山添 拓 参議院議員 日本共産党

国会質問

2023年・第211通常国会

日豪日英円滑化協定承認案・関連法案 自衛隊戦闘機の豪州へのローテーション配備計画を追及「なし崩しに豪州と軍事一体化を進めることは許されない」/協定と関連法案への反対討論

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
日豪、日英部隊間協力円滑化協定に関して伺います。
両協定は、日米同盟を中心に、自衛隊の海外活動と外国軍との共同の軍事活動を強化しようとするものです。その動きは、昨年十二月の安保三文書改定に前後して加速してきました。
資料をお配りしています。
昨年十二月六日、米豪2プラス2、外務・国防担当閣僚会議が行われました。その共同声明は、三か国の防衛協力活動を強化すること、日本に対してオーストラリアにおける戦力態勢イニシアチブへの参加を強化するよう求めることを決定したと述べ、オースティン米国防長官は記者会見でもこの点に言及しています。
防衛大臣に伺います。要請に応じたのですか。

○防衛大臣(浜田靖一君) 昨年十二月に開催された米豪2プラス2において御指摘のような発言があったことは承知をしておりますが、我が国としては具体的な対応を決定したものではありません。
防衛省としては、引き続き、豪州の恵まれた訓練環境などを生かして、三か国間の訓練や活動を拡大することで、自衛隊の能力向上のみならず、日米豪三か国間の相互運用性の向上や連携強化を図りたい考えであります。

○山添拓君 ただ、米豪日三か国防衛相会合における合意に基づいてということですから、米豪の要請に応えたわけではないという今大臣の答弁でしたけれども、基本的には既に三者で合意している内容ですよね。

○国務大臣(浜田靖一君) 今後の対応については予断を持ってお答えすることが困難であることを御理解いただきたいと思います。

○山添拓君 米豪2プラス2の三日後、十二月九日、日豪2プラス2、外務・防衛閣僚会議が開かれました。安保三文書改定の一週間前のことです。外務大臣は、日豪関係を同志国連携の中核などと評価し、軍事的連携の強化を主張しております。
資料の二枚目を御覧ください。
この共同声明で、将来のF35を含む日本の戦闘機のオーストラリアへのローテーション配備を見据えた日本のF35による機動展開訓練などについて検討を加速するとしています。
防衛大臣に伺います。
F35のローテーション配備とは、どういうことですか。

○国務大臣(浜田靖一君) 昨年十二月の日豪2プラス2においては、豪州との間で安全保障、防衛協力を深化させ、より強化された相互運用性を構築するといったことで、することで合意をいたしました。その具体的な取組の一つとして、将来のF35を含む日本の戦闘機のオーストラリアへのローテーション展開を見据えた日本のF35による機動展開訓練を実施することとしております。このローテーション展開等に関する具体的な計画、活動の態様や期間について等については、今後検討していくことになります。
いずれにせよ、日豪間の安全保障、防衛協力を更に深化させていくためには、自衛隊と豪州国防軍がより実践的な形で連携を強化していくことが重要と考えております。引き続き、自由で開かれたインド太平洋の地域の実現に向けて、豪州との防衛協力を一層強化していく考えであります。

○山添拓君 日本の戦闘機を海外に常駐させる配備計画というのは前代未聞です。自衛隊は日本を守るためだと言ってきました。オーストラリアへの配備は日本の平和と安全とどう関係するんですか。

○防衛省 防衛政策局長(増田和夫君) お答え申し上げます。
F35、自衛隊の戦闘機を常駐させるということよりも、我々が考えておりますのは、豪州には大変広大な訓練、演習環境がございます。そうした恵まれた訓練環境を生かしまして、自衛隊のその戦技技量の向上、そしてまた日豪両国間やその他の国も含めた訓練を拡大する、そういうことによりまして、自衛隊の能力向上とともに、米国も含めた日米豪三国間の相互運用性の向上や連携強化を図りたいと考えているところでございます。
このローテーション展開につきましては、自衛隊の部隊を一定期間豪州国内に展開することを意味しておりまして、戦闘機などにつきましても、その訓練を行うその期間、例えば定期的に一定期間行くというようなことを念頭に置いているところでございます。

