まえ、両国間で外交ルートを通じた口上書の交換等を通じてあらかじめ確認する、こういった方法で対応してきております。

○山添拓君 ですから、その結果として刑事裁判権をどちらがどのように行使すると合意をしてきたのかと伺っています。これ通告していますよ。

○政府参考人(岩本桂一君) このそれぞれのケースの内容の詳細については、相手国との関係もございまして、明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思いますが……(発言する者あり)はい。

○山添拓君 ちょっと待ってください。刑事裁判権をどちらの国がどのように行使するかですよ。これを明らかにできないのですか。
法務省、伺いますけれども、刑事裁判権の放棄を、条約や協定もなく、その都度勝手に合意し、国内にも明らかにしない、これでよいのですか。

○法務省 大臣官房審議官(保坂和人君) ちょっと突然のお尋ねでございますが、まさにどういう合意をして、どういう取決めをするかにつきましては、恐縮でございますが、外務省の方から答弁させていただければと思います。(発言する者あり)

○委員長(阿達雅志君) 速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(阿達雅志君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(岩本桂一君) 申し訳ございません。
当然ですが、日本としてその刑事裁判権を行使すべき状況におきましては、日本として刑事裁判権を行使する、これは当然のことでございます。

○山添拓君 そうじゃないですよ。その都度合意をしてきたとおっしゃるので、その都度の合意では、刑事裁判権はどのような場合に日本側が行使し、どのような場合に相手国側が行使するとしてきたのかということですが。

○政府参考人(岩本桂一君) 済みません、繰り返しになって恐縮でございますが、接受国として当然ながら刑事裁判権を行使する状況、こういったものが生じた場合には日本としてしっかりと裁判権を行使していく、そういう前提の下でこれまで運用してきております。

○山添拓君 そうすると、これまでのその都度の合意の中でも、日本側は刑事裁判権を行使しない場合があるということを合意してきたわけですか。

○政府参考人(岩本桂一君) いや、そういうことではございません。

○山添拓君 いかなる合意をしてきたのか、これは刑事裁判権をどのような場合に主権国家として行使できるかという問題です。そのことについてはっきりしませんので、この委員会に文書で報告していただくようにお願いします。

○委員長(阿達雅志君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。

○山添拓君 本協定は、従来その都度行ってきた合意を一般的な協定に格上げするということにとどまらず、裁判権という主権の放棄を新たにオーストラリア軍や英国軍に対して認めていこうというものであります。
資料の一ページに、協定の二十一条二項を示しております。
軍隊を派遣した国は、自国の軍人軍属に対して自国の法令による刑事裁判権を受入れ国内で行使する権利を有するとしています。オーストラリア軍が日本を訓練で訪問中に犯した罪について、オーストラリア法に基づき日本で裁けるということです。同様の規定は、日米地位協定十七条一項a号にもあります。同じ趣旨のものですね。

○外務省 北米局参事官(宮本新吾君) お答え申し上げます。
日米地位協定でございますけれども、こちらは対日防衛義務を負い、我が国に駐留する米軍の円滑な行動の確保を目的としている一方、日豪及び日英部隊間協力円滑化協定は、派遣国の部隊が一時的に接受国に滞在する際の共同訓練や、災害援助等の部隊間の協力活動の実施を円滑にすること等を目的としている点で異なる枠組みでございます。
その上で申し上げますと、日豪及び日英部隊間協力円滑化協定における刑事裁判権に関する規定である第二十一条は、刑事裁判権について規定した日米地位協定第十七条とおおむね同様の内容になってございます。
すなわち、両国の裁判権が競合する場合には、派遣国部隊の公務執行中の事案又は専ら派遣国部隊のみに対する事案については、派遣国が第一次裁判権を有し、それ以外の事案については接受国が第一次裁判権を有することなどが規定されてございます。
お尋ねの日豪及び日英部隊間協力円滑化協定第二十一条二条(a)の規定は、派遣国の当局は、訪問部隊の構成員等に対して刑事及び懲戒の裁判権を有することを定めております。
一方で、日米地位協定の第十七条一(a)は、合衆国の軍当局は、合衆国の軍法に服する全ての者に対し、合衆国の法令により与えられた全ての刑事及び懲戒の裁判権を日本国において行使する権利を有することを定めております。ここで言う懲戒の裁判権とは、訪問部隊の構成員等による法律、規律違反に対する懲戒に係るものでございまして、派遣国が専属的に有する権限でございます。