○山添拓君 いや、配備って書いているんですよ、このポンチ絵には。ローテーション配備と。
で、伺いますけれども、自衛隊の戦闘機をオーストラリアに配備するその法的根拠は何ですか。

○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。
配備と書いておりますけれども、これはその常駐ということを意味しているわけではなくて、私たちとしては、先ほど御説明しましたように、一定期間訓練などのために定期的にオーストラリアに行くということを意味しているということでございます。

〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕

○山添拓君 ローテーションですから定期的に入れ替えてということでしょうけれども、しかし、配備と、恒常的に置いていこうということには変わりがないわけです。そして、法的根拠についてはお答えがありませんでした。
憲法九条の下で自衛隊の活動は他国の軍隊とは異なる制約を受けます。訓練だということを口実に自由に海外に配備することは許されないものです。
資料の一ページに戻っていただきますが、米豪2プラス2の共同声明は、オーストラリアにおける米軍の能力を高めるため、爆撃機や戦闘機などのローテーション配備を拡充するという内容も含まれております。また、最大六機の戦略爆撃機B52をオーストラリア北部の米軍基地に、あっ、失礼、空軍基地に配備する計画とも報じられております。中国への抑止力強化が狙いとされ、オースティン米国防長官は会見で、中国は地域の平和と安定を脅かしている、日米豪の三国間防衛協力を強化すると述べました。
政府は日本の防衛政策は特定の国や地域を念頭に置いたものではないと繰り返していますが、米側は対中戦略だということをはっきりさせています。
外務大臣に伺います。
こうした米側の意図を是認した上で日豪の協力強化を進めるのですね。

○外務大臣(林芳正君) 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、我が国としては、国家防衛戦略にもあるとおり、自由で開かれた国際秩序の維持強化のために協力する同志国等との連携を強化してきておりまして、本協定もこの連携強化を効果的に進めるための取組の一つでございます。
豪州との間では、我が国の国家防衛戦略におきまして、日米防衛協力に次ぐ緊密な協力関係を構築し、本協定等の整備も踏まえて、豪州における訓練の実施やローテーション展開等を図って、日米豪の協力も念頭に連携していくとしております。
昨年十月には、長期的な安全保障協力の方向性を明確に示す羅針盤となる、新たな安全保障協力に関する日豪共同宣言を発出しておりまして、引き続き日豪の安全保障、防衛協力を拡大、充実すべく取り組んでまいります。

〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕

○山添拓君 いや、対中戦略だということを米側ははっきり述べているのですが、それに加担していくということでよろしいのですか。

○国務大臣(林芳正君) 本協定について申し上げますと、自衛隊と豪州国防軍の部隊が他方の国を訪問して実施する共同訓練、災害救助等の協力活動を円滑にするもので、ためのものであり、中国を含めて特定の国等を念頭に置いたものではないと考えております。

○山添拓君 そうおっしゃるんですけれども、その大本には、米国が進めている戦力の分散と体制の強化、同盟国、パートナー国の能力強化、根底にはあるわけですね。その一環として日豪関係の強化も求められていると。そして、対中包囲網を強化しようとするものだと米側は言っているわけですから、こうして軍事的対抗を強めれば、地域の緊張関係はむしろ高まることになってしまいます。軍事同盟があるわけではないオーストラリアとなし崩しに軍事的一体化を進めることは許されないと指摘したいと思います。
次に、両協定と死刑制度について伺います。
協定第二十一条の討議の記録によれば、オーストラリアや英国の軍人軍属に死刑が科され得る十分な可能性があるときには被疑者の引渡しに協力しない場合があるとされます。これらの国には死刑がないために、死刑のある日本の刑事裁判を受けることを拒否させ得るというものです。その上で、討議の記録は、関係当局による死刑を求刑しないとの保証によって相手国が引渡しに応じ得るとしています。
前回の質疑で、この保証とは地方検察庁の検事正が行うもので、死刑が求刑されないという通知をいうのだと説明がありました。
法務省に伺います。
オーストラリアや英国の軍人軍属については、日本人であれば死刑を求刑しているような事件であっても死刑を求刑しないという保証を行うのですか。

○法務省 大臣官房審議官(保坂和人君) まず、その死刑求刑するかどうかが、という判断が前提になるわけでございますが、この死刑を求刑しないという通知につきましても、その他国から被疑者の引渡しを受けるために必要な限りにおいて様々な考慮をした上で、その死刑を求刑することがないというふうな措置をとることができる場合には、それが可能な場合にはその通知をするということでございまして、何かあえてその死刑を求刑しないという方向でその意見を変えるというものではなくて、あくまで検察官がどういう意見を述べるかということを前提として、それが、そういう意見を述べる、あるいは死刑を求刑しないということが通知できる場合にはその通知をするという、そういう趣旨でございます。

○山添拓君 そうすると、やはりできない場合があり得るということですか。死刑に相当するような事件の場合には引渡しを求めることができない、保証ができないので引渡しは求められない、こういうことになるんですか。

○政府参考人(保坂和人君) 繰り返しですけれども、このような通知をするかどうかにつきましては、その犯罪の内容ですとか法定刑や裁判例による量刑の傾向等、そういった情報に照らして、その死刑の適用を求める場合に相当しない事案であるときにはその旨を示すということでございますので、それができるかどうかはその事案事案によるということでございます。

○山添拓君 そうなんですよ。事案事案によるのが当然だと思うんですね。ところが、死刑を求刑しないという保証ができるのだと、そういう討議の記録での記載となっています。ですから、今法務省がおっしゃったように、死刑を求刑し得るような事件の場合には、これはその保証ができませんから、やはり重大事件であればあるほど引渡しを求められないという事態が起こり得るということだと言えます。
外務省に伺います。
従来、オーストラリアや英国の軍隊が日本国内で訓練を行う際には、その都度両国間で口上書等を交換し、刑事裁判権もあらかじめ確認してきているということでありました。死刑の適用についてはどのように合意してきたんですか。

○外務省 アジア大洋州局審議官(岩本桂一君) この先ほどの御質問の件でございますけれども、御指摘のありましたとおり、これまでは、その個別の活動内容を踏まえまして、訪問部隊の刑事裁判権を含む所要の事項について、両国間で外交ルートを通じた口上書の交換等を通じてあらかじめ確認するなどの方法で適切に対応をしてきております。
また、一般国際法の考えを踏まえた一般的な内容を確認するものでございまして、死刑が科され得る十分な可能性のある場合の具体的な対応について、今回のお出ししております両協定にあるような具体的な内容は含めておりません。

○山添拓君 これまでは確認をしてきていなかった、つまり、死刑に相当するような事件が起こったときにはどのように対応するのか、これは何ら合意せずに受け入れてきたということですか。

○政府参考人(岩本桂一君) 繰り返しになりますが、この死刑が科され得る十分な可能性のある場合の具体的な対応について、今回の協定にあるような具体的な内容は含めてきておりません。
その上で、個々の対応につきましては、派遣国と受入れ国との間で個別の事案に応じて協議を行って決定する、こういう形になっております。

○山添拓君 その都度協議ということになろうかと思います。要するに、そういう曖昧な合意で受入れを進めてきたということなんでしょうか。死刑事件に相当する重大な事件は起こり得ないだろうと、たかをくくってきたということですか。