○山添拓君 おおむね同じ内容だということでありました。
本協定も日米地位協定も、刑事裁判権及び懲戒の裁判権、今懲戒の裁判権について御説明がありました、としています。刑事裁判は一事不再理の原則がありますので、日本かオーストラリアか、いずれかの国のみで訴追されるという調整が必要かと思います。
しかし、刑事裁判と懲戒処分とは法的性質が異なり、両方の処分が必要なケースがあり得ます。例えば、元陸上自衛官の五ノ井里奈さんへの性暴力に関与した自衛官らは、懲戒免職となった後、検察審査会の議決を経て強制わいせつ罪で起訴されております。
外務省に伺います。
本協定や日米地位協定では、外国軍が懲戒権を行使したものの刑事裁判権を行使しなかった場合、日本が刑事裁判を行うことは可能ですね。

○政府参考人(宮本新吾君) まず、日米地位協定の方の扱いに関しまして、私の方から回答申し上げようと思います。
日米地位協定でございますけれども、まず、我が国で罪を犯した米国人等に米国が取った処分に対して日米地位協定第十七条八の規定が適用されるか否かは、これは米国がいかなる根拠に基づいていかなる処分を下すかという点を始めといたしまして、事案に応じて状況が異なるため、個別の事案に応じて判断されることになります。その上で、日米地位協定の下では、米側が懲戒の裁判権を行使した場合に、その場合には、同一の事案について日本側は刑事の裁判権を行使できないこととなっております。
一方、一方、日米地位協定第十七条三の(c)におきまして、裁判権を行使する第一次の権利を有する国に対しまして他方の国が当該権利の放棄を要請する場合が想定されておりまして、要請を受けた国は好意的考慮を払う旨規定されております。
このような要請も含めた日米間のやり取りを通じて、事案に応じた法的な手続が取られるように適切に対応していくということでございます。

○山添拓君 二〇一一年、米軍属による交通死亡事故では、米側は五年の運転停止処分としましたが、その後、検察審査会の議決を経て起訴され、禁錮一年六月の実刑判決になっている例があるかと思います。
すなわち、米側が何らかの処分を行ったとしても、刑事裁判権を日本側で行使することは排除はされておりませんね。

○政府参考人(宮本新吾君) こちらは、御指摘の事案を受けて行われた運用の改善の例だと思われますが、二〇一一年の日米合同委員会合意によりまして、公務中に罪を犯した米軍属については、仮に米軍が懲戒の裁判権を行使した場合であっても、米軍が刑事訴追しない場合には、日本政府は米政府に対して日本側による裁判権の行使に同意を与えるよう要請することができるようになっております。その場合、米国政府は、当該犯罪が死亡等を引き起こした場合には当該要請に好意的考慮を払うと、そういった枠組みが設けられてございます。

○山添拓君 つまり、刑事裁判権を米側が行使しなかった場合には、日本側が裁判を行うことは可能だということかと思います。
条文は懲戒の裁判権としているのですが、日本法の懲戒処分は、裁判所が関与する司法的な意味での裁判ではありません。
なぜ、懲戒の裁判権という言い方をするんですか。

○政府参考人(宮本新吾君) ちょっと、通告をいただいていない質問なので正確かどうかちょっと分かりかねますけれども、地位協定上は、裁判管轄権を行使する場合として懲戒の裁判権と刑事の裁判権、その双方が想定されていると承知しております。

○山添拓君 いや、だから、懲戒処分や免許の停止のような行政処分が行われたとしても、刑事事件として罪に問われる、あるいは罪に問うべきケースというのは十分あり得るわけです。そのことは協定上も本来はっきりさせるべきだと思います。
資料の二ページを御覧ください。
二十一条四項は、派遣国軍隊の軍人や軍属の公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪について、派遣国に裁判権を行使する一次的な権利があると定めています。やはり同様の規定が日米地位協定十七条四項にあります。これも、先ほど御答弁があったとおり、今回の協定二十一条と日米地位協定十七条とはおおむね同じ内容だという御答弁でしたから、同じ趣旨だということかと思います。
そこで、日米地位協定の下での運用の実態について法務省に伺っていきます。
米軍関係者が日本で犯した事件、事故について米側が一次裁判権を行使した場合、その裁判の最終結果を一月ごとに日本に通報することとされ、二〇一四年からは裁判によらない処分についても通報されることになりました。
直近までの件数を御紹介ください。

○政府参考人(保坂和人君) 二〇一四年、平成二十六年から令和四年六月までの九年間でございますが、日米合同委員会における刑事裁判管轄権に関する合意事項四十六項(b)に基づきまして合衆国軍隊の当局から日本の当局に行われた通報につきまして、まず、裁判が行われたという通報があった件はゼロ件、非司法的処分、懲戒処分が行われた件数は合計で六百六十八件でございました。

○山添拓君 処分なしもありますね。

○政府参考人(保坂和人君) 処分なしもございます。
手元の資料によりますと、処分なしというのが、今申し上げたその範囲の中で四件が処分なしでございます。

○山添拓君 資料の三ページにあります。
ここにある非司法的処分、懲戒処分とは具体的にはどのような処分ですか。

○政府参考人(保坂和人君) 恐縮でございますが、その非司法的処分、懲戒処分の具体的内容につきましては、統計的に把握しておりませんので個別に申し上げることは困難でございます。