○政府参考人(岩本桂一君) そういう考えではございません。

○山添拓君 しかし、合意がなかったわけですよ。もし日本側が裁判権を行使するといった場合には、これは前回の質疑でもありましたが、オーストラリアは、自由権規約第二選択議定書でその管轄下にある者に死刑が執行されないことを確保する義務を負っております。それを放棄させるということはできませんから、大変デリケートな問題があるんだと思うんです。ですから、前回、従来の扱いについてお答えをいただけなかったのも、この死刑の問題が根底にあるのではないかと私は思います。
今回の両協定は、その狙いも内容も問題があり、承認はできません。同時に、死刑対象事件における協定の不平等さ、法務省からあったように、重大事件ほど引渡しを求め得ないケースがあり得ることを浮き彫りにした、これは日本の死刑制度に問題があるということを浮き彫りにしていると思います。
世界の百八か国で死刑は廃止されています。十年以上執行がないなど事実上の廃止を加えると百四十四か国に上ります。死刑を存続、執行している国は、日本や北朝鮮、イランなど五十五か国、先進国では日本と米国だけです。その米国も、バイデン大統領が死刑廃止を公約とし、連邦レベルでの死刑が一時停止をされました。死刑の廃止に進むべきだと考えます。
その点を指摘をしまして、私の質問を終わります。

―――

○山添拓君 日本共産党を代表し、日豪、日英部隊間円滑化協定の承認を求めるの件及び両協定実施法案四案に反対の討論を行います。
両協定は、日米同盟を中心に自衛隊の海外活動と外国軍との共同の軍事活動を一層強化しようとする措置であり、憲法九条に明確に反します。
岸田政権が閣議決定した国家防衛戦略は、日米同盟の抑止力、対処力の強化にとどまらず、同志国等との連携の強化を明記しました。同志国等とは米国の同盟国、パートナー国を指すことは明らかであり、それらの国々との軍事的協力の強化を図ろうとするのは、インド太平洋地域において、同盟、パートナー関係のネットワーク化と能力強化を進める米国の戦略に従ったものにほかなりません。
日豪2プラス2では、将来、自衛隊のF35をオーストラリアにローテーション配備する計画まで合意しました。日本を守るどころか地域の緊張関係を高めかねず、法的根拠も曖昧です。なし崩しに軍事的一体化を進めることは許されません。
両協定は、派遣国の軍隊の構成員が公務中に罪を犯した場合の第一次裁判権を派遣国側に与えています。外務省は、両協定について、公務中かどうかは具体的な事案に応じて判断されると答弁しました。日米地位協定の下では、米側が公務証明書を発行した場合、日本側はその反証をしなければならず、反証をしても、最終的には合同委員会の協議次第という不当な運用がまかり通っています。日豪、日英間でも同様の事態を招きかねません。外国軍隊の活動のために重要な国家主権である刑事裁判権を放棄することは許されません。
また、日本で死刑が求刑される可能性がある重大な犯罪の場合、派遣国であるオーストラリア及び英国側は日本側に被疑者の身柄を引き渡す義務を負いません。日本が死刑制度を存続させ執行を続けていること自体が深刻な問題ですが、その結果として、重大な犯罪ほど日本側の裁判権が失われるという不平等な内容であり、認められません。
さらに、両協定が、締約国間の協議機関として合同委員会を設置し、協議を行うだけでなく取決めを行うことができるとしていることも看過できません。
両協定には議事録の作成についての規定はありません。外務大臣は衆議院で、仮に作成した場合も、個々の事案ごとに検討し、双方の同意があれば公表できるとすることを想定していると答弁しており、合同委員会の設置前から開示に消極的です。これでは国民の知る権利を侵害し、外国軍隊の活動による問題について国会と国民の監視を困難にします。いかなる国であれ、力による一方的な現状変更が認められず、国連憲章と国際法に基づき正すべきことは言うまでもありません。
その上で政府が今行うべきは、地域の緊張を高める軍事的協力体制の強化ではなく、東アジアを平和の地域にするために包摂的な安全保障の枠組みをつくる平和外交であることを強調し、討論とします。

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