○山添拓君 いや、非司法的処分というのは先ほど法務省から答弁いただいた中身なんですよ。
非司法的処分とは一般的にどういうものを指して、米側は言ってきているんですか。

○政府参考人(保坂和人君) 処分の具体的内容は様々かと存じますが、裁判が行われた件数との対比でございますので、裁判を経ないで行われる処分のことだろうという理解をしております。

○山添拓君 裁判じゃないんですよね。
非司法的な処分というのは軽微な事件に限って行われているようですが、もとより懲戒処分も刑事裁判ではありません。したがって、被害者がけがをしたり亡くなったり、重大な事件、事故について米側が裁判を起こした件数はゼロだというのが今の答弁ということになります。
米側が一次裁判権を行使したケースは過去になかったということですね。

○政府参考人(保坂和人君) 一次裁判権の行使として、裁判手続によったり、あるいは懲戒によったりということだと私は理解しておりまして、その場合にその処分結果を通知するということではないかと理解をしておりますので、裁判権を行使していないというのが、ちょっと済みません、御質問の趣旨がよく分からなかったので。

○山添拓君 法務省が先ほど非司法的処分は裁判ではないとおっしゃったんですよ。懲戒処分が裁判でないというのは、これはもう自明です。そして、米側の資料によっても裁判はゼロだと言っているわけですから、要するに裁判はやっていないわけですね。

○政府参考人(保坂和人君) 裁判の結果として何件であったかということで申し上げますとゼロ件でございましたので、そういう意味での裁判の結果はなかったということでございます。

○山添拓君 ないんですよ。
先ほど外務省との質疑では、米側が懲戒権を行使したものの刑事裁判権を行使しなかった場合、日本が重ねて刑事裁判を行うことは可能だということでありました。
法務省に伺います。
資料三のとおり、米軍関係者による二〇一四年以降六百七十二件について、米側が刑事裁判権を行使したものは一件もありません。全く処分されなかったケースもあります。
日本側から米側に対して、刑事裁判権を行使するよう希望した件数はありますか。

○政府参考人(保坂和人君) 希望という趣旨は、日本側から米側に対して、米側の第一次裁判権を放棄するように要請するというプロセスになると理解をいたしておりますが、法務省として把握している限りにおきましては、そうした要請をした例はございません。

○山添拓君 ないわけです。米側で刑事裁判が全く行われていない。ところが、日本側は刑事裁判権行使するように求めたこともない、日本側でやると希望したこともないと。
この期間より前のものですが、例えば二〇〇五年十二月には、東京都八王子市で米海軍の軍人が小学生三人をひき逃げしました。道交法違反、業務上過失致死傷被疑事件として警視庁が緊急逮捕しましたが、海軍から公務証明書が出され、即日釈放されました。米側による裁判はなく、減給などの懲戒処分で終わりました。
二〇一〇年九月、山口県岩国市で、通勤途中の米軍属が被害者を自動車でひいて死亡させる自動車運転過失致死被疑事件がありましたが、山口県岩国支部が不起訴処分とし、遺族は検察審査会に審査請求をしましたが、不起訴相当とされました。この軍属に対しては、岩国基地内の四か月の運転禁止という処分にとどまりました。
いずれも刑事裁判となってもおかしくない事件ですが、日本側が不起訴としております。そうなるのはなぜなのか。これは米側が公務中の犯罪だと主張するためです。
そもそも、公務中であるかどうか、誰がどう判断するんでしょうか。

○政府参考人(保坂和人君) 御案内のとおり、日米の地位協定におきましては、両国の裁判権が競合する場合に、公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪につきましては、米側が第一次裁判権を行使する権利を有し、それ以外については日本が第一次裁判権を行使する権利を有するというふうに割り振られてございます。
ここで言います、公務執行中にいう公務につきましては、地位協定上は法令、規則、上官の命令又は軍慣習によって、要求され又は権限付けられる全ての任務又は役務を指すものとするとされていると承知をしております。
その上で、公務か、公務中かどうかのその認定のプロセスを若干御説明しますと、まず、米側としてそれが公務中に行われたと考える場合には、米国、米軍当局から検事正、地検の検事正に対して公務証明書が提出される、これに対して検事正として反対の証拠があると考える場合には、その旨を米軍当局に通知をいたします。それでもなお公務執行中であるか否かについて日米間で認識のそごがあるという場合には、日米合同委員会において協議が行われるというふうになると考えております。

○山添拓君 つまり、日本側で公務中かどうかを判断することはできず、疑義があった場合には最終的には合同委員会の協議になると、こういうことですか。

○政府参考人(保坂和人君) もちろん反対の証拠があるときに検事正の方でその旨を通知をするわけでございますが、その後のプロセスとしては日米合同委員会において協議が行われるということになってございます。

○山添拓君 つまり、最終的には米側の意向に従わざるを得ないと、合意に至らなければですね、ということになってしまうと。
四ページを御覧ください。日米地位協定に関する合意事項四十三項は、米軍の指揮官が公務中であることを記載した証明書を発行した場合、反証のない限り、刑事手続のいかなる段階においてもその事実の十分な証拠資料となるとしています。
ですから、米軍が公務執行中だと言いさえすれば、日本は裁判権を失うということになりますね。

○政府参考人(保坂和人君) 今御指摘の合意議事録におきまして、御指摘のとおり、反証のない限り刑事手続のいかなる段階においても、その事実の十分な証拠資料となるという規定をされておりますので、反証がある場合も当然想定されるわけです。
加えまして、その合意議事録におきましては、前項の陳述、つまり公務中に行われたという証明書でありますが、いかなる意味においても、日本国の刑事訴訟法三百十八条を害するものと解釈してはならないと規定されておりますので、我が国の刑事手続におきましては、公務執行中に当たるかどうかの認定というのは日本の裁判官が最終的な判断を行うものというふうに理解をしております。

○山添拓君 いや、最終的には裁判官がといっても、公務執行中だったら起訴しないわけですから、裁判官の自由心証にならないですよ。その前の段階を問題にしているわけです。
しかも、検察官が反証するには、直ちに証明書を発行した指揮官に対してその旨を通知し、事件処理を遅らせないために、十日以内に問題が合同委員会に提案されるかどうかについて通知する、かかる提案は、いかなる場合においても急速になされるものとするなどとされています。米軍関係者により日本人が被害に遭っているのに、米側に捜査をせかされていると。これは異常だと思います。
米軍関係者が行った罪に対して、米側が公務証明書を発行した件数をお示しください。

○政府参考人(保坂和人君) 法務省といたしまして、今御指摘のその公務証明書を米側が発行した件数としては把握しておりません。
なお、二〇一四年一月以降におきまして、第一次裁判権なしとの理由で不起訴処分とされた人員のうち、公務中の犯罪に係る人員数については把握しておりますが、その合計数は七百八十七人でございます。

○山添拓君 外務省に伺います。
公務証明書を発行しさえすれば、反証のない限り、公務中であることの十分な証拠資料となるという合意は、日米地位協定に基づく合意事項です。日豪、日英間でも同様の確認をするおつもりですか。

○政府参考人(岩本桂一君) 日豪、日英の円滑化協定でどういう具合に規定をするか。この点については、具体的な事案に応じて判断されるという具合に承知をしておりますので、現時点で予断を持ってお答えすることは控えたいと思います。

○山添拓君 公務証明書の発行という形式を取ることにはまだしていないということですね。

○政府参考人(岩本桂一君) 現時点では、そのような形にはなっておりません。

○山添拓君 これ、やめるべきです。日米間でも合意事項のこの部分は破棄し、公務証明書で十分な証拠資料とするのではなく、日本の捜査機関と裁判官があらゆる証拠に基づき総合的に判断できる、これ当たり前だと思いますが、そのように改善、改めるべきだと思います。
ただ、同時に、これやはり、日米地位協定並びの日豪、日英にしていこうということ自体に対して、私は大変疑義があります。
大臣に最後に伺います。
全国知事会を始め、日米地位協定の改定が強く求められております。運用の問題にとどまらないわけです。こうした中で、日米地位協定並みの内容にとどまる新たな協定を結んでいく、これは不合理ではないでしょうか。

○外務大臣(林芳正君) 日豪、日英部隊間協力円滑化協定、これは、この日豪又は日英の一方の国の部隊が他方の国を訪問して活動を行う際の手続を定めることや、同部隊の法的地位を明確にすること等を通じ、共同訓練や災害救助等の部隊間の協力活動の実施を円滑にするとともに、部隊間の相互運用性の向上を図るものでございます。
この協定の実施によりまして、我が国と豪州及び英国それぞれとの間の安全保障、防衛協力が更に促進され、インド太平洋地域の平和と安定が強固に支えられることが期待されます。
これに対しまして、今るる御議論いただきましたが、日米地位協定、これは、対日防衛義務を負い、我が国に駐留する米軍の円滑な行動を確保することを目的としておりまして、両者は前提が異なると考えております。

○山添拓君 時間ですから終わりますが、前提が異なるにもかかわらず、同様の規定にしていこうとすると。本協定は承認し難いものです。しかし、それにとどまらず、同様の規定である日米地位協定の抜本的改定こそ必要だということを述べて、質問を終わります。

